内藤陽介 Yosuke NAITO
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World Wide Weblog
 世界の切手:モルディヴ
2017-02-19 Sun 09:49
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2月15日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はモルディヴの特集(2回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      モルディヴ・ヒジュラ暦15世紀

 これは、1981年2月、モルディヴから英国宛に差し出された葉書で、西暦1980年11月9日にヒジュラ暦の15世紀(=1401年)が始まったことを記念して使われた聖地メッカをデザインした円形の印と、コーラン第21章第92節もしくは第23章第52節の文言「本当に、あなたがたのこのウンマこそは、唯一の共同体である(إِنَّ هَذِهِ أُمَّتُكُمْ أُمَّةً وَاحِدَةً)」のアラビア語オリジナルと英訳・ディベヒ語(モルディヴの公用語)訳が入った角印が押されています。

 モルディヴ環礁の一帯には、いまから約2000年前にセイロン(現スリランカ)と南インドから仏教徒が移住し、以後、この地の先住民たちは、土着の信仰であった太陽崇拝を捨てて仏教に改宗しました。モルディヴの仏教には土着の要素が強く反映されており、海の魔物“ジニ”に生贄として処女を捧げる風習も残っていました。

 モルディヴにイスラムが伝来し、人々が改宗した経緯については、1656年、首都・マーレに建設されたジュムア・モスクに記録が残されています。

 それによると、1153年、モルディヴを訪れ、生贄の習慣を目にしたアラブ商人アブー・バラカートは、自分が生贄になることを申し出て、コーランを朗誦して魔物を追い払います。これに感謝した仏教徒は感謝の品をアブー・バラカートに与えようとしましたが、モルディヴは貧しく、それに値するモノは何もありませんでした。そこで、アブー・バラカートが「コーランに書かれている来世の楽園をこの地に作り、多数の処女を集めよう」と勧めると、島の仏教徒たちは競ってイスラムに改宗し、処女を集めます。しかし、住民の改宗が終わると、処女たちは消えてしまい、以後、アブー・バラカートとその子孫がイスラム系の地方君主、スルターンとしてモルディヴを支配するようになりました。

 その後、大航海時代の1558-73年、マーレはポルトガル人に占領され、ポルトガル人は島民にワインを与えてキリスト教に改宗させようとしましたが、島民は「処女があふれているわけでもないのに、楽園の美酒に酔うわけにはいかない」として改宗を拒否。 1573年には、ムハンマド・タクルファーンがポルトガル人を破り、マーレを王都としてウティーム王朝を開きます。ウティーム王朝は、1697年にインド南部から侵攻したフラーゲ王朝に滅ぼされるまで、12人のスルターンを輩出しました。

 ウティーム王朝はサンゴで作られた壮麗な王宮を建設し、王朝の開祖にちなんでムハンマド・タクルファーン宮殿と命名しました。同宮殿は、ウティーム王朝の崩壊後も歴代の王朝が王宮として使用されたほか、敷地の一部は大統領の私邸として現在も利用されており、モルデイヴを代表する文化遺産のひとつとして、今回ご紹介の葉書の切手にも取り上げられています。

 なお、モルディヴは1645-1796年にはオランダの保護国となり、1877-1965年には英領となりましたが、これらの時代にも島民のキリスト教への改宗はほとんど進まず、現在のモルディヴ国家はイスラムを国境としており、住民のほぼ100%がムスリムです。

 さて、『世界の切手コレクション』2月15日号の「世界の国々」では、モルディヴのイスラムについて扱った長文コラムに加え、特産のカツオ、ガーフダール環礁、ココヤシ、ディベヒ語とアラビア語のバイリンガルの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、 「世界の国々」の僕の担当回ですが、今回のモルディヴの次は、15日に発売された2月22日号でのブルキナファソの特集(2回目)になります。こちらについては、発行日の22日以降、このブログでもご紹介する予定です。 


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 モルディヴ独立50年
2015-07-26 Sun 11:12
 インド洋の島国、モルディヴが1965年7月26日に独立してから、きょうでちょうど50年です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      モルディヴ・1909年

 これは、1909年に発行されたモルディヴ最初の正刷切手で、マーレのミナレット(モスク付属の尖塔)が描かれています。

 現在のモルディヴ国家を構成している環礁には、もともと、太陽崇拝を行っていた先住民のレディンが住んでいましたが、いまから約2000年前にセイロン(現スリランカ)と南インドから仏教徒が移住してきたと言われています。

 その後、長らくこの地は仏教の影響下にありましたが、1153年にイスラムが伝来してイスラム化し、その後はイスラム系の地方君主であるスルターンの支配下に置かれることになった。アラブの著名な旅行家であったイブン・バットゥータも、1343-44年の10ヵ月間、この地に官僚として勤務しました。

 インド洋航海の要衝であるがゆえに、いわゆる大航海時代が始まると、列強諸国はモルディヴに目をつけるようになり、1558-73年にはポルトガル人がマーレを占領。さらに、1645年から1796年まで、モルディヴのスルターン王国はオランダによって保護国化されています。

 1877年、英領インド帝国を成立させ、インド亜大陸を掌中に収めた英国は、1887年、モルディヴを保護国化し、コロンボ(セイロン=現スリランカ)の総督府がスルターンを通じて住民を支配・監督する体制が整えられました。

 これを受けて、1906年9月9日、英国はモルディヴに近代郵便制度を導入します。当時、モルディヴは英領セイロンの管轄下に置かれており、通貨も共通のものであったこともあり、モルディヴ最初の切手は英領セイロン切手に“MALDIVES”の文字を加刷したものでしたが、1909年、今回ご紹介の正刷切手が発行されました。

 切手に取り上げられたミナレットは、モルディヴの首都・マーレのジュムア・モスク(1656年建立)に属するもので、1675年に建立されました。白亜の塔に青い文字でコーランの文言が記されているほか、モスク内には、1153年にイスラムが伝えられて、人々が改宗した際の様子を記録した木彫も残されています。


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 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

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 世界の国々:モルディヴ
2015-04-01 Wed 12:47
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年4月1日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はモルディヴを取り上げています。その記事の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

       モルディヴ・野戦局カバー

 これは、1960年5月25日、モルディヴのガン島に置かれていた英軍基地内の野戦郵便局から差し出されたカバーです。
 
 第二次大戦中の1941年8月、イギリスは保護国だったモルディヴ南端のアッドゥ環礁(シーヌ環礁とも)のガン島に東洋艦隊の基地を設置します。大戦中、シンガポールが日本軍によって占領されていたこともあり、ガン島の海軍基地は英軍にとって軍事的な重要拠点となっていました。

 ところで、大戦中のモルディヴでは戦時統制の一環として海外との交易はスルターン政府が独占していましたが、大戦終結後も、貿易の独占により利権を得ていた政府関係者は貿易の自由化を拒否したため、住民は不満を募らせすことになります。このため、1953年、独立運動の指導者だったアミン・ディディは、英国の保護下に残ったまま、スルターンを廃位し、自らを大統領とする(第一)共和政を宣言。重要産業の国有化などを進めようとしました。しかし、新政権の急進左派的政策は経済的混乱を招き、1年も経たないうちに政権は崩壊。1954年にはムハンマド・ファリド・ディディがスルターンとなり、君主制が復活します。

 一方、1956年、いわゆる第2次中東戦争(スエズ動乱)が起こり、英仏はスエズ運河地帯から撤退。さらに、セイロンでも親ソ派のバンダラナイケ政権が、駐留英軍の撤退を要求するという状況になりました。

 このため、ヨーロッパとアジアの間に新たな補給基地を確保する必要に迫られた英国は、第二次大戦中に海軍基地として利用していたモルディヴ南端のガン島に着目。1956年末、年2000ポンドの賃料で100年間、ガン島を基地として使用する協定をモルディヴ政府と締結します。

 ところが、この協定が非同盟派のインドやセイロンを刺激することを恐れたモルディヴ議会は、1957年、協定の批准を否決するとともに、締結時のディディ首相を解任。後継首相となったイブラヒム・ナシールは、ガン島の貸与期間の短縮や、リース料の増額を要求し、協定の見直しを求めました。

 すでに、英国は飛行場建設のために数百人規模でモルディヴ人を雇用し、ガン島に移住させていたため、彼らはナシール政権に反発しましたが、政府はガン島住民に英軍基地で働くことを禁止して反対派を抑え込もうとします。さらに、政府が住民のカヌーの建造に新たに課税することを決めると、1959年1月、アッドゥ環礁の住民は暴動を起こし、英国の支援の下、“アドゥアン人民共和国”の独立を宣言しました。

 これに対して、アドゥアン人民共和国の独立を認めないモルディヴ政府は、アドゥ環礁の経済封鎖で対抗しようとしたものの、実際に島民が英軍基地の雇用で潤っているのを見た島々は人民共和国への参加を相次いで表明。1959年3月、彼らを加えてのスヴァディヴ連合共和国が結成されました。

 一方、英国は秘密裏にモルディヴ政府とも交渉を進めていましたが、1960年、モルディヴ政府が無条件で基地使用を認めたことで、スヴァディヴ連合共和国の独立を否認する声明を発表。これを受けて、1962年、モルディヴ政府はアッドゥ環礁に艦隊を派遣して“叛乱”を鎮圧。さらに、翌1963年、英軍が「スルターンの支配を受け入れない者は基地で雇わない」との方針を発表すると、アドゥ環礁は独立を撤回し、スルターン政府に合流せざるを得なくなりました。

 その後、英国はモルディヴの主権を認め、1965年7月26日、モルディヴは主権国家として正式に独立し、国際連合にも加盟を果たしています。

 さて、 『世界の切手コレクション』4月1日号の「世界の国々」では、モルディヴの近現代史について概観した長文コラムのほか、同国独自の鰹節やサンゴ礁の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の4月8日号では、「世界の国々」はアフリカのブルキナ・ファソを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・4月4日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『日の本切手 美女かるた』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ・4月25日(土) 11:00-12:00 スタンプショウ
 於 東京都立産業貿易センター台東館(浅草) 特設会場
 出版記念のトークを行います。入場は完全に無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。スタンプショウについての詳細はこちらをご覧ください。

 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は4月7日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 3月25日発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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