内藤陽介 Yosuke NAITO
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 フレンチ・インディア
2018-03-11 Sun 15:24
 インドを訪問中のエマニュエル・マクロン仏大統領は、きのう(10日)、インド洋での中国の野心に備えるべく、両国が互いの戦艦に海軍基地を開放する2国間協定に署名しました。というわけで、“フランスとインド”にちなんで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      仏領インド・自由フランス加刷

 これは、第二次大戦中の1941年、仏領インドで発行された“自由フランス”加刷の切手です。

 1673年のシャンデルナゴル植民地の創設以降、フランスはインドにも進出していましたが、1757年、ヨーロッパで7年戦争が始まると、インドでも英仏の戦闘が再開。フランス側は、一時は英領マドラスを占領するなどの健闘を見せたものの、最終的には本拠地のポンディシェリを英国に奪われ、1763年のパリ条約でインド植民地の大半を喪失します。しかし、南インドのポンディシェリとシャンデルナゴルなどに非軍事的な拠点を占有することは認められ、これらの地域は、1954年に独立インドに返還されるまで“仏領インド”としてフランスの支配下に置かれていました。

 フランス領インドでは、1914年以降、ブラフマーの像を描く通常切手が長きにわたって使われており、途中、改色や通貨制度改革による額面変更、さらには第二次大戦中にドゴールの自由フランス陣営として発行した“FRANCE LIBRE”加刷などがあって興味深い収集対象だと思います。

 切手に描かれたブラフマーは、もともとはバラモン教の最高神ですが、仏教へは仏法の守護神である“梵天”として取り込まれました。その結果、バラモン教の最高神という地位のゆえに、梵天以下のさまざまなインド古来の神も仏教に含まれることになります。また、釈迦が悟りを開いた時、釈迦はその境地を他人に説明することは不可能と考えていましたが、その悟りを人々に語るように説得したのは梵天とされています。

 一方、バラモン教とそこから発展したヒンドゥー教では、ブラフマーはシヴァ、ヴィシュヌとならぶ3最高神の1人で、世界の創造と次の破壊の後の再創造を担当するとされています。像としては、4つの顔と4本の腕を持ち、水鳥ハンサに乗った男性の姿で表現されるのが一般的です。その妻は、仏教では弁財天として知られるサラスヴァティーで、彼女との間に生まれたのが人類の始祖とされるマヌです。

 なお、拙著『切手が伝える仏像』では、“天部諸尊“という章を設けて、インド古来の神々の切手と、それが仏教に取り入れられた後の姿を描く切手を並べて比較しています。ルーツが同じでも、時代や地域によって、その姿が大きく異なっているのを見るのはなかなか面白いと思いますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 
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 父の日
2009-06-21 Sun 22:30
 きょうは父の日です。5月の母の日には新刊の拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』のなかから、釈迦の母親・麻耶夫人の切手を取り上げましたので、“男女平等”に同書からの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

 ブラフマー

 これは、フランス領インドで1914年に発行された2サンチームの切手で、ヒンドゥーの最高神ブラフマーが描かれています。

 1757年、ヨーロッパで7年戦争が始まると、インドでも英仏の戦闘が再開されました。フランス側は、一時は英領マドラスを占領するなどの健闘を見せたものの、最終的には本拠地のポンディシェリをイギリスに奪われ、1763年のパリ条約でインド植民地を大半を喪失します。しかし、南インドのポンディシェリとシャンデルナゴルなどに非軍事的な拠点を占有することは認められ、これらの地域は、1954年に独立インドに返還されるまで“仏領インド”としてフランスの支配下に置かれていました。

 フランス領インドでは、1914年以降、ブラフマーの像を描く通常切手が長きにわたって使われており、途中、改色や通貨制度改革による額面変更、さらには第二次大戦中にドゴールの自由フランス陣営として発行した“FRANCE LIBRE”加刷などがあって収集対象としてはなかなか面白いかもしれません。

 さて、切手に描かれたブラフマーは、もともとはバラモン教の最高神ですが、仏教は仏法の守護神である“梵天”として取り込まれました。その結果、バラモン教の最高神という地位のゆえに、梵天以下のさまざまなインド古来の神も仏教に含まれることになります。また、釈迦が悟りを開いた時、釈迦はその境地を他人に説明することは不可能と考えていましたが、その悟りを人々に語るように説得したのは梵天です。

 一方、バラモン教とそこから発展したヒンドゥー教では、ブラフマーはシヴァ、ヴィシュヌとならぶ3最高神の1人で、世界の創造と次の破壊の後の再創造を担当するとされています。像としては、4つの顔と4本の腕を持ち、水鳥ハンサに乗った男性の姿であらわされます。その妻は、仏教では弁財天として知られるサラスヴァティーで、彼女との間に生まれたのが人類の始祖とされるマヌです。したがって、ヒンドゥーの世界観によれば、ブラフマーは“人類の父”ということになりましょうか。

 なお、拙著『切手が伝える仏像』では、“天部諸尊“という章を設けて、インド古来の神々の切手と、それが仏教に取り入れられた後の姿を描く切手を並べて比較しています。ルーツが同じでも、時代や地域によって、その姿が大きく異なっているのを見るのはなかなか面白いと思いますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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