内藤陽介 Yosuke NAITO
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 小さな世界のお菓子たち:チョコケーキの切手
2014-10-12 Sun 09:55
 ご報告が遅くなりましたが、大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第25号(2014年秋号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      キュラソー・チョコケーキ

 これは、キュラソーで日常的に作られているお菓子を紹介した2011年のシリーズ切手のうち、チョコレート・ケーキを取り上げた195セント(1アンティル・ギルダー95セント)切手です。

  南米のヴェネズエラは現在では一大産油国となっていますが、かつては、世界有数のカカオの生産地でした。ヴェネズエラからヨーロッパ向けにカカオを運ぶルートはいくつかありましたが、ヴェネズエラ北方60キロの地点にあるキュラソー島は、その重要な中継地点の一つでした。

 17世紀にキュラソー島を支配下に収めたオランダは、ヴェネズエラのカカオ農園での労働力として西アフリカから黒人奴隷を運び、ヴェネズエラからカカオをオランダへ運ぶ貿易で巨額の利益をあげました。サイドカーやブルー・ハワイなどのカクテルに使われるほか、製菓材料としてチョコレート菓子などにも使われることのあるリキュール、キュラソー(以下、地名と区別するためキュラソー酒)は、キュラソー島で獲れるオレンジの果皮を乾燥させたものでラムに風味付けしたもので、17世紀後半、オランダ本国で考案されました。

 さて、現在、キュラソー島はオランダ王国を構成する自治国(自治領)の一つとなっており、独自の切手(ユーロ建てではなく現地通貨のアンティル・ギルダー建て)も発行しています。

 今回ご紹介の切手もその1枚で、ホールのチョコレート・ケーキから1ピースを切り出した状態の写真を取り上げています。中のスポンジもしっかりと見えますが、しっとりとした質感は、キュラソー酒をたっぷりと使った大人の味付けを連想させるのが良い感じです。連休中日の午後、美味しい紅茶を淹れて、こんなケーキをゆっくりと味わってみたいですな。


 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 インターネット放送・チャンネルくららにて、10月8日より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)
 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月7日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 キュラソー・ヴィザ
2014-01-14 Tue 22:01
 昨年、日本プロ野球の年間本塁打記録を塗り替えたヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が、マイアミ近郊に在住で離婚協議中の妻に対する暴行・監禁の容疑で、現地時間13日(日本時間14日)に逮捕されたそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        キュラソーFFC

 これは、1943年8月、バレンティンの故郷であるキュラソー島ウィレムスタットとニューヨークの間を飛んだKLM(オランダ航空)の初飛行カバーです。ちなみに、KLMが大西洋を横断してオランダ本国と蘭領キュラソー植民地を結ぶ航空路線が開設されたのは1934年のことでした。

 その後、第二次大戦が勃発し、オランダ本国がドイツの占領下に置かれると、王室と政府はロンドンに亡命。この間の1942年、ウィルヘルミナ女王はオランダの海外領土に戦後の自治拡大を約束するとともに、蘭領キュラソー植民地の島々はオランダ政府の同意の下、米英両国によって占領されました。

 ところで、戦時中、ナチス・ドイツの迫害を逃れたユダヤ系の難民の中には、ユダヤ人の受け入れに比較的寛大な蘭領キュラソー植民地のヴィザを取得し、蘭領キュラソー植民地に行くという名目でドイツないしは親独政権の支配地を逃れるケースが少なからずありました。彼らのほとんどは、実際には蘭領キュラソー植民地までは行かず、“経由地”の米国や上海などにそのままとどまり、その地で亡命生活を過ごしていました。なお、杉原千畝の有名な“命のヴィザ”は、日本、米国などを経由して“最終目的地”の蘭領キュラソーへ行くために、リトアニアを通過しなければならないというのが、発給の建前となっています。

 今回ご紹介のカバーは、そうした事情を踏まえて、蘭領キュラソーと米国との航空便がスタートしたことを記念して作られたもので、カバーは、キュラソー島のウィレムスタットを発った後、同じく蘭領のアルバ島、ハイチのポルトープランス、ジャマイカのキングストン、キューバのカマグエイを経て、マイアミで米国に入るというルートをたどっています、その後、飛行機はニューヨークまで飛びましたが、このカバーそのものはウィスコンシン州のウォッシュバーンに届けられました。

 さて、今回逮捕されたバレンティンは、かつての杉原ヴィザを持ったユダヤ難民とは逆に、シーズン終了後、故郷のキュラソー島に帰った後、キャンプ開始時までには米国を経て日本に戻ってくるというルートをたどる予定だったわけですが、今回の逮捕劇によって、最終目的地へは行かず、しばらくフロリダにとどまることになりました。まぁ、米国の場合は相応の保釈金を支払えば割と簡単に保釈はされるのでしょうが、容疑者ないしは被告人という身分になってしまった以上、日本でプロ野球選手として活動するためのヴィザも、以前よりは取りにくくなったのではないでしょうか。もっとも、今回の一件で奥さんとの離婚は避けられず、そうなると、巨額の慰謝料や損害賠償を支払わないといけなくなるのは確実で、そのためには、是が非でも、日本に来て稼がないといけないというジレンマがあるわけで、バレンティンにとっては、まさに、来日のための“命のヴィザ”を心待ちにしているということなんでしょうかね。


 ★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第5回テーマティク出品者の会 1月17-19日(金ー日)
 於・切手の博物館(東京・目白)

 テーマティク出品者の会は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のバンコク展に出品した朝鮮戦争のコレクションを展示します。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)


 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★

 2014年1月2日より、東京・両国の江戸東京博物館で大浮世絵展がスタートしますが、会期中の1月24日13:30より、博物館内にて「切手と浮世絵」と題するトーク・イベントをやります。

 参加費用は展覧会の入場料込で2100円で、お申し込みは、よみうりカルチャー荻窪(電話03-3392-8891)までお願いいたします。展覧会では、切手になった浮世絵の実物も多数展示されていますので、ぜひ遊びに来てください。

 なお、下の画像は、展覧会と僕のトーク・イベントについての2013年12月24日付『讀賣新聞』の記事です。

大浮世絵展・紹介記事


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は2月4日(原則第1火曜日)で、ついで、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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 バレンティン選手の故郷
2013-09-16 Mon 12:06
 プロ野球ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が、きのう(15日)、神宮球場で行われた阪神戦で今季56・57号の本塁打を打ち、1964年の王貞治、2001年のタフィー・ローズ、2002年のアレックス・カブレラの55本を抜き、シーズン本塁打のプロ野球新記録を樹立しました。というわけで、きょうは彼の故郷、キュラソーの切手からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

       キュラソー(1873)

 これは1873年に発行されたキュラソー最初の切手のうちの2セント半切手です。

 キュラソー島は、ベネズエラの北約60km、カリブ海に浮かぶオランダ領で、1499年、スペイン人アロンソ・デ・オヘーダとイタリア人アメリゴ・ヴェスプッチによって“発見”されました。その後、1634年にオランダ艦隊が上陸し、翌1635年にキュラソー島にフォート・アムステルダム要塞を建設。オランダ西インド会社の管轄(事実上のオランダ領)となりました。この時代の郵便は、オランダ本国とカリブ海のオランダ領との間を結ぶ不定期便によって運ばれていました。

 ナポレオン戦争中の1807-15年、キュラソー島を占領した英国は現地に郵便局を開設。戦後の1815年、キュラソー島とアルバ島、ボネール島をあわせたヴェネズエラ沖の蘭領ABC諸島は“キュラソー植民地”として、再びオランダ西インド会社の管轄下に置かれます。これに伴い、キュラソー島の英国局は閉鎖されましたが、オランダが首都のウィレムスタットに郵便局を開設したのは1825年のことでした。

 その後、1828年になると、キュラソー植民地とSSS諸島(シント・マールテン島+シント・ユースタティウス島+サバ島)からなるシント・ユースタティウス植民地、それにギアナ植民地(現スリナム)をあわせた蘭領西インド植民地が設置されますが、1845年には、ギアナ植民地とキュラソー植民地(旧キュラソー植民地+シント・ユースタティウス植民地)に再分割されています。その後、1834年まではウィレムスタット=ヘレフートスライス間の郵便はオランダが取り扱いましたが、採算が合わずにオランダが路線を廃止したため、1842年から1885年までは英国船によって運ばれました。

 今回ご紹介のキュラソー最初の切手が発行されたのは1873年5月23日のことで、切手はキュラソー植民地を構成する6島(ABC諸島+SSS諸島)で使用されています。

 さて、第二次世界大戦中、オランダ本国はドイツの占領下に置かれ、王室と政府はロンドンに亡命。この間の1942年、ウィルヘルミナ女王はオランダの海外領土に自治の拡大を約束するとともに、キュラソー植民地の島々はオランダ政府の同意の下、米英両国によって占領されました。

 戦後の1948年5月、キュラソー植民地は大幅な自治権を認められた“蘭領アンティル”に改められましたが、1970年代のオイルショックが起こると、自らは石油を産出せず、ヴェネズエラ産原油を輸入して精製することを経済的な基盤としていたキュラソー島は経済的に大きな打撃を受けます。その後、1985年にはロイヤル・ダッチ・シェルがキュラソー島の製油所を閉鎖したこともあり、翌1986年、アルバ島がアンティルから離脱。さらに、蘭領アンティルを構成する各島の経済格差などから蘭領アンティルの解体を求める世論が高まり、2004年10月、オランダとアンティルの合同委員会の話し合いにより、蘭領アンティルの解体が宣言されました。

 この結果、2010年10月10日、キュラソー島とシント・マールテンは単独の自治領となり、ボネール島、シント・ユースタティウス島、サバ島の3島は、オランダ本国に編入され、現在のキュラソー自治領が誕生したというわけです。

 今回、偉業を達成したバレンティンは1984年生まれですので、現在のキュラソー自治領ではなく、旧蘭領アンティルの出身というのが正確なのでしょうが、出生地はキュラソー島の首都ウィレムスタットですからねぇ。これまでくどくど述べてきた制度上の変遷はともかく、キュラソー出身と言っておけば十分でしょうな。


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 * 出版元特設ページはこちらをご覧ください。

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