内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手の帝国:フォークランド
2013-06-18 Tue 18:19
 大修館書店の雑誌『英語教育』2013年7月号が発売になりました。僕の連載「切手の帝国:ブリタニアは世界を駆けめぐる」は、今回はフォークランドを取り上げました。その記事の中から、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       フォークランド・解放カバー

 これは、フォークランド紛争に英国が勝利し、アルゼンチン軍が撤退した後に発行された“LIBERATION ISSUE”の航空書簡の使用例です。
 
 アルゼンチン・パタゴニア沖400kmの南大西洋に浮かぶフォークランド諸島は、1600年以降、英国、フランス、スペインが相次いで入植・撤退を繰り返していました。

 1816年、スペインから独立したアルゼンチンはフォークランド諸島を“マルヴィナス諸島”として領有を宣言。その後、1829年に米軍が上陸しフォークランド諸島の中立を宣言しましたが、最終的に、英国が1833年に再占領して領有を宣言。ただし、アルゼンチンは、その後も領有権を主張し続けています。

 いわゆるフォークランド紛争は、1982年3月19日、アルゼンチン海軍の艦艇が、英領フォークランドの一小島サウス・ジョージア島へ英国に無断で民間人を上陸させたのが発端です。

 英国が不法入国者に強制退去を命じ、原子力潜水艦の派遣を決定すると、4月2日、アルゼンチン正規陸軍は本格的な侵攻作戦を開始し、同日中に首府スタンレーを含む英領フォークランドの全域を制圧しました。

 これに対して、英軍は4月25日にサウス・ジョージア島に逆上陸して本格的な反攻を開始。当初、アルゼンチンは航空攻撃で英軍艦船を撃沈するなど戦況を有利に進めたが、米国やNATOの支援を得た英軍が次第にアルゼンチン側を圧倒していくことになります。そして、6月14日、英陸軍部隊がポート・スタンレーを包囲し、アルゼンチン軍を降伏させたことで、紛争は終結しました。

 ところで、アルゼンチンの占領下のフォークランドでは、英領としての切手は使用が停止され、アルゼンチン側が用意したマルヴィナス諸島名の切手が使用されていましたが、紛争の終結に伴い、アルゼンチン占領下で発行された切手は使用禁止となり、英領フォークランド切手が復活します。

 今回ご紹介の航空書簡は、紛争終結から半年後の1982年12月、ポート・スタンレーからイングランド南西部のデヴォン宛に差し出された航空書簡で、左側には“LIBERATION ISSUE(解放後の発行)”の文言がしっかりと印刷されています。

 また、印面が額面表示の“14ペンス”のみとなっている点にも注目したいところです。紛争以前のフォークランドの航空書簡の印面部分は英領を意味する王冠ないしは女王(のシルエット)を含む切手状のデザインでしたが、おそらく、今回ご紹介の航空書簡に関しては、そうしたデザインを作成する間も惜しんで、“英領”としての印面を一刻も早く復活させたかったということなのでしょう。

 さて、今回の記事では、このほかにもフォークランド紛争により送達不能となったカバーなどもご紹介しつつ、郵便という視点からフォークランド紛争についてまとめてみました。機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 フォークランド諸島で住民投票
2013-03-10 Sun 22:11
 英領フォークランド諸島で、きょう・あす(10・11日)の両日、英国への帰属の是非を問う初の住民投票が行われるそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        フォークランド(1878)

 これは、1878年にフォークランドで発行された最初の切手です。

 南米大陸の南部、アルゼンチンのパタゴニア沖400kmの南大西洋に浮かぶフォークランド諸島は、狭い海峡を挟んだ東フォークランド島と西フォークランド島を中心に、200余の小島から構成されています。

 この地域は、1600年以降、英国、フランス、スペインが相次いで入植・撤退を繰り返すなどしていましたが、1816年に最寄に位置するアルゼンチンがスペインより独立したのを契機に領有を宣言します。その後、1829年に米軍が上陸しフォークランド諸島の中立を宣言しますが、1833年には英国が再占領して領有を宣言します。ちなみに、アルゼンチンはその後もフォークランド諸島(彼らの呼称ではマルビナス諸島)の領有権を主張し続け、そのことが1982年の英国とアルゼンチンの間のフォークランド戦争につながったことは広く知られている通りです。

 フォークランド諸島から域外宛の郵便物としては、1827年1月28日付のモノが最古のデータで、この時期には、ウルグアイのモンテヴィデオ経由でブラジル宛の幸便に託されていました。その後、1852年から1880年にかけては、2か月に1度の定期便が行われるようになります。

 1877年10月、植民地政府の行政官だったアール・カーナヴォンはフォークランドの一般郵便連合(1879年に万国郵便連合に改称)への加盟交渉を開始。ほどなくして、フォークランドは連合への加盟を果たし、域外宛の郵便料金は半オンスごとに6ペンスから4ペンスに引き下げられました。

 首府スタンリーに最初の郵便局が開設されたのは1877年のことで、翌1878年6月19日、フォークランド最初の切手として1ペニー、6ペンス、1シリングの3種の切手が発行されました。今回ご紹介の切手は、そのうちの1ペニー切手です。

 さて、今回の住民投票ですが、現在のフォークランドの住民の大半は英国系で、結果は現状のまま英領にとどまるという結果になりそうです。まぁ、アルゼンチンには申し訳ないのですが、切手という観点だけでいえば、やっぱり英領のままの方がイメージは良いですけどね。


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 4月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、各講座名(青色)をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

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 4月12日、5月10日、6月14日、7月12日、8月30日、9月13日
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 英王子、フォークランドへ派遣
2012-02-04 Sat 22:41
 イギリスのウィリアム王子が、2日、イギリスとアルゼンチンが領有権を巡って対立する南大西洋のフォークランド諸島に空軍のパイロットとして着任。アルゼンチン政府が挑発的な行為だと強く反発しているそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        フォークランド・ウィリアム成婚

 これは、昨年4月のウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の結婚を記念してフォークランドで発行された切手です。英領フォークランドとしては、これまで、ウィリアム皇太子に関しては18歳の誕生日と21歳の誕生日にもそれぞれ記念切手を発行していますが、今回ご紹介のものが王子の肖像切手としては最新のものとなります。

 さて、今回の王子のフォークランド派遣について、イギリス国防省は、「ウェールズ大尉(ウィリアム王子)は純粋に空軍の任務で派遣されるのであって、ケンブリッジ公爵として儀礼的な役割を務めることはない」と説明しています。ただし、今年は、なんといっても、1982年4月2日にフォークランド紛争が勃発してから30周年という年回りですからねぇ。国防省の説明を真に受ける人はいないでしょうな。

 当然のことながら、アルゼンチン外務省は「王位継承者であるウィリアム王子が、国家間の平和と対話のために働く指導者の英知ではなく、征服者の制服をまとってわが国土を踏んだことを、アルゼンチン国民は遺憾に思っている」と強く反発しています。

 もっとも、領有権をめぐってアルゼンチンと対立しているからこそ、イギリスとしては、フォークランド諸島が自国の領土であることを誇示するためにも、フォークランド名義で王室関係の記念切手を発行したり、王子を派遣したりしているわけで、アルゼンチンがどのように反発しようと相手にするはずがありません。一方、アルゼンチン側も、イギリスが自分たちに“配慮”することなど万に一つもあり得ないことを承知の上で、きっちり抗議しているのはいうまでもありません。

 いずれにせよ、ある地域の領有権を主張するのであれば、(主張の是非や妥当性はともかく)あらゆる機会をとらえて、その地域が自国の領土であることを内外にアピールし、相手がそうした主張を展開したらそれに猛然と抗議するのが、国際社会では当然の対応です。

 先日、日本政府が尖閣諸島周辺を含む離島に名称をつける動きを見せたところ、中国共産党機関紙の『人民日報』が尖閣諸島を“核心的利益”と位置づけて批判するという出来事がありました。中国側が“核心的利益”としている地域はチベットや内モンゴルなどですから、わが国の領土である尖閣諸島をこれらの地域と同等とみなすということは、尖閣に対する侵略の意図を明らかにしたと同義ととらえるべきでしょう。本来であれば、大使を召還して中国側に厳重抗議するとともに、尖閣周辺に海上自衛隊を派遣して中国の侵略を絶対に許さないという姿勢を示すくらいのことをやっても当然だと思いますが、どうも、首相は消費税増税のことしか頭になく、防衛相はあの体たらくですからねぇ。

 イギリスとアルゼンチンの応報は、そういう意味では、実にまともな国同士のやり取りであるわけで、『人民日報』に「尖閣は核心的理利益」と書かれてもへらへらしているだけの政府を戴く国民としては、彼らにある種のすがすがしささえ感じてしまうのが、実に情けない限りです。


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 『郵趣』今月の表紙:フォークランドのペンギン
2006-09-28 Thu 01:14
 (財)日本郵趣協会の機関誌『郵趣』10月号ができあがりました。

 『郵趣』では、毎月、表紙に“名品”と評判の高い切手を取り上げていて、僕が簡単な解説文をつけていますが、今月は、この1枚を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

 フォークランドのペンギン

 南米大陸の南部、アルゼンチンのパタゴニア沖400kmの南大西洋に浮かぶフォークランド諸島は、狭い海峡を挟んだ東フォークランド島と西フォークランド島を中心に、200余の小島から構成されています。

 この地域は、1600年以降、イギリス、フランス、スペインが相次いで入植・撤退を繰り返すなどしていましたが、1816年に最寄に位置するアルゼンチンがスペインより独立したのを契機に領有を宣言します。その後、1829年に米軍が上陸しフォークランド諸島の中立を宣言しますが、1833年にはイギリスが再占領して領有を宣言します。ちなみに、アルゼンチンはその後もフォークランド諸島(彼らの呼称ではマルビナス諸島)の領有権を主張し続け、そのことが1982年のイギリスとアルゼンチンの間のフォークランド戦争につながったことは広く知られている通りです。

 さて、英領フォークランドでは、1933年にイギリスによる領有100年を記念して、12種類の切手を発行しました。そのうちの、オウサマペンギンを取り上げた5シリングが、今日ご紹介している切手です。

 オウサマペンギンは、皇帝ペンギンに次いで2番目に大きなペンギンで、フォークランド諸島のみならず、亜南極の島々に広く分布しています。皇帝ペンギンに良く似ているのですが、くちばしなどの突起部分がやや大きく、勾玉色の斑紋の黄色もよりあざやかでオレンジ色に近いのが特徴です。

 G.ロバーツのデザインした切手は牧草地に立つペンギンの姿が見事な凹版印刷で再現されており、英領凹版切手の最高峰の一枚といわれています。ちなみに、1933年の英領フォークランド100年記念切手の最高額1ポンド切手のデザインは国王ジョージ5世の肖像で、その次に高額の10シリング切手のデザインは紋章です。

 さて、今月号の『郵趣』では、郵趣協会60周年のメモリアル記事として、1993年に亡くなった初代理事長・水原明窗さんの思い出を簡単に書いています。『郵趣』編集部から原稿の依頼を受けたのは、“水原学校”の思い出について触れた『満洲切手』のあとがきを書き終わってすぐのことだっただけに、なんだか不思議な縁というものを感じてしまいました。

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