内藤陽介 Yosuke NAITO
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 温暖化の恩恵
2008-11-26 Wed 10:51
 世界最大の島でデンマーク領のグリーンランドで、25日、自治拡大の是非を問う住民投票がありました。周辺海域に眠るとされる地下天然資源の管理権の移譲などが含まれ、賛成票が上回る公算が大きいのだそうです。というわけで、今日はこの切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 グリーンランド小包切手

 これは、1905年5月1日に発行されたグリーンランドの小包切手です。

 16世紀にデンマーク領となったグリーンランドでは、 1774年以降、王立グリーンランド貿易会社(KGH: Den Kongelige Grønlandske Handel)がグリーンランド島内および本国との間の通信を独占的に扱っていました。当時のデンマーク=グリーンランド便は、気候の厳しい遠隔地ゆえ、年に1便しか往復できませんでした。

 その後、1875年には蒸気船が就航したこともあり、1888年からはデンマーク=グリーンランド便は年に2往復に増便。さらに、1900年以降は、年に3-5往復、1930年以降は2-11往復、1939年以降は9-17往復へと増便されていきます。

 こうした状況の中で、KGHはデンマーク=グリーンランド便の小包の増加に対応して、料金を徴収するための“切手”の発行を計画します。これに対して、デンマーク本国は、KGHによる一般的な切手の発行を認めず、かわりに、コペンハーゲン=グリーンランド間ならびにグリーンランド内の小包料金を徴収するためだけの切手の発行のみを承認。このため、1905年5月1日、今回ご紹介しているような小包切手が発行され、7月14日から使用されました。ちなみに、当時の料金は5キロにつき10オーレです。

 切手のデザインは白熊を描くグリーンランドの紋章で、デンマーク人のゲルハルト・ハイルマンが原画を作成しました。こうしたKGHによる小包切手は、1938年にグリーンランド独自の切手が発行されるようになるまで使われています。

 さて、今回の住民投票でグリーンランドの自治権が拡大すれば、地下資源の収入の面でグリーンランド自治政府(1979年発足)の権限も拡大され、将来の油田開発によって独自の財源を確保することも可能になります。ちなみに、油田開発によって見込まれる石油収入のうち、7500万クローネ(約12億4000万円)まではグリーンランドが確保でき、超える部分はデンマークと折半することになるのだとか。自治政府の予算の半額を補助金として支出しているデンマークの中央政府としても、外交や通貨は手放さずに、警察や司法を自治政府に移管して補助金を削減できれば、メデタシメデタシというわけです。

 ちなみに、グリーンランドの自治権拡大の背景には、地球温暖化によって本土や周辺海域を覆う氷が溶け、資源開発が容易になる可能性が高まってきたことも背景にあるのだとか。白熊クンたちには気の毒かもしれませんが、日頃、諸悪の根源のように言われている“温暖化”にもこんなメリットがあったんですねぇ。

 
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