内藤陽介 Yosuke NAITO
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 小さな世界のお菓子たち:チョコレートの切手
2015-09-25 Fri 23:18
 ご報告が遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第29号(2015年秋号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      エクアドル・カカオ

  チョコレートの原料となるカカオには、大きく分けて、クリオロ(カカオの原生種)、フォラステロ(南米原産の栽培種)、トリニタリオ(クリオロとフォラステロの交配種)の3系統がありますが、このうち、フォラステロの突然変異で派生したのが、南米エクアドル原産のアリバ種です。

 アリバ種は、酸味が少なく独特の渋み(これを“コク”という人もあります)があり、ジャスミンや桃の花を思わせる香りが特徴で、エクアドル国内で生産される20種以上のカカオの中でも、特に高級品種として知られています。

 アリバ種のみならず、カカオの苗木は非常にデリケートなため、赤道直下の強烈な日差しはカカオの生育に悪影響を与えます。このため、エクアドルのカカオ農家は、直射日光に強いバナナをカカオの傍に植えることで日除けにするのが一般的です。さらに、カカオが収穫までに2-3年かかるのに対して、バナナは9カ月程度で収穫が可能なため、カカオと並行してバナナを栽培すれば、農家にとってはカカオの収穫までの間の現金収入を得られます。このため、エクアドルでは、バナナとカカオは密接な関係にあり、そのことが、アリバ種の独特の芳香にも影響しているのかもしれません。

 エクアドルが発行したカカオの切手と言えば、1930年に発行された建国100周年(1830年にコロンビア共和国から分離独立したことから起算)の記念切手が有名なのですが、2008年に発行の「エクアドルのカカオ」の切手は、その1930年の切手を中心に4種連刷の田型形式で、右上のカカオの花の切手から、反時計回りに、カカオの実、カカオの収穫と乾燥、そして、チョコレートを配したユニークな1点です。

 純粋なカカオの生産量だけでいえば、エクアドルは、コート・ディヴォワールガーナなどのアフリカ諸国に遠く及びませんが、エクアドルの場合は、最終的な製品としてのチョコレートも盛んに生産しており、単純な原料輸出国ではないことが、この切手からもうかがえます。

 ところで、切手をよく見ていただくと、額面の数字の脇に“USD”の文字が見えます。

 じつは、エクアドルでは、2000年1月8日までは自国通貨としてスクレと補助通貨センタヴォ(1スクレ=100センタヴォス)を使っていたのですが、移行期間を経て、同年3月以降、自国通貨を廃止して、法定通貨を米ドルに変更。以来、現在でも、エクアドルでは米ドルが国内の通貨として流通しており、そうした独特の国内事情が切手にも反映されているというわけです。


 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 

 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。

 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細はこちらをご覧いただくか、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。  

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 世界の国々:エクアドル
2015-08-05 Wed 15:30
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年8月5日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はエクアドルの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      エクアドル・オタヴァロ

 これは、2006年に発行のオタヴァロを題材とした切手で、民族服姿の現地の少女が取り上げられています。彼女のたたずまいから、(良い意味で)田舎娘の素朴な雰囲気が滲み出ていて雰囲気です。

 エクアドル北部内陸のオタヴァロは、先住民のオタヴァロ族の居住地です。彼らは古くから高度な織物技術を持っていたため、16世紀以降のスペインによる植民地支配下でも虐殺を免れました。切手にも取り上げられている女性の民族服は、刺繍入りの白いブラウスとダークカラーの長いスカートに布地のカラフルな色のベルトを高い位置で締めるスタイルで、現在でも多くの女性がこの姿で生活しています。また、毎週土曜日には、先住民のマーケットとしては南米最大規模の“インディヘナ・マーケット”が開催され、独自のデザインの織物を求め、多くの観光客が集まってくることでも知られています。

 さて、『世界の切手コレクション』8月5日号の「世界の国々」では、エクアドルとペルーの国境紛争ならびにガラパゴス諸島にフォーカスを当てた2本の長文コラムのほか、現地の医療に功績を残した野口英世、世界最大規模のバナナ産業、首都キトの宗教美術の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の8月12日号では、「世界の国々」はパナマを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


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 ガラパゴス島の郵便
2015-05-26 Tue 11:42
 エクアドルのガラパゴス諸島・最高峰のウォルフ火山で、昨日(25日)、1982年以来の大規模な噴火が発生しました。現時点では、島民や観光客らの被害はなく、溶岩も世界で唯一のピンクイグアナの生息地となっている島北西部とは反対側に流れているとのことで、まずは一安心というところでしょうか。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       ガラパゴス・葉書

 これは、1970年代初頭、ガラパゴス諸島ロレアナ島のポストオフィス・ベイから米国宛に差し出された葉書です。

 ガラパゴス諸島(現在の正式名称はコロン諸島)は、エクアドル本土から約900kmの東太平洋上にあり、500-1000万年前の火山活動によって誕生しました。最大の島は、今回の噴火があったイサベラ島で、北端のダーウィン島と南端のエスパニョラ島の間の距離は220km。この間に123の島々と多数の岩礁があります。

 大陸と陸続きになったことがないため、多くの固有種が見られることでも知られていますが、特に、ゾウガメは有名で、かつては、15種類のゾウガメが諸島内のいたるところに分布したことから、スペイン語で“ゾウガメ”を意味する“ガラパゴ(ス)”という地名の由来となりました。

 先史時代の土器も発見されるなど、島々には人間が住んでいた形跡もありますが、1535年、南米に布教に向かう途中のスペイン人の司教、フレイ・トマス・デ・ベルランガが西洋人として初めてガラパゴス諸島に上陸。これを以て、一般にはガラパゴス諸島の“発見”とされています。

 その後、ガラパゴス諸島は、スペイン船を狙う海賊の拠点や捕鯨基地として、食糧としてヤギが持ち込まれたほか、ゾウガメが捕食されるようになって環境は激変。ゾウガメの数も11種類にまで減少します。なお、1832年、独立まもないエクアドルはガラパゴス諸島の領有を宣言し、ここを流刑地として活用しました。

 また、1853年9月15日、イギリス海軍の測量船ビーグル号がチャタム島(サン・クリストバル島)に到着。艦長の友人として乗船していたチャールズ・ダーウィンが、10月20日までの滞在期間中、ゾウガメの調査を通じて『進化論』の着想を得たことは広く知られています。

 その後、多くの人々が来訪するようになったことで環境破壊も進んだため、1934年、エクアドルは動物保護区として14島を指定し、保護動物の捕獲を禁止。さらに、1959年にはガラパゴス諸島を国立公園に指定して全体的保全を開始するとともに、1964年にサンタ・クルス島に開設されたチャールズ・ダーウィン研究所により、野生生物の保護・調査が行われています。ただし、エクアドルは、厳重な保護体制を採っているものの、環境破壊は進行しており、2007年にはユネスコの危機遺産にも登録されています。

 郵便に関しては、1793年以降、ガラパゴス諸島フロレアナ島のポストオフィス・ベイでは、寄港した船員たちがポスト代わりの樽を海岸に置いて中に手紙を入れておき、立ち寄った別の船は自国宛ての郵便があれば持ち帰って届けることが行われてきました。なお、“ポストオフィス・ベイ”の地名は、この習慣によるものです。

 現在、ポストオフィス・ベイの“樽”は、同島在住のウィットマー家が管理しており、樽に投函された郵便物には、今回ご紹介の葉書に押されているような専用のスタンプ(時代によってデザインなどが異なりますが)が押されたうえ、エクアドル本土の郵便局(この葉書の場合はグアヤキル)に持ち込み、そこから先は通常の郵便ルートで逓送されえるという仕組みになっています。


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 世界亀の日
2015-05-23 Sat 23:07
 今日(23日)は、世界亀の日だそうです。というわけで、きょうは亀切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      ロンサム・ジョージ

 これは、2012年にエクアドルが発行した“ロンサム・ジョージ”の切手です。

 ロンサム・ジョージは、ガラパゴス諸島のピンタ島に生息していたガラパゴスゾウガメの亜種、ピンタゾウガメ(純粋種)の最後の生き残りで、1971年12月1日に発見されました。体重88kg、体長102cm。

 捕獲後、サンタクルス島のチャールズ・ダーウィン研究所で保護飼育され、1993年以降、近い亜種の2頭の雌とのペアリングが試みられましたが、繁殖には成功しませんでした。2012年6月24日、推定年齢は100歳以上で亡くなったことが発表され、これにより、ピンタゾウガメは絶滅したと考えられています。

 今回ご紹介の一手は、ロンサム・ジョージの死後、エクアドル郵政が事実上の追悼切手として発行した1枚で、ありし日のロンサム・ジョージの姿が取り上げられています。


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 南米の野口英世切手
2006-05-04 Thu 23:23
 アフリカを歴訪中の小泉首相が、ガーナで野口英世が使っていた研究室を訪れた際、アフリカの医療に貢献した研究者を対象に“野口英世賞”を創設する意向を表明したと新聞に出ていました。というわけで、野口英世関連の切手ということで、今日はこんな1枚を持ってきました。

野口英世生誕100年記念

 この切手は、1976年にエクアドルが発行した“野口英世生誕100年”の記念切手ですが、大きさが9・5センチ×11・4センチもあり、実質的には小型シートとみなしても良いでしょう。とにかく、野口英世関連の切手の中では、一番インパクトのある1枚ではないかと思います。(画像はクリックで拡大されますが、とにかくデカイです)

 1913年、麻痺性痴呆(通称・脳梅毒)患者の組織内にトリポネーマ・パリドウムを発見して梅毒と麻痺性痴呆の因果関係を証明したことで、一躍、世界的な細菌学者となった野口は、1918年7月、“黄熱病”が猛威を振るっていたエクアドルのグアヤキル市に派遣されます。そして、赴任早々、病原体を“発見”し、ワクチンを製造しました。

 野口の発見したのは、現在では、黄熱病のウィルスではなく、黄熱病とよく似た症状のワイル氏病の原因となる細菌・レプトスピラであったと考えられていますが(ただし、これは、当時の顕微鏡の精度では黄熱病の病原体を発見することができなかったためで、必ずしも野口個人にのみ責任を帰することはできないでしょう)、野口のワクチンにより、エクアドルでは“黄熱病”の患者が激減。このため、彼はエクアドルを救った医学の英雄として、エクアドル名誉軍医外科部長、キト・グアヤキル両大学名誉医学博士号の称号を贈られました。

 しかし、当然のことながら、野口のワクチンは、本来の黄熱病には全く効果がなく、1928年、研究のために滞在していたアフリカのアクラで黄熱病に感染して殉職したのは広く知られている通りです。

 黄熱病の発見という点では業績を残せなかった野口ですが、エクアドルでは、現在もなお野口の功績を称え、キト市内に博士の胸像が建てられているほか、「野口英世通り」という名の通りもあるほどで、そのことが、こうした切手の発行にも繋がったのは間違いありません。

 ところで、僕が読んだ新聞記事には、件の研究室には、母親からの手紙が展示されていたとのことですが、どんな切手が貼られ、どんな消印が押されているんでしょうね。当時の日本からアクラ宛の郵便物なんて、そうそうお目にかかれるものではありませんから、僕としては、手紙の文面よりも、そっちのほうがよっぽど気になります。

 なお、野口の母親からアメリカ滞在中の野口宛の手紙は、教科書にも取り上げられている有名なもので、こちらについては、福島県の野口英世記念館でもレプリカがお土産として売られています。アクラの展示品は、まさか、その“お土産”ではないと思いたいのですが…。

*イベントのご案内
 5月6日(土)、午前11時からと午後2時30分からの2回、東京・目白の切手の博物館3階の<テーマ収集グッド10>会場にて、『一億総切手狂の時代:昭和元禄切手絵巻 1966-1971』の刊行を記念して、ミニ・トークを行います。お題は、本の表紙にもなった万博記念に発行された切手帳。切手帳の製造工程といった通好みの話から、切手帳をめぐる当時の収集家の泣き笑い騒動記まで、盛りだくさんの内容でお届けする予定ですので、皆様のお越しをお待ちしております。(午前・午後のトークは同内容です。また、展示会場への入場料が必要となりますので、あらかじめご了承ください)

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