内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょうからオリンピックとブラジル切手展(+全日展)
2016-07-22 Fri 01:52
 かねてご案内の通り、きょう(22日)から、東京・錦糸町のすみだ産業会館8階で、オリンピックとブラジル切手展(全日本切手展2016=全日展と併催)がスタートします。また、本日11:05~11:54にNHK総合テレビで放送の「ひるまえほっと」(首都圏域放送)では、11:36頃からの“1minほっと”のコーナーで、同展のことが紹介される予定です。というわけで、きょうは、オリンピック関連の展示の目玉のひとつとして、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・アテネ五輪初日印

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪の開催に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、プラクシテレスの“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”を描く2ドラクマ切手の初日使用です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 1896年アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1および2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。

 プラクシテレスは紀元前4世紀の最も有名なアッティカの彫刻家で、初めて等身大の女性のヌード像を作った彫刻家として知られています。切手に取り上げられた“幼いディオニューソスを抱くヘルメス”は、1877年にオリンピアで発見されました。彫刻は、ヘルメスがニュンペーたちのところにディオニューソスを運んでいる場面を表現したもので、神話の内容から、失われた右手は、子供(ディオニューソス)に与えるための一房のブドウを掲げていたものと推測されています。

 さて、今回展示されている市村正生貴コレクションは、1896年のアテネ五輪の切手では、きわめて完成度の高いコレクションとして知られています。展示には、今回ご紹介の初日印の押された切手のみならず、プルーフなどの試作品や貴重な使用例が多数含まれています。また、郵政博物館所蔵の東京オリンピック関連の切手原画もガラスケースで展示されています。ぜひ、この機会を逃さず、会場にてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 全日本切手展(+内藤陽介のトーク)のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
      
      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 会期中の7月23日15:00から、すみだ産業会館9階会議室にて「リオデジャネイロ歴史紀行」と題するトークイベントを行います。ぜひ、ご参加ください。


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 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
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 中国がピレウス港を買収
2016-04-10 Sun 15:45
 中国政府の管理下にある国有企業で中国海運最大手の中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)は、きのう(8日)、ギリシャ最大の港で地中海の要衝、ピレウス港を管理するピレウス港湾公社(OLP)の株式の67%を2段階に分け、計3億6850万ユーロ(約450億円)で取得する契約を正式に調印しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・ピレウス港50年

 これは、1980年にギリシャが発行したPPA50年の記念切手で、同港でのコンテナ埠頭が描かれています。

 ピレウスはアテネの外港で、古代ギリシャ時代から水深の深い3つの港があり、紀元前493年にはアテナイの海軍基地が建設されました。軍事・商業の両面で重要な港湾都市であったために、紀元前5世紀のアテナイとスパルタの戦い以来、幾度となく破壊されましたが、395年、ゴート族によって破壊されたことで、ながらく停滞の時期に入ります。

 1832年、近代ギリシャが独立し、首都がアテネに置かれると、首都に近いピレウスは再び脚光を浴びることになり、港湾都市としての再開発が始まり、1869年のアテネ=ピレウス鉄道開通、1893年のコリントス運河完成を経て、1898年、第1埠頭が完成。1904年には港への電力提供が始まり、1906年には第2埠頭が完成して、5350隻・325万トンの船舶処理能力を持つ近代的な港湾としての体裁が整えられました。

 ピレウス港の管理・運営については、1911年、15人からなるピレウス港湾委員会が設立され、同委員会の下で港湾施設の拡充が行われていましたが、1930年、同委員会はOLPに改組され、以後、同公社がピレウス港の管理・運営を行っていました。今回ご紹介の切手はここから起算して発行されたものです。

  2010年以来、深刻な経済状況が続いているギリシャは、現在、EUとIMFの支援を受けて財政再建中ですが、ピレウス港などの国有資産の民営化が支援実行の条件とされています。当初、チプラス政権は民営化に反対していましたが、現在では民営化推進姿勢に転じており、今回のOLP売却はその象徴的な出来事となりました。

 一方、中国側としては、ピレウス港の買収は、いわゆる“新シルクロード構想”にとって不可欠の事業であり、将来的には、中国海軍が欧州に進出する際の拠点として同港を利用することも視野に入れているといわれています。報道によれば、中国の外交関係者は「中国企業がピレウス港をうまく運営できれば、ほかの港を買収する際の抵抗が少なくなる」と話しているそうですが、ちょっと不気味な話ですな。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

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 近代五輪120年
2016-04-06 Wed 10:39
 1896年4月6日、ギリシャの首都・アテネで第1回近代五輪大会が開催されてから、きょうでちょうど120年です。というわけで、きょうはストレートにこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ・アテネ五輪(1896-60レプタ)

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪の開催に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、戦車競技を描く60レプタ切手です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 1896年アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1及び2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“ヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。このうち、レスリングと円盤投げは第1回のアテネ大会以来、前回のロンドン大会まで欠かさず実施されてきましたが、今回ご紹介の切手に取り上げられた戦車競技は近代五輪では行われたことがありません。(当たり前か)

 古代五輪の戦車競技には、2頭立て(シノリス)と4頭立て(テトリッポス)の2種目がありましたが、切手に描かれているのはテトリッポスのほうです。オリンピアの丘の真下の川沿いに設けられた競技場では、長さ約549m の両端に急な折り返し点の標柱があるコースを12周するレースが行われました。折り返し地点での衝突・転覆事故が多く、危険な競技でしたが、それゆえ、多くの観客は熱狂したところは、現在のモーター・スポーツにも通じるところがあるともいわれています。


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 ギリシャ国立銀行最大の資産
2015-06-29 Mon 17:18
 2010年以来、深刻な経済状況が続いていたギリシャで、欧州連合(EU)側が金融支援再開の代わりに受け入れを迫っていた財政改革案をギリシャ政府が拒んだことから、ユーロ圏財務相会合は、ギリシャ側が求めていた6月末の金融支援の期限延期の要求を拒否。これを受けて、きょう(29日)から1週間、ギリシャでは銀行が休業となり、預金の引き出し制限などの資本規制が実施されることになりました。というわけで、きょうは、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ国立銀行

 これは、1966年、ギリシャで発行された“ギリシャ国立銀行125年”の記念切手のうち、アテネにある同行本店の建物を描いた4ドラクマ切手です。

 ギリシャ国立銀行は1841年創立のギリシャ最古の銀行で、ギリシャ農業銀行と並んで、同国最大の商業銀行の一つです。純然たる民間企業ですが、1928年に中央銀行としてのギリシャ銀行が創設されるまでは、紙幣の発行権も持っていました。

 切手に取り上げられている本店の建物は、もともとは、1840年代に建てられたドムナド・マンション(左側)とアギーラ・ホテル(右側)のふたつの建物に分れていました。1845年、銀行の創業者、ゲオルギウス・スタヴロウは、まず、ドムナド・マンションを購入して銀行の店舗として使用するために改修。さらに、1855年には、店舗を拡張するため、アギーラ・ホテルも購入しました。この二つの建物は構造が良く似ていたため、1899年、一つの建物として連結され、中央の接合部分には現在の銀行の“顔”ともなっているファサードが作られました。その優美な外観はアテネ市内の観光名所の一つともなっています。それだけに、2010年以降、「ギリシャ国立銀行の最大の資産は、いまや(金庫の中のお金ではなく)本店の建物だ」とも言われているのだそうですが、今回のような事態になると、ちょっと洒落になりませんな。
 

 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 

 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展チラシ  全日展チラシ(裏)

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。

 
 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 コロンビアに続いてギリシャ
2014-06-25 Wed 11:08
 今年もまた、朝鮮戦争の始まった“ユギオ(韓国語で625の意)”がやってきました。現在開催中のサッカーW杯は、日本はコロンビアに負けて決勝トーナメントへの進出は果たせませんでした。この結果、1次リーグC組からは日本戦以前に決勝進出を決めたコロンビアに続き、ギリシャが決勝に進むことになりました。というわけで、昨日のコロンビアの記事と平仄をあわせる意味で、きょうはギリシャの朝鮮戦争関連でこんなモノをもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ギリシャ国連軍宛カバー

 これは、朝鮮戦争末期の1953年5月6日、アテネから朝鮮半島に派遣されたギリシャ軍の兵士宛に差し出された軍事郵便のカバーです。

 朝鮮践祚の勃発後、国連の要請を受けたギリシャは、第2次大戦と戦後のギリシャ内戦に参加したヴェテランを中心に、空軍および陸軍の兵力を朝鮮に派遣しています。

 このうち、空軍からは、輸送機のダグラスC-47sが7機と67名の将兵が1950年11月11日にエレフシナ空軍基地を出発し、12月3日、韓国に上陸しました。ギリシャ空軍は直ちに米空軍と合流し、1951年5月14日以降、ソウル近郊の金浦空港を拠点に、1955年5月23日まで2916回、計1万3777時間の輸送業務に従事し、韓国・国連側の7万568名(うち負傷者9243名)と大量の物資を運搬しました。

 一方、陸軍に関しては、当初、旅団規模の兵力の派遣が計画されていましたが、1950年秋に国連軍が38度線を越えて中朝国境まで到達したことを受けて、大隊規模の派遣に縮小され、当初は、ギリシャ陸軍の第1、第8、第9歩兵師団からの志願者849名で構成されることになりました。なお、国連軍に参加したギリシャ軍は“スパルタ大隊”と呼ばれています。

 スパルタ大隊は1950年11月15日にピレウス港を出航し、12月9日に釜山に上陸。16日に水原に移動し、米第7騎兵連隊の指揮下に入り、38度線近くの陣地争奪戦で中国人民志願軍と戦いました。中国人民志願軍との戦闘では損耗も激しかったため、1951年8月23日には兵力は1063名に倍増され、1953年7月の休戦までその規模が維持されています。具体的な戦闘としては、1951年10月3-10日、28名の戦死者を出しながら丘の占領に成功した“スコッチ・ヒル(313高地)の戦い”等が有名です。

 休戦後もギリシャ軍は停戦監視のために朝鮮駐留を続けたため、兵力は1955年4月の時点で2163名にまで拡大しました。しかし、1955年9月、トルコ最大の都市イスタンブルで大規模な暴動が発生し、ギリシャ系住民が多数殺害されると、ギリシャ政府は事態に対処するため、同年12月までに191名の連絡要員を残してスパルタ大隊を引き揚げさせました。その後、朝鮮駐留のギリシャ軍は縮小を重ね、1958年5月、最後まで残っていた10名が帰国しています。

 さて、現在、朝鮮戦争を題材とした本を今夏に刊行すべく、準備を進めています。正式なタイトルや刊行日などが決まりましたら、随時、このブログでもご案内していきますので、よろしくお願いいたします。


 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

 ★★★ 『外国切手に描かれた日本』 電子書籍で復活! ★★★

      1枚の切手には 思いがけない 真実とドラマがある

    外国切手に描かれた日本(表紙)     外国切手に描かれた日本(ポップ) 
    光文社新書 本体720円~

 アマゾン紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月20日から配信が開始されました。よろしくお願いします。(右側の画像は「WEB本の雑誌」で作っていただいた本書のポップです)


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 明日はギリシャ戦
2014-06-19 Thu 14:30
 サッカーのW杯は、日本時間の明朝(20日)、日本代表がギリシャと対戦します。というわけで、今日は日本×ギリシャということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アテネ=東京聖火リレー航空便

 これは、1964年の東京五輪に先立ち、同年8月21日、ギリシャ・オリンピアで行われた聖火採火式の記念印を押して東京宛に差し出された葉書の航空便で、1963年8月1日発行の「第11回世界ジャンボリー(同年7月29日から8月16日までマラトンで開催された)」の記念切手が貼られています。

 東京オリンピックの開会式に先立つ聖火リレーは、1964年8月21日(以下、日時はすべて現地時間)、ギリシャ国王コンスタンティノス2世臨席の下、オリンピアにあるヘラ神殿跡で聖火が採火されたところから始まりました。

 国王コンスタンティノス2世は、1964年3月6日、父王パウルス1世の崩御に伴い、国王として即位しました。その直前の2月9日にオーストリアのインスブルックで行われていた冬季オリンピックは閉幕していたため、8月21日の採火式は国王として参加した最初のオリンピック大会関連行事となりました。ところが、ギリシャでは1967年4月21日に軍事クーデターが発生し、同年12月、国王一家はローマに脱出。国王不在のまま、軍事政権は1973年に共和制を宣言し、民政移管後の翌1974年には国民投票により君主制の廃止が正式に決定されています。このため、コンスタンティノス2世にとっては、東京オリンピックがギリシャ国王として関わった唯一の大会となりました。

 採火式の後、聖火は古代オリンピアの競技場で東京オリンピック組織委員会会長の安川第五郎と聖火空輸派遣団長の高島文雄らに引継がれた後、アテネに運ばれ、“シティ・オブ・トウキョウ”号によって、8月23日、次の目的地であるイスタンブルまで運ばれました。

 ところで、今回ご紹介の葉書には、エアメールの表示としてプロペラ機をあしらった印が押されていますが、実際、採火式翌日の8月22日午後3時15分、オリンピアからアテネに運ばれてきた聖火を次の目的地、トルコのイスタンブルへ運んだ特別機“シティ・オブ・トウキョウ”号は、ダグラスDC-6Bというプロペラ式のレシプロ機でした。

 当時、わが国の国際航空路線を独占していた日本航空は、1960年8月12日、羽田=ホノルル=サンフランシスコ線で初のジェット機としてDC8型機を就航させていました。しかし、旧型のDC-6B型機に“シティ・オブ・トウキョウ”という名前の機体があったため、あえて、聖火運搬用の特別機としてはこちらが採用されています。

 ただし、もともと“シティ・オブ・トウキョウ”と呼ばれていた機体は、日本航空の所有するDC-6Bの中でも最も古いものだったため、DC-6Bの中では最新の機体だった“シティ・オブ・ナゴヤ”号を臨時に塗り替えて“(新)シティ・オブ・トウキョウ”号とし、ギリシャに派遣されたということです。

 * 本日のラジオ放送への出演は、無事、終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。 

 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

 ★★★ 『年賀状の戦後史』が電子版になりました! ★★★

  日本人は「年賀状」に何を託してきたのか?
  「年賀状」から見える新しい戦後史!

      年賀状の戦後史(帯つき) 

   角川oneテーマ21 本体720円~

 アマゾン紀伊国屋書店ウェブストアなどで、6月10日から配信が開始されました。よろしくお願いします。


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 サーベラスの正体
2013-06-26 Wed 10:59
 上場時期などをめぐり筆頭株主の米投資会社サーベラスCBS.ULと対立している西武ホールディングスは、きのう(25日)、定時株主総会を開催。サーベラスが提案していた8人の取締役選任は否決され、会社側が提案した社外取締役2人を含む4人が取締役として選出され、両社の対立はひとまず会社側に軍配が上がるかたちとなりました。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました(画像はクリックで拡大されます)

       ケルベロス

 これは、1970年にギリシャが発行した“ヘラクレスの12の難行”シリーズのうち、ケルベロスを生け捕りにするヘラクレスを描く30レプタ切手です。手元には使用済みの切手しかなかったのですが、いずれ未使用に差し替えますので、とりあえずはこの画像でご勘弁ください。ちなみに、ギリシャ語のケルベロスを英語読みにすると“サーベラス”になります。

 ケルベロスはギリシア神話に登場する冥界の番犬で、龍の尾とヘビの髭をもつ三首の犬として描かれるのが一般的です。死者の魂が冥界にやってくる時には尻尾を振って歓迎するものの、生者や冥界から逃げ出そうとする者には容赦なく襲いかかり、貪り食うとされています。そういう意味では、西武グループが上場廃止という冥界に入ってきたときには友好的だったものの、(西武側の理解によれば)再上場の際には無理難題を突き付けて食い物にしようというのは、まさに“サーベラス”という社名にふさわしい行動といえましょうか。

 なお、ギリシャ神話では、ケルベロスは吟遊詩人オルフェウスの奏でる竪琴によって眠らされたほか、甘いものが好きでソップ(蜂蜜入りの焼き菓子)を与えられると冥界から逃げ出す者を通してしまうのだとか。そういう話を聞くと、昨日の株主総会も、ハープのBGMを流しながら、サーベラス側の関係者には、プリンス・ホテルのケーキでも出しておけばよかったんじゃないかなぁ…などと下らぬことを考えてしまいました。

 さて、本日未明(26日00:00-00:45)に僕が出演したTBSラジオの「荻上チキ・Session-22:切手からみる世界(Session袋とじ)」は無事に終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。

 番組内では、ニュースへのコメントとして、“サーベラス”について今回の記事で書いたようなことをお話ししたほか、「命令だけください」と題された北朝鮮切手ハイパーインフレで額面が表示できなくなったジンバブエの切手2012年以来の北部の争乱で配達不能になったマリ・トンブクトゥ宛のカバーイラクのフセイン政権崩壊後にフセインの肖像を抹消した切手を貼って差し出されたカバー(番組で紹介したのとは別のモノですが、イメージとしてはこんな感じです)、グレナダの南野陽子切手などをご紹介しました。また、郵便がらみということで、ビートルズの“Please Mr. Postman”とエルビス・プレスリーの“Return to Sender”を流していただきました。

 その様子は、こちらからもお聞きいただけますので、よろしくお願いいたします。

 
 ★★★ 内藤陽介の最新作 ★★★

       マリ近現代史
         『マリ近現代史』

 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、
 切手・絵葉書等で色鮮やかに再現したオールカラーの本格的通史!
 
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 レスリング、五輪から除外か
2013-02-13 Wed 10:04
 きのう(12日)、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会がスイスのローザンヌで開かれ、昨夏のロンドン五輪で実施された26競技のうち、2020年の夏季五輪でも確実に行われる25の中核競技を決定しましたが、その中から、第1回大会からおこなわれてきたレスリングが除外されることになり、波紋を呼んでいます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        アテネ五輪(1896)・レスリング

 これは、1896年にアテネで開かれた第1回近代五輪に際してギリシャが発行した記念切手12種のうち、レスリングを描く2レプタ切手です。切手は、大会の開催資金を捻出するために発行され、その収益はじっさいに会場建設費の一部に充てられています。ただし、売上げは期待されたほどではなく、高額切手の多くは半数以上が売れ残ったため、そのうちの5種は後に改値加刷を施して再発行されました。

 アテネ五輪の記念切手は、いずれも、フランス政府印刷局によって印刷され、12種のデザインの内訳は、レスリング(1及び2レプタ)、ミュロンの“円盤投げ”(5および10レプタ)、アテナイの女神を描く花瓶(20および40レプタ)、戦車競技(25および60レプタ)、アクロポリスの丘と競技場(1ドラクマ)、プラクシテレスの“ヘルメス”(2ドラクマ)、パエオニウスの“勝利の女神”(5ドラクマ)、アクロポリスとパルテノン神殿(10ドラクマ)となっています。

 これを見ると、“近代五輪”とはいいながら、古代ギリシャのイメージが濃厚ですが、切手に取り上げられたレスリングと円盤投げは近代五輪でも第1回のアテネ大会以来、昨年のロンドン大会まで欠かさず実施されてきた競技であり、いわば、時代を超えて五輪を象徴する競技の一つといってよいでしょう。ちなみに、今回の理事会では、円盤投が中核競技から外されたということはないようです。

 さて、今後の五輪でのレスリングの扱いですが、次回、2016年のリオデジャネイロ大会では従来通り正式競技として行われるものの、2020年の大会に関しては、月にロシア・サンクトペテルブルクで開催のIOC理事会で復活を目指す野球・ソフトボールや空手など他の7競技とともに絞り込みを行い、最終的に9月の総会で2020年の大会で追加実施される1競技に選ばれるかどうか、ということになっています。

 まぁ、競技数の制限があるのでいずれかの競技が外れなければならないとはいえ、第1回からの伝統競技で日本人選手の活躍も期待できる種目、さらには、女子王者の吉田沙保里選手が2020年の大会を東京に招致するための日本の顔として活動をしているだけに、なんとかならないのか、というのが僕を含めて多くの日本人の率直な気持ちではないでしょうかね。


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 悲劇か喜劇か
2012-05-17 Thu 23:29
 今月6日に総選挙が行われたものの、組閣に向けた連立協議が決裂したギリシャで、6月17日に再選挙が行われることが決まり、それまでの選挙管理内閣の暫定首相に国家評議会(行政事件の最上級審)のピクラメノス長官が任命されました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        ギリシャ悲劇

 これは、1966年にギリシャで発行された劇場2500年の記念切手のうち、ギリシャ悲劇の仮面を取り上げた1ドラクマ切手です。

 ギリシャ悲劇は、もともとは、古代アテナイのディオニュシア祭で上演されていた悲劇のことで、仮面をつけた俳優と舞踊合唱隊(コロス)の掛け合いによって進行します。ちなみに、コロスの登場する舞台をオルケストラといい、劇場は円形のオルケストラを底とするすり鉢状となっていました。もともと、俳優一人で演じられていましたが、後に3人となりました。

 さて、2010年に発覚した経済危機以来、ギリシャ経済はまさに悲劇的な状況にあるわけですが、今回、再選挙を余儀なくされたことで、事態の一層の深刻化は避けられなさそうです。ちなみに、暫定首相の名前のピクラメノスはギリシャ語で「つらい」ないしは「悲嘆にくれた」という意味で、暫定首相は宣誓式前の大統領との会談で「(財政危機に直面したギリシャの現状を考えると)私はこの役目にぴったりですね」と冗談を飛ばしていたのだとか。悲劇なんだか喜劇なんだか、よくわかりませんな。
 
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 プロメテウス
2010-11-10 Wed 23:19
 沖縄・尖閣諸島沖の中国による不法越境と海上保安庁の巡視船への攻撃事件をめぐるビデオ映像が流出した事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)の男性職員が、自分がビデオを流出させたと名乗り出ました。警視庁は国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで取り調べ、容疑が固まれば逮捕する方針だそうです。このニュースを聞いて思い出したのが、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

         プロメテウス

 これは、1997年にギリシャが発行した“ヨーロッパ切手”の1枚で、人類に火を伝えるプロメテウスが取り上げられています。

 ギリシャ神話によると、プロメテウスは神々の姿に似せて創造された人類に火や数、建築、気象、文字などの知恵を伝えましたが、ゼウスはこれに激怒。プロメテウスをカウカソス山の山頂に張り付けにさせ、生きながらにしてハゲタカに肝臓を食べさせる責め苦を与えました。プロメテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、朝、目覚めると再びハゲタカが彼の肝臓をついばむということが繰り返され、それは、ヘラクレスが彼を解放するまで続けられたといいます。

 さて、今回、名乗り出た海上保安官は、中国による尖閣侵略の証拠ビデオが今月1日に一部の国会議員だけに7分程度に編集された映像が公開されただけで終わったことに危機感を募らせ、「このままでは国民がこの映像を見る機会を失う」として、ビデオを流出させたのだそうです。また、彼は、マスコミのインタビューに対して、「国民の誰もが見る権利がある。誰もやってくれないなら自分でやるしかないと、誰にも相談せず一人でやった」「私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまう」などとも動機を述べています。流出した映像を見る限り、多くの人が彼の主張に賛同することと思われます。

 たしかに、現政権の側からすれば、彼の行為は“守秘義務違反”に問われるのかもしれませんが(ただし、今回のビデオの内容が“守秘義務”の対象となりうるかどうかについては専門家の間でも否定的な見解が多く、そもそも、問題の海上保安官を起訴できるのか、あるいは、起訴しても有罪にできるのかは大いに疑問があるようです)、中国による我が国への明白な侵略行為のこれ以上ない証拠を白日の下にさらして広く国民に真相を知らしめることと、わが国の主権を損ねてまで中国に配慮し証拠ビデオを闇に葬ろうとすることでは、どちらが、真に日本国民の国益にかなっているか、あらためて言うまでもないでしょう。

 ちなみに、中国では以前から囚人の臓器売買が行われていますが、その中には、中国の現実を世界に知らしめようとして逮捕された政治犯や法輪功関係者も少なからず含まれているとされています。まぁ、彼らにしてみれば、プロメテウスに責め苦を与えたゼウスのどこが悪いということにもなるのでしょうがね。

 いずれにせよ、現在の民主党政権が、そうした国に配慮して、現代日本のプロメテウスの肝臓をハゲタカに喰らわせるようとしているのだとすれば、そう遠からず、ヘラクレスが現れて彼を救出せんことを強く望むところです。


 ★★★ トーク・イベントのご案内 ★★★

 11月13日(土)13:00から、東京・池袋で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『マカオ紀行:世界遺産と歴史を歩く』刊行記念のトークイベントを予定しております。一般書店での販売は11月25日以降の予定ですが、今回は会場限定での先行発売も行いますので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。


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