内藤陽介 Yosuke NAITO
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 太陽節
2017-04-15 Sat 10:29
 きょう(15日)は、1912年4月15日に金日成が生まれたことにちなんで、北朝鮮では“太陽節”の祝日です。特に今年は、朝鮮半島情勢が緊迫の度合いを強める中で、北朝鮮が何らかの対外的なアクションを起こすのではないかとの観測もあり、“太陽節”という単語が一般のメディアでも使われているほどですので、ストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・太陽節

 これは、1998年に北朝鮮が発行した“太陽節”の記念切手です。この時発行された記念切手は8種セットで、いずれも、太陽をイメージした円形の金日成切手(年代ごとの異なる肖像が入っています)を中央に配し、シートの余白には切手の肖像の年代に対応した写真などを入れたスタイルになっています。今回ご紹介の切手は、その最後にあたるもので、晩年の金日成の肖像と“永世”をイメージした花園が組み合わされています。

 さて、(北朝鮮国家によると)”民族最大の祝日”としての太陽節は、金日成の没後3周年にあたる1997年7月8日、朝鮮労働党中央委員会、同中央軍事委員会、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会、同中央人民委員会、同政務院の連名による決定書「偉大なる首領・金日成同志の革命生涯と不滅の業績を末永く輝かせるために」により、彼の生まれた1912年を元年とする“主体年号”の使用とともに決定されました。

 金日成はソ連占領下の北朝鮮で権力を掌握し、早くも、1946年には肖像入りの切手も発行されていますが、彼の誕生日が国家的規模で祝われるようになったのは、ソ連派・延安派の粛清を通じて彼が独裁的権力を掌握した1960年代以降のことで、切手としては、1962年に発行された“金日成元帥誕生50周年”の記念切手が最初の事例となります。

 その後、しばらく金日成誕生日の切手は発行されませんでしたが、1968年、突如、彼の誕生日に際して彼の肖像を描く切手と彼の幼年時代を題材とする切手が発行されます。これは、中国の文化大革命での金日成批判に反応した北朝鮮当局が、対抗措置として金日成の神格化を進めたことの一環として行われたものと推測されます。以後、1977年まで、原則として毎年4月15日には“金日成”に関する記念切手が発行されるようになりましたが、これらの記念切手は、いずれも、実質的には彼の誕生日を記念する切手であるものの、形式的には“金日成誕生日”ではなく、一応、別の題目が付けられました。ちなみに、金日成の誕生日が“全民族最大の祝日”として正式に決定されるのは、1974年のことでした。

 1978年から1981年までは、北朝鮮は金日成の誕生日に金日成関連の切手を発行していません。この時期は、党大会の開催が1980年10月までずれ込むなど、北朝鮮の経済不振は深刻さを増しており、金日成誕生日の記念行事も規模が縮小されていたため、それに伴い、記念切手の発行も見送られていたのでしょう。

 しかし、1980年の党大会で金日成の後継者としての地位を確保した金正日が、1982年の金日成古希記念事業を積極的に推進するようになると、1982年に金日成古希の記念切手が発行されます。そして、1984年以降、毎年4月15日には“金日成誕生日”の記念切手が発行されるようになりました。

 ちなみに、1960年代末から1970年代にかけて金日成の誕生日に発行されていた切手の場合、金日成の生涯やその事跡が題材として取り上げられる場合が多かったのですが、1980年代以降の誕生日記念切手は、万景台の彼の生家や発行当時の彼の肖像を取り上げたものが主流となっています。これは、前者が、純粋に金日成個人崇拝を強化する目的で発行されていたのに対して、後者は、金日成神格化の余徳により金正日の権威を強化することに力点が置かれていたことによるものでしょう。

 なお、1994年7月、金日成は亡くなりますが、彼の死後もその誕生日には記念切手が発行されつづけ、1997年7月、「太陽節」が制定されたことで、今回ご紹介の切手を皮切りに、1998年以降は“太陽節”の記念切手が毎年発行されています。

 ちなみに、金日成と北朝鮮国家の成立事情については、先日、重版出来となったばかりの拙著『朝鮮戦争』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 金正男、殺害される
2017-02-15 Wed 12:44
 北朝鮮の故金正日総書記の長男で、現在の最高権力者・金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏(以下、敬称略)、おととい(13日)、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害されていたことが明らかになりました。謹んでご冥福をお祈りします。というわけで、金正男がらみでこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・強勢大国の偉大な転換の年

 これは、1999年8月17日に北朝鮮が発行した「強勢大国建設の偉大な転換の年 主体88(1999)年」と題するプロパガンダ切手で、中央下部にコンピューターを操作する人物が描かれています。北朝鮮においてコンピューターを描く切手が発行されたのはこれが最初ではありませんが、“強勢大国”と結び付けた切手はこれが最初です。

 さて、金正男は、1971年、金正日と女優・成蕙琳の下に平壌で生まれました。スイス・ジュネーヴのインターナショナルスクールなどでの留学を経て、1988年、17歳でコンピュータ委員会委員長に就任し、1990年には、コンピュータ技術、IT技術のための国営の研究・開発機関(表の研究開発と並行して、監視、盗聴、ハッキングなど広範囲などの秘密活動も行う)である“朝鮮コンピューターセンター”の創設に関わったとされています。

 また、朝鮮人民軍内部では、1986年に米軍暗号解読のために100人規模の“サイバー軍(の原型)”が創設されていましたが、コンピューターセンター創設翌年の1991年、彼らが暗号解読と情報分析から湾岸戦争での米軍の攻撃開始の正確な時刻を的中させたことで、金正日はサイバー戦の重要性を認識。1996年には朝鮮労働党作戦部所属のコンピューター専門部隊が設立されました。金正男はコンピューター委員長として、これら一連の流れに深くかかわっています

 一方、切手に記されている“強勢大国”という語は、1998年8月22日付の『労働新聞』(朝鮮労働党の機関誌)に登場したもので、その内容としては、思想強国、政治強国、軍事強国、経済強国が挙げられています。この直後の同年8月31日、テポドン1号が打ち上げられ、“人工衛星”とコンピューターは“強勢大国”を象徴する科学技術の二本柱となりました。

 かつて金正日は、映画・演劇を通じたプロパガンダ工作で実績を上げ、金日成の信頼を得て後継者としての立場を固めて行きましたが、その過程で、金正日の肖像切手が発行されるずっと前から、北朝鮮では映画の切手を発行するようになっています。したがって、金正日と映画の関係に倣い、金正男の実績としてのコンピューターを切手に取り上げることで、金正日から金正男への権力継承が動き始めたことを表現していたとみることができます。

 なお、金正男は、2001年5月1日、金正男はドミニカ共和国の偽造パスポートを使用して、“胖熊”との偽名で入国を図ったところを、拘束・収容され(4日に事実上の超法規的措置で強勢強制)、以後、金正日の後継候補から脱落したとされています。

 ただし、この時点では、異母弟の金正哲(1981年9月生まれ)は19歳、金正恩(1984年1月生まれ)は17歳ですので、ただちに金正男が失脚したというわけでもなさそうです。その証拠に、事件から1年後の2002年5月2日には、「科学技術は強勢大国建設の推進力である」と題したプロパガンダ切手(下の画像)が発行されています。

      北朝鮮・科学技術は強勢大国建設の推進力である

 この切手では、1999年の切手に比べて、パソコンを操作する人物の姿がはるかに大きくなっており、“強勢大国”におけるコンピューターの重要性が、以前よりも高まっているとの北朝鮮の認識が表現されています。この時点で、金正男は依然としてコンピューター委員長の地位にとどまっていますから、まさに、切手のタイトルにある“強勢大国建設の推進力”(の一人)だったわけで、あえて事件から1年というタイミングでそうした切手が発行された背景には、そうした金正男の立場を擁護する(少なくとも、金王朝の有力者としての立場を完全に失っていたわけではなかったことを示す)意図がうかがえます。

 じっさい、2005年の時点でも、韓国の国家情報院は、金正男が国家保衛部を通じて保安及び防諜活動を行い、平壌の朝鮮コンピューターセンターを通じて北朝鮮内の海外通信を統制し、海外情報収集及びモニタリング活動をしており、韓国へのサイバー攻撃の黒幕は金正男と推定されるとの報告を上げています。

 なお、金正恩が金日成の後継者としての立場を固めたのは2007年頃のことで、2009年に行われたサイバー・テロは、金正恩指揮下の海外情報タスクフォースが主導したとされています。

 いずれにせよ、今回の事件により、金正男はその肖像が切手に取り上げられることのないまま亡くなったわけですが、一部の切手からは、彼の痕跡がほの見えるのが興味深いところです。


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 元祖テレサ・テン切手
2015-04-16 Thu 13:14
 台湾で、きのう(15日)、アジアの歌姫、テレサ・テンの没後20年を記念して記念切手が発行され、日本のメディアなどでも大々的に取り上げられるニュースとなりましたが、テレサ・テンの切手と言えば、僕などが思い出すのは、やはり、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

        北朝鮮・テレサ・テン

 これは、1996年に北朝鮮が発行したテレサ・テンの追悼切手です。彼女を取り上げた切手としては、たしか、世界初もしくはそれに準ずるモノだったと思います。

 テレサ・テン(漢字表記は鄧麗君。本名:鄧麗筠)は、1953年、国民政府支配下の台湾省雲林県に生まれ(ただし、本籍地は父親の出身地である大陸の河北省大名県)、14歳のときに台湾で歌手デビューしました。1974年には日本でもデビューし、同年に発表した「空港」により各種新人賞を受賞するなど、日本の芸能界にも地歩を築きましたが、1979年、いわゆる“偽造パスポート事件”により日本での活動停止を余儀なくされます。

 1972年の中華人民共和国との国交樹立(いわゆる日中国交正常化)とそれに伴う台湾との断交により、台湾のパスポートで日本に入国し、経済活動(芸能活動を含む)を行うには、非常に煩雑な手続きが必要とされるようになりました。このため、台湾の有力者の中には、各種のコネを利用してインドネシアで正規のパスポートを取得し、それを利用して日本国内への出入国を行う人が少なからずありました。彼女の場合も、これに倣い、“エリー・テン”名義でインドネシア政府が正規に発行したパスポートで入国しようとしたものの、これが偽名であるとして、旅券法違反で国外退去処分となりました。したがって、“偽造パスポート事件”というのは、実態と異なり、あえて言うなら“偽名パスポート事件”というのが正確かと思われます。

 事件後、彼女は1年間の国外退去処分となり渡米。この間、中国本土で「何日君再来」の大ヒットし、「昼を支配する鄧(小平)に対して夜を支配する鄧(麗君)」とも呼ばれ、アメリカ、香港、東南アジア諸国などでのコンサートを通じて全世界の中国系市民の象徴的存在となりました。

 事件から1年後の1980年、台湾政府への協力を条件に帰国を許された彼女は、中華民国軍の広告塔として活動し、“愛國藝人”として台湾での歌手活動も再開。1984年以降は、日本での活動も再開し、「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲を出しましたが、1989年6月の(第二次)天安門事件以降、抗議の意をこめて歌手活動から遠ざかり、1995年5月8日、休養先のタイ・チェンマイで亡くなりました。

 上述のように、生前、彼女は台湾・国民党政府とも深いつながりがあり、一説にはある種の工作員であったともいわれているが、その詳細は明らかになっていません。

 今回ご紹介の切手は、没後1周年にあたる1996年に北朝鮮が発行したもので、その主目的が、彼女の人気に便乗した輸出商品として、外貨を稼ぐことにあったことはいうまでもありません。ただし、北朝鮮の場合、外貨獲得の手段としての切手発行であっても、かの国の体制やイデオロギーと抵触するようなものは絶対に発行されませんので、題材の選定に際しては、なんらかの形で政治的な背景が隠されているのが一般的です。

 テレサ・テンの切手の場合、まず考えられる事情としては、金日成の死後、改革開放路線への転換(北朝鮮の公式見解では、自分達は米国などにより経済封鎖を受けているのであって、みずからが閉鎖政策をとっているわけではないから、“開放路線への転換”ということはありえないとうことになっています)強く迫る中国への反発ということが挙げられます。

 加えて、1996年という年は、台湾電力公司が北朝鮮政府との間で低レベル放射性廃棄物の管理についての交渉を進めていた時期にあたっています。この時の交渉では、北朝鮮北部の廃坑を貯蔵施設として、200リットルのドラム缶1本につき約13万円で管理をし、今後2年間に6万本を受け入れることで合意が成立し、さらに、最終的には20万本のドラム缶の受け入れもオプションとして検討されていたことが伝えられています。国際的な相場からすれば、北朝鮮による処理費用は破格の安値でしたが、外貨不足に悩む北朝鮮としては、キャッシュで定期的にまとまった資金が入ってくるビジネスとしての旨味がありました。

 また、台湾から受け取った核廃棄物をそのまま核兵器に転用することが事実上不可能であるにしても、北朝鮮の貯蔵技術の未熟さを逆手にとって、周辺の韓国や中国、日本などの不安を煽ることで費用の一部を“援助”させるというシナリオも十分に考えられます。

 もちろん、北朝鮮とて、建前では中国との関係に配慮して台湾と露骨に接近することはできないわけですが、こうした形で、周辺諸国に揺さぶりをかけ、国益を追求するということはアリなわけで、そうした背景があるからこそ、北朝鮮は他国に先駆け、1996年にテレサ・テンの追悼切手を発行したと考えると、話がスッキリするように思います。

 なお、今回の台湾でのテレサ・テン切手ですが、彼女の命日の5月8日ではなく、4月15日の発行となった理由はなんだったんでしょうかねぇ。北朝鮮の太陽節(金日成の誕生日)に合致してしまったのは単なる偶然でしょうが、是は是で、何か事情がありそうで興味をそそられますな。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・4月25日(土) 11:00-12:00 スタンプショウ
 於 東京都立産業貿易センター台東館(浅草) 特設会場
 出版記念のトークを行います。入場は完全に無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。スタンプショウについての詳細はこちらをご覧ください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 柿の日
2014-10-26 Sun 21:02
 きょう(26日)は“柿の日”です。というわけで、現時点での僕の最新作である『朝鮮戦争』にも絡めて、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      先軍領導開始48周年

 これは、2008年8月25日に北朝鮮で発行された“先軍領導開始48周年”の小型シートで、たわわに実をつけた柿の木の下で女性兵士に囲まれる金正日を描くプロパガンダ絵画が取り上げられています。

 北朝鮮では、毎年8月25日を“先軍両道開始日”としていますが、これは、1960年8月25日、金正日が金日成とともに近衛ソウル柳京洙第105戦車師団を視察したことにちなむものです。

 北朝鮮側の説明によると、同師団は、朝鮮戦争の開戦後、6月28日にソウル占領の先鋒を務め、西大門刑務所を解放したほか、中央政庁の最も高い位置に北朝鮮国旗を掲げた部隊だそうです。ちなみに、現在では、韓国の主要都市や道路などを設定して仮想南侵訓練を繰り返している戦車部隊で、首都・平壌の防衛任務も果たす精鋭部隊でもあります。

 ちなみに、金正日の伝記情報によれば、彼が南山高級中学校(現・平壌第1高等中学校)を卒業して金日成総合大学経済学部政治経済学科に入学したのは1960年9月1日のことです。また、彼が朝鮮労働党に入党したのは大学在学中の1961年7月22日のことです。したがって、北朝鮮側の主張によれば、“先軍政治”を掲げた金正日は、朝鮮労働党はおろか、大学にも入学していなかった時期に、はやくも“先軍領導”を開始していたということになります。すごいですねぇ。(棒読み)

 さて、切手に取り上げられている絵画は、かつて金正日がある部隊を視察した際、「ことしの柿の木が実る頃にもう一度、視察に来る」と約束し、その約束通り、柿の木の季節に部隊を再訪したため、女性兵士が彼を喜んで迎えたというエピソードを表現したものです。この“ある部隊”の具体名については調べきれなかったのですが、北朝鮮における柿の産地として知られているのは、日本海に面した江原道安辺郡で、じっさい、この絵画でも背景には海が描かれています。したがって、この絵画で彼が訪れた部隊は、安辺郡の南隣に位置する淮陽郡にある第一軍団の部隊ではないかと思われます。

 なお、安辺郡東南部の旗対峰(標高1056m)の傍らにある標高702mの“旗対嶺”は、2006年7月に行われた北朝鮮のミサイル発射実験でノドンミサイルの打ち上げ基地が置かれていた場所で、北朝鮮情勢に関する文脈で単に“旗対嶺”といった場合、鞍部そのものではなく、周辺一帯のミサイル発射基地群を指すのが一般的です。まぁ、そういう重要拠点であればこそ、金正日としても、柿があろうがなかろうが、短期間のうちに安辺郡を再訪したというのが実情だったのかもしれませんな。


 ★★★ トークイベントのご案内 ★★★

 ・11月1日(土) 14:30- 全国切手展<JAPEX>
 東京・浜松町で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『朝鮮戦争』のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。


 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 インターネット放送・チャンネルくららにて、10月8日より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月7日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 “偉大なる首領”没後20年
2014-07-08 Tue 22:47
 朝鮮民主主義人民共和国という名の下に、事実上の金王朝を樹立した金日成が、1994年7月8日に亡くなってから、今日でちょうど20年です。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      万寿台・金日成銅像

 これは、1996年7月8日、金日成の没後2周年に合わせて北朝鮮が発行した「偉大なる首領・金日成同志は永遠に我々とともにある」の切手のうち、金日成が亡くなった直後に万寿台の金日成銅像前に集まって追悼の意を示す北朝鮮の人民の写真が取り上げられています。

 現在、北朝鮮国内にはおびただしい数の金日成の銅像が存在していますが、その最初の一体は、1948年に平壌近郊の万景台革命遺子女学院(現在の万景台革命学院)に建てられたものといわれています。その後、金日成の独裁体制が強化されていくにつれ、彼の銅像は、順次、各道、直轄市人民委員会所在地や規模の大きな市、軍の所在地等に建てられ、1955年8月7日には、彼の抗日活動の最大の事績とされる普天堡戦闘の現場にも建立されました。

 今回ご紹介の小型シートに取り上げられているのは、1972年4月15日、金日成の還暦記念事業の一環として、“金正日の指導”により、平壌の中心部・万寿台にある朝鮮革命博物館の前に建てられたもので、金日成の銅像としては最も有名なものと言ってよいと思います。銅像は高さ約25メートルという巨大なもので、金日成個人崇拝の強化とならんで、この“金正日の指導”の体制が確立したことを内外に示すために建立されました。

 平壌で最も高い丘である万寿台の上に建てられていることもあり、この銅像は、(物理的にも)偉大なる首領が平壌市内を睥睨する格好になっています。今回ご紹介の小型シートでは、また銅像の周囲に集まって哀悼の意を表する人々の様子が描かれており、この銅像を含む彫刻群像の全体像がうかがえるようになっていますが、これを見ると、あらためて、銅像の巨大さが実感できますな。

 ちなみに、現在、万寿台の朝鮮革命博物館前には、金日成像と並んで金正日の巨大な銅像が建立されており、金正恩体制下の2012年にはその両者を取り上げた小型シートも発行されています。こちらについては、いずれ機会があれば、このブログでもご紹介したいと思います。

 さて、以前のブログでも少し書きましたが、現在、、朝鮮戦争を題材とした本を今夏に刊行すべく、準備を進めています。すでに、本文の原稿はできあがっており、現在、粛々と編集作業を進めているところで、ひょっとすると、8月の全日展の前にも見本ができあがってくるかもしれません。正式なタイトルや刊行日などが決まりましたら、随時、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いいたします。


 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

 ★★★ 『外国切手に描かれた日本』 電子書籍で復活! ★★★

      1枚の切手には 思いがけない 真実とドラマがある

    外国切手に描かれた日本(表紙)     外国切手に描かれた日本(ポップ) 
    光文社新書 本体720円~

 アマゾン紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月20日から配信が開始されました。よろしくお願いします。(右側の画像は「WEB本の雑誌」で作っていただいた本書のポップです)


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 北朝鮮が3度目の核実験
2013-02-12 Tue 22:45
 北朝鮮が、きょう(12日)、3回目の核実験を行いました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        北朝鮮・反核2010

 これは、2010年に北朝鮮が発行したプロパガンダ切手の1枚で、中朝両国が団結して核武装した“米帝”に対抗しようとの趣旨の宣伝画が取り上げられています。

 今回の核実験に関して、北朝鮮外務省の報道官は、「今回の核実験は我々が最大限の自制をもってとった最初の対応にすぎない」とした上で、「もし米国が敵視を続け、状況を複雑にするようであれば、より強力な第二、第三の対応を連続的に取らざるを得ない」との声明を発表。自分たちの核実験は、あくまでも米国の敵視政策に対する自衛の行動であるとの姿勢を強調しています。今回ご紹介の切手は2005年に北朝鮮自身が公式に核兵器保有宣言をした後に発行されたものですから、米国の核は悪い核、自分たちの核は良い核というロジックは一貫しているわけですな。

 一方、中国外務省は、今回の北朝鮮の核実験に対して、「北朝鮮は国際社会の反対を顧みず、再び核実験を実施した。中国政府は断固とした反対を表明する」「非核化の約束を守り、再び事態を悪化させるような行動を取らないよう強く促す」との声明を発表するとともに、楊潔チ(チは竹かんむりに褫のつくり)外相が北朝鮮の池在竜中国大使を外務省に呼び、核実験について厳重に抗議したそうです。北朝鮮が先月、核実験実施の意欲を表明して以来、中国は公式の場で北朝鮮を含む各国に繰り返し慎重な対応を求めていただけに、メンツを完全につぶされた格好ですな。

 もっとも、中国は現在なお北朝鮮に対する“ヤミ支援”を継続し、北朝鮮を自らの拠点として温存しようとしているわけですし、米国も、将来的に中朝関係が悪化すれば、北朝鮮の核は中国の喉元を牽制する有効な手段となりうるという観点から、北朝鮮が核保有国であるという現実を事実上追認しているのが実情です。したがって、今回の核実験に関しても、当面は国際世論は北朝鮮を非難するでしょうが、いつの間にか有耶無耶になってしまうといういつものパターンではないかという懸念がぬぐえません。

 かつての中ソ対立の時代には、北朝鮮は対立する両大国との“等距離外交”を展開することでしたたかに生き残ってきました。あらゆる意味で金日成時代への回帰を志向している(ように僕には見える)現指導部としては、その応用として、今度は、米中双方の対立する思惑を最大限に活用しようと考えるのが自然な発想なわけで、そのためにも、核兵器がその最大の切り札となっているのはいうまでもありません。

 いずれにせよ、イラクのサダム・フセインやリビアのカダフィの政権が崩壊する一方で、核武装を果たした北朝鮮やパキスタンが核保有を理由に体制崩壊に追い込まれたわけではないという現実の前には、「核兵器を持たない独裁国家が欧米と対立した場合にその存続が危うくなるのに対して、いちど核兵器を持ってしまえば欧米といえどもそれを排除できない。それゆえ、政権安定のためには何が何でも核武装をすべきである」というテーゼは、ますます、真実味を持って語られることになるでしょう。

 核兵器のない世界という理想論は、理念としては御立派なものなのでしょうが、どうやら、現実の世界はそれとは逆の方向に向かいつつあるのではないかと僕は思っています。そうであるなら、わが国も、現実に核武装するか否かはともかく、その気になれば(少なくとも技術的には)すぐにでも核武装が可能であることを内外に示しておく必要があるはずです。その点からも、中国や北朝鮮の核兵器に対してはほとんど批判をしないまま、沖縄へのオスプレイ配備反対を唱え、“反原発”のお祭り騒ぎに興じている人たちに対しては、どうにも胡散臭さを感じずにはいられませんな。


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 北朝鮮ミサイル発射失敗
2012-04-13 Fri 09:26
 韓国国防省などによると、けさ(13日)午前7時39分ごろ、北朝鮮が平安北道・東倉里の“西海衛星発射場”から長距離弾道ミサイルとみられる機体を発射したものの、結果的に打ち上げ失敗に終わりました。というわけで、きょうはこの切手です。

        銀河2

 これは、2009年7月27日、同年4月5日の“銀河2号の打ち上げ成功”を記念して北朝鮮が発行した切手で、発射基地となった咸鏡北道・舞水端里から日本の上空を飛ぶロケットの軌道を背景に、機体が描かれています。朝鮮半島の地図が“赤化統一”されており、その中にはしっかりと“竹島”も含まれています。また、北朝鮮側の主張する“打ち上げ成功”を誇示するためにも、発射当日の写真がシートの余白に入れられており、それゆえ、発射当日の発行ではなく、3ヶ月以上経過した7月27日の発行となりました。ちなみに、7月27日というのは1953年に朝鮮戦争の休戦協定が調印された日ですが、北朝鮮側では、この日は“祖国解放戦争(朝鮮戦争の北朝鮮側の呼称)勝利記念日”としており、政治的な意図を込めた発行日の選択であることは間違いありません。

 事実関係を簡単にまとめておくと、銀河2号は、わが国では“テポドン2号”改良型といわれているもので、咸鏡北道・舞水端里から発射されました。このときのロケットは日本海で第1段目を切り離し、さらに太平洋上で第2段目の切り離しにも成功したものの、第3段目で不具合が発生し衛星の軌道投入には失敗したと見られています。ただし、当然のことながら、北朝鮮は衛星打ち上げに成功したと主張し、その結果として今回ご紹介の切手を発行したわけですが…。

 さて、今回の“銀河3号”の打ち上げについては、先月、北朝鮮は今月12日から16日の間に「人工衛星を打ち上げる」と予告。事実上のミサイル発射実験だとして強く中止を求める国際社会の声を無視して、各国のメディアを発射場に呼ぶなどしていました。

 北朝鮮にしてみれば、昨年のカダフィ政権崩壊の教訓として、今後、核武装に踏み切る国が増えることが予想される中で、ミサイル(技術)は北朝鮮にとって重要な輸出産業となりうるものですから、世界に向けて打ち上げ成功を大々的にアピールすることは、そのプロモーションとして非常に重要といえます。「国民が飢えているのにミサイルとは…」という正論に対して、国民が飢えているからこそ、外貨獲得を獲得し経済を立て直すにはミサイル開発が必要というのが、彼らの本音でしょう。また、前回の銀河2号が第2段目までのロケット切り離しに成功し、少なくとも3100キロまで飛んだことが確認されていることから(ちなみに、弾頭部は4000キロ以上離れた太平洋上に落下したと見られています)、今回の打ち上げがそれ上回るのは確実という自信もあったんでしょう。

 ところが、伝えられているところによると、銀河3号は打ち上げから1分ほどでバラバラになり、打ち上げは失敗に終わった模様とのことで、懸念されていたわが国へのミサイル破片の落下もありませんでした。打ち上げ失敗の場面がリアルタイムで世界に配信されたわけではないにしろ、北朝鮮当局としては赤っ恥をかくことになったわけで、打ち上げ担当者は、いまごろ、さぞかし首筋が寒いことだろうと思います。当然のことながら、彼らのミサイルビジネスにとってもダメージは必至ですし、核兵器はあっても飛ばせないということがわかれば、アメリカもこれまでのような甘い顔はしなくなるでしょう。まぁ、これまでのかの国だったら、屁理屈をつけて“打ち上げ成功”と主張するのでしょうが、さすがに今回ばかりはそういうわけにもいかず、公式に失敗を認めましたからねぇ。記念切手も出せないでしょう。

 やはり、「ミサイル輸出で一攫千金を狙うのではなく、国内を民主化して、地道に国民の生活を改善しなさいよ」という天の声が、ロケットが天に届くのを阻止したのだといえそうですな。

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 金正日の遺体安置場
2011-12-28 Wed 23:06
 今月17日に亡くなった北朝鮮の“将軍様”こと金正日の告別式が、きょう(28日)、行われました。告別式は午前10時から行われる予定でしたが、実際には午後2時から始まり、平壌の錦繍山記念宮殿での開始宣言、儀仗隊の閲兵、遺体を運ぶ行列の平壌市内行進を経て、金正日の遺体は錦繍山記念宮殿に戻り、“首領様”こと金日成主席の遺体と共に安置されました。金正日の遺体も金日成同様、ミイラ化されて、永久に保存されるそうです。というわけで、きょうは錦繍山記念宮殿の切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        錦繍山記念宮殿

 これは、金日成の没後2周年にあたる1996年7月8日に北朝鮮が発行した“偉大なる首領・金日成同志は永遠に我々とともにある”の切手の1種で、錦繍山記念宮殿が大きく描かれています。

 錦繍山記念宮殿は、もともとは金日成が生活と公務を行っていた官邸で1976年に完成。当初の名称は“錦繍山議事堂”ですが、実態を反映として主席宮殿と呼ばれていました。なお、北朝鮮の国会に相当するとされる最高人民会議の議場は、万寿台議事堂という別の建物です。

 金日成の死後、彼の遺体がレーニンや毛沢東に倣って永久保存されることになったのを受け、その保管・公開場所として改築され、金日成没後1周年の1995年7月8日に記念宮殿として開館しました。ただし、一般の北朝鮮国民への公開は、翌1996年8月からだったといわれています。

 記念宮殿の3階に安置されている金日成の遺体の維持・管理は、レーニン廟の実績からロシアの機関に依頼されて、年間の維持費は年6000万円かかるそうです。ちなみに、今回、金正日の“ミイラ”を制作するための処理費用には8000万円といわれています。ということは、2012年には、最大、ミイラを作る費用8000万円+年間管理費6000万円×2=2億円がかかるということになるのでしょうか。まぁ、金王朝の個人資産からすればはした金なのでしょうが、経済的に破綻した北朝鮮国家としては、決して安い金額とはいえませんな。

 ちなみに、かつてのレーニン廟にはレーニンと並んでスターリンの遺体も安置されていましたが、いわゆるスターリン批判に伴い、スターリンの遺体は1961年に撤去され、赤の広場に埋葬されています。北朝鮮の場合は、現体制が崩壊すれば、金正日のみならず金日成の遺体もまとめて撤去されることになるのでしょうが、はたして、いつになったらそういう日が来るんでしょうかねぇ。


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 北の国のクリスマス
2011-12-24 Sat 17:07
 きょうはクリスマス・イヴです。というわけで、クリスマスがらみでこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        北朝鮮年賀(2011)

 これは、昨年、北朝鮮で発行された2011年(彼らの暦でいう主体100年)用の年賀はがきです。葉書の下部には朝鮮語で「新年をお祝いします」との文言が印刷されていますが、クリスマス・ツリーだとか雪だるまのサンタ帽などのデザインを見ると、ほとんど、クリスマスカードといってよさそうです。

 現在の北朝鮮では、建前としては信仰の自由が存在することになっていますが、実際には、金日成が唯一絶対の“神”ともいうべき地位を獲得しており、キリスト教を含む全ての宗教は、金日成や金正日の権威を侵すものとして、徹底的に弾圧されているのが実情です。

 しかしながら、日本統治時代の朝鮮半島北部においてはキリスト教は一定の信者を獲得していました。実際、金日成の母親(正日の祖母で、正恩の曾祖母)の康盤石は、朝鮮平安南道大同郡でキリスト教長老会牧師の康敦の二女で、自身もクリスチャンでした。ちなみに、彼女の名前は、岩ないしは石を意味する“ペテロ”にちなんで命名されたそうです。また、金日成の回想録には、幼少時に母親に連れられてキリスト教会に通ったとの記述もあります。

 ところが、後に共産主義者としてソ連・ハバロフスク近郊のヴャツコエで軍事訓練を受け、第二次大戦後、ソ連から帰国した金日成は、ソ連に忠実な共産主義者として宗教勢力を弾圧。このため、朝鮮半島北部のクリスチャンの多くが北朝鮮の体制を忌避して米軍政下の南朝鮮に逃れ、結果的に、韓国におけるクリスチャンの社会的影響力(総人口の4人に1人がクリスチャンだそうです)を高めることになりました。韓国の初期の年賀切手には、朝鮮半島の伝統文化や干支と並んでキリスト教的なデザインのモノが発行されることもありましたが、こうした韓国の宗教事情を反映したものと考えてよいでしょう。

 ちなみに、12月24日というのは、クリスマス・イヴであると同時に、金正日の聖母である金貞淑の誕生日でもあるため、金正日時代には、金正日みずからが特権層を集めて大宴会を開催していたそうです。もっとも、宴会の会場にはクリスマス・ツリーなども飾られていたとの証言もあり、金貞淑誕生祭の名目でクリスマス・パーティーをやっていたということなのかもしれませんが…。

 いずれにせよ、今回ご紹介の葉書は朝鮮の伝統的な民族衣装でクリスマスを楽しむ子供たちを描いていますが、北朝鮮の大多数の国民がクリスマスとは無縁の悲惨な生活を強いられていることは紛れもない事実です。いつの日か、独裁体制が打倒され、北朝鮮の人々が自由と豊かさを手にすることができるよう祈らずにはいられません。


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 高祖父と玄孫
2010-09-28 Tue 20:58
 北朝鮮の金正日・労働党総書記が、きのう(27日)、三男のジョンウン(漢字表記だと正銀か?)らに人民軍大将の称号を与える命令を下しました。北朝鮮の公式報道に金正銀の名が登場したのは初めてで、彼が金正日の後継者になることが事実上確定しました。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

         金輔鉉

 これは、2001年に北朝鮮が発行した金輔鉉生誕130年の記念切手(小型シート)です。

 今回、金正日の後継者となることが確定した金正銀にとって、建国の父である“首領様”こと金日成(本名:金成柱)は祖父にあたりますが、その金日成の祖父が金輔鉉です。したがって、金正銀と金輔鉉の関係は、曾祖父と曾孫よりさらに一代離れた高祖父と玄孫ということになります。

 さて、金輔鉉は、1871年、朝鮮平安南道大同郡で、小作農の金膺禹の長男として生まれました。生家は非常に貧しく、父親は生活は1860年代に平壌在住の大地主・李平澤の家の墓守になり、墓所近くの高台の一軒家を借りて生活していました。ちなみに、当時の朝鮮では墓守は賤業とみなされていました。

 父親は輔鉉が7歳のときに亡くなったため、彼は父の後を継いで墓守を兼ねた小作人として生計を立てることになり、李寶益と結婚して、長男の亨稷(金日成の父)、二男の金亨禄、三男の金亨権などの3男3女をもうけています。ちなみに、北朝鮮の公式見解では、輔鉉は“小作農として生まれ、数々の苦心の中で生きながら、子や孫たちに愛国心を教えその活動を熱烈に支援した人物”ということになっていますが、妻の李寶益は、金日成が抗日闘争の名目で強盗放火殺人事件(北朝鮮側の表現でいう普天堡戦闘)を起こした際には、日成の弟にあたる孫の英柱とともに、日成に日満側への投降を呼びかけていますから、どちらかといえば、孫の行状には批判的だったのではないかと思います。

 大戦後のソ連軍占領下で、ソ連に逃れていた彼の孫“抗日の英雄・金日成”将軍として平壌に姿を現しますが、朝鮮語が下手くそだったことにくわえ、“伝説の抗日英雄”にしては年齢があまりにも若すぎる(当時“金日成”は33歳)だったことで、人々の間に偽者説が広がります。このため、あわてたソ連占領当局は、1945年10月15日に金日成を万景台に住んでいた実家に訪問させ、抗日として戦っていた戦歴の口裏を合わす工作を行ったことが明らかになっています。

 ところが、祖父の輔鉉は誠実な人であったため欺瞞に耐えられず、後日、平壌で行われた金日成将軍の凱旋祝賀会には欠席。孫が北朝鮮国家を建設し、親族を要職に登用したことに対しても批判的で、みずからは生涯、万景台で農夫として生活し、1955年9月に亡くなりました。

 金輔鉉はこういう人物でしたから、存命であれば、自分の孫だけでなく、その孫までもが権力を世襲する金王朝のあり方には、草葉の陰から苦々しく思っていることでしょうし、そもそも、自分の切手が発行されることさえ喜ばなかったに違いありません。金王朝の当主である曾孫や、その後継者となるであろう玄孫の枕元に立って、3代にわたって人民の膏血を絞りとって蓄えた財産を返還し、一介の農夫兼墓守に戻れと説教してほしいものです。

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