内藤陽介 Yosuke NAITO
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 小さな世界のお菓子たち:クッキーの切手
2017-12-21 Thu 08:37
 大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第38号(2017年冬号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      ジブラルタル・クリスマス(2016)

 これは、ジブラルタルが発行した昨年(2016年)のクリスマス切手で、スノウマンをかたどったクリスマス・クッキーが取り上げられています。

 クリスマスの定番ともいうべきジンジャー・クッキーは、ベルギーのディナンで考案された焼き菓子がそのルーツで、そこからドイツを経て、主として中欧から北欧にかけて拡大していったと考えられています。

 一方、地中海に面した南欧地域では、ジンジャー・クッキーのような堅い焼き菓子もないではないのですが、それとは別に、中東・北アフリカから伝来したとされる、崩れやすい焼き菓子も発展しました。その典型が、イベリア半島のポルボロンです。

 ポルボロンは、小麦粉とラード、砂糖を主原料とした焼き菓子で、塵(polvo)のようにほろほろと崩れるのがその名の由来。現在でも、クリスマスなどのお祝い事には欠かせないお菓子で、口の中で溶けてなくなってしまう前に、3回「ポルボロン」と唱えることができると、幸せが訪れるとの言い伝えもあります。

 イベリア半島の南端に位置するジブラルタルは、スペイン継承戦争中の1704年8月、英蘭墺連合軍がスペインの守備隊を破って占領し、戦後、英国に割譲されました。このため、この地の人々の生活には、スペインの文化的伝統を基調としつつも、随所に英国の影響も色濃く見られます。

 たとえば、ジブラルタルでは、クリスマスの定番のお菓子は、上記のポルボロンに加え、パウンドケーキのような形で中にドライ・フルーツをたくさん入れたパン・ドゥルセなど、スペイン由来のものが主流ですが、それとは別に、英国に倣ってクリスマスのアイシングをしたクッキーを作り、ツリーに飾るなどして楽しむことも行われています。

 今回ご紹介の切手は、そうしたクリスマス用のアイシングが施されたクッキーを描く切手の1種です。もっとも、ジブラルタルは、一年で一番気温の低い1-2月でも最低気温が10度以下になることはない地域ですので、切手に取り上げられているようなスノウマンを現地で実際に見る機会はないのでしょうが…。

 ちなみに、ジブラルタルでは、クリスマスにアイシングを施されるクッキーの土台は、バターと小麦粉、砂糖を混ぜるだけのものが主流で、英国など寒い地域のジンジャー・クッキーのように、さまざまなスパイスを加えることはほとんどありません。

 見かけは英国風でも、口に含むと、ポルボロンにも通じる素朴な味わいが広がるジブラルタルのクリスマス・クッキーは、まさに、南北文化の交差点に相応しい一品といえそうです。


★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★★

 12月14日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」第12回は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は、12月28日(木)16:05~の予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。
 
 なお、14日放送分につきましては、21日(木)19:00まで、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。


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 ジブラルタルをめぐる英西対立
2013-08-20 Tue 10:45
 ジブラルタルの領有権をめぐり英国とスペインの緊張が高まる中、英海軍のフリゲート艦「ウェストミンスター」が、きのう(19日)、ジブラルタルに寄港。スペインの反発は必至な情勢です。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ジブラルタル(1886)

 これは、1886年に発行されたジブラルタル最初の切手のうちの2ペンス切手です。

 イベリア半島南端、ジブラルタルの地は、スペイン継承戦争中の1704年8月、英蘭墺連合軍がスペインの守備隊を破って占領。戦後の1713年に締結されたユトレヒト条約では、スペイン王位の継承権を主張していたオーストリアのカール大公が王位を断念し、フェリペ5世の王位を承認する見返りとして、ジブラルタルは英国に割譲されました。

 郵便に関しては、1857年、英国の郵便局が開設され、同年9月からは英本国の切手が発売されています。ただし、スペイン領内の飛び地という性質上、利用者からの要望に応じて、ジブラルタル局では英国切手に加えてスペイン切手も売られていました。

 今回ご紹介のジブラルタルとしての最初の切手は、1886年1月、バミューダ切手に“GIBRALTAR”加刷を施したもので、同年12月には正刷切手が登場しました。なお、英領ジブラルタル切手は、1898年までは、英本国のスターリング・ポンドと等価のジブラルタル・ポンドのほか、実際にはペセタ(スペインの通貨)もかなり流通していたことから、ジブラルタル・ポンド額面の切手と並行して、ペセタ額面の切手も発行されていました。また、1907年まで、モロッコにおける英国の郵便活動はジブラルタル局が管轄していました。

 1704年の占領以来、スペインはジブラルタルの奪還をたびたび試みていますが、すべて失敗。現在、スペイン本土とジブラルタルとの境界には非武装中立状態が設定されています。

 1955年、国連に加盟したスペインは、ジブラルタルは英国の“植民地”であるとして、1957年にジブラルタルの返還を求めて国連に提訴。1964年には国連の非植民地化委員会へ返還要求を提出しました。これに対して、1967年、英国は住民投票により英国の統治を正当化することで対抗。このため、スペインは1969年にジブラルタルとの国境を封鎖する経済封鎖を行っています。この封鎖は、1982年に部分的に解除されるまで続きました。(完全な封鎖解除は1985年)

 その後、ジブラルタルの帰属をめぐっては、ジブラルタル独立論も浮上したことから、英西両国にジブラルタル自治政府を加えた3者の協議が行われるようになり、2006年12月、ジブラルタルの自治権拡大を盛り込んだ新憲法が成立しました。

 今回の英西対立は、今年(2013年)7月下旬、英領ジブラルタル自治政府が魚礁用コンクリートブロックを近くの海底に沈めたところ、スペイン側が「ここはわが国の領海だ」として激しく反発したのが発端です。その後、スペイン側は、ジブラルタルから麻薬が流入している疑いがあるとの名目で国境での車両検問強化に乗り出し、経済的な締め付けを強化。これに対抗して、宗主国の英国がフリゲート艦を派遣し、スペインに圧力をかけたというのが昨日の出来事で、この問題に関して、EUは近々調査団を派遣することを明らかにするなど、この問題はしばらく尾を引くことになりそうです。
 

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 チャーチルの入歯
2010-07-30 Fri 15:13
 きのう(29日)、ロンドンで行われたオークションにウィンストン・チャーチルの入歯が出品され、予想の3倍を超える1万5200ポンド(約205万円)で落札されたそうです。というわけで、きょうはこの切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されtます)

      チャーチル・名言

 これは、1998年にジブラルタルで発行された“著名人の名言”の切手の1枚で、チャーチルと彼の言葉「偉大さの対価は責任である」が記されています。この言葉に関しては、主語と補語が逆で「責任は偉大さの対価である」というバージョンもあるようです。

 チャーチルの切手は世界各国から山のように発行されていますが、その肖像の多くは口を結んだ状態のモノか葉巻をくわえたもので、口を開けた表情のモノはごく稀です。その中でも、この切手は口の開き具合が一番大きいのではないかとおもいますが、口のところに文字がのっかっているため、今回、話題となった入歯を見ることができないのが残念です。

 さて、きのうは民主党の両院議員総会があって、菅総理以下執行部に対して参院選敗北の“責任”を問う声が多く出され、大荒れのようすだったそうです。もっとも、民主党が議席を大きく減らしたのは、昨年8月の政権交代以来、彼らがやってきた迷走とデタラメの必然的な結果であって、その責任を6月に発足した現執行部にのみ押しつけてみても問題はなんら解決しないことは明らかです。じっさい、鳩山から菅に首相が代わってみたところで、普天間問題はなんら前に進んだわけでもなければ、景気や雇用の問題が改善されたわけではありません。共産中国の脅威が日に日に深刻化し、朝鮮半島情勢が不透明の度合いを増す中で、国防・安全保障については相変わらず無為無策のまま、そのことについて責任のある議論をしようとしない姿勢は、まさに国家を預かる立場の人間としては無責任の極みであり、そうした連中が選挙敗北の責任のなすり合いをしている様は見苦しい限りです。

 まぁ、責任が偉大さの対価であるとするチャーチルの言に従うのなら、偉大さの微塵も感じられない人々が無責任極まりないというのも十分に納得のいく話ではあるのですが、曲がりなりにも、昨年の総選挙で彼らに一票を投じてしまった国民の責任というものも、そろそろ深刻にかみしめてみないといけないでしょうな。

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