内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 世界の国々:モンゴル
2015-07-08 Wed 10:38
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年7月8日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はモンゴルの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      モンゴル・ロシア切手使用

 これは、1909年、ウルガ(庫倫。現ウランバートル)で使用されたロシア切手です。

 モンゴル族の居住地域は、かつては帝政ロシアと清朝に分割されて支配され、清朝支配下の地域は、ゴビ砂漠をはさんで、それぞれ、南側が“内蒙古”(“蒙疆”とよばれることもある)、北側が“外蒙古”と呼ばれていました。

 1859年の天津条約と翌1860年の北京条約を通じて、清朝はロシアに対して、北京=キャフタ間の郵便開設、両地間へのロシア領事館設置、ロシア商人による郵便網の組織などを認めました。これを受けて、1863年、ウルガに領事館が開設され、キャフタ、庫倫、張家口などを結ぶ私営郵便がスタートしました。その後、この私営郵便は、1870年に帝政ロシアの郵政に接収され、モンゴル内の主要地域に帝政ロシアの郵便網が拡大されていくことになります。今回ご紹介の切手は、そうした背景の下で使用されたモノです。

 これに対して清朝は、烏里雅蘇台の辺左副将軍によりモンゴルを統括し、政府の通信のためには駅逓制度を設けていたものの、一般人の通信に関しては策を講じることはなく、19世紀の間、モンゴル内の郵便については手をつけずにいました。

 しかし、20世紀に入り、おくればせながら、近代化改革を実施。その一環として1906年に官制改革が行われ、モンゴル支配のための機関であった理藩院は理藩部に改組されます。新たに設けられた理藩部は、モンゴルの現地調査を行い、1909年以降、モンゴルを清朝の“植民地”とすべく積極的な地域開発に着手しました。

 これに伴い、1909年5月、清朝は庫倫に郵便局を開設する準備を開始。同年7月、平綏鉄路が張家口まで延長されたのを受け、1910年1月、北京郵務総弁の管轄下に庫倫副総局の開局が公告され、ようやく、清朝の郵便網がモンゴルにも及ぶことになりました。

 しかし、1911年10月、滅満興漢をスローガンとする辛亥革命が起こり、1912年に中華民国が発足すると、新政府は、建前として“五民族(漢族、チベット族、満洲族、モンゴル族、ウイグル族)の“平等”を掲げていたものの、政治の中枢は漢族がほぼ独占するようになり、清朝の時代と比べて、満州族やモンゴル族の地位は大幅に後退しました。このため、モンゴル族はロシアの援助を受けて独立を宣言。これを認めない中国との間で、熾烈な戦いが展開されていくことになるのです。

 さて、『世界の切手コレクション』7月8日号の「世界の国々」では、1990年の民主化までのモンゴル近現代史についての概説のほか、ノモンハン事件、大相撲の旭鷲山、ターラー仏、遊牧民のゲル(パオ)、チンギスハーンの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の7月15日号では、「世界の国々」はチリを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。  

 
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 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展チラシ  全日展チラシ(裏)

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。

 
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 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

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 モンゴル国軍の人材育成支援
2013-03-30 Sat 15:51
 きょう・あす(30・31日)の2日間の日程で、安倍首相がモンゴルを訪問し、エルベグドルジ大統領やアルタンホヤグ首相と会談。埋蔵量で世界有数のタバン・トルゴイ炭田の開発協力や、自衛隊によるモンゴル国軍の人材育成支援などについて話し合われるそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        モンゴル国軍

 これは、1981年にモンゴルで発行されたモンゴル人民軍60周年の記念切手で、当時の兵器を背景にした人民軍の兵士が描かれています。現在のモンゴルの国軍は、1989年の社会主義政権崩壊後、この人民軍を継承した組織です。

 1924年に成立したモンゴルの社会主義政権は、ソ連への併合を免れるため、ソ連の衛星国として徹底した親ソ政策が採用していました。このため、中ソ対立の時代には、ソ連はモンゴルを中国に対する防波堤と位置づけ、モンゴルに対する莫大な軍事支援を行っていました。

 ところが、1991年にソ連が崩壊したことに加え、近年の中露関係の緊張緩和に伴い、ロシアからの軍事支援は激減。この結果、モンゴル軍は急速に弱体化してしまいました。

 具体的には、1970年代に2万8000人だった兵力が約1万人(予備役14万人)にまで縮小されたほか、兵器のメンテナンスができないため、かつてノモンハン事件で日本軍にも大きな打撃を与えるなど、精強で知られた機械化部隊も弱体化。さらに、戦闘機は全機が退役を余儀なくされ、空軍は事実上消滅してしまうというありさまでした。

 現在のモンゴル国軍は海外協力と災害対策を活動の中心としているほか、各国合同の軍事演習やPKO国際演習に際して演習場を提供しています。なお、国境警備隊は国軍とは別組織で、遊牧民の家畜が越境して隣国とのトラブルが発生した時に備えるのが主な任務だそうです。

 さて、モンゴルは中国の北隣に位置していますから、モンゴルの国軍を再興することは、アジアのファシスト国家である中国を封じ込めるうえでも重要な意味を持っており、尖閣侵略など、中国の直接的な脅威にさらされているわが国としても、これを支援するのは当然のことです。また、現在の国軍の中心的な活動となっている海外協力と災害対策は自衛隊の得意分野でもありますから、その意味でも、まさに自衛隊は適任といえましょう。

 おそらく、首相帰国後の報道では、炭田開発の問題に多くの時間とスペースが割かれ、自衛隊による人材育成支援のことは小さな扱いになってしまうのでしょうが、注目していきたいですね。


 ★★★ 内藤陽介、カルチャーセンターに登場 ★★★   

 4月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、各講座名(青色)をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

・よみうりカルチャー荻窪
 4月2日、5月7日、6月4日、7月2日、7月30日、9月3日
 (原則・毎月第1火曜日)13:00~14:30
 予算1日2000円のソウル歴史散歩

・よみうりカルチャー川崎
 4月12日、5月10日、6月14日、7月12日、8月30日、9月13日
 (原則・毎月第2金曜日)13:00~14:30
 切手で歩く世界遺産


 【世界切手展BRASILIANA 2013・出品募集期間延長!】

 今年11月、ブラジル・リオデジャネイロで世界切手展 <BRASILIANA 2013> が開催される予定です。当初、現地事務局への出品申し込みは2月28日〆切(必着)でしたが、〆切日が3月31日まで延長されました。つきましては、2月14日に締め切った国内での出品申し込みを再開します。出品ご希望の方は、3月20日(必着)で、日本コミッショナー(内藤)まで、書類をお送りください。なお、同展の詳細はこちらをご覧ください。


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 切手が語る宇宙開発史(20)
2012-06-21 Thu 04:08
 ご報告が遅くなりましたが、 雑誌『ハッカージャパン』の2012年7月号が出来上がりました。僕が担当している連載「切手が語る宇宙開発史」では、今回は、この切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

        モンゴル・ルナ(1959)

 これは、1959年12月30日にモンゴルが発行した「ルナ3号打ち上げ成功」の記念切手のうち、月とロケットを描く1枚です。

 モンゴル民族の居住地域は、かつては帝政ロシアと清朝に分割されて支配され、ゴビ砂漠をはさんで、南側が内蒙古、北側が外蒙古と呼ばれていました。このうち、外蒙古では1924年の革命で社会主義政権が成立。“モンゴルのスターリン”とも呼ばれた独裁者ホルローギーン・チョイバルサンの下、ソ連への併合を免れるため、ソ連の衛星国として徹底した親ソ政策が採用されます。

 1952年、独裁者チョイバルサンが亡くなり、人民革命党(共産党)第一書記のユミジャージン・ツェデンバルが新首相に就任。翌1953年にスターリンが亡くなり、1956年にフルシチョフによるスターリン批判が開始されると、“宗主国”ソ連の動向はモンゴルにも波及し、モンゴルでもスターリンとチョイバルサンに対する個人崇拝への批判が行われました。その急先鋒は、ツェデンバルの後任の党第一書記で、ツェデンバルとライバル関係にあったダシーン・ダンバです。

 ところで、スターリン批判をきっかけに中ソ対立が発生しますが、当初、モンゴルと共産中国の関係は良好でした。1952年に中国と締結した経済文化協力協定により、累計およそ2億ルーブルの借款や1万7000人にもおよぶ中国人労働力がもたらされ、モンゴル経済に多大な恩恵をもたらしていたからです。

 1957年にソ連がスプートニク1号の打ち上げに成功した際、東欧諸国が“宗主国”ソ連の快挙をたたえる切手を相次いで発行したのに対して、モンゴルが発行しなかったのは、中国と長大な国境を接しているという環境の下で、一方的にソ連に肩入れして中国を刺激したくないという配慮に加え、ツェデンバルとダンバの権力闘争の最中で、そうした微妙な問題を取り上げることを避けたいという意識があったためではないかと思われます。

 しかし、1958年になると状況は微妙に変化しました。

 すなわち、ハンガリーでの反ソ暴動(1956年に発生)鎮圧を受けて、ツェデンバルは人民を“知的な混乱”に追い込んだ責任を追及するとの名目でダンバを追放。さらに、1958-60年、ソ連は中国に対抗すべく、モンゴルの経済3ヵ年計画に2億ルーブルの借款を供与したほか、数多くの合弁企業をモンゴルに委譲しました。また、1959-60年に行った農業支援により、26万ヘクタールが耕地化されてモンゴルの耕地面積は3倍に、小麦の収穫は300%以上に増加しています。

 1959年12月、ソ連の宇宙開発を称える最初のモンゴルの切手として、ルナ3号打ち上げ成功の記念切手が発行されたのは、ツェデンバル政権の安定化に伴い、あらためてソ連への感謝の意を対外的に示す余裕が生じた結果とみいえましょう。

 ちなみに、ツェデンバル政権が自前の憲法として新憲法を採択したのは、切手発行の翌年、1960年7月のことでした。

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 *どちらも書名をクリックすると出版元の特設ページに飛びます。なお、『우표,역사를 부치다(切手、歴史を送る)』につきましては、7月以降、このブログでも刊行のご挨拶を申し上げる予定です。


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 旭天鵬が初優勝
2012-05-20 Sun 22:45
 大相撲夏場所は、モンゴル出身の旭天鵬が史上初となった平幕同士の優勝決定戦で栃煌山を破り、初優勝を果たしました。初土俵から20年、121場所目の初賜杯はいずれも最も遅い記録で、37歳8カ月での優勝は、昭和以降、最年長での初優勝だそうです。というわけで、長年の苦節に耐えての開眼ということで、きょうはモンゴル切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

        ガンダン寺・開眼觀音

 これは、1999年に発行されたガンダン寺の開眼観音(メグゼド・ジャンライシグ観音)の切手です。

 ガンダン寺の名で知られるガンダン・テクチェンリン僧院は、チベット・モンゴル仏教の総本山として1838年に第5代活仏のボグド・ジェブツンダンバによってウランバートルの高台に建立されました。

 ガンダン寺の開眼観音は、もともと、ボグド・ハーンとして知られる第8代活仏が1914年に盲目となった際、その治癒を祈って建立されました。当時の像は、約20トンの銅、45キロの金、56キロの銀、500個の宝石が使われ、高さ28メートル。世界最大の仏像とたたえられ、内部にはおびただしい数の経典が収められていました。

 ところで、ボグド・ハーンは、1911年の辛亥革命を機にモンゴルが清朝から独立宣言した際、モンゴル諸侯に推戴されてモンゴルの皇帝(ハーン)として即位したことに伴う尊称で、それ以前の彼は“聖人様”を意味するボグド・ゲゲーンの称号で呼ばれていました。

 しかし、モンゴルの独立を認めない中華民国は、1919年、モンゴルに侵攻。ボグド・ハーンを退位させ、私邸に軟禁します。これに対して、1921年、ソ連赤軍の支援を受けたモンゴル人民党(後にモンゴル人民革命党)のダムディン・スフバートルによる独立闘争の結果、モンゴルが再独立すると、ボグド・ハーンは推戴されて皇帝に復位。ただし、再独立後の政府の実権はスフバートルらが掌握しており、ボグド・ハーンの権限は以前に比べて制限されました。

 1924年4月、ボグド・ハーンが亡くなると、コミンテルンの指導を受けたモンゴル人民革命党は、同党による一党独裁の社会主義国を宣言。同年11月26日、ソ連の衛星国としてのモンゴル人民共和国が誕生し、活仏の転生も否定されてしまいました。これに対して、1939年、チベット政府は、1932年生まれのジャンペルナムドゥル・チューキゲンツェンを第9代活仏として認定。モンゴルの社会主義政権はこれを頑なに否定していましたが、社会主義政権崩壊後の1990年、当時のオチルバト大統領からの照会に対し、チベット亡命政府のダライ・ラマ14世が改めてジェプツンダンパ9世として認定し、モンゴルの活仏は復活しました。

 さて、社会主義政権下では仏教寺院の大弾圧が進められましたが、それはガンダン寺も例外ではなく、1937-38年にかけて観音堂などが破壊され、観音像も1938年10月、ソ連赤軍第17連隊によって倒され、レニングラードに持ち去られ、その後、行方不明となりました。なお、ガンダン寺の宗教活動は、1944年に再開を許されたものの、社会主義政権の崩壊まで、厳しい管理下に置かれることになります。

 切手に取り上げられた観音像は、社会主義政権崩壊後の1990年に再建が企画され、1996年に完成したもので、エルデネト鉱山で採掘された銅に金メッキを施した仕様で、モンゴル独立の象徴とされています。

 なお、今回ご紹介の切手に取り上げられた開眼観音を含むモンゴルの仏像については、拙著『切手が伝える仏像』でもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 内モンゴルに戒厳令か
2011-05-29 Sun 23:52
 中国・内モンゴル自治区では、今月中旬、炭鉱開発に反対していたモンゴル族遊牧民2人の事故死をきっかけに反政府抗議行動が拡大していましたが、きょう(29日)までに、同自治区の一部で戒厳令が敷かれた模様です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        蒙古連合委員会・絵葉書

 これは、1938年9月、日本占領下の内モンゴル・張家口(カルガン)から差しだされた日本宛ての葉書で、裏面にはさらに半分の切手が貼られています。

 モンゴル族の居住地域は、ながらく、かつては帝政ロシアと清朝に分割されて支配され、清朝支配下の地域は、ゴビ砂漠をはさんで、それぞれ、南側が“内蒙古”(“蒙疆”とよばれることもある)、北側が“外蒙古”と呼ばれていました。

 1911年11月、滅満興漢をスローガンとする辛亥革命が起こり、清朝が亡んで中華民国が発足すると、モンゴル族には新たな中国中央政府に対して忠誠を誓う大義名分がなくなります。新政府は、建前として“五民族(漢族、チベット族、満洲族、モンゴル族、ウイグル族)の平等”を掲げていましたが、孫文であれ袁世凱であれ、政治の中枢は漢族の出身者がほぼ独占しており、清朝の時代のように、満州族やモンゴル族が優越的な地位を占めることはもはやありえません。このため、彼らはロシアの援助を受けて独立を宣言しました。

 しかし、“清朝の継承者”を名乗る中華民国政府は、1912年4月23日、内務部に蒙蔵事務処(同年7月、蒙蔵事務局に改組)を設置し、おなじく清朝の滅亡と同時に“中国”からの離脱を宣言したチベットとともに、モンゴルはあくまでも自国の領土であるとする姿勢を強調。革命後の混乱の中で、1913年にはモンゴルの自治を認めたものの、その宗主権だけは絶対に手放そうとはしませんでした。

 その後、1921年になって、外蒙古の地域はモンゴル国として独立を達成しました(ただし、すぐにソ連によって衛星国化されますが)が、内蒙古の地域は中国に留め置かれ、モンゴルは民族分断の憂き目に遭います。

 こうした状況の中で、内蒙古の察哈爾部の王族の一人であった徳王は、内蒙古・外蒙古・ソ連領ブリヤート(北蒙)を統一し、大モンゴルを再興する「汎蒙古主義」を掲げ、1934年、百霊廟蒙政会を組織し、中国政府に対して高度な自治権を要求します。しかし、蒋介石率いる国民政府はさまざまな口実を設けて、これを阻害しました。

 このため、徳王らは、中国に対抗するために、満洲国の事実上の支配者であった関東軍に注目し、日本の影響力を背景に中華民国からの独立を企図。もちろん、華北への支配を拡大したかった関東軍にとって、内蒙古の実力者である徳王が、中国からの独立を唱えてみずから接触してきてくれたのは、非常に好都合でした。かくして、1936年2月、関東軍の支援の下、徳王を首席とする蒙古軍政府をします。

 その後、1937年7月に盧溝橋事件が起こると、同年8月27日、東条英機を長とする察哈爾派遣兵団は、まず張家口を占領。9月4日、ここに“察南自治政府”を樹立しました。

 さらに、関東軍は中央の制止を振り切り、山西省内にも兵を進め、9月13日に大同を占領。10月14日には綏遠を、同17日には包頭を、それぞれ占領し、10月15日には大同に“晋北自治政府”を、同28日には包頭に“蒙古連盟自治政府”を樹立。これら3政権(蒙彊政権と総称される)を管轄する機関として、張家口に蒙彊連合委員会を設置し、この地域を支配するシステムを確立しました。

 蒙彊地域では、他の日本軍占領地域と同様、中国切手が使用されましたが、郵便物に押される消印に関しては、日本式の櫛形印が用いられています。

 今回ご紹介の葉書はその一例です。消印の形式は日本式の櫛型印ですが、年号は西暦ではなく(もちろん、昭和年号でもなく)、中華民国暦(1912を元年とすし、月日は西暦と同じ)が用いられています。

 なお、この絵葉書は、蒙彊連合委員会と蒙古連盟自治政府の連名により制作・発行されたものですが、発行の正確な時期などは調べきれていません。題材として取り上げられているのは現地のお祭で、蒙彊政権としては、民族独自の行事を絵葉書として内外に宣伝することによって自らの存在をアピールする意図があったのでしょう。

 さて、今回問題となった内蒙古自治区では、近年、石炭採掘など自治区の資源をあさる漢族への感情的な反発に加え、炭坑開発による大気や水質汚染の深刻化に遊牧民が反発。業者や政府に対応を求めていました。このため、事故で亡くなった2人に関しては、中国側による事故に見せかけた謀殺ではないかとの噂が流れていたようです。

 このため、住民らは今月23日ごろから、死亡原因の究明やモンゴル族の人権尊重などを求めてデモを開始。当局が24日に事故を起こした運転手らの拘束を発表した後も抗議行動は激化。25日にはシリンホト市で、モンゴル族の学生らを中心に数千人が政府庁舎を取り囲むなどする騒ぎが発生したほか、27日には同市郊外で、遊牧民や学生らと治安部隊が衝突し、40人以上が拘束されました。

 チベットウイグルと比べて、内モンゴルのことが日本のメディアで話題になることは少ないのですが、日本ともゆかりのある地域でもありますし、中国の抱える重大な民族問題の一つとして、今後の動向に注目したいところです。


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 白鵬敗れる
2010-11-15 Mon 21:22
 大相撲では、横綱・白鵬が敗れ、連勝記録が63でストップしました。というわけで、きょうはモンゴル切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

         モンゴル・ミントクワ

 これは、1993年のバンコク国際切手展に際してモンゴルが発行した切手で、阿閦如来像が取り上げられています。

 密教では、大日如来の説く真理や悟りの境地を、視覚的に表現するものとして、胎蔵(界)曼荼羅と金剛界曼荼羅の両界曼荼羅がつくられますが、金剛界曼荼羅では、全体を九区画に区切り、中央に大日如来を、その周囲に東・南・西・北の順に阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就の各如来を配する構成となっています。このうち、阿閦如来は、サンスクリットでは“揺るぎない”を意味するアクショービヤと呼ばれ、悟りの境地が堅固であることを示しています。

 切手に取り上げられた仏像は、17世紀の活仏で仏像彫刻の天才であったザナバザルの作品で、モンゴルの仏像史上でも最高の名品の一つに数えられています。

 さて、かつて双葉山は連勝記録が途絶えた時に、荘子(達生篇)に収められている故事を引用して「未だ木鶏たりえず」と安岡正篤に打電したといわれていますが、白鵬ほどの人物であっても、すさまじいプレッシャーの中で動じずにいるというのは難しかったということでしょうか。もっとも、モンゴル人である白鵬にしてみれば、ものに動じないもののたとえとしては、木鶏というよりも、ザナバザルの阿閦如来像という方がしっくりくるのかもしれませんがね。

 ちなみに、かつて千代の富士は53連勝の際に「半木鶏だね」と自慢したら、翌日負けて連勝をストップさせたのだとか。どうあがいても木鶏たりえない凡人の僕としては、なんとなく、千代の富士の言動に親しみを感じてしまいますな。

 なお、ザナバザルとその作品については、拙著『切手が伝える仏像』でもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 サヨナラ朝青龍
2010-02-05 Fri 09:58
 きのう(4日)の横綱・朝青龍の引退表明は、ある程度予想されていたとはいえ、やはりビックリしました。というわけで、モンゴル仏像ネタの中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      モンゴル・釈迦如来

 これは、1988年にモンゴルが発行した釈迦如来像で、切手上部のキリル文字は、モンゴル語で“釈迦如来”を意味するボルハン・バクシとなっています。モンゴルで発行された釈迦如来像の切手は、今回ご紹介のもののほか、黄色い衣のものもあるのですが、今回は朝青龍にちなんで青い衣のものです。数あるモンゴルの仏像切手の中でも僕のお気に入りの一枚で、拙著『切手が伝える仏像』では、扉にこの切手を大きく引き伸ばして載せました。

 さて、像の印相(手の形)は右手指を下に向け地面に触れている降魔印(触地印)の形をとっています。これは悟りを得る前の釈迦がガヤー村(現ブッダガヤー)の菩提樹の下で瞑想にふけっていた際、それを妨害する魔物を調伏した様子を表現したものです。

 原始仏教で重要視されていたのは、各人が己の煩悩を滅却して悟りの境地に達することですから、釈迦による魔物の調伏というのも、実際に彼が妖怪の類と戦ったということではなく、煩悩と格闘し、それを克服したさまを比喩的に表現したものと理解するのが自然でしょう。

 相撲のアスリートとしては超一流だった朝青龍ですが、私生活では煩悩まみれで、いろいろとトラブルを起こし、今回のような事態になったのはなんとも残念な話です。もっとも、力士にとっては“土がつく”のはマイナスですからねぇ。釈迦のように地面にふれることで魔物を追い払うということを求めるわけにもいかないのかもしれませんな。


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 モンゴルの無量寿如来
2010-01-23 Sat 20:30
 大相撲初場所は、モンゴル出身の横綱・朝青龍が千秋楽を待たずに2場所ぶりの優勝を決めました。これで、朝青龍の優勝回数は、北の湖を抜き、大鵬の32回、千代の富士の31回に次いで歴代3位の25回目の優勝だそうです。というわけで、恒例の(?)モンゴル仏像ネタの中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      モンゴル・長寿仏

 これは、1988年にモンゴルが発行した無量寿如来像の切手です。

 無量寿如来は、チベット密教では阿弥陀如来の化身とされるもので、阿弥陀如来の語源と同じアミターユス(無限の寿命を持つ者)と呼ばれ、衆生を救済することになっています。像としては、定印を結び、長寿不死をシンボル化した甘露瓶をその手に乗せた姿が一般的です。

 密教では、大日如来の説く真理や悟りの境地を、視覚的に表現するものとして、胎蔵(界)曼荼羅と金剛界曼荼羅の両界曼荼羅がつくられますが、このうち胎蔵曼荼羅では、8枚の花弁をもつ蓮の花の中央に大日如来を配し、周囲に宝幢・開敷華王・無量寿・天鼓雷音の各如来を配する構成をとっており、無量寿如来も重要な位置を占めていることが分かります。

 それはそうと、昨年、『切手が伝える仏像:意匠と歴史』を刊行して以来、大相撲でモンゴル人力士が優勝するたびにモンゴルの仏像切手を紹介しているのですが、そろそろネタ切れが近くなってきました。いいかげん、日本人力士にも意地を見せてもらわないと、ちょっと困るなぁ。


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 モンゴルの薬師如来
2009-11-29 Sun 21:24
 大相撲九州場所は、モンゴル出身の横綱・白鵬が春場所以来の全勝優勝を飾って幕を閉じました。というわけで、今日はモンゴルネタの中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

 モンゴル・薬師如来

 これは、1993年にバンコクで開催された国際切手展に際してモンゴルが発行した仏像切手の1枚で、薬師如来像が取り上げられています。

 薬師如来は東方浄瑠璃浄土の教主で、もともとは薬師瑠璃光如来(サンスクリットのバイシャジャ・グル・ブアイドーリャ・プラバの意訳)といいました。如来になる以前、菩薩として修業していた時代に、あらゆる病気や障害を除くことなど12の誓願を立て、それらを成就したことで仏となったとされているため、病気平癒を願って多く像が作られました。今回ご紹介の切手に見られるように、薬壺を左手に持っているのが特徴とされていますが、日本では、法隆寺や薬師寺、唐招提寺の薬師如来像のように、古い時代の仏像では薬壷を持たないものも少なからずあります。

 それにしても、ここのところ大相撲の優勝はずっとモンゴル勢が続いていますねぇ。そのたびに、拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』の宣伝を兼ねて、同書の中からモンゴルの仏像切手を持ってきているのですが、この調子だとそう遠からずネタ切れになりそうです。そうならないためにも、来年は日本人力士の活躍に期待したいものですな。
 

 ★★★ 出版記念パーティーのご案内 ★★★

 『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』の刊行を記念して、ルーマニア民主革命20周年の記念日にあたる12月22日、下記のとおり出版記念パーティーを開催いたします。当日は、僕のトークのほか、日本におけるジプシー・バイオリンの第一人者、古館由佳子さんによる生演奏もお楽しみいただけますので、ぜひ、遊びに来てください。

 ・日時 2009年12月22日 18:30~

 ・会場 レストラン・ルーマニア(本格的ルーマニア料理のレストランです)
     *東京都中野区本町1-32-24(東京メトロおよび都営地下鉄中野坂上駅1分)
      tel: 03-5334-5341 地図などはこちらをご覧ください。

 ・会費 7000円(『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』1冊つき)
     *当日会場にてお支払いをお願いいたします。

 ・参加ご希望の方は、12月18日までにキュリオマガジン編集部まで、電子メール(info@fujimint.com)にてお申し込みください。たくさんの方々のお越しを心よりお待ちしております。
 

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 朝青龍のお気に入り
2009-09-28 Mon 11:44
 大相撲秋場所は、朝青龍が白鵬とのモンゴル人同士の優勝決定戦を制し、4場所ぶり24度目の優勝を飾って幕を閉じました。というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ターラー菩薩(ガンドン寺)

 これは、1988年にモンゴルが発行した多羅菩薩(ターラー)像の切手です。

 ターラーはもともとインドの古代宗教タントラ教の女神でしたが、のちに仏教にとりいれられました。チベット密教では、観音菩薩が衆生の悲しみを取り払えないのに悲嘆し、こぼした涙から生まれたがゆえに、サンスクリットで瞳を意味するターラーの名がついたとされています。右の涙から生まれた白ターラー(長寿の菩薩)、左の涙から生まれた緑ターラー(願望成就の菩薩)の2種類がありますが、今回ご紹介の切手に取り上げられているのは緑ターラーです。

 切手の像は、モンゴルの初代活仏・ジェブツンダンパ・ホトクトで、モンゴル仏教美術の大成者としても知られるザナバザルの最高傑作とされているもので、かつて、朝青龍は、モンゴルの仏教徒としてこの像が一番好きだと話したことがあります。

 なお、ザナバザルの他の作品をとりあげた切手については、拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

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