内藤陽介 Yosuke NAITO
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 カザフの大トラ
2014-01-08 Wed 23:34
 大相撲初のカザフスタン出身力士で西幕下18枚目の風冨山泰雅が、今月3日、酒に酔って飲食店の門松を壊したとして、器物損壊の疑いで現行犯逮捕されていたことが、昨日(7日)、明らかになりました。まさか、日本名が“泰雅”だけに大トラになったというわけではないのでしょうが・・・。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       カザフスタン1998年用年賀

 これは、カザフスタンで発行された1998年用の年賀切手で、十二支の円の中に、干支の虎が大きく描かれています。

 現在のカザフスタン国家が独立したのは1991年12月のことで、さすがに、1992年用の年賀切手は発行できなかったものの、1993年からは毎年、春節(旧正月)に合わせて年賀切手を発行しています。同国の多数派を占めるカザフ人は、基本的に、太陽暦の新年を祝い、春節を祝うわけではありませんので、春節の切手を発行するということは、国境を接する中国ないしは(国内の)中国系の人々を意識してのことと考えるのが妥当でしょう。

 旧ソ連時代は中ソ関係が緊張していたこともあって、ソ連の構成国であるカザフスタンと中国との国境の往来は厳しく制限されていましたが、1992年、新生カザフスタン国家は対中関係を好転させるため、中国との間にビザ免除協定を調印します。この背景には、ソ連解体により、モスクワからの自立せざるを得なくなったカザフスタンにとって、同国の重要な水瓶であるバルハシ湖の水源が中国領内にある以上、水資源を確保するためには、良好な対中関係を維持しなければならないという事情がありました。

 以後、毎日150-200人の中国人(中華人民共和国のパスポートを有する人)がカザフスタンに入国するようになりました。この時点では、カザフスタンに移住するというよりも、欧州へ出稼ぎに行くための経由地としてカザフスタンに入国する中国人が圧倒的多数だったといわれています。

 さらに、1995年、カザフスタンは中国の主張にほぼ沿ったかたちで国境画定条約を結ぶとともに、善隣友好関係を確認する共同声明を発表。これに伴い、カザフスタンとの国境に配置されていた人民解放軍の多くが新疆南部のタジキスタンおよびアフガニスタンとの国境に移動し、両国間の移動の制限は大幅に緩和されました。以後、カザフスタン領内への中国人の流入は激増し、2000年までに30万人を越えています。その後も、カザフスタン国内の資源を求めて中国資本がカザフスタンに流入すると、カザフスタン国内に居住する中国人ないしは中国系住民の数は増加し、その経済的・社会的影響力は拡大していきました。

 こうした“中国”のプレゼンスのゆえに、カザフスタンでは、毎年、春節にあわせた年賀切手を発行しているわけですが、このほかにも、国内における中国系住民の社会的影響力が無視できなくなったがゆえに、年賀切手を発行するようになった国というのは欧米でも少なからずあります。いずれ、それらをまとめて、1冊の書籍を作ってみたいと思うのですが、さて、企画を拾ってくれる版元さんはありませんかねぇ。


 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第5回テーマティク出品者の会 1月17-19日(金ー日)
 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のバンコク展に出品した朝鮮戦争のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)


 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★

 2014年1月2日より、東京・両国の江戸東京博物館で大浮世絵展がスタートしますが、会期中の1月24日13:30より、博物館内にて「切手と浮世絵」と題するトーク・イベントをやります。

 参加費用は展覧会の入場料込で2100円で、お申し込みは、よみうりカルチャー荻窪(電話03-3392-8891)までお願いいたします。展覧会では、切手になった浮世絵の実物も多数展示されていますので、ぜひ遊びに来てください。

 なお、下の画像は、展覧会と僕のトーク・イベントについての2013年12月24日付『讀賣新聞』の記事です。

大浮世絵展・紹介記事


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は1月7日(原則第1火曜日)で、以後、2月4日と3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 カザフスタン20年
2011-12-16 Fri 23:06
 ソ連末期の1991年12月16日にカザフスタンが独立して、きょうでちょうど20年です。というわけで、きょうはこんなものを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        カザフスタン・混貼カバー

 これは、1993年4月12日、カザフスタンのアルマ・アタから差し出されたカバーで、旧ソ連時代の切手つき封筒に、ソ連切手にカザフスタンの国名を加刷した暫定切手と、カザフスタンの正刷切手が同時に貼られています。

 消印のアルマ・アタはカザフ・ソヴィエト社会主義共和国時代の首都で、独立時の首都です。ただし、“アルマ・アタ”はロシア語の呼称であるため、独立後の1993年にカザフ語の“アルマトイ”と改称されましたから、このカバーも、アルマ・アタ表示の消印としては末期の使用例ということになります。

 カザフスタンの独立に先立つ1991年12月8日、ロシアのボリス・エリツィン大統領、ウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ最高会議議長がベラルーシのベロヴェーシの森で会談し、これら3国のソ連からの離脱とEUと同レベルの国家の共同体の創設が宣言されます。これを受けて、12月21日、アルマ・アタでソ連を構成していた共和国の首脳が会談し、独立国家共同体(CIS)の創設が決定されました。これが、いわゆるアルマ・アタ協定です。

 こうして、ソ連が完全にその存在意義を失ったことを受け、12月25日、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領が辞職し、ソ連は消滅しました。

 ちなみに、1997年、カザフスタンのナザルバエフ政権は首都をアルマトイからアスタナに移すことを決定し、翌1998年に遷都を実施しました。しかし、現在なお、アルマトイがカザフスタン最大の都市であることには変わりありません。

 このように、今年はソ連崩壊から20周年の節目の年にあたっています。11月に上梓した拙著『ハバロフスク』も、そうしたタイミングを意識して作った本で、激動のソ連・ロシア現代詩の一端を切り取るよう、努力したつもりです。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 <追記>
 この記事をアップした直後、独立記念日の16日、カザフスタン西部のジャナオゼンで大規模なストライキを展開していた石油ガス生産会社の従業員らと治安部隊が衝突。銃撃戦も起き、多数の死傷者が出ているとの報道がありました。独立以来20年におよぶナザルバエフ独裁体制の崩壊の序曲となるかどうか、今後の推移に注目したいところです。


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 ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語『サンデー毎日』12月25日号で紹介されました。

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