内藤陽介 Yosuke NAITO
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 マルタ十字
2015-11-28 Sat 14:50
 きのう(27日)、2年に1度の英連邦サミットがマルタで開幕し、開会式には、エリザベス女王をはじめ、英ロイヤルファミリーから4名が出席しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      マルタ十字(不足料切手)

 これは、1968年にマルタで発行された不足料切手で、マルタ十字の紋章が大きく描かれています。

 “マルタ十字”は、キリスト教の騎士修道会、聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)のシンボルで、4つの矢じりをかたどった“V”を組み合わせて構成されています。ヨーロッパでは勲章のデザインなどに盛んに用いられているほか、英国ではライフル連隊の紋章としても用いられました。

 1840年、英国では世界最初の切手としてペニー・ブラックを発行するにあたって、切手の再使用を防ぐための手段として、消印を押すことが考えられました。

 郵便改革の中心人物であったローランド・ヒルは日付入りの印を押すことを郵政省に提案しましたが、ヒルとは折り合いの悪かった郵政次官のウィリアム・メーバレーは日付印のアイディアを却下し、日付部分を更植する必要がない抹消専用の印として、“マルタ十字印”を使用するという対案を採用します。

 本来のマルタ十字は、今回ご紹介の切手が示すように8つの角がありますが、実際に使用された“マルタ十字印”のデザインはVの字を組み合わせた鋭角的なものではなく、角が丸みを帯びており、一般的なマルタ十字とはかなり異なっています。それにもかかわらず、なぜ、このタイプの消印が“マルタ十字印”と呼ばれるようになったのか、現在となっては、その理由はよくわかりません。

 このあたりの事情については、拙著『ペニー・ブラック物語』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 マルタ島の沖
2014-09-16 Tue 22:33
 今月10日、シリアやエジプトからヨーロッパへ逃れようとする避難民の密航船が先週、マルタ島沖で沈没し、およそ500人が死亡した事件で、国際移住機関(IOM)は、きのう(15日)、海上での船の乗り換えを拒否した避難民に激怒した移民業者が船を意図的に沈没させたとみられると発表しました。事実だとすれば、とんでもない話ですが、マルタといえば、こんなモノが手元にあったことを思い出しました。(画像はクリックで拡大されます)

      マルタ→香港カバー

 これは、第二次大戦の勃発後まもない1939年11月18日、マルタの首都バレッタから香港宛のカバーで、バレッタ近郊のグランド・ハーバーの風景を描いた4分の1ペニー切手2枚が貼られています。切手では港から沖合方向を眺めた風景が描かれていますが、今回の惨事が起きた場所も切手の風景の中に含まれているのかもしれません。

 さて、このカバーは、マルタからスエズ経由(赤紫の検閲印が押されています)で香港に届けられていますが、下のように、香港到着時、裏面には英国の戦時交際購入を進めるようなスローガンが押されています。

      国際宣伝スローガン(香港WWII)

 1939年9月1日、第二次欧州大戦が勃発し、英国がナチス・ドイツに宣戦を布告すると、英領香港も否応無しに戦争に巻き込まれていくことになります。すでに中国大陸との間に構築されていた醉酒灣防線のほかに、香港島南岸には鉄条網が準備され、灯火管制の演習も繰り返されたほか、白人男性の徴兵も始まりました。また、戦時公債の募集も始まり、その宣伝の一環として、今回ご紹介のような印が郵便物にも押されています。僕がこのカバーを入手したのも、このスローガン印が目当てで、マルタ発信というのはいわばオマケみたいなものだったわけですが、マルタからエジプト経由で香港宛てというのもちょっと珍しいルートではないかと思いますので、それなりに気に入っています。

 なお、第二次大戦前後の香港については、拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろと書いておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
   
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・現代コリア事情 時間は13:00-14:30です。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:50-17:00です。

 初回開催は4月1日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

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 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 冷戦終結20年
2009-12-03 Thu 16:49
 1989年12月3日、地中海のマルタ島で、アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長が会談し、第2次世界大戦末期のヤルタ会談に始まった米ソ冷戦の終結を宣言してから、きょうでちょうど20年です。というわけで、ストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 マルタ会談

 これは、1989年12月2日、米ソ首脳会談の舞台となったマルタが発行した会談の記念切手で、マルタ島の地図を中心に、ブッシュ(左)とゴルバチョフ(右)の写真が配されています。

 1989年のマルタ会談は、東欧社会主義諸国の崩壊を受けて、東西冷戦終結後の国際秩序の枠組みについて討議することが目的でした。具体的な議題としては、①軍備管理・軍縮問題、②東欧問題、③ドイツ再統一問題、④ソ連経済問題、⑤中米紛争問題が中心で、冷戦の終結宣言は会議2日目(最終日)の12月3日のことです。

 会談のきっかけとなったとされる11月9日のベルリンの壁崩壊から12月初のマルタ会談までは、ひと月足らず。そう考えると、なんとなく、切手の出来栄えが急ごしらえな感じなのもうなずけます。

 なお、マルタで“冷戦終結”が宣言された12月3日の時点では、ルーマニアの独裁者チャウシェスクは依然として体制維持に自信を持っていましたが、同月17日のティミショアラ事件をきっかけに国民の怒りが爆発。12月22日には政権を追われることになります。

 拙著『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』では、そうした1989年12月のルーマニア革命の経緯についても詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 出版記念パーティーのご案内 ★★★

 『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』の刊行を記念して、ルーマニア民主革命20周年の記念日にあたる12月22日、下記のとおり出版記念パーティーを開催いたします。当日は、僕のトークのほか、日本におけるジプシー・バイオリンの第一人者、古館由佳子さん(下の写真の女性。当日は彼女のCDも販売します)による生演奏もお楽しみいただけますので、ぜひ、遊びに来てください。

   古館由佳子     ルーマニア料理

 ・日時 2009年12月22日 18:30~

 ・会場 レストラン・ルーマニア(本格的ルーマニア料理のレストランです。)
     *東京都中野区本町1-32-24(東京メトロおよび都営地下鉄中野坂上駅1分)
      tel: 03-5334-5341 地図などはこちらをご覧ください。
      料理は上の画像のようなイメージで、ブッフェ・スタイルになります。

 ・会費 7000円(『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行』1冊つき)
     *当日会場にてお支払いをお願いいたします。

 ・参加ご希望の方は、12月18日までにキュリオマガジン編集部まで、電子メール(info@fujimint.com)にてお申し込みください。たくさんの方々のお越しを心よりお待ちしております。
 

 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★

 『トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行:ルーマニアの古都を歩く』

   トランシルヴァニア/モルダヴィア歴史紀行   (彩流社 オールカラー190ページ 2800円+税)

 全世界に衝撃を与えた1989年の民主革命と独裁者チャウシェスクの処刑から20年
 ドラキュラ、コマネチ、チャウシェスクの痕跡を訪ねてルーマニアの過去と現在を歩く!
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