内藤陽介 Yosuke NAITO
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 年賀郵便の歴史
2016-01-31 Sun 15:17
 昨年の<JAPEX>に出品された吉田敬さんのコレクション『年賀郵便の歴史』の作品集が、1月20日付で無料世界切手カタログ・スタンペディア株式会社から刊行されました。(画像は表紙のイメージです)

      年賀郵便の歴史

 同書は吉田さんの8フレームのコレクションをオールカラーで採録したもので、巻末には、フレーム単位でのイメージがわかる縮小図版と作者自身による解説が掲載されています。なお、同書の刊行にあたって、『年賀切手』ならびに『年賀状の戦後史』の著者ということで、吉田さんから僕に序文の執筆依頼がありましたので、喜んでお引き受けいたしました。

 これまで、吉田さんご本人のブログで同書のことが触れられていなかったため、“大本営発表”の前に出しゃばったことをするのも良くないと思って、僕のブログで同書のことを話題にするのは自粛していたのですが、先週末、吉田さんからOKが出ましたので、同書のご紹介方々、以下、僕の序文を(一部タイポなど修正の上)転載いたします。

 (以下、転載)
 1970年代までの古典的な“郵便史”コレクションの中には、カバー類だけではなく、法令文書や絵葉書、新聞等の非郵趣マテリアルを補助的に使用して構成し、国際切手展で上位に入賞する作品(現在の郵便史系オープンクラスの作品のイメージに近い)が少なくなかった。

 それが、1980年代以降、“郵便史”のコレクションは、原則として、実際に逓送された郵趣マテリアルを用いて、経路・料金・郵便印の3要素を軸に作品を構成すべきという発想の転換が行われ、FIP(国際郵趣連盟)の審査基準もその前提から出発するものとして設定されていった。その結果、スタンダードな郵便史に対して、郵便史を構成する3要素のうちの郵便印に特化した分野が“マルコフィリー”となり、“郵便史”部門が成立する以前から行われていた“エアロ・フィラテリー(航空郵趣)”に関しては、例外的に、通常の郵便史作品では展示すべきではないとされる未使用切手を展示したり、伝統郵趣に倣って切手の製造面の分類などを加味した展示を行ったりしても、そのことをもってただちに減点されるわけではないという扱いになっていた。

 ところが、知的営為としてのフィラテリーの蓄積が、一般的な歴史研究や地域研究においても注目されるようになると、あまりにも禁欲的に経路・料金・郵便印の3要素にこだわった“郵便史”のコレクションは、マテリアルから読み取れるはずの情報量のごく一部にしかフォーカスを当てておらず、宝の持ち腐れではないかとの批判がフィラテリストに対して向けられるようになったという。

 そこで、従来型の“郵便史”コレクションのあり方は、それはそれとして尊重しつつも、より広い社会的・歴史的文脈の中で“郵便”を位置づけ、それを郵趣マテリアルによって再構成しても良いのではないかという発想から、国際展(および一部の国内展)では、“Historical, Social and Special Studies”と呼ばれるサブクラス(規則の番号上、“2C”と呼ばれているので、本稿でも、以下、その呼称を採用する)が導入されることになった。そして、そうした広い視野からの“郵便の歴史”を再構成するためには、2Cの作品においては、必要に応じて、未使用切手や非郵趣マテリアルも、少量であれば展示に用いて差し支えないとされている。

 もっとも、サブクラスの2Cは新設されて日も浅い分野ということもあって、実際には、どのような作品がそこに該当するのか、また、歴史(的事件)を主題としたテーマティク作品やオープンクラスの作品とどのようにちがうのか、さらには、そうした作品を、テーマティクやオープンクラスではなく、あえて郵便史部門に出品する必然性はどこにあるのか、といった諸問題については、いまだ明確なヴィジョンを示して展示された作品はきわめて少ない。そしてそれゆえ、多くのフィラテリストにとって、2Cの郵便史作品については、具体的なイメージがわきづらくなっているのが実情だ。

 本書に採録されている吉田敬の『年賀郵便の歴史』は、本人が意識しているか否かは別として、そうした2Cの郵便史作品として、わが国では先駆的な試みの一つとなっているように思われる。

 実際、吉田本人は「『年賀郵便の歴史』が高い評価を受けるなら、『暑中見舞郵便の歴史』『喪中郵便の歴史』『寒中見舞郵便の歴史』のように、次々と文面に焦点を当てた郵便史作品が作れてしまい、たいていの人が違和感を感じる…」と本書124頁で述べているが、FIPのルールブックによれば、2Cの対象範囲の中には、ヴァレンタイン・カードを含むグリーティング・カードや絵入り封筒等も含まれることが明記されており、“年賀郵便”という主題の設定は、その時代的な広がりや、日本社会における歴史的・社会的な重要性に照らして、まさしく、2C向きのものといってよい。

 特に、今回の吉田の作品においては、既存の郵便史作品にはほとんど見られなかった“経営”の視点が組み込まれているのが、実にユニークで興味深い。

 “(狭義の)郵便史”ではなく“郵便歴史”を考える場合、郵便事業者の経営状態についての考察は避けて通ることのできない問題である。このことは、たとえば、1840年にペニー・ブラックが発行されるまでの英国郵便史の展開における主要な出来事が、いずれも、ロイヤル・メールの経営上の諸問題と密接に結びついていることを想起すれば、容易に想像がつく。

 これまで、年賀郵便ないしは年賀状のコレクションというと、明治初期から、1年ずつ、毎年の年賀郵便をならべるだけという単調なものが多かったが、吉田は、そうした“因習”に異議を唱えるところから出発している。

 そして、日本の郵便事業にとって年賀郵便は最大のドル箱であるとの前提から、年賀郵便にも、郵便物取扱量の拡大により売り上げを増大させることに主眼を置いていた時期と、機械印の導入や消印の省略などの効率化によるコスト削減に主眼を置いていた時期が交互に訪れたというモデルを提示する。さらに、そうした循環の過程で、戦争や天皇の諒闇、インフレやマーケットの縮小など、年賀郵便にも事業存続のリスクに遭遇する時期があったことが示されている。

 こうした諸要素を組み合わせることで、近代以降の日本の歴史的・社会的な文脈の中で年賀郵便の位置づけを試みたからこそ、吉田の作品は、従来の“年賀郵便史”の枠を大きくこえる“年賀郵便歴史”を志向するものとして、<JAPEX>の展示会場でも独自の存在感を放っていた。

 もちろん、今回の吉田の作品は、視点の設定そのものが新たな試みであるだけに、作品の構成展開、テキストの叙述、そして、展示されているマテリアルの面でも、今後のブラッシュ・アップが必要な部分も少なくない。たとえば、作品の冒頭、プロローグとして展示されている江戸時代の書状のリーフには送達された年代が記されていないのはその一例である。作品の本編ではないとはいえ、この部分は、将来的には、年代の特定できるマテリアルに差し替えるか、あるいは、調査の上、年代を特定した結果を記すなどするのが望ましいのは言うまでもない。

 しかし、これまで「単純でつまらない」とおもわれていた年賀郵便について、新たな角度からのアプローチを試みた吉田の独創性は、率直に高い評価が与えられてしかるべきである。

 最後に、この吉田作品をたたき台として、いまだ黎明期にある2Cの郵便史に多くの日本人フィラテリストが関心を持ち、分野として発展していくようになることを願いつつ、擱筆することにする。
 (文中敬称略・転載終わり) 

 なお、同書はA4版140頁で本体定価3980円。入手方法などについては、こちらをご覧ください。


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 捕鯨浪漫主義
2010-05-23 Sun 11:33
 雑誌『キュリオマガジン』の6月号ができあがりました。(下の画像は表紙のイメージ。クリックで拡大されます)

      捕鯨浪漫主義

 今月は、“捕鯨浪漫主義”と題して、欧米のコレクターズ・アイテムのうち、鯨と戦う男たちのカッコよさを表現したモノを集めた特集(文章はすべて僕が書きました)を組みました。具体的には、19世紀の捕鯨船から差し出されたカバーのほか、ナイフやライター、シガレット・カード、昔の雑誌広告などを取り上げています。一人でも多くの方にご覧いただきたいので、ご紹介する次第です。

 まずは、企画の趣旨をご理解いただくために、特集の“まえがき”に相当する文章を引用してみます。

*****

 欧米の環境保護団体は日本の捕鯨を野蛮で残酷だと非難する。これに対して、日本人は捕鯨が日本の文化・伝統だと主張し、それを理解しようとしない白人に対して不満を募らせる。この何十年もの間、うんざりするほど繰り返されてきた構図だ。

 しかし、ちょっと待って欲しい。

 本当に捕鯨は日本だけの特殊な文化・伝統なのか。否、そんなことは断じてない。むしろ、歴史的に見れば、欧米社会こそ、捕鯨を題材とした文学・演劇・音楽・絵画などさまざまな文化を残してきたではないか。

 陸の西部劇と海の捕鯨は、カッコいい荒くれ男たちの物語の双璧である。いずれも、現在の視点からすれば、野蛮で残酷な面があるのは承知している。しかし、それでもなお、知力・体力の限りを尽くし、命の危険を顧みずに大自然の中で奮闘する男たちの姿を見て、単純素朴に美しいと感じる人も多いはずだ。

 強い男は、顔の造作がどうあろうと、良い女を惹きつける。そのことはモデル風の優男よりも、武骨な格闘家の方が、概して美人の嫁さんを娶っていることからも明らかだ。

      捕鯨浪漫主義・扉絵

 1884年にアメリカで発行された少年向け雑誌の表紙には、鯨に向かって銛を打ち込もうとする少年の脇で、手に汗握り、彼をはげます少女の絵(上の画像)が印刷されている。もちろん、こんな遊園地の射撃まがいの捕鯨なんてありえないのだが、少年は少女の存在があればこそ強くなれるし、実際そうあってほしいと願う大人たちの自然な感情は伝わってくる。

 捕鯨は文化だった。ただし、それは日本だけではなく、人類全体(少なくとも海のある地域では)普遍的な現象だ。

*****(引用終わり)

 いわゆる反捕鯨論者の主張は、基本的には、数値的な裏付けは何もない感情論でしかなく、論理的な整合性は微塵もありません。もちろん、僕も言論人のはしくれですから、言論ならびに思想信条の自由は尊重しますし、その意味において反捕鯨論者がどのような発言をしようと、そのこと自体は否定しません。しかし、環境保護を騙り、多くの人から巨額の資金を集めて日本の捕鯨船に対する暴力行為を繰り返す極悪非道なテロリスト集団シーシェパードや、鯨肉の窃盗をあたかも正義の行動であるかのように主張するグリーンのような犯罪者集団は断じて許すことはできません。

 さて、連中のデタラメな主張を論理的に粉砕することは、健全な思考力の持ち主であれば容易なことです。しかし、彼らの議論は単なる感情論でしかないからこそ、客観的なデータを用いての実証的な説明を拒絶するという傾向が非常に強いのも事実です。特に、欧米の環境テロリストたちの言動からは、そもそも非白人である日本人に対する人種的な偏見が濃厚に感じられます。こういう輩やそのシンパに対して、捕鯨が日本の文化的伝統であると主張しても、おそらく連中は聞く耳を持たないでしょう。

 それゆえ、捕鯨が日本の歴史や伝統と深くかかわってきたことを内外に広く紹介し、理解を求めていくことが重要であるにしても、それだけでは、いかがわしい反捕鯨論者と戦っていくのは不十分ではないかと思います。

 そこで、環境テロリスト・犯罪者集団と彼らを支持する人たちへの異議申し立ての手法として、捕鯨というのは欧米でも文化として高い評価を得て来たじゃないか、という点を強調することにしました。この点で、コレクターズ・アイテム全般を扱う『キュリオマガジン』は、まさにうってつけの媒体です。

 現在でも、インターネットオークションの eBay などを見れば、環境保護の象徴としての鯨ではなく、鯨と戦う男たちのカッコよさを表現した捕鯨関連のグッズが人気を集めていることがわかります。このことからも、欧米人、特にアメリカ人の心の奥底に、“捕鯨へのあこがれ”が残っているという面は否定できないのは明らかです。こうした彼らの感情を掘り起こしたうえで、すべての鯨が絶滅危惧種なのではないという実証的なデータを示してやれば、反捕鯨派に対して、効果的な一撃を打ち込むことが可能となるでしょう。

 雑誌『キュリオマガジン』はモノ雑誌ですから、誌面では、あえて、捕鯨・反捕鯨の議論はしていません。あくまでも、モノを通じて“捕鯨のカッコよさ”を皆さんに見てもらうだけという構成を取りました。ただし、ご覧いただければ、おのずと、その意図はお分かりいただけるものと信じています。

 なお、雑誌『キュリオマガジン』についてのお問い合わせや入手方法などにつきましては、出版元のHPをご覧いただけると幸いです。

 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

  総項目数552 総ページ数2256  
  戦後記念切手の“読む事典”(全7巻) ついに完結!

      昭和終焉の時代  『昭和終焉の時代』 日本郵趣出版 2700円(税込)

 2001年のシリーズ第1巻『濫造濫発の時代』から9年。<解説・戦後記念切手>の最終巻となる第7巻は、1985年の「放送大学開学」から1988年の「世界人権宣言40周年」まで、NTT発足や国鉄の分割民営化、青函トンネルならびに瀬戸大橋の開通など、昭和末期の重大な出来事にまつわる記念切手を含め、昭和最後の4年間の全記念・特殊切手を詳細に解説。さらに、巻末には、シリーズ全7巻で掲載の全記念特殊切手の発行データも採録。

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 『郵趣』4月号
2008-04-01 Tue 23:05
 今日から新年度がスタートしました。すでに、JPS(財団法人・日本郵趣協会)会員の皆様のお手元には、雑誌『郵趣』の4月号が届いていることと思います。この4月号については、僕も企画段階からいろいろと絡んでいるので、ちょっとご説明したいと思います。(画像は雑誌の表紙です)

 『郵趣』2008年4月号表紙

 現在、40代以上の男性であれば、程度の差こそあれ、一度は切手を集めた経験をお持ちの方は多いと思います。その後、受験や就職など、いろいろと身辺が忙しくなって収集を中断された方も多いかとは思いますが、社会人としてある程度、時間とお金に余裕が出てきたときに、もう一度切手を集めてみようかと思う方もあるでしょう。そうした“カムバック組”をいかに取り込んでいくかが、今後、日本のフィラテリーが社会的に生き残っていくうえで重要な課題であることは言うまでもありません。

 ところが、これまでは、せっかく切手をもう一度集めてみようかという人がでてきても、そうした人たちに対するフォローはきわめて不十分な状況が続いていました。たとえば、切手に関する入門書の多くは、切手収集を全くしたことのない人や子供たちを対象に書かれており、かつて切手をかじったことのある人たちには退屈な印象を持たれてしまうのが現実です。もちろん、たいていの入門書は、じっくりと読めば、決して子供だましの内容で終わってはいないことがわかるのですが、最初のところで「切手を扱う際にはピンセットを使いましょう」などと書かれていると、その後を続けて読む気にならないというのが正直なところだろうと思います。

 そこで、僕たちは、かつて切手を集めたことのある人が切手収集を再開するきっかけになるようなブックレットを作ることを考えました。それが、今回の『郵趣』4月号というわけです。

 もちろん、僕たちは、最近の若い女性たちが“かわいい切手”や“きれいな切手”を自分の好みで好きなように楽しむというやり方を否定するつもりはありません。ただ、彼女たちと元切手少年たちとでは、価値観や趣味嗜好が全く異なるのは当然のことで、両方を一度に相手にしようとすると、どうしても、中途半端な内容になってしまいます。そこで、今回はターゲットを元切手少年にしぼって、切手収集が大人の男の趣味であるということを前面に打ち出し、その魅力を紹介するとともに、切手少年だった大人たちが収集を再開したくなるような内容とすることを目指しました。

 こうしたコンセプトにしたがって、最初のカラー特集では、元切手少年なら誰もが知っている内外の“良い切手”をじっくりとお見せしています。批判を覚悟であえて言うなら、女子供にへつらった“かわいい切手”の類は基本的に相手にしていません。同じくカラー特集の「切手で選ぶ世界の美女(10)」も、最近の流行りやガキの好みは一切斟酌せず、大人が共感できる人選にしました。(もちろん、“美女”の判定基準は人それぞれでしょうから、異論があれば、それは甘んじて受け入れますが・・・)

 ついで、モノクロページでは、元切手少年たちがすんなりと収集を再開できるような情報を盛り込むことに努めました。切手ブームの時代から現代までの郵趣史年表をつけたのも、“カムバック組”の方々が切手の世界を離れてから現在まで何があったのか、おおよそのことを理解していただきたかったからです。また、コレクションの作り方にはどんなスタイルがあるのか、ピンセットやストックブックにはどんなものがあるのか、といった具体的なノウハウも掲載しました。

 そのうえで、元切手少年の人たちが実際にどのように収集を再開し、現在楽しんでおられるのか、その実例として、大沼幸雄さんと安西修悦さんにご登場いただいています。

 このように、今回の『郵趣』4月号は、1冊丸ごと、大人のための切手収集入門といった体裁で作っております。

 つきましては、このブログをご覧の皆様のなかで、子供の頃にやっていた切手収集を再開してみるのも悪くないとお考えの方がおられましたら、ぜひとも、JPS事務局(〒171-0031 豊島区目白1-4-23、電話:03-5951-3311、FAX:03-5951-3315、e-mail:info@yushu.or.jp)までご一報ください。JPS事務局より、『郵趣』4月号を見本誌としてお送りいたします。また、皆様の身近に、以前切手収集をやっていたが、現在では止めてしまったという方がおられましたら、差し支えない範囲で、その方連絡先を教えていただければ、やはり事務局より『郵趣』4月号をお送りするよう手配いたします。

 使い古された表現ですが、切手収集は“趣味の王者”です。印刷物としての切手はそれ自体が美しいだけでなく、切手に描かれた文化や歴史、自然や風物を通じて世界のかけらに直接触れることができます。そうした“切手”の楽しさ・奥の深さを1人でも多くの方々に知っていただくためにも、まずは一人でも多くの方に『郵趣』4月号を手に取っていただきたく、心より皆様のご協力をお願いする次第です。
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 国際切手展金賞作品集
2007-03-31 Sat 00:33
 年度末ギリギリですが、本日(3月31日付)で、昨年11月に開催の全国切手展<JAPEX06>の記念出版として『国際切手展金賞作品集 2005-06』(下は表紙の画像です)が刊行になりましたので、ご挨拶申し上げます。

国際切手展金賞作品集

 昨年の<JAPEX>では、主催団体である(財)日本郵趣協会の創立60周年の記念事業として、「国際切手展凱旋展」と銘打ち、2005年のシドニーと台北、2006年のワシントンDCの3ヶ所で開催された国際切手展(シドニーとワシントンは世界展、台北はアジア展)で金賞を受賞したコレクション7作品(僕も末席に加えさせてもらっています)の招待展示を行いました。また、会場では“小判振舞処”(小判切手収集家有志のグループ)の特別企画出品「小判切手130年」が話題となりましたが、この企画展示には、上記国際展で金賞を受賞されたお2人の方のコレクションの逸品が数多く展示されておりました。

 本書は、会期中、「国際切手展凱旋展」に展示された7作品と「小判切手130年」にご出品のため、「国際切手展凱旋展」のコーナーには展示されなかった2作品の抜粋をあわせて採録した写真集です。

 日本語でコレクションというと、いかに珍しいモノ・高価なモノを持っているか、あるいは、いかに大量に所蔵しているか、といった物質的な側面が強調されがちです。たしかに、コレクションにはそういう側面があることは、僕も否定しません。

 しかし、単なるモノの集積ということであれば、それはアキュムレーションというべきであって、欧米語でいうコレクションとは根本的に異なっています。

 たとえば、ファッションの世界で“パリ・コレクション”とか“ミラノ・コレクション”という場合、それは何も大量の服を集めてくることにも、あるいは、高価な(素材を使った)服を集めてくることに価値が置かれているわけではありません。ここでいうコレクションとは、デザイナーがあるコンセプトを立て、それにあわせてさまざまな服をデザインし、モデルを選び、演出を練り上げて、その総体として彼の思想を表現しようとする営為のことです。

 コンペティションの展覧会に出品するコレクションというのも、基本的には同じことで、ある主題に対して、それぞれの出品者が関連するあらゆるマテリアルを集め、それを体系的・論理的に、そして美しく構成することが肝要になってきます。いくらⅩ億円の珍品を持って来ようと、前後の脈絡もなしにそれらを並べただけでは、“コレクション”として高い評価を得ることはほとんど不可能でしょう。

 その意味で、今回の『国際切手展金賞作品集』は、切手のコレクションのお手本ともいうべき作品をまとめたものとして、非常に価値があるのではないかと<JAPEX>の実行委員長を務めた僕としては自負しております。

 まぁ、自分の作品も掲載されている写真集をあんまり持ち上げるのは気が引けるのですが、僕の作品はともかく、僕以外の方々のコレクションは本当に見応えがあり、勉強になります。少部数の限定出版で定価も16000円と高価なため、気軽に「買ってください」とお願いするわけにもいかないのですが、可能であれば、是非、お手元においてじっくりとご覧いただけると幸いです。(ちなみに、まだ、ネットからの注文は可能です)

 <おしらせ>
 4月7日(土)の午前中、東京・目白のカルチャービルにて行われる切手市場会場内にて、僕の最新刊『沖縄・高松塚の時代』の即売・サイン会を行います。切手市場ならではの特典もご用意しておりますので、是非、遊びに来てください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。
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 ユリイカ11月号
2006-11-01 Wed 01:41
ユリイカ2006年11月号表紙

 先週金曜日(10月27日)に発売になった雑誌『ユリイカ』の11月号(上の画像はその表紙です。画像はクリックで拡大されます)は、東京都現代美術館で開催中の展覧会大竹伸朗全景 1955-2006にあわせて、現代美術のビッグネーム大竹伸朗の特集が組まれています。同誌には、僕も「少年・大竹伸朗と切手ブームの時代」と題する文章を寄稿していますので、この場を借りてご案内いたします。

 1955年生まれの大竹の人格形成期は、まさに切手バブルの時代一億総切手狂の時代という切手ブームの全盛期でした。おそらく、大竹の周囲にも切手少年たちがあふれていたことでしょう。ただし、当時の切手収集は、未使用の記念切手をシートで買うというスタイルが主流でしたので、モノが古びて、ゴミになっていく過程にこそ美を見出すという大竹の審美眼からすれば、切手収集は受け入れがたいものだったと思います。じっさい、現在にいたるまで、大竹は膨大な数の作品を発表していますが、そこには切手や郵便物はほとんど出てきません。

 しかし、彼の文章やインタビューなどを丹念に調べてみると、意外や意外、彼が常に“郵便物”をチラチラと横目で見ながら仕事をしてきたということが浮かび上がってきます。やはり、彼も少年時代に吸った空気からは自由になれないということなのでしょう。そして、そのことが、大竹の作品に、おそらく大竹本人は気がついていないであろう“郵便的”な彩りを与えているように、僕の目には映るのです。

 今回の『ユリイカ』の仕事では、そんなちょっと風変わりな大竹伸朗論を書いてみました。いままでの内藤陽介とはちょっと違ったスタイルの仕事ですが、もしよろしかったら、ちょっとご覧いただけると幸いです。

*11月3日(金・祝)16:00より、東京・池袋で開催の<JAPEX>会場内にて『満洲切手』刊行記念のトークを行います。よろしかったら、是非、遊びに来てください。(『満洲切手』については、こちらもご覧ください)
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 切手と郵便に見る1945年
2006-03-31 Fri 19:34
 このたび、天野安治さんと僕の2人が中心になって構成・解説を担当した『切手と郵便に見る1945年』(下は表紙の画像です)が刊行になりましたので、ご挨拶申し上げます。

『切手と郵便に見る1945年』表紙

 本書は、昨年10月、東京・池袋のサンシャイン文化会館で行われた全国切手展<JAPEX05>の特別企画展示の中から全体の構成が把握できるよう、470リーフを抜粋してまとめた写真集です。

 一般に“歴史”が語られる場合、時系列に沿ってある国や地域の事件やデータを並べていく “縦割り”のスタイルが多いものと思われます。しかし、今回の企画展示は、そうした“縦割り”の歴史スタイルではなく、“1945年”という一点に注目して、特定の地域に限定せず、広く世界のマテリアルを展示することにで、“世界史”を横断的にながめてみることを試みたものです。

 あらためていうまでもないことですが、切手を利用する郵便制度は世界中のほぼすべての地域で行われています。したがって、そうした切手の特色を生かして、ある特定の時代の各国・各地域の切手や郵便物を比較することによって、それぞれの国の国力や社会状況などを広い視点から理解することも可能になるはずです。それゆえ、切手の持つさまざまな面白さ、奥行きの深さの一端を広く社会的にご理解いただくうえで、そうした同時代資料としての広がりをみせていくことは意義のあることではないかと思います。

 そうしたことから、昨年(2005年)、第二次世界大戦終結60周年という節目の年に当たっており、さまざまなかたちで先の大戦をふりかえる企画が試みられていたという時勢をもふまえて、企画・構成したのが本書の元になった特別展示です。

 もっとも、この種の企画展示は展覧会の会期が終わると、展示されている切手やカバー(封筒)の類はそれぞれの持ち主の元に戻り、再び一つの作品としてまとめることは不可能です。そこで、展示のエッセンスを資料として保存するために書籍として、<JAPEX>の主催者である(財)日本郵趣協会として、本書を刊行したという次第です。 

 本来であれば、もう少し早く刊行できれば良かったのですが、写真図版263ページ(うちカラー80ページ)という分量ということもあって、年度末ギリギリの刊行となりました。

 本書は少部数の限定出版で定価も18000円と高価なため、気軽に「買ってください」とお願いするわけにもいかないのですが、学校・図書館など、多くの人が利用する公共機関に1冊でも多く配架されれば、と願っております。このブログをご覧の方で、学校・図書館などにリクエスト・カードをお出しいただける方がおられれば、歴史資料としての切手の重要性と面白さを広く一般の方にご理解いただくためにも、是非とも、お骨折りいただけると幸いです。

 なお、末筆ながら、<JAPEX>での企画展示にご協力いただいただけでなく、会期終了後も本書制作のための写真撮影や解説原稿の執筆などで多大なご協力をいただきました皆様方には、あらためて、この場を借りてお礼申し上げます。

 *本書の入手方法その他詳細につきましては、(財)日本郵趣協会事務局(Phone:03-5951-3311 FAX:03-5951-3315、e-mail:info@yushu.or.jp)まで、お問い合わせください。

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