内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 世界の国々:ケイマン諸島
2016-03-16 Wed 11:26
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2016年3月16日号が先週、発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はケイマン諸島の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ケイマン諸島・立法議会設立100年

 これは、1932年に発行された“ケイマン諸島立法議会設立100年”の記念切手で、ケイマン諸島のシンボルともいうべきウミガメの上に、議会設立時の英国王ウィリアム4世と、切手発行時の国王ジョージ5世を並べて描いています。

  ケイマン諸島は、1503年、コロンブスの第4回航海の途上で“発見”されましたが、16世紀までは完全な無人島で人間が定住していた形跡はありません。

 1655年、オリバー・クロムウェル率いる英海軍は、当時、スペイン領だったジャマイカを占領。これを受けて、1658年、ジャマイカ駐留の英海軍の兵士であったウォルターとボーデンの2名がグランド・ケイマン島に最初の定住を試みました。その後の彼らの去就については定かではありませんが、1700年にはボーデンの孫アイザックがグランド・ケイマン島で生まれたとの記録が残されてます。また、1661年から1671年にかけて、ジャマイカからリトル・ケイマン島とケイマン・ブラック島に移住する者もありましたが、彼らはスペイン人の襲撃を受けたため、島を離れざるを得なくなりました。

 1670年にジャマイカがマドリード条約で正式に英領となると、ケイマン諸島は英領ジャマイカの管轄下に組み込まれます。

 ジャマイカの属領として英国の支配が始まった頃のケイマン諸島の中心は、グランド・ケイマン島南部の“サウス・サイド”で、1773年、ロンドンからこの地を訪れたジョージ・ゴールドは、島全体の人口400人のうち、200人ほどがここに集中しており、住民の多くがアイザックの子孫を自称してボーデン姓を名乗っていたことから、この集落が“ボーデン・タウン”の名前で呼ばれるようになっていたと報告しています。

 住民の自治が始まったのは1831年のことで、同年12月、立法議会の設立を求めて英国系の島民による最初の代議員選挙が行われました。ジャマイカ総督は、この選挙結果を認めたうえで、総督の任命する8人と地元選出の10人(後に27人に拡大)から構成される立法議会の設置をケイマン諸島に承認。今回ご紹介の切手は、ここから起算して100周年になるのを記念して発行されたものです。なお、1898以降は、それまでジャマイカ総督の直轄化に置かれていたケイマン諸島の行政を担当する役職として、ケイマン諸島担当の弁務官が任命されています。

 1959年、英領西インド連邦が創設されると、ケイマン諸島はジャマイカの属領ではなくなり、ケイマン諸島行政府の長として執政官が任じられるようになりました。同時に、ジャマイカとは別に、独自の成文憲法が制定され、ケイマン諸島の女性には初めて参政権が認められています。ただし、実質的には、ケイマン諸島の行政はジャマイカが管轄する状況がその後も続きました。

 その後、1962年にジャマイカが独立すると、行政上、ケイマン諸島はジャマイカから完全に分離され、英国の海外領土となり、現在に至っています。

 さて、『世界の切手コレクション』3月16日号の「世界の国々」では、今回ご紹介の切手のほか、ケイマン諸島として最初の切手やケイマン諸島のシンボルともいうべきウミガメの切手、海賊・黒髭の切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、僕が担当する「世界の国々」は、次回は本日発売の3月23日号でのニジェールの特集になります。こちらについては、3月23日以降、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

スポンサーサイト
別窓 | ケイマン諸島 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
 ケイマン諸島の切手
2015-05-28 Thu 22:09
 スイス警察は、きのう(27日)、米司法省の要請に基づき、これまでに9500万フラン(約120億円)を超える賄賂を受け取っていた疑いで、国際サッカー連盟(FIFA)副会長のジェフリー・ウェブ(英領ケイマン諸島籍)とエウヘニオ・フィゲレド(米国とウルグアイの二重国籍)ら幹部7人をFIFA本部のあるチューリヒで逮捕しました。というわけで、なかなかニュースでは聞くことのない“ケイマン諸島”の切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ケイマン諸島(1900)

 これは、1900年に発行された英領ケイマン諸島最初の切手です。

 ケイマン諸島はジャマイカ北西のグランドケイマン島、ケイマンブラック島、リトルケイマン島の3つのサンゴ礁の島で構成されており、もともとはスペイン領でしたが、1670年に英領となりました。

 郵便に関しては、1889年4月、ジャマイカ切手を用いて定期便がスタートし、首府のジョージタウンにグランドケイマン局が、ステイクベイにカイマンブラック局が開設されました。その後も、1962年にジャマイカが独立するまでケイマン諸島はジャマイカの属州扱いでしたが、1900年11月、今回ご紹介の切手を含むケイマン諸島最初の切手が発行され、これに伴い、19012月19日をもって同諸島でのジャマイカ切手の使用は停止されました。

 さて、ケイマン諸島というと、免許料収入(免税会社の設立費用として米ドルで約1600ドル、年間の政府関係諸費用が500ドル~、 マネジメントに関する年間の最低費用が1000-1750ドルだそうです)と物品税を徴収する代わりに、所得や利益、財産、キャピタル・ゲイン、売上、遺産、相続は非課税というタックス・ヘイヴンとして知られています。この制度を利用して、現在では570以上の銀行、430以上の保険会社、1400以上のファンドが同地で法人登記を行っているわけですが、それゆえ、時々経済事件でケイマン諸島の名前がメディアを賑わすこともあります。記憶に新しいところでは、2011年に発覚したオリンパスの粉飾事件でも、同社が損失隠しのために2008年に行ったM&Aで暗躍した投資ファンド、AXAMがケイマン諸島に法人登記を行っていたということもありましたな。

 なお、今回、逮捕されたウェブ副会長はケイマン諸島の生まれで、後年、ビジネス等のためにケイマン諸島のパスポートを取得したというわけではありません。それだけに、自分の生まれ故郷の特性を生かして、せっせと(不正)蓄財に励むようになったというのも、ある意味、自然な成り行きだったのかもしれませんが。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | ケイマン諸島 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/