内藤陽介 Yosuke NAITO
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 サイクロン“パム”、ヴァヌアツ襲う
2015-03-15 Sun 16:28
 一昨日(13日)から昨日(14日)にかけて、非常に強いサイクロン“パム”が南太平洋の島国ヴァヌアツを直撃。首都ポート・ヴィラは壊滅的な被害を受け、現時点で40人以上が亡くなったと伝えられていますが、通信状況が悪いため、被害の全容はわかっていません。。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

        ニューヘブリデス・フィジー加刷

 これは、英仏共同統治領ニュー・ヘブリデス時代の1908年、フィジー切手に“ニュー・ヘブリデス”と加刷して発行された切手で、現在のヴァヌアツの地で発行された切手としては最初の1枚となります。

 現在のヴァヌアツの地は、1774年、ジェームズ・クックによる調査が行われ、“ニューヘブリディーズ”と命名されました。その後、英仏による領有権争いを経て、1906年、ニュー・ヘブリデズ諸島は両国の共同統治領(コンドミニアム)とすることで妥協が成立。1980年の独立まで、第二次大戦中の一時期を除き、コンドミニアム体制が続きました。

 郵便に関しては、1897年、濠洲ニュー・ヘブリデス会社がポート・ヴィラ=シドニー間の郵便物の取り扱いを開始。当初は、同社によるローカル切手が使用されましたが、同年10月以降、ニュー・サウス・ウェールズ切手が持ち込まれて使用されました。

 コンドミニアムの設置後は、1908年10月1日、ポート・ヴィラにコンドミニアムとしての郵便局が開局し、フランス植民地の料金体系による郵便サービスが開始され、英領フィジー切手および仏領ニュー・カレドニア切手に加刷した切手が発行されました。なお、通貨の交換レートは、英1ペニー=仏10サンチームでした。なお、今回ご紹介の切手の加刷はフィジーの首府スヴァで行われています。

 さて、同国のロンズデール大統領は、現在、第3回国連防災世界会議に出席のため仙台市に滞在中で、きのう、大統領と会談した安倍首相も「(サイクロン被害について)心からお見舞いを申し上げる。日本として可能な限り支援したい」と述べ、迅速な対応を政府内で指示したことを説明したそうです。日本滞在中に本国での大災害の方に接した大統領の心中は察するに余りあるところですが、まずは、天候が回復し、一日も早く被災地の復旧・復興が進むことをお祈りしております。
 
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 コンドミニアムの悲劇
2006-07-30 Sun 00:02
 今日(7月30日)は、南太平洋西部、オーストラリア大陸の東にあるバヌアツ共和国の独立記念日だそうです。1980年の独立以前、この国は“ニューヘブリデス”として英仏共同統治下に置かれていましたので、切手に関心のある人たちの間では、そっちのほうが通りが良いかもしれません。さて、今日は、そんなニューヘブリデス時代の切手の中から、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

フレンチ・ニューヘブリデス

 第二次大戦中の1940年6月、フランスはドイツに降伏し、ペタンの親独政府が誕生します。このため、ニューヘブリデスのコンドミニアム(英仏共同統治のことをこう称した)内では、厳密にいうと、英仏は敵対関係になります。もっとも、ニューヘブリデスでは、早々にペタンの親独政府への服従を拒否し、ドゴールの自由フランス軍を支持することが決められましたので、コンドミニアムの分裂は何とか避けられています。

 今回ご紹介している切手もそうした状況の中で発行されたもので、戦前発行の島の風景を描く切手に、自由フランス支持の姿勢を示す“France Libre”の文字が加刷されています。

 さて、1941年12月に、いわゆる太平洋戦争が勃発し、日本軍がソロモン諸島の近くまでやってくると、ニューヘブリデスの住民は日本の侵攻を恐れるようになりました。このため、1942年5月、日本軍の機先を制するかたちで、何の前触れもなく米軍が島に上陸してきた時、島民はこれを日本軍の襲来と勘違いしてパニック状態に陥り、我先に山に逃げ込んでしまったということです。

 上陸した米軍は、当時のニューヘブリデス島がほとんど未開発の状態であることに驚き、早速、島を前線基地として活用するためにインフラの整備を開始します。各種のアメリカ製品が大量に持ち込まれるとともに、兵舎や病院、島を一周する道路、仮設滑走路や埠頭などが相次いで作られ、島は急速に文明化されていきます。

 さらに、現実にはさまざまな差別があるにせよ、米軍では白人も黒人も平等に扱われていることを見聞きし、米軍の仕事を手伝って正当な賃金をもらい感謝されるという体験を通じて、それまで、コンドミニアム体制の下で人間以下の扱いしか受けてこなかった島民たちは大いに感動します。一方、米軍の側でも、あまりに劣悪な島民の生活に同情して、洋服やベッド、冷蔵庫や家具を軍から調達して彼らに与えました。

 このため、ニューヘブリデスの島民にとっての第二次大戦(太平洋戦争)とは、日本軍の攻撃で牛が一頭犠牲になるという被害はあったものの(死傷者はなし)、生活水準はあがり、新しい医療の恩恵を受け、様々な設備も整うという、夢のような時代の代名詞となりました。

 しかし、1945年8月に戦争が終わり、米軍が撤退すると再び悲劇が訪れます。

 撤退に際して、米軍は、戦時中にニューヘブリデス島に対して持ち込んだ援助物資(ブルドーザー、作業用機械、クレーン、トラック、事務機器など)を、1ドルにつき7セントで買い上げてくれるよう、英仏コンドミニアムに求めます。ところが、戦争で疲弊し1円たりとも余計な支出をしたくなかった英仏側は「米軍が勝手に置いていったものに対価を支払う必要はない」と主張。住民に対しては家宅捜索が行われ、彼らが米軍にもらった衣類や、家具、冷蔵庫やラジオなどは強制的に接収され、ブルドーザーで海に沈められてしまいました。

 当然のことながら、こうしたコンドミニアム政府のやり方に対する不満は住民の間に深く沈殿し、その後の独立運動につながっていくことになるのです。それにしても、“英仏植民地主義”というのがいかに凄まじいものであったか、あらためて身震いする思いがします。

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