内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 切手でひも解く世界の歴史(10)
2017-10-19 Thu 08:42
 本日(19日)16:05から、NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第10回が放送される予定です。(番組の詳細はこちらをご覧ください)。今回は、きのう(18日)が米国のアラスカ領有150周年だったことから、“アラスカを買った男”ウィリアム・スワードにスポットを当てて、この切手もご紹介しながら、お話をする予定です(画像はクリックで拡大されます)

      スワード・目打なし

 これは、1909年6月1日に発行された“アラスカ・ユーコン太平洋博覧会”の記念切手で、元国務長官のウィリアム・スワードが取り上げられています。今回は、通常の記念切手ではなく、博覧会場で限定販売の無目打切手を持ってきてみました。
 
 さて、ウィリアム・スワードは、1801年、ニューヨーク州オレンジ郡フロリダ村の出身で、ユニオン・カレッジで法学を学びました。1838年、ニューヨーク州知事に当選し、刑務所の改善、教育費予算の増加、移民にたいして母国語で教える学校のアイディアなど、進歩的な政策を推進します。1849年には、ホイッグ党から上院議員に当選し、そのリベラルな思想信条から、反奴隷制を掲げる指導者として頭角を現していきました。

 1854年、奴隷制反対を掲げて共和党が結成されると、彼は翌1855年に参加。ホイッグ党の上院議員として1850年に「奴隷制が廃止されなければ米国は内戦に突入するだろう」と演説し、奴隷制廃止運動の先頭に立っていたということもあって、すぐに、党内の実力者にのし上がります。

 このため、1856年の大統領選挙の際にもスワードは共和党の初代大統領候補の指名を受けそうな勢いだったのですが、最終的に、西部の探険で有名なジョン・フレモントと指名をめぐって争ったが敗れます。そこで、彼は1860年の選挙での捲土重来を期していました。

 こうして、1860年の選挙では、共和党の大統領候補の指名を受ける大本命と見られていたスワードでしたが、奴隷制反対に関する彼の南部批判は激越で、共和党内の穏健派は、彼が大統領になれば本当に内戦になるかもしれないと恐れます。その結果、多数派工作により“無難な”リンカーンが大統領候補の指名を獲得し、共和党としての政権獲得の悲願を達成するのです。なお、指名を逃したものの、スワードはリンカーンの選挙戦に協力した功績で、新政権では国務長官に指名されます。

 しかし、1861年、奴隷制反対を掲げる大統領の就任を容認できない南部諸州は連邦から離脱し、南北戦争が勃発。スワードの“予言”は現実のものとなってしまいました。そして、1865年4月14日、南北戦争の結果に不満を持つ俳優、ジョン・ウィルクス・ブースがリンカーン大統領を暗殺。その同じ日、スワードもブースの仲間によって襲撃されます。ところが、その10日ほど前に、スワードは馬車の事故で顎を負傷し、添え木をあてていたため凶刃が致命傷にならず、彼は奇跡的に一命を取り留めました。

 リンカーンが亡くなった後、副大統領のジョンソンが大統領に昇格。スワードは健康の回復を待って、国務長官として復帰します。

 ところで、アラスカの地には18世紀末からロシア人が進出して狩猟や交易のため露米会社を設立し、その一部はカリフォルニア州にまで勢力を伸ばしていました。ところが、1853年から1856年にかけてのクリミア戦争により、ロシアは経済的に疲弊。このため、モスクワからは遠く離れ、当時は人跡未踏の荒野だったアラスカを売却することにします。ただし、クリミア戦争でも敵対した英国への売却は避けたかったため、1859年、米国に話を持ち込みます。ところが、交渉途中の1861年、南北戦争が勃発したことで、この話はうやむやになっていました。

 そこで、戦争終結後の1867年、ロシア側は改めてアメリカに対してアラスカ売却交渉をもちかけ、1867年3月30日、スワードはアラスカ購入条約の調印にこぎつけました。

 購入金額は720万ドル。これは、1エーカー(約4000平方メートル)あたり2セントというただ同然の“お買い得品”でした。ちなみに、当時のアメリカの郵便料金は、書状の基本料金が3セントでしたから、封書1通差し出すよりも、アラスカの土地1エーカーの方が安かったということになります。

 もっとも、当時のアラスカは人跡未踏の辺境の地でしたから、条約そのものは4月9日に上院で批准されたものの、世論の評判は散々で、新聞各紙は新たな合衆国領土を“スワードの冷蔵庫”ないしは“ジョンソンのホッキョクグマ庭園”などと揶揄し、アラスカ購入は“スワードの愚行”として散々たたかれました。結局、スワードが1872年に亡くなるまで、米国民はアラスカ購入をぼろくそに批判し続けます。

 ところが、チャップリンの「黄金狂時代」にみられるように、1896年にアラスカで金鉱が発見されると評価は一変。さらに、東西冷戦下でアラスカが対ソ戦略の最前線になると、スワードはその“先見の明”を高く評価されることになります。

 まさに、スワードほど、「人間万事塞翁が馬」という言葉がぴったりの人はいないでしょう。


★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史”  次回は19日!★★

 10月19日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第10回が放送予定です。今回は、10月18日が米国によるアラスカ領有150年の記念日ということで、アラスカを買った米国務長官、ウィリアム・スワードにスポットを当ててお話をする予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


★★★ トークイベントのご案内  ★★★ 

 11月4日(土) 12:30より、東京・浅草で開催の全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』刊行記念のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。


★★★ 世界切手展<WSC Israel 2018>作品募集中! ★★★

  明年(2018年)5月27日から31日まで、エルサレムの国際会議場でFIP(国際郵趣連盟)認定の世界切手展<WSC Israel 2018>が開催される予定です。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を11月10日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、待ちしております。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。


スポンサーサイト
別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 トランプ新大統領就任
2017-01-21 Sat 10:13
 昨年11月の米大統領選挙で当選したドナルド・トランプが、20日正午(日本時間21日午前2時)、首都ワシントンの連邦議会議事堂前での大統領就任式で宣誓し、第45代米国大統領に就任。新大統領は就任演説で、“米国第一”主義を宣言し、「我々は二つの簡単なルールに従う。米国製品を買い(バイ・アメリカン)、米国人を雇う」と述べました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      米・FDR就任記念カバー(アメリカ製品購入)

 これは、1933年3月4日、フランクリン・デラノ・ローズヴェルト(ルーズヴェルトとも。以下、FDR)の大統領(1期目)就任記念のカバーで、大恐慌からの脱却のための方策としてFDRが選挙中に掲げていた“バイ・アメリカン”のスローガンの書かれた封筒に切手を貼り、就任式当日のFDRゆかりのニューヨーク市庁舎別館局の消印が押されています。

 大恐慌の最中に成立したFDR政権は、世界的な保護貿易主義の高まりを反映して、はやくも1933年、バイ・アメリカン法(Buy American Act of 1933)を制定しました。これが、“バイ・アメリカン法”のルーツで、同法の規定そのものは現在も残っているほか、各州においても同様のバイ・アメリカン法が制定されています。

 その後、米国が1947年にGATT(貿易と関税に関する一般協定)および1995年にGATTの規定を事実上吸収したWTO協定(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定)の政府調達協定(GPA)の締約国になったため、協定締約国についてはバイ・アメリカン法の適用が免除されることになりました。逆に、中国、インド等の非加盟国・地域に対しては、現在でもバイ・アメリカン法の完全適用が可能になっています。また、国防省工兵隊など一部に除外規定があるほか、州政府レベルでWTO協定の対象となっているのはカリフォルニアなど37州にとどまっています。

 ちなみに、トランプ新大統領が何かと槍玉にあげているメキシコはGPAの加盟国ではありませんが、NAFTA(北米自由貿易協定)の加盟国として、同協定で加盟国は相互に国産品優先調達を廃止することが合意されていることをもって、バイ・アメリカン法から除外されてきました。

 トランプ新政権が強調する“バイ・アメリカン”ですが、じつは、オバマ前政権も2009年に景気対策として打ち出したことがあります。この時は、景気対策によって実施される公共工事の調達において、バイ・アメリカン法を適用し、米国製鉄鋼および製造品の使用を義務づけたもので、当初の法案では、GPAやNAFTAなどによる除外が考慮されておらず、保護主義的な側面が強かったために国際的な非難を浴び、諸協定で定められた対象諸国が適用を除外されるように修正されて議会を通過したという事情がありました。

 それにしても、あまりにも先鋭化した左派リベラルの跋扈に辟易とした善男善女の支持を集めて大統領に当選したトランプが、米国の左派リベラルの源流ともいうべきFDRの金看板(の一つ)を就任式で強調するというのも(しかも、2人とも、ニューヨークの出身!)、なんだか歴史の皮肉を感じさせますな。もっとも、左派リベラルが反国家と直結しがちなどこかの国と違って、保守であれ、リベラルであれ、国益が第一という大原則は変わらないのだと言われれば、それまでなのですが…。


★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』  ★★★ 

       リオデジャネイロ歴史紀行(書影) 2700円+税

 【出版元より】
 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介
 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行!
 発売元の特設サイトはこちらです。


 ★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 金賞受賞しました!
2016-06-03 Fri 13:55
      ニューヨーク展・メダル授与 

 ニューヨークで開催中の世界切手展<NEW YORK 2016>(以下、ニューヨーク展)は、1日(以下、日付などは現地時間)に審査結果が発表され、おかげさまで、僕の出品作品 A HISTORY OF HONG KONG は金賞(90点)を受賞しました。

 冒頭の画像は、2日に行われたメダル授与式(今回は、大金賞以下、一般競争出品へのメダルの授与はパルマレスで行われたのでなく、会場内で授与式が行われました)で、メダルを拝領している場面です。ちなみに、今回頂戴したメダルは、展覧会のロゴマークをあしらった、こんなデザインのモノでした。

      ニューヨーク展メダル  ニューヨーク展・メダル(裏)


 メダルは賞のランクに関わらずすべて同じ色・材質で、ルーペをあしらった裏面には出品者の名前が刻まれています。また、出品者用のIDカードもロゴマークをデザインしたもので、こんな感じでした。
      
      ニューヨーク展・IDカード

 ちなみに、実際に米国で発行された自由の女神の切手は、もしくは上半身の一部をトリミングしたものが大半で、まれに全身像を取り上げていても、下の画像(1922年に発行された12セント切手です)のように斜めの角度からのものばかりで、今回の展覧会のロゴマークのように、正面からの象をデザインしたものというのは、ちょっと思い浮かびません。

      米・自由の女神(1922)

 むしろ、こうした正面からの像の切手は、スペインの「合衆国憲法150年」の記念切手や、韓国の国連軍参戦感謝記念切手のように、米国以外で発行されたものの方が多いように思います。

 さて、今回、ニューヨークに展示した A HISTORY OF HONG KONG は、2014年のソウル展(世界展)2015年の香港展(アジア展)に続いての金賞となりましたが、まだまだ、最上位の大金賞(95点以上)に到達するには道は険しそうです。改善の余地が大いにある発展途上のコレクションですので、引き続き、皆様の御支援・ご指導を仰ぎつつ、精進を重ねて行きたいと思っておりますので、なにとぞよろしくお願いします。


 ★★★ アジア国際切手展<CHINA 2016>作品募集中! ★★★

 本年(2016年)12月2-6日、中華人民共和国広西チワン族自治区南寧市の南寧国際会展中心において、アジア国際切手展<CHINA 2016>(以下、南寧展)が開催されます。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を6月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、待ちしております。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
 きょうから<NEW YORK 2016>
2016-05-28 Sat 13:18
 きょう(28日・現地時間)からニューヨークで世界切手展<NEW YORK 2016>がスタートします。というわけで、きょうは、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      米国・ニューヨーク国際展(1926)

 これは、いまから90年前の1926年にニューヨークで開催された国際切手展の記念小型シートで、1926年10月18日に発行された“ホワイト・プレーンズの戦い150周年”の記念切手25枚が収められています。

 米国での最初の国際切手展は、1913年10月27日から11月1日まで、ニューヨークのエンジニアリング・ソサエティ・ビルで開催されましたが、記念切手の発行はありませんでした。これに対して、米国で2回目の国際切手展となった1926年の展覧会では郵政当局は積極的に運営にも関与し、今回ご紹介のシートを会場内で販売しています。

 1926年の切手展には800フレームが展示され、開会式にはクーリッジ大統領が出席して鍵を開けるパフォーマンスを行ったほか、今回の切手展でも特別展示されている英領ギアナの1セントが米国内で初めて展示されて話題となりました。

 以後、米国ではほぼ10年ごとに国際切手展が開催されており、今回のニューヨーク展は、前回(2006年)のワシントン展いらい、10年ぶりの開催となります。

 さて、今回の展覧会には、僕も昨年(2015年)、香港で開催されたアジア国際切手展<HONG KONG 2015>に出品した作品 A History of Hong Kong を大幅にリニューアルして出品しています。

 残念ながら、今回はスケジュールの都合で初日からの参加ができないため、コミッショナーの吉田敬さんとアシスタント・コミッショナーの池田健三郎さんに搬入手続きをお願いしましたが、6月1日には渡米の予定です。

 
 ★★★ アジア国際切手展<CHINA 2016>作品募集中! ★★★

 本年(2016年)12月2-6日、中華人民共和国広西チワン族自治区南寧市の南寧国際会展中心において、アジア国際切手展<CHINA 2016>(以下、南寧展)が開催されます。同展の日本コミッショナーは、不詳・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を6月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、待ちしております。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 水晶の夜
2015-11-09 Mon 22:45
 きょう(11月9日)は、1938年に“水晶の夜”と呼ばれる大規模な反ユダヤ暴動が発生した日です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      水晶の夜・返戻

 これは、“水晶の夜”から間もない1938年12月6日、米国ミネアポリスからドイツ北部、ハンブルク=アルトナのユダヤ人女性宛に差し出されたものの、“移住”先不明で差出人戻しとなった郵便物です。

 1933年1月30日、反ユダヤ主義を掲げて政権を獲得したヒトラーとナチス(国家社会主義労働者党は、当初から、ユダヤ系ドイツ人を迫害しており、1935年9月15日には、いわゆる“ニュルンベルク法(具体的には「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」と「帝国市民法」)を制定し、4人の祖父母のうち1人でもユダヤ人がいる者を“ユダヤ人”と規定。ユダヤ系の市民を、“完全ユダヤ人”から“第2級混血ドイツ人”までに3分類したうえで、“完全ユダヤ人(4人の祖父母のうち3人以上がユダヤ人、同2人以上がユダヤ人で、本人がユダヤ教徒、ユダヤ人と結婚している者、ドイツ人とユダヤ人の間に生まれた者)” の公民権を剥奪しました。

 ただし、この規定は、あくまでもドイツ国籍を持つユダヤ系住民を対象としたもので、ドイツ国内に居住する外国籍のユダヤ人に対しては、さすがのナチス・ドイツも、他の在住外国人としての権利が認めざるを得ません。こうした状況の下で、ドイツ在住のユダヤ系外国人のうち、大きな勢力となっていたのがポーランド国籍の保有者でした。

 現在のポーランド国家は、国民の90%以上がポーランド人(カシュープ人やグラル人を含む)によって構成されており、事実上の単一民族国家となっていますが、これは、第二次世界大戦末期のポツダム会談の結果、領土全体が地理的に西側へ移動したことによるもので、第一次大戦後にポーランド第2共和国が発足した時点の民族構成では、ウクライナ人14.3%、ユダヤ人10.5%、ベラルーシ人3.9%、ドイツ人3.9%などと、少数民族が人口の約3割を占める多民族国家でした。こうした中で、(狭義の)ポーランド人の間には反ユダヤ主義の風潮が根強く、1936-37年にはポーランド各地で流血を伴う反ユダヤ暴動が発生しています。

 このため、ポーランド政府は国内のユダヤ人口を減少させることが問題の解決になると考えるようになり、ユダヤ人の国外移住を“奨励”。その結果、隣国であるドイツ国内には、ポーランド国籍のユダヤ人が多数居住するという状況になっていましたが、ナチスによるユダヤ人迫害が激しさを増すにつれ、ユダヤ系ポーランド人の中にはポーランドに帰国する者も急増します。

 これに対して、上述のような事情から、ユダヤ系国民の帰還を望んでいなかったポーランド政府は、1938年10月6日、ポーランド政府は、発行済みの全てのポーランド旅券に、あらためて検査済みの認印を押さなければならないとする新旅券法を布告。同法の施行により、ドイツをはじめ国外在住のポーランド系ユダヤ人の旅券と国籍を無効化しようとします。

 一方、当時のナチス・ドイツは、みずからの支配地域からユダヤ人を追放することを政策として掲げていたため、ポーランドの新旅券法が施行される10月30日以前に彼らをポーランドに強制送還すべく、10月28日、警察組織を動員して、ユダヤ系ポーランド人1万7000人をポーランドとの国境地帯に移送します。ところが、ポーランド側は国境を閉鎖して、“ポーランド国民”であったはずのユダヤ人の受け入れを拒否します。

 こうして、国境地帯でユダヤ系ポーランド人が事実上の難民生活を余儀なくされる中、彼らの一人であったセンデル・グリュンシュパンが、パリ在住の息子、ヘルシェルに惨状を訴えました。ヘルシェルはドイツに対する怒りから、ドイツ大使館員を暗殺することで世界にユダヤ人の惨状を訴えることを企図し、11月7日、駐仏ドイツ大使館の三等書記官エルンスト・フォム・ラートを射殺します。

 この事件をきっかけに、11月9日から10日にかけて、ドイツ各地(併合後まもないオーストリアズデーテン地方を含む)で大規模な反ユダヤ暴動(官製暴動である疑いが極めて濃厚)が発生。フランスとの国境に近いドイツ西部を中心に、177のシナゴーグと7500のユダヤ人商店や企業が破壊され、91人のユダヤ人が殺害されました。

 ちなみに、“水晶の夜”という名称は、破壊されたガラスが月明かりに照らされて水晶のようにきらめいていたとしてゲッベルスが命名したものですが、その由来となったガラス被害だけで、ユダヤ人の損害額は600万ライヒスマルクに及んでいます。

 一連の事件を通じて、被害者であるはずのユダヤ人3万人が警察に逮捕され、彼らを収容するためにダッハウ、ブーヘンヴァルト、ザクセンハウゼンの各収容所は拡張されたほか、各種の法令により、ユダヤ人の人権は次々に剥奪され、12月以降、ユダヤ人は公の場から事実上追放されてしまいました。この結果、多くのユダヤ人がドイツを脱出して国外へ亡命しようとしますが、実際には、彼らの多くは各地の港をたらいまわしにされたうえ、最終的にヨーロッパへと戻ってこざるを得ませんでした。そこへ、1939年9月、第二次大戦が勃発し、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺が本格的にスタートすることになるのです。

 なお、“水晶の夜”に関しては、拙著『アウシュヴィッツの手紙』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 連邦議会議事堂の切手
2015-04-29 Wed 13:24
 安倍首相が、現地時間29日(日本時間30日未明)、日本の首相として初めて米連邦議会の上下両院合同会議で演説を行います。というわけで、きょうは、ストレートにこの切手です。(以下、画像はクリックで拡大されます)

        米・連邦議会議事堂(1923)

 これは、1923年に米国で発行された連邦議会議事堂を描く2ドル切手です。

 米国の連邦議会は、1774年、13 の植民地州の代表が集まって開いた第1回大陸会議が起源とされています。その後、1776年の独立宣言を経て1788年に合衆国憲法が発効すると、1789年、当時の首都であったニューヨークで正式に第1回連邦議会が開催されました。この時の議事堂は、もともとニューヨーク市庁舎として建設されたものを改築したもので、初代大統領に選ばれたジョージ・ワシントンがバルコニーで就任演説を行っています。

 1790年、米国の首都はフィラデルフィアに移転しますが、これに伴い、1800年まで連邦議会は独立記念館(もとはペンシルヴァニア州議会の議事堂で、1776年に独立宣言が署名された場所)で開催されるようになりましたが、この間、1793年にワシントンDCに議事堂の建設が開始されました。

 ワシントンDCの議事堂は1800年に上院棟(正面左手=北側)が完成し(正面右手=南側の下院棟の完成は1811年)、1800年11月17日から使用されましたが、1812年、米英戦争での英国の攻撃により一部が焼失したため、1815-30年に再建工事が行われました。

 その後、米国の拡大に伴い議員の数も増加したため、1850年代に入ると両翼が大幅に拡張されました。これに伴い、1855-66年にはバランスを取るため、ドームの拡張工事が行われ、1863年にはドームの頂点に“自由の女神”像が設置されます。なお、日本語では“自由の女神”と訳される像としては、ニューヨークの女神像が“リバティ”なのに対して、議事堂の像は“フリーダム”です。しかし、新たなドームは高さ88m、直径29mの巨大なもので、またしても外観のバランスが悪かったため、1904年に議事堂の東正面棟が改築され、ようやく、現在の姿となりました。

 ちなみに、連邦議事堂は、地理的にはワシントンDCのやや東部に位置していますが、首都の象徴として、ワシントンDCの地番は議事堂を基準に定められています。また、2006年にワシントンDCで世界切手展が開催された際にも、開催地を象徴するものとして、展覧会のロゴマークには議事堂があしらわれており、記念のネクタイには、今回ご紹介の切手とロゴマークが並べてデザインされています。(下の画像。なお、切手のプリントより上部は青色一色で模様などはありません)

       ワシントン展ネクタイ

 なお、米国の連邦議会を舞台として繰り広げられてきたさまざまな政治ドラマについては、拙著『大統領になりそこなった男たち』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 ヨセミテの垂直巨岩を制覇
2015-01-15 Thu 16:20
 米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園にある巨大な一枚岩“エルキャピタン”で、米国人プロ・クライマーのトミー・コールドウェルとケビン・ジョージソンが、きのう(14日)、道具を使わないフリークライミングで、最難関とされるルート“ドーン・ウォール”の登頂に成功しました。世界初の快挙だそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      米・ヨセミテ国立公園

 これは、1934年に米国で発行されたヨセミテ国立公園の切手で、手前には、今回話題となったエルキャピタンが大きく描かれています。

 ヨセミテ国立公園はカリフォルニア州中央部のシエラネバダ山脈西麓に位置し、ヨセミテ渓谷を中心に、3081平方キロメートルの広さがあります。
 
 この地域は、およそ1000万年前にシエラネバダ山塊が隆起し、その後傾斜したことで、西側の緩やかな高原と、東側の急峻な山肌が誕生するとともに、川の流れも急になり、深い渓谷が形成されました。次いで、約100万年前に、降り積もった雪と氷が氷河となって高山の草原帯を覆い、その流れによる浸食の結果、U字谷が形成されます。そして、そそり立つ白い花崗岩の絶壁と流れ落ちる多くの巨大な滝、谷や木々の間を流れる澄んだ大小の川、ジャイアントセコイアの巨木の林、アメリカグマや、アライグマなどの哺乳類が約100種類、鳥類が200種類以上棲息するという多様な生物環境が形成されました。

 今回話題となったエルキャピタンはヨセミテ渓谷の北側にそそり立つ巨岩で、渓谷の谷床からは約1000メートルの高さがあり、花崗岩の一枚岩としては世界最大です。ロッククライミングに開放されたのは1950年代以降のことで、1958年、ウォレン・ハーディングらが初登頂に成功しました。

 ちなみに、エルキャピタンという名前は“(岩の)族長”を意味するスペイン語で、米墨戦争によってカリフォルニアが米国領となった後の1851年、ジム・サヴェジ少佐が率いるマリポサ歩兵大隊の医師、ラファイエット・バンネルが命名しました。

 なお、米墨戦争とその前後の状況については、拙著『大統領になりそこなった男たち』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 
 
 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★

      狛江絵手紙チラシ・表     狛江絵手紙チラシ・裏

 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。


 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 

       ミズーリの消印

 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。

 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。

 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は2月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 漂着のハーレー所有者判明
2012-05-03 Thu 22:14
 先月中旬、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のグレアム島に、東日本大震災での津波にさらわれたとみられる白いコンテナが漂着し、中から、宮城ナンバーの大型オートバイ“ハーレー・ダビッドソン”が1台出てきた件で、その所有者が判明したそうです。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        アメリカ特別配達用切手10セント

 これは、1922年にアメリカで発行された特別配達(まぁ、速達のようなものと思ってください)用の10セント切手で郵便配達の場面が描かれています。

 1885年にアメリカで最初に発行された特別配達用切手の切手には手紙を持って走る郵便配達員が描かれていましたが、1902年の切手では、それが自転車に乗る配達員のデザインに代わっています。その後、1908年には通信の象徴であるマーキュリーのヘルメットをデザインした切手も発行されましたが、今回ご紹介の1922年の切手ではオートバイとなっており、時代とともに、“スピード”の表現が変化しているのが面白いところです。

 ところで、今回ご紹介の切手に描かれているオートバイについては、アメリカの郵政当局は特定のメーカーのモノではないとしていますが、収集家の間では、1922年製のハーレー・ダビッドソン22Jと呼ばれるモデルをもとに原画が制作されたことがほぼ確実視されています。ハーレーというと大型バイクの代名詞。これに対して、郵便配達のオートバイというと、小回りの利くスーパーカブというイメージが強いだけに、ハーレーにまたがっての郵便配達というのは、ちょっと意表を突いた組み合わせかもしれません。
 
 さて、今回、カナダで見つかった車両について、アメリカ・ウィスコンシン州のハーレー・ダビッドソン本社は、同社の負担でカナダから元の持ち主のいる日本に運び、修理する意向だそうです。今年は1912年にわれらが帝国陸軍がハーレーのオートバイを初めて輸入(後に、サイドカーを中心として軍用車両として用いられました)してから100周年という節目の年でもありますし、ポトマック河畔の桜に続き、日米友好親善の100年を記念する出来事として記憶にとどめておきたいですね。

 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 “So Sorry” and “Kicked Out”
2012-03-12 Mon 23:18
 きのう(11日)行われた政府主催の東日本大震災追悼式で、台湾代表に献花の機会を与えないという信じがたい非礼があったそうです。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        東條蹴飛ばす

 これは、第二次大戦中のアメリカで作られた“愛国カバー”のひとつです。

 日本人の感覚からすると違和感がありますが、アメリカ人の中には、さまざまな宣伝内容のイラストや文面の入った封筒を私信などに用いる人が少なくありません。ここで、宣伝の対象となっているのは、新商品やイベントの案内などにとどまらず、政治的な主義主張にいたるまで、実に多種多様ですが、特に戦時下において、戦意を高揚させ、愛国心を鼓舞する目的で制作・使用されるものは、愛国カバーと呼ばれることがあります。

 愛国カバーの歴史は古く、既に南北戦争時には本格的に使われており、近年のアフガン戦争やイラク戦争にいたるまで、さまざまな戦争でさまざまな種類のものが作られ、使われています。

 今回ご紹介のモノは、「地位または任務から解任する」または「退去させられる、いなくなる」を意味する“Kicked Out!”の表示の下に、文字通り、蹴飛ばされた格好の東條英機のイラストを描いており、その下に東條のセリフと思しき「本当にごめんなさい」を意味する“So Sorry!”の文言が書かれています。

 昨年の東日本大震災に際して、台湾からの義捐金は官民合わせて約200億円と世界トップクラスであり、一般国民の多くは台湾の人たちの善意に心から感謝しています。しかし、日本の現政権は、そうした一般国民の気持ちを踏みにじるかのように、台湾を粗略に扱い続けているのが現状です。

 その背景には、目先の経済的利益等のため、大陸の共産政権に阿り、彼らの主張する「一つの中国」論なる荒唐無稽なデタラメに追従している人々が日本の指導層に少なからず存在しているという事情があるのは言うまでもありません。
 
 もちろん、震災に際して大陸からの支援がなかったとは言いませんし、そのことに感謝の意を表することには僕もやぶさかではありません。しかし、その規模は台湾とは比べ物にならないほど小さいわけですし、なによりも、彼らがわが国に向けて核兵器の照準を合わせ、わが国の領土である尖閣諸島に対する軍事侵略の意図を隠そうとしない国だという厳然たる事実を考えるなら、彼らの“支援”を無邪気に受け止める気にはなれないというのが正直な気持ちです。
 
 きょう(12日)の衆院予算委員会で、今回の一件を追及された野田総理は、「本当に申し訳ない。行き届いていなかったことを深く反省したい」と陳謝したそうですが、これまでの民主党政権の媚中外交をいやというほど見せつけられてきた一国民としては、今回の一件についても、単なるミスではなく、確信犯的な悪意を感じますな。
 
 そういう意味でも、今回ご紹介のカバーの文言にあるように、台湾の皆さんに対しては“So Sorry!”と申し上げ、野田総理と民主党政権に対しては“Kicked Out!”と言ってやりたいというのが、嘘偽りのない心境です。


 ★★★ 内藤陽介、カルチャーセンターに登場 ★★★
   
 3月下旬から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、各講座名(青色)をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

よみうりカルチャー柏
 3月23日(金)13:00-15:00(公開講座)
 「ご成婚切手の誕生秘話――切手でたどる昭和史」
 *柏センター移転、新装オープン記念講座です。

 4月24日、5月22日、6月26日、7月24日、8月28日、9月25日
 (毎月第4火曜日)13:30~15:30

 切手でたどる昭和史


・よみうりカルチャー荻窪
 3月27日(火) 13:30~15:30(公開講座)
 「ご成婚切手の誕生秘話——切手でたどる昭和史」

 4月10日、5月8日、6月12日、7月10日、8月7日、9月11日
 (毎月第2火曜日)13:30~15:30

 切手でたどる昭和史


・よみうりカルチャー錦糸町 
 3月31日(土) 12:30-14:30(公開講座)
 皇室切手のモノ語り

 4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日
 (毎月第1土曜日) 12:30~14:30

 郵便学者・切手博士と学ぶ切手のお話
別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:1 | top↑
 復興庁
2012-02-10 Fri 22:11
 東日本大震災からの復興施策を統括する復興庁が、きょう(10日)発足し、本格的に業務をスタートさせました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        NRA

 これは、1933年8月15日にアメリカで発行された“全国復興庁”を宣伝するための切手です。全国復興庁の英文名称は“National Recovery Administration:NRA”ですが、きょう発足したわが国の復興庁の英文名称もこれと同じだそうです。

 1933年1月にアメリカ大統領に就任したフランクリン・デラノ・ルーズヴェルトは、金看板であるニューディール政策を実施するための最も重要な法律として、同年6月、全国産業復興法(National Industrial Recovery Act:NIRA)を制定します。同法の骨子は、企業の生産活動を規制すると同時に、労働者の団結権や団体交渉権を認め、最低賃金を確保して生産力や購買力の向上を目指そうとするものでした。そして、その施行を管轄するための行政組織として設置されたのが、今回ご紹介の切手の主題となったNRAだったというわけです。

 ちなみに、今回ご紹介の切手のデザインは、NRAの宣伝ポスターを元に作られましたが、ポスターでは、左から2番目の人物がルーズベルトになっていました。ところが、昨年まで、アメリカでは存命中の人物は原則として切手に取り上げないという不文律がありましたので、切手収集家でもあったルーズベルトが直々にポスターの自分の顔に髭を加えるなどの修正を施して、この切手が世に出ることになったといわれています。

 なお、ニューディール政策に関しては、左派リベラル色が強すぎるとしてアメリカ国内にも批判が強かったのですが、特に、その中核をなす産業復興法への反発は強く、1935年、合衆国最高裁判所は同法に違憲判決を下しています。この結果、産業復興法は2年足らず廃止され、最低賃金や労働時間などを定めた労働法に関する部分は1935年の全国労働関係法に引き継がれることになりました。

 それにしても、米国のNRAがルーズベルト政権発足から半年後には発足していたのに対して、わが国のNRAは震災から1年が過ぎようとする今日になって、ようやく発足ですか。まぁ、単純な比較はできないにしても、今までの遅れをリカバーすべく、これからはネジを巻いて頑張ってもらうしかありませんな。


  ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★
   
         年賀状の戦後史(帯つき)
         年賀状の戦後史
     角川oneテーマ21(税込760円)

    日本人は「年賀状」に何を託してきたのか?
    「年賀状」から見える新しい戦後史!

 ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(2011年11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、12月15日付『徳島新聞』鳴潮、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語、12月18日付『宮崎日日新聞』読書欄、同『信濃毎日新聞』読書欄、12月19日付『山陽新聞』滴一滴、同『日本農業新聞』あぜ道書店、[書評]のメルマガ12月20日号、『サンデー毎日』12月25日号、12月29日付エキレピ!、『郵趣』2012年1月号、『全日本郵趣』1月号、CBCラジオ「朝PON」(1月26日放送)、『スタンプマガジン』2月号、『歴史読本』2月号、『本の雑誌』2月号で紹介されました。

  amazonbk1e-honHMVlivedoor BOOKS紀伊國屋書店BookWebセブンネットショッピング楽天ブックスなどで好評発売中!
別窓 | 米国:1901~1945 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
| 郵便学者・内藤陽介のブログ | NEXT
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/