内藤陽介 Yosuke NAITO
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World Wide Weblog
 ボロディノの戦い
2015-09-07 Mon 22:41
 1812年9月7日、ロシア・モスクワ西郊のボロディノで、ナポレオン1世ひきいるフランス遠征軍とロシア軍が戦った“ボロディノの戦い”を再現するイベントが、きのう(6日)、かつての戦跡で行われたそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      反共フランス義勇軍団・ボロディノ

 これは、1942年4月20日、ボロディノの戦い130年を記念して発行された反共フランス義勇軍団の発行した“切手”で、1812年のフランス軍の兵士と、切手発行時の兵士が並べて描かれています。

 1941年、独ソ戦が勃発すると、親独ヴィシー政権下のフランス国内では、ドイツ軍に所属して共産主義(ソ連)と戦うためのフランス人義勇兵部隊として、反共フランス義勇軍団が創設されました。彼らは、ポーランドでの訓練を終えた後の1941年11月、ドイツ陸軍第638歩兵連隊としてドイツ陸軍第7歩兵師団に所属し、東部戦線におけるモスクワの戦いに参加したのを皮切りに、ソ連軍と戦いました。

 反共フランス義勇軍団に参加した将兵の郵便物は、20グラムまでは無料で、20グラムから1キロまではヴィシー政権とドイツの協定によって決められています。今回ご紹介の“切手”は、ボロディノの戦い130年の名目で、無料の軍事郵便に1フランの国防献金を課すため、5種セットで発行されたものの1枚で、1万セットが製造され、パリ、リヨン、マルセイユで販売されました。
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 さて、“切手”の題材となったボロディノの戦いでは両軍ともに大きな損害を出したものの決定的な勝利は得られず、ロシア軍の戦略的撤退によって戦闘はいったん終息します。これを受けて、9月14日、フランス軍はモスクワに入城しましたが、陸軍部隊が健在のロシア皇帝アレクサンドル1世は和平交渉を拒否。このため、10月19日、ナポレオンはモスクワからの撤退を余儀なくされ、その帰途、フランス軍は冬のロシアで壊滅的な敗北をこうむることになります。まぁ、この“切手”を企画・発行した時点では、独ソ戦のドイツ軍もナポレオン同様の運命をたどるとはあ、ゆめゆめ考えてはいなかったでしょうが。

 
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 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

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 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

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 あすからヨーロッパ切手展
2014-10-09 Thu 12:19
 あす・あさって(10・11日)の2日間、東京・目白の切手の博物館にて「第2回ヨーロッパ切手展」が開催されます。今回のお題は、今年日本との国交150周年を迎えた“スイス”で、展覧会はスイス大使館の国交樹立150周年記念事業の認定を受けています。内藤も第二次大戦中のスイス・ジュネーヴ経由でやり取りされたレターシートのミニ・コレクションを展示します。というわけで、その作品の中からこのマテリアルをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      レターシート・エジプト    レターシート・エジプト(裏)

 戦時下の捕虜等の通信手段の一つとして、差出人が赤十字社支給の専用のレターシートに通信文(上の画像だと左側の中ほど)を書いてそれをスイスのジュネーヴの赤十字本部経由で名宛人に送り、受け取った名宛人は自分が受け取ったシートを使って再びジュネーヴ経由で捕虜等に返信する方式があります。

 今回ご紹介のレターシートもその一例で、差出人のアミセル氏は、1943年6月27日、カイロの赤十字委員会から支給されたシートに25語以内の文章を書いて本国宛に差し出しました。その後、シートはエジプト当局の検閲を受けてからジュネーヴの赤十字本部に送られ、そこから、ドイツ赤十字社を経て親独ヴィシー政権に引き渡され、宛先のマルセイユまで届けられました。

 一方、レターシートを受け取ったアロンベール氏は、1943年10月2日、このシートの裏面(上の画像だと右側)に返信を書き、折りたたんで封をした後、1フラン50サンチームの切手を貼ってリヨンの担当窓口(おそらく、個人的な事情でマルセイユからリヨンに移っていたのでしょう)に提出。その後、シートはジュネーヴの赤十字本部を経てエジプトに送られ、当局の検閲の後、アミセル氏に渡されました。ついでですので、返信時に折りたたまれた状態でのシートの画像も下に貼っておきます。この状態だと、封をしていた痕跡もわかりやすいと思います。

      レターシート・エジプト(折りたたみ)   レターシート・エジプト(折りたたみ・裏)

 第二次大戦前後の郵便物をそれなりに集めていると、時折、この類のレターシートも集まってきます。ちょっと特殊なケースですし、潤沢に資料があるという分野でもありませんので、なかなかまとめる機会がなかったのですが、今回の切手展は“スイス”がお題ということなので、思い切って、手元の分を国別・タイプ別に簡単に整理してみました。体系的に集めてきたわけでもなければ、あまり知識のある分野でもありませんので、展示にはいろいろと不備や誤りもあるでしょうが、競争展ではありませんので、中立国のスイスが戦時下の郵便交換において重要な役割を果たしていたことを示すひとつの材料として、気楽にご覧いただけると幸いです。

 なお、僕以外のコレクションは、有名なバーゼルの鳩を含むスイス初期の切手のコレクションを始め、かなり見ごたえのある内容になっております。入場は無料ですので、よろしかったら、ぜひ遊びに来ていただけると幸いです。
 

 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 インターネット放送・チャンネルくららにて、10月8日より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)
 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月7日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 アンリ4世の頭部
2010-12-16 Thu 22:52
 フランス・ブルボン王朝の開祖で“ナントの勅令”で知られるアンリ4世のものとされていた頭部について、鑑定を続けていた法医学者らのグループが「本人と確認した」と発表したそうです。というわけで、きょうはこんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        アンリ4世MC

 これは、1943年10月にフランスで発行された“16世紀の有名人”のうち、アンリ4世を取り上げた5フラン(+10フラン)切手のマキシマムカードです。

 アンリ4世は、1553年12月13日、当時のユグノー(フランスのプロテスタント)の盟主だったブルボン家のヴァンドーム公アントワーヌのことして、フランス南西部のポーで生まれました。

 父親のアントワーヌは1561年にカトリックに改宗しましたが、1562年に始まるユグノー戦争でユグノーの盟主となった叔父のコンデ公ルイ1世と戦って戦死。このため、アンリはブルボン家の当主となり、当時の新旧両教の対立の中で改宗を繰り返すことになります。

 1589年、フランス王アンリ3世が暗殺されると王位を継承。その後、カトリックに改宗して国内を平定し、1598年にナントの勅令を発布してユグノーに信教の自由を認めて国内融和に努め、40年近くにわたる戦争を終結させました。その後、長年の戦乱で疲弊した国家を再建しようとしましたが、1610年、狂信的なカトリック信者によって暗殺されました。

 さて、アンリ4世の遺体は、死後、他の王と同じくパリ郊外のサンドニ教会に埋葬されましたが、1789年の革命後に反王党派勢力が棺を開けて遺体を庶民用墓地に放置。何者かによって遺体は切り刻まれてしまいました。そのうちの頭部は、19世紀にドイツ貴族のコレクションに入り、20世紀初頭にはパリでの競売で落札されるなど、しばしば表に出て来たのですが、なにぶんにも本人との確認が取れないため、その真偽については眉唾ものとする見方が一般的でした。

 今回、所有者の依頼により鑑定が行われた結果、頭部には頭髪や髭が残っていたほか、王が付けていたピアス跡が右耳にあり、暗殺未遂の刃物の傷跡が上唇部分の骨に残っていることなどから、本人のモノに間違いないとの結果が出たようです。

 そこで、今回は王の耳がはっきりと描かれているマキシマムカードをもってきて、決め手になったピアスないしはその跡を探してみようかとも思ったのですが、ちょっと難しかったですな。


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 現代版“赤と黒”
2010-09-14 Tue 10:26
 きょう(14日)の午後には民主党代表選挙の結果が出ます。政権与党トップを選ぶ選挙だけに、事実上、総理大臣を選ぶ選挙でもあるわけですが、どちらが選ばれても明るい展望が開けるわけではなさそうで、どうにもパッとしませんな。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

         スタンダール

 これは、1942年にフランスで発行されたスタンダールの切手で、彼の代表作『赤と黒』にちなみ、赤と黒の二色刷りになっています。

 スタンダールは、1783年、グルノーブル高等法院の弁護士の子として生まれました。1799年、優秀な成績で理工科学校の入学試験に合格。親戚の口利きで陸軍少尉に任官し、イタリア遠征に参加したましたが、実際には軍務はさっぱりで、もっぱら女遊びと観劇にうつつをぬかしていたといわれています。1802年、軍を辞めて輸入問屋に勤めたものの、ナポレオンの大陸封鎖令によって海外貿易が途絶してしまったため、1806年、陸軍主計官補となり、1810年には帝室財務監査官にまで昇進しました。

 ナポレオン・ボナパルトの没落後はフリーのジャーナリストとして活躍。自由主義者であったため、王政復古の時代は不遇でしたが、1830年の7月革命後は政治的にも復権を果たし、ローマ教皇領チヴィタヴェッキア駐在フランス領事にも任じられています。1842年没。代表作は『恋愛論』『赤と黒』『パルムの僧院』などです。

 代表作の『赤と黒』の主人公、ジュリアン・ソレルは、貧しい木こりの子ですが、ナポレオンを崇拝し、野心に満ちた美しい青年でした。初めはナポレオンのように軍人としての栄達を目指していたものの、王政復古の世の中ではその願いもままならないため、当時、羽振りの良かった聖職者を目指すことになります。その過程で、最初はレナール夫人(夫は町長)との不倫の情事に溺れ、後に、ラ・モル侯爵家令嬢のマチルドと“できちゃった結婚”寸前にまでいきます。しかし、侯爵からの身元照会に対して、レナール夫人は「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」と返信したため、婚約は解消。激怒したジュリアンは夫人を射殺しようとして捕えられ、裁判で死刑となるというのが、おおよそのあらすじです。

 作品については、「野心的な青年、ジュリアン・ソレルの目を通して来るべき革命(七月革命)を恐れながら堕落した生活を送る、王政復古下の聖職者・貴族階級の姿をあますところなく表し支配階級の腐敗を鋭くついている」と評されています。なお、スタンダール本人は題名の由来について何も説明していないのですが、一般には“赤と黒”は主人公のジュリアンが出世の手段にしようとした軍人(赤)と聖職者(黒)の服の色を表していると考えられているようです。

 さて、今回の民主党の代表選挙に関しては、左翼市民運動家あがりの現代表(赤)と金銭スキャンダルまみれの前幹事長(黒)の争いであることから、“赤と黒”の代表選という人もあるようです。スタンダールの『赤と黒』は、時代の変化を直視せず、革命を恐れながらも無為に過ごしてきた“赤”と“黒”が結局は破綻するという大枠があるわけですが、急激な円高の進行や共産中国による我が国への相次ぐ侵略行為など、山積する難問に対して、現代日本の“赤”と“黒”もまた、権力闘争にうつつを抜かし、あまりにも無為無策であるのが頭の痛い限りです。ホント、早く“革命”(=政権交代)が起こって、“赤”も“黒”も一掃してほしいですわ。


  ★★★ お知らせ ★★★

 9月16日(木)、夜9時からTOKYO MXテレビの番組ザ・ゴールデンアワー『事情のある国の切手ほど面白い』の著者として登場します。僕の出番は9時10分頃で、約20分間の特集コーナーとなる予定。生放送への出演は久しぶりなので、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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 ボジョレー解禁
2008-11-20 Thu 09:42
 きょうは11月の第3木曜日。いわずと知れたボジョレー・ヌーボーの解禁日です。というわけで、ストレートにこんな切手をもってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

 フランス・ブドウの収穫

 これは、第2次大戦中の1940年12月に発行された慈善切手の1枚で、ブドウの収穫の場面が取り上げられています。この年の慈善切手は農業をテーマにした4種類の発行で、他には、小麦の収穫、種まき、牧牛の場面を取り上げた切手が発行されています。

 1940年6月、フランスはドイツに降伏。その結果、パリをふくむ北部と西部をドイツに、マルセイユを含む南部をイタリアに保障占領され、第1次大戦の英雄であったフィリップ・ペタンを首班に、中部の都市であるヴィシーを首都として親独的中立政権が発足し、第3共和政は終焉を迎えます。

 ヴィシー政府の発足後、フランス切手の国名表示が“フランス共和国”を示すRFから、フランス郵便(Postes Françaises)へと変更されたことは広く知られています。ただし、ヴィシー政府発足後も1941年前半まではRF表示の切手が発行されており、国名表示の完全な切り替えにはそれなりに時間がかかっています。今回ご紹介の切手も、ヴィシー政権発足後のRF表示の一例です。

 ちなみに、切手に描かれている人々の服装は、日本では9月から10月頃の気候という感じですが、ボジョレー地方でのブドウの収穫が行われる9月中旬ごろの気温は、だいたい、朝が10℃、昼間が15℃だそうです。切手が発行された当時、ボジョレー地方はヴィシー政府ではなくドイツの占領下にあったということを考えると、切手に描かれている収穫の場面も、ボジョレーではなく、ヴィシー政府の支配が及んでいた南仏プロヴァンスあたりの光景じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。

 まぁ、美味い酒が飲めれば、その産地がボジョレーであろうとプロヴァンスであろうと、どちらもウェルカムというのが僕の本音なんですがね。


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