内藤陽介 Yosuke NAITO
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World Wide Weblog
 切手で訪ねるふるさとの旅:大阪府
2017-07-26 Wed 09:23
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、『(郵便局を旅する地域活性マガジン)散歩人』第34号(不定期刊)ができあがりました。同誌に掲載の僕の連載「切手で訪ねるふるさとの旅」では、今回は大阪府を取り上げました。そのなかから、きょうはこの切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      大阪城
      
 これは、2007年6月1日に発行されたふるさと切手「近畿の城と風景」のうち、大阪城を取り上げた1枚です。

 1583年、豊臣秀吉は石山本願寺跡に“大坂城”を築城しました。この城は大坂の陣で落城しましたが、後に徳川氏が再建。ところが、1665年の落雷で天守を焼失。さらに、幕末維新の混乱で建物の大半が焼失しました。明治以降、大坂城は“大阪城”に名を改め、1888年、本丸桜門が復元。1931年には市民の寄付で天守が復興しました。今回ご紹介の切手は、沖縄出身で大阪城を撮り続けている写真家、登野城弘の作品を原画として構成されています。

 さて、 今回の『散歩人』では、今回ご紹介の大阪城のほか、大仙陵古墳(仁徳天皇陵)若冲で知られる西福寺、太陽の塔、神農の虎国立文楽劇場、箕面大滝、岸和田だんじり祭りの切手を取り上げました。掲載誌の『散歩人』は各地の郵便局などで入手が可能ですので、御近所でお見かけになりましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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 7月27日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第6回が放送予定です。今回は、8月4日の世界陸上開幕に先立ち、サニブラウン選手応援企画でガーナにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。

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 7月30日(日)22:00~ 拉致被害者全員奪還ツイキャスのゲストで内藤が出演しますので、よろしかったら、ぜひ、こちらをクリックしてお聴きください。なお、告知のツイートはこちらをご覧ください。

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 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 フィジーのオオウナギ
2017-07-25 Tue 10:45
 きょう(25日)は土用の丑の日です。というわけで、ウナギの切手のなかから、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      フィジー・オオウナギ

 これは、2008年にフィジーが発行したオオウナギの切手です。

 オオウナギは、ウナギ目ウナギ科に属する魚で、わが国で一般に食されるニホンウナギとは同属別種です。今回ご紹介のフィジーを含む太平洋とインド洋の熱帯・亜熱帯域を中心に、ウナギ科全18種類のうちで最も広い地域に分布しており、国内では利根川より西側、長崎県より南側の暖流に面した地域に生息していますが、和歌山県田辺市・白浜町富田川流域、徳島県海陽町母川流域、長崎県長崎市樺島の3ヵ所では国の天然記念物に指定されています。なお、南西諸島では、ニホンウナギよりもポピュラーな存在です。

 その名の通り、最大で全長2m・体重20kg にも達する大型のウナギで、胴回りは丸太ののように太く、背中側は黄褐色の地に黒褐色のまだら模様があるのが特徴です。鹿児島県南部や南西諸島、台湾などでは食用や強壮剤にもされることがありますが、味の面ではニホンウナギより劣るとされています。

 ちなみに、フィジーでは、ウナギにまつわる以下のような伝説があるそうです。

 ベンガ島(フィジー最大のビチレブ島の南12km の地点にある小島)に住むサワウ族の漁師、ツイは、ある日、島の奥の小川で巨オオウナギを釣りあげました。喜ぶツイに、オオウナギは自らが神の化身であると告げたうえで、「助けてくれたら火の上を歩けるようにしてやろう」と申し出ます。

 オオウナギのいうことが真実なら助けてやろうとツイがいうと、オオウナギはその場に穴を掘り、石を入れて火を放ったうえで、その上を歩くよう、ツイを促します。これを受けて、ついは石の上を歩きましたが、全く火傷を負いませんでした。

 これが、フィジーにおける火渡りの行の起源とされており、以後、神の霊力を授かったとされるツイの直系の子孫は、火渡りの儀式を司る聖職者“ベテ”として、火渡りの行を継承しているそうです。

 僕などは、ウナギが目の前で火を焚いていたら、そのまま、身を開いて串にさし、焼いて食ってしまうしまうような気がします。もっとも、そういう心掛けだから、火の上を歩く能力もないまま、酷暑の中でぐったりとした日々を過ごしているわけですが。
 

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 <Brasilia 2017>出品作品決定
2017-07-24 Mon 11:47
      ブラジル・カンダンゴ像(2010)

 本年10月24-29日(火-日)の6日間、ブラジル・ブラジリア市のUlysses Guimaraes Convention Centerにて、世界切手展<BRASILIA 2017>が開催されます。僕はその日本コミッショナーを仰せつかっていますが、先日、日本からの出品作品は以下のように決定したとの連絡が主催者側から入りましたのでお伝えいたします。(以下、リストは出品者名は日本語表記・敬称略、文献を除く作品名は英文でリスト記載のとおりです。今後、修正などがある可能性もあります)

 ・吉田敬 Kingdom of Prussia: 1850-1869
 ・内藤陽介 Postal History of Auschwitz 1939-1945
 ・正田幸弘 Postal History of Brazil 1795 – 1877
 ・井上和幸 Postal History of NIUAFOOU and Tin Can Mail 1882-1947
 ・内藤陽介 A History of Hong Kong
 (以下、文献)
 ・祖父江義信 『手彫切手』
 ・公財・日本郵趣協会 『郷土の郵便印』
 ・スタンペディア Stampedia Philatelic Journal
 ・公財・日本郵趣協会 『日本普通切手専門カタログvol.1 戦前編』

 ちなみに、冒頭の画像は、2010年、ブラジリア遷都50周年を記念して発行された切手のうち、ブラジリアの三権広場の中央に建てられているカンダンゴ像を取り上げた1枚です。カンダンゴ像は、今回の切手展のロゴマークにも取り上げられておりますので、シンボリックな1枚として持ってきました。

 展覧会本番での出品者の皆様の御健闘をお祈りしております。

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 アブハジア独立25年
2017-07-23 Sun 17:39
 1992年7月23日、アブハジア自治政府がグルジア(現ジョージア)からの独立を宣言してから、今日でちょうど25周年です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アブハジア加刷

 これは、1992-93年のアブハジア紛争の際に、アブハジアの独立勢力が旧ソ連切手にアブハジア地図と国名、新額面などを加刷した“切手”です。

 アブハジアは黒海北岸に面した山がちの地域で、北のカフカース山脈をロシア連邦との国境としており、ジョージアは、自国の最西端に位置すると主張しています。

 旧ソ連の時代、アブハジアの地域はアブハジア自治共和国としてグルジア・ソビエト社会主義共和国に含まれていました。1985年以降のペレストロイカで民族主義が台頭すると、グルジアの民族主義者はアブハジアを統合したかたちでのグルジアの独立を主張するようになりました。ちなみに、ソ連崩壊時のアブハジアでの民族構成は、グルジア人45%、アブハジア人17%、ロシア人15%、アルメニア人15%、ギリシア人3%で、民族主義に基づくグルジア国家が樹立されれば、マイノリティとしてのアブハジア人に対してグルジア語の強制など“グルジア化”が強要されるのではないかとの懸念がアブハジア人の間にはありました。

 このため、1989年7月16日、グルジアから分離したかたちでのアブハジア国家の独立を求める暴動が、スフミ(アブハジアの首都)で発生。ソ連軍による鎮圧までに、死者16人、負傷者137人が発生しました。

 1991年4月9日に独立を宣言したグルジアは、1992年2月21日、旧ソ連時代の憲法を廃止し、ロシア革命後の1921年に制定されたグルジア民主共和国の憲法を復活させることを宣言。これを、非グルジア人の自治権の廃止と理解したアブハジア人は反発を強め、1992年7月23日、アブハジア自治政府が独立を宣言しました。

 これに対して、グルジア政府は3000人の部隊をアブハジアに送り、1週間以内に、首都スフミを制圧しました。しかし、アブハジア独立勢力は、チェチェン人など、北コーカサスの諸共和国からの義勇軍の参加を得てグルジア政府軍との交戦を継続。グルジア政府軍は次第に追い詰められ、1992年末までに、スフミ以西のアブハジアの大半は独立派が掌握します。この間、グルジア、アブハジア両軍がそれぞれの勢力圏内で“民族浄化”を行い、約3000人が犠牲になったと言われています。

 今回ご紹介の切手はこうした状況下で発行されたものです。ただし、切手発行時にはアブハジアを正規の独立国として承認した国はなかったため(ロシアがアブハジアの独立を承認したのは2008年)、この切手はアブハジア独立派の実効支配地域においてのみ有効で、国際郵便には使えませんでした。また、一時期、“アブハジア”名義で芸能人などを取り上げた切手が出回ったこともありましたが、その大半は、万国郵便連合からは正規の切手として認められていない“ラベル”です。

 その後、1994年5月15日にアブハジアとグルジアの間で停戦合意が成立し、国連平和維持軍が停戦の監視に当たっているため、現在まで大規模な戦闘は起きていません。現在、アブハジア地方の全域はアブハジア共和国の実効支配下にありますが、グルジアはあくまでもアブハジアの独立を認めず、アブハジア共和国を独立国家として承認しているのは、ロシア、ニカラグア、ヴェネズエラ、ナウルの4ヵ国(ほかに、地域の実効支配政府として、沿ドニエストル共和国、南オセチア共和国、ナゴルノ・カラバフ共和国。なお、ヴァヌアツとツヴァルはかつては独立を承認していたものの、現在は撤回)にとどまっています。


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 日田祇園祭
2017-07-22 Sat 10:59
 きょう・あす(22・23日)、大分県日田市の厄除け神事、日田祇園祭が行われます。というわけで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      日田祇園祭

 これは、1998年7月1日に発行された“ふるさと切手(大分県)・日田祇園”です。

 日田祇園祭は、豆田八阪神社・隈八坂神社・竹田若宮神社の三社の祭礼行事で、いまから400年以上前に、日隈城内にあった八坂神社が日隈城廃城のおりに現在の隈、寺町付近に移され(現八坂神社)、その後厄除け神事が行われるようになったのが由来とされています。江戸時代の寛文年間(1660-72年)には、杉の葉枝などを盛り、幕で飾った曳山があり、太鼓などで囃して巡行していたとの記録があります。1714年、南条代官のとき、京都の祇園山鉾を手本として、現在のような山鉾が奉納されるようになりました。祭神は素盞嗚尊です。

 “ヤマ”と呼ばれる山鉾は、江戸期から明治初期にかけて巨大化し、1884年には高さ10m を越える山鉾が登場しました。1901年には電柱の架線により山鉾巡行ができなくなりましたが、1924年に山鉾の高さを低くし再開。戦時中の1943年からの一時中断を経て、戦後復活し、現在に至っています。現在、祭に曳き出されるヤマは、隈地区の三隈町、大和町、竹田地区の川原町、若宮町、豆田地区の下町、上町、港町、中城町の出す8基と1990年に製作された全高10m の平成山鉾1基の計9基です。なお、今回ご紹介の切手は地元日田市の出身で文化功労者の日本画家、岩澤重夫が原画を制作しました。

 さて、日田祇園は、昨年(2016)年11月、“日田祇園の曳山行事”の名で、全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する33団体とともにユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」として登録されました。

 今回の祭礼は、世界遺産登録後最初に行われるものとして、関連行事の“山鉾集団顔見世”では、史上初めて、女性の囃子方が山鉾に乗ることも計画されていましたが、今月初めの九州北部豪雨で日田市も大きな被害を受けたことから、集団顔見世は中止となっています。ただし、メインの曳山行事に関しては、「祇園祭そのものが悪病退散、邪気を払う祭りなので、こんな年だからこそ何があっても開催したい」との原田啓介市長の強い意向もあって、当初の予定通り開催されることになりました。

 先日の九州北部豪雨では、農地や農業施設などの農業関連の被害額は、現時点で、福岡県でおよそ27億円、大分県がおよそ15億円、道路や橋、堤防などの土木施設の被害についても、大分県日田市でおよそ56億円、福岡県朝倉市でおよそ50億円、東峰村でおよそ10億円、添田町でおよそ7億円に達しており、政府としても、各地の梅雨明けを待って被害額を確定させたうえで、激甚災害に指定する予定です。

 きょう・あすの厄除け神事が、原田市長の言うように、災害復旧のための契機となることをお祈りしております。


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 世界の切手:ウルグアイ
2017-07-21 Fri 15:04
 ご報告が遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2017年7月19日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はウルグアイの特集(2回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ウルグアイ・1931年切手展

 これは、1931年4月に開催のモンテヴィデオ切手展に際して、会場内限定で発売された小型シートで、ウルグアイ最初の切手(ただし、額面は発行当時のものに変更されています)が田型で収められています。

 ウルグアイ最初の切手は、郵便事業の責任者だったアタナシオ・ラピドにより、1856年10月1日に発行されました。

 当時のウルグアイ国内では、旅客・貨物の長距離輸送には、民間の馬車が用いられていました。このため、1856年の切手は、国旗・国章にも描かれた太陽を中央に大きく描き、上部に“(乗合)馬車”を意味する“DILIGENCIA”の表示を入れたデザインでした。切手には、60センタヴォ(青色)、80センタヴォ(緑色)、1レアル(=120センタヴォ。赤色)の3種があり、石版印刷で1シートは7×5の35面構成。モンテヴィデオのメージュ・イ・ウィレムス印刷会社で製造されています。

 同社では、最初に60センタヴォ切手を製造し、ついで、額面部分を差し換えて80センタヴォ切手を、さらに額面部分を変えて1レアル切手を製造しました。当初の製造枚数は、2-3000枚程度と推定されています。

 ちなみに、当時のウルグアイの郵便料金は、4アダルメ(アダルメは当時のウルグアイで用いられていた重量の単位で、6アダルメ=1オンス=28.7 グラム)以下が60センテシモで、2倍の重量便が80センテシモ、3倍重量便が1レアル(=100センテシモ)dした。

 また、切手が発行された1856年10月の時点では、各地の郵便局には消印が配備されていなかったため、再使用を防ぐ手段としては担当者がペンで切手を抹消しましたが、そうした抹消なしに届けられた郵便物も少なくありません。

 1857年も後半になると、60センタヴォ切手の在庫が底をつき始めますが、最初の印刷に使用した版は摩耗が激しかったため、新たな版が作られます。この第2版の切手は1857年10月1日に発行されましたが、“DILIGENCIA”の文字が異なっているほか、太陽の光線が105本から67本に減らされているなどの相違点があるため、初版の切手との区別は難しくありません

 さて、『世界の切手コレクション』7月19日号の「世界の国々」では、ウルグアイ初期の切手についての長文コラムのほか、ウルグアイを代表する後期印象派の画家ペドロ・フィガリ絵画、リオ・ネグロ産のキャビア、タンゴ史上最高の歌手の一人とされるフリオ・ソーサの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、今回のウルグアイの次は、来週26日発売の8月2日号でのタンザニアの特集になります。こちらについては、発行日の8月2日以降、このブログでもご紹介する予定です。 


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 マロロシア時代のドネツィク
2017-07-20 Thu 08:58
 親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の“ドネツク人民共和国”の首相アレクサンドル・ザハチェンコは、おととい(18日)、ドネツィク(ロシア語名:ドネツク)を首都とする新国家を樹立し、帝政ロシア時代のウクライナの呼称だった“マロロシア(小ロシア)”を国名とするとの声明を発表しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ロシア・ユーゾフカ消

 これは、ユーゾフカ(現ドネツィク)の消印が押された帝政ロシア時代の切手です。

 ドネツィクを中心とする一帯(現在のドネツィク州の領域)は、もともと、モスクワ大公国、クリミア・ハン国、ザポロージャ・コサック軍、ドン・コサック軍との国境地帯で、16世紀以降、ウクライナ・コサックが入植していました。

 1774年、この地を編入したロシア帝国はロシア人の入植を進めましたが、1869年、英国人のジョン・ヒューズが現在のドネツィク市に冶金工場を建設。以後、この地はヒューズにちなんで“ユーゾフカ”と呼ばれるようになり、炭鉱業と工業の町として発展することになりました。今回ご紹介の切手の消印も、こうした経緯から、“ユーゾフカ”の地名表示となっています。

 ロシア革命後の内戦の時代には、ボリシェヴィキ系のドネツク=クリヴォーイ・ローク・ソビエト共和国を経て、1922年末のソ連成立により、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国に編入。1924年、スターリンにちなんで市の名前はユーゾフカからスターリノに改称されました。なお、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国の州としてドネツク州が設置されたのは1932年のことです。

 1938年、ドネツク州はスターリン州とヴォロシロヴフラード州に分割され、独ソ戦期の1941-43年にはドイツ軍に占領されました。その後、1961年、スターリン時代の見直しに伴い、スターリノ市はドネツィク市と改称され、これに伴い、スターリン州もドネツィク州に改名され、ウクライナの独立に伴い、ウクライナのドネツィク州となりました。

 なお、ドネツィクでは、2014年のウクライナ政変後、キエフの暫定政府に対抗して、4月7日、親ロシア派の武装勢力が州議会を占領。“ドネツク人民共和国”の建国を宣言し、現在まで実効支配を続けています。

 “ドネツク人民共和国”は、やはり親ロシア派が建国を宣言した“ルガーンスク人民共和国”とともに、2014年5月24日、連邦国家“ノヴォロシア人民共和国連邦”の結成を宣言していました。

 今回のマロロシア国家樹立宣言に際して、ザハチェンコは、現在のウクライナは破綻しており、平和と安定をもたらすことはできないとしたうえで、ドネツク人民共和国やルガーンスク人民共和国などの地域の代表が「ウクライナの後継となる新国家の樹立を宣言すること」に同意したと主張。マロロシアは、ロシアが併合したクリミア半島を除くウクライナを継承するとしています。

 もっとも、ザハチェンコの首長とは裏腹に、ルガーンスク人民共和国は“新国家”には同意しておらず、現時点では、マロロシア国家が実態のある組織となる可能性は低いでしょう。ただし、ドネツク人民共和国名義の切手を発行している組織が、今後、マロロシア切手を発行することは十分にあり得ますから、しばらくは情勢をチェックしておく必要はありそうです。


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 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 岩のドームの郵便学(52)
2017-07-19 Wed 09:47
 ご報告が遅くなりましたが、『本のメルマガ』649号が先月25日に配信となりました。僕の連載「岩のドームの郵便学」では、今回は、1994年のパレスチナ自治政府発足に対するリビアの反応について取り上げました。その記事の中から、この1点です。(画像はクリックで拡大されます)

      リビア・インティファーダ(1995)

 これは、1995年11月29日にリビアが発行した“インティファーダ8周年”の記念切手です。

 オスロ合意からパレスチナ自治政府設立にいたる一連の和平プロセスに対して、エジプトなどがこれを肯定的に受け止める一方、対イスラエル強硬派の急先鋒だったリビアは露骨に不満の意を示していました。

 すなわち、1991年の湾岸戦争に際して、リビアのカダフィ政権はPLOとともにイラク支持を表明した数少ない国の一つとして、サッダーム・フサインの唱えたリンケージ論にも賛意を示していました。ちなみに、当時のカダフィ政権は、パレスチナで反イスラエル活動を継続するハマースに資金援助しています。

 そうした立場をとってきたカダフィ政権からすれば、PLOがイスラエルとオスロ合意を結び、パレスチナの一部地域でのみ自治を開始したことは、まさにはしごを外された格好になったわけです。

 このため、PLOとアラファトの裏切りに激怒したカダフィは、1994年9月1日、革命記念日の演説で、彼らへの抗議の意思を示すため、リビア国内在住のパレスチナ人に国外退去を求める意向を表明します。その建前は、あくまでも、アラファトとPLOがパレスチナに帰還した以上、パレスチナ人も祖国に帰還すべきであるというものでしたが、現実には、パレスチナ自治政府の支配地域には、在外パレスチナ人の期間を受け入れるだけの経済的・物理的余裕がないのは誰の目にも明らかでした。したがって、いきなりパレスチナへの“帰還”を求められたリビア在住のパレスチナ人の多くは、大いに困惑しつつも、当初はカダフィ特有のブラフだろうと楽観的に考えていたようです。

 ところが、1994年12月から1995年2月にかけて、①リビア国内の各省庁から労働省に提出されていた労働契約更新のリストからパレスチナ人の除外、②各省庁から労働省に提出されていた新規の(パレスチナ人の)雇用契約の差し戻し、③パレスチナ人には新規の在住許可をあたえず、更新も認めない、④パレスチナ人のリビア入国の拒否とその周知、⑤いったん国外に退去したパレスチナ人の再入国禁止、等の措置が相次いで打ちされます。

 このため、エジプトとの国境地帯にパレスチナ人が押し寄せたほか、海路、シリア、レバノンに脱出しようとするパレスチナ人が続出しましたが、各国はいずれもパレスチナ人の“難民”としての入国を認めなかったため、多くのパレスチナ人がリビア=エジプト国境の砂漠地帯や地中海上に留め置かれることになりました。

 結局、10月26日、カダフィがパレスチナ人“追放令”を撤回したことで事態は収拾に向かうのですが、カダフィのこうした姿勢は、オスロ合意とそれに基づいて発足したパレスチナ自治政府の正当性を認めず、その統治を拒否するハマースを側面から支援することになっていきます。

 一方、イスラエル国内でも、オスロ合意とパレスチナ自治政府をパレスチナ側に対する過剰な譲歩として批判する声は右派勢力を中心に少なくありませんでした。そうしたなかで、1995年11月4日、テルアヴィヴで開催された平和集会に参加した首相のラビンが、ユダヤ民族至上主義を奉じるイガール・アミンによって暗殺されてしまいます。殺害の動機について、アミンは「神の律法によれば、ユダヤ人の土地を敵に渡してしまう者は殺すべきことになっている」と語りました。ただし、そのユダヤの律法では、ユダヤ人がユダヤ人を殺すことは明確に禁じられています。

 ラビン暗殺を受けて、リビア国営ジャマヒリア通信は「彼の手は虐殺されたパレスチナ人の血で染まっている」とするカダフィの歓迎声明を発表。それを補足するかのように、今回ご紹介の切手では、岩のドームを背景にイスラエルに対する抵抗運動を展開する人々が描かれており、ラビン暗殺後の混乱に乗じて、反イスラエルのテロ/武装闘争を煽動しているかのような印象を与えるものとなりました。

 はたして、1996年1月、自治政府の国家に相当するパレスチナ評議会の選挙が行われることになりましたが、ハマース、イスラム聖戦、ヒズボラなどイスラム原理主義勢力は選挙をボイコットし、テロ活動を激化させていきます。

 そうした中で、ラビンの暗殺後、緊急閣議で暫定内閣の首相代行を経て、首相(2度目)に就任したのは、外相として和平プロセスを進めていたシモン・ペレスでしたが、1996年3月3-4日、和平に反発するパレスチナの過激派が2度の自爆テロを起こし、30人のイスラエル人が死亡すると、対パレスチナ強硬派のリクード連合を基盤とするベンヤミン・ネタニヤフがそれを材料に労働党政権を批判。さらにレバノンのヒズボラもイスラエルを攻撃するなど、治安が急激に悪化したことが要因となって、1996年4月の首相公選では、ペレスはネタニヤフに敗れ、政権を失うことになります。

 さて、ことし(2017年)は、英国がパレスチナに“ユダヤ人の民族的郷土”を作ることを支持するとしたバルフォア宣言(1917年)から100年、イスラエル国家建国の根拠とされる国連のパレスチナ分割決議(1947年)から70年、中東現代史の原点ともいうべき第三次中東戦争(1967年)から50年という年回りになっています。

 これにあわせて、懸案となっている「ユダヤと世界史」の書籍化と併行して、本のメルマガで連載中の「岩のドームの郵便学」に加筆修正した書籍『パレスチナ現代史:岩のドームの郵便学』(仮題)の刊行に向けて、現在、制作作業を進めています。発売日などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。 


 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

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 開催御礼
2017-07-18 Tue 07:59
      フランス・メルシー(2003)

  おかげ様で、<全日本切手展2017>(以下、全日展)および併催の<オーストラリア切手展>昨日(17日)16:00、盛況のうちに無事終了いたしました。

  今回の展覧会は、中川幸洋さんの菊切手、永井正保さんのグランプリコレクション、長島裕信さんのカンガルーと地図切手、児玉博昭さんの乃木2銭切手という、それぞれの分野での最高水準のコレクションをお招きして特別展示できたほか、競争出品もハイレベルな内容で、ご参観者の皆様にもご満足いただけたのではないかと思います。

 これもひとえに、ご後援を賜りましたオーストラリア大使館、日本郵便株式会社、公益財団法人・日本郵趣協会、一般財団法人・切手文化博物館、日本郵便切手商協同組合、特定非営利活動法人・日本郵便文化振興機構、御協賛を賜りました無料世界切手カタログ・スタンペディア株式会社、貴重なコレクションを展示したいただきましたご出品者の皆様、ブースをご出店いただきましたディーラーの方々、そして、寄附金を拠出していただきました皆様ほか、大勢の方々のご支援・ご協力のおかげです。

 実行委員長として、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

 なお、来年(2018年)の全日本切手展は、7月20-22日、今年と同じく、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催の予定で、すでに準備を始めております。開催資金の調達をはじめ、クリアしなければならない課題は山積しており、今後とも、皆様方にはいろいろとご支援・ご協力をお願いすることになるかと思われますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

 * 冒頭の画像は、2003年、フランスが発行した“ありがとう”のグリーティング切手です。皆様への感謝の気持ちを込めて、取り上げてみました。


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 全日展、本日最終日です!
2017-07-17 Mon 06:36
 はやいもので、15日から、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催中の全日本切手展2017(以下、全日展)は本日が最終日となりました。今回は、特別展示の菊切手、併催のオーストラリア切手展とともに、乃木2銭切手発行80周年にちなみ、郵政博物館のご協力も得て、乃木2銭切手の特別展示も行っています。というわけで、きょうはその展示の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      乃木2銭原画  1次昭和・乃木2銭

 左は、今回の全一店会場に展示している乃木2銭切手の原画で、郵政博物館の所蔵品です。実際に発行された切手は右側のように紅赤色で、原画の色合いは、むしろ、東郷4銭の切手に近い雰囲気です。

 1935年7月、逓信省は、1912年以来使われてきた田沢型切手がオールドファッションになっていたことを踏まえ、1936年中をめどに、風景や人物などを題材とする新切手を発行する方針を決定します。しかし、そのための実務作業は遅れ、“改正郵便切手圖案審査委員会”の第1回会合が開催されたのは、1937年3月27日のことでした。すでに、4日後の4月1日から、郵便料金が改正され、書状の基本料金が3銭から4銭に、葉書料金が1銭5厘から2銭に、それぞれ値上げされることが決まっていたため、委員会では、まず、2銭・4銭切手ならびに新額面の葉書の印面の図案の審議が行われました。

 会議の席上、郵務局長から、4銭切手の図案は東郷元帥、2銭切手の図案は乃木大将、葉書の印面は楠公銅像とする方針が説明され、討議が行われました。その際、東郷元帥の肖像については、出席した委員からいろいろとクレームが出たものの、乃木大将の肖像については、殉死当日の写真を使用することですんなりと決定しています。

 切手のデザインは、当時のドイツの通常切手(大統領ヒンデンブルクの肖像が描かれていました)にならい白線彫刻で肖像を表現したもので、1945年まで発行・使用が続けられました。初期の切手は紅赤色に白線がくっきりと浮かび上がる美しい切手でしたが、太平洋戦争の開戦後は次第に切手の品質も劣化し、末期には、肖像がほとんど潰れてしまった幽霊のような切手も出回っています。

 さて、今回の全日展の特別展示では、“乃木バカ”の愛称で親しまれている児玉博昭さんの専門コレクションと、郵政博物館所蔵資料として、今回ご紹介の原画、プラハ万博に出品された原版刷、乃木2銭切手の最大の稀品とされる朱色の単線12目打のシートを展示しております。乃木2銭切手の展示としては、質量ともに空前絶後の規模になったと自負しておりますので、ぜひ、この機会をお見逃しなく、会場にてご覧いただけると幸いです。

 * 昨日の内藤の展示解説は、無事、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただきました皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。


 ★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月15-17日(土ー月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオーストラリア切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2017ポスター

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 ことしは、香港“返還”20周年ということで、内藤も昨年(2016年)、ニューヨークの世界切手展<NEW YORK 2016>で金賞を受賞した“A History of Hong Kong(香港の歴史)”をチャンピオンクラスに出品します。よろしかったら、ぜひ会場にてご覧ください。


 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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