内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きちんと学ぼう!ユダヤと世界史(新番組)
2015-04-02 Thu 12:39
 インターネット放送・チャンネルくららにて、きのう(1日)から、内藤がレギュラー出演する新番組「きちんと学ぼう!ユダヤと世界史:ユダヤ陰謀論を叱る」がスタートしました。というわけで、きょうは、新番組スタートのご挨拶を兼ねて、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます。昨日配信分はこちらをクリックしてご覧ください)

        セルビア・反メイソン博覧会

 これは、1942年1月1日、セルビアで発行された“反フリーメイソン博覧会”の記念切手の1種で、“ユダヤと結託したフリーメイソン”を打倒するとして、民族服姿のセルビア人がダヴィデの星を踏みつけながら、フリーメイソンを象徴する柱を打ち破っている絵が描かれています。ちなみに、“反フリーメイソン博覧会”は1941年10月22日から開催されたイベントで、切手の寄附金は反フリーメイソン宣伝の資金として使われました。

 さて、ユダヤ人が世界征服を企んでいるとする“ユダヤ陰謀論”のルーツは、1903年、『シオン賢者の議定書』が世に出たことで人口に膾炙することになりました。その後、同書は帝政ロシアの秘密警察が、皇帝に対する民衆の不満をそらすために作った偽書で、内容についても全く根拠のない捏造であることが確認されています。しかし、『シオン賢者の議定書』は偽書であるという事実を突き付けられたヒトラーが「偽書かも知れないが、内容は本当だ」と擁護し、反ユダヤ主義を撤回することがなかったのと同様に、いったん定着してしまった”ユダヤの陰謀”のイメージを払拭するのはなかなか容易ではないようです。

 一方、フリーメイソンは、ロータリークラブなどのモデルになったともいわれる友愛団体で、組織としては特定の宗教を奉じるわけではなく、宗教や国家の枠を超え、商業や文化のネットワークを介して、理性や自由博愛の思想を掲げて交流する互助組織だったわけですが、近代以前の世界では、そうした主義主張や活動は“危険思想”とみなされており、実際に生命の危険もあったため、秘密結社の形態をとらざるを得なかったという側面があります。なお、フリーメイソンは、会員資格として何らかの信仰を持っていることを要求しており、その結果として、ユダヤ教徒の会員もいるでしょうが、上述のように、ユダヤ(教)の組織ということはありえません。

 ただし、秘密結社であったことに加え、メンバーの中にフランス革命時に革命派が少なからずいたこと、さらに、社会的な地位の高い人たちの集まり(=体制を変革する能力があると見られる人たち)であったことなどから、フリーメイソンに否定的な人たちは“体制転覆をたくらむ陰謀組織”というイメージで彼らのことを語り、それが、一般にもある程度浸透してしまったというのが実情です。

 このように、ユダヤ陰謀論とフリーメイソン陰謀論は、もともとは全く別のモノでしたが、いつしか“陰謀”というくくりで関連性のあるものとして語られるようになり、ユダヤ人迫害政策を推進したヒトラー政権も、フリーメイソンをユダヤの関連団体とみなして弾圧しました。第二次大戦中、枢軸陣営の一角としてナチス・ドイツと同盟関係にあったセルビアも、ナチスのフリーメイソン=ユダヤ説に同調し、今回ご紹介したような切手を発行してしまったというわけです。

 さて、今回スタートした新番組「きちんと学ぼう!ユダヤと世界史」は、“ユダヤ陰謀論を叱る”との副題がついているように、何でもかんでもユダヤの陰謀と言いたがる人たちに対して、ユダヤ人ないしはユダヤ教徒の歴史をきちんとおさらいすることで、世界史に対する理解と教養を深めようというのが目的です。巨大なテーマゆえ、いささか、僕の手には余るような気がしますし、いろいろと至らぬ点も多いかもしれませんが、いわゆる“放射脳”や安易な“在日認定”などが蔓延する中、安易な陰謀論がどれだけ社会にとってダメージを与えるのかということを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

 なお、配信は毎週水曜日の18:00を予定しておりますので、来週以降もご贔屓のほど、よろしくお願いいたします。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・4月4日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『日の本切手 美女かるた』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ・4月25日(土) 11:00-12:00 スタンプショウ
 於 東京都立産業貿易センター台東館(浅草) 特設会場
 出版記念のトークを行います。入場は完全に無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。スタンプショウについての詳細はこちらをご覧ください。

 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は4月7日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 3月25日発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 ユーゴスラビア消滅10年
2013-02-04 Mon 15:38
 2003年2月4日に旧ユーゴスラビアが緩やかな国家連合としてのセルヴィア・モンテネグロに改組され、“ユーゴスラヴィア”が地上から消滅して、今日でちょうど10年です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        セルビア・モンテネグロ最初の切手

 これは、2003年に発行された“セルビア・モンテネグロ(セルビア語でSrbija i Crna Gora)”表示の最初の切手です。

 第二次大戦後、ティトーが建国したユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、ティトーの存命中は彼のカリスマ性と強権支配により国家としての統一が維持されていましたが、1980年にティトーが亡くなると各地から不満が噴出した。まずは、コソヴォで独立を求める運動が起こります。

 1989年の東欧革命により、ユーゴスラビアでも共産党の一党独裁体制が崩壊し、1990年には自由選挙が実施されました。その結果、連邦を構成していた各共和国にはいずれも民族色の強い政権が誕生。 1991年6月にはスロベニアとクロアチアが連邦からの独立を宣言。セルビアが主導する連邦軍とスロベニアとの間に10日間戦争、クロアチアとの間にクロアチア紛争が勃発し、ユーゴスラビア紛争が始まりました。

 さらに、1992年3月、ボスニア・ヘルツェゴビナが独立を宣言すると、独立に反対するセルビア人と独立賛成派のクロアチア人・ボシュニャク人(ムスリム人)の対立が軍事衝突に発展。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が起こります。ボスニア・ヘルツェゴビナにはセルビア人とクロアチア人も相当数居住していたため、セルビア、クロアチア両国が介入し、ボスニア紛争は泥沼化しました。こうした状況の下、1992年4月28日、連邦に留まっていたセルビアとモンテネグロは、人民民主主義・社会主義を放棄した“ユーゴスラビア連邦共和国(新ユーゴ)”の設立を宣言しています。

 クロアチア紛争とボスニア紛争は1995年に終結しましたが、1998年にはアルバニア人が多く住んでいるコソボ自治州で独立強硬派のコソボ解放軍(KLA)とセルビア治安部隊との間に武力衝突が発生。これにユーゴ連邦軍が介入し、コソボ紛争が本格化します。紛争は、1999年5月にG8外相間で合意された和平案をもとに、同年6月10日、国連安保理決議1244が採択されて終結。セルビア人部隊は撤退し、コソボは国連コソヴォ暫定行政ミッション(UNMIK)の統治下、すなわち、“独立国ではない”ものの“特定国家の実効支配下にない”という微妙な立場におかれることになりました。

 一方、新ユーゴ内でも、多数派を占めるセルビアが議会・政府をコントロールすることや、セルビアと連邦を構成したことにより、各種の紛争でセルビアとともに国際社会から経済的・政治的制裁を受けるようになったことに対してモンテネグロの不満が鬱積。モンテネグロは独立を志向するようになりましたが、欧州連合(EU)は、セルビアとモンテネグロに対して3年間猶予期間の後、モンテネグロ独立の是非を問う国民投票を行うことを提案。これを受けて、新ユーゴは解体され、ゆるやかな共同国家としての“セルビア・モンテネグロ”に改組されました。今回ご紹介の切手がEUをデザイン化した内容と名会っているのはこのためです。

 結局、2006年5月23日に行われた国民投票では、モンテネグロの独立が認められ、同年6月3日、モンテネグロは連合を解消して独立を宣言。セルビア側およびEUもこれを承認したため、モンテネグロの独立が確定し、“セルビア・モンテネグロ”は3年間の短命国家に終わりました。


 【世界切手展BRASILIANA 2013・出品募集中】

 今年11月、ブラジル・リオデジャネイロで世界切手展 <BRASILIANA 2013> が開催される予定です。現在(国内での受付期間は14日まで)、僕が日本コミッショナーとして、その出品作品を募集しております。詳細はこちらをご覧ください。


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 赤毛の人魚姫
2007-05-22 Tue 01:08
 デンマーク・コペンハーゲンの人魚姫像が、保守的な女性イスラム教徒の象徴とされる丈の長い黒い服とスカーフを着せられ、警察が取り外しに出動する騒ぎになったとか。というわけで、人魚姫がらみの切手ということで、こんな1枚を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

ベラルーシの人魚姫

 これは、2005年にセルビア・モンテネグロが発行したアンデルセン生誕200年の記念切手の1枚で、アンデルセン童話の定番である人魚姫が取り上げられています。

 標準的な日本人のイメージだと、人魚姫というのは、北欧のイメージもあって金髪碧眼ですが、この人魚姫は赤毛で、しかも、ビジュアル系ロックバンドのようなツンツンとがった頭をしています。(水中で、こういう髪型を維持するのはなかなか大変そうです)

 まぁ、人魚姫というのは架空の存在ですから、画像として表現しようとすると、それぞれの文化的な背景が投影されて、自然とお国柄が反映されてしまうものです。東欧にはバイキングの末裔を自称している国や地域もありますので、ひょっとすると、この切手の人魚姫には、グリーンランドに最初に住んだとされるノルウェー人、赤毛のエリックの伝説のイメージが投影されているのかもしれません。

 僕のブログでも、いままで、本家のデンマークのみならず、中国香港の人魚姫切手を取り上げたことがありますが、国が違えば、ここまで人魚姫の表現も違うのかと驚かされます。

 今回の人魚姫に限らず、“世界中で発行されている”という切手の特性を活かして、共通のお題が国によってどれだけ異なった表現をされているかという点を比較してみると、いろいろと面白いかもしれません。まぁ、このあたりのテーマに関しては、いずれ、なんらかのかたちで原稿としてまとめてみたいな、と前々からぼんやりと考えてはいるのですが…。
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