内藤陽介 Yosuke NAITO
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World Wide Weblog
 UAE成立以前の郵便と社会
2016-09-12 Mon 18:10
 ご報告が遅くなりましたが、日本アラブ首長国連邦協会の機関誌『UAE』第60号(2016年夏号)が発行されました。同誌には第59号に寄稿した「UAE成立以前の郵便と社会(1964年まで)」の続編として、主として、1963年以降、各首長国が独自の切手(いわゆるアラブ土侯国切手)を発行するようになった経緯について、まとめてみました。その記事の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ウンムルカイワイン・未発行

 これは、1960年、英国の東アラビア郵便庁が準備したものの、実質的に不発行に終わったとされるウンムルカイワイン加刷の切手です。
 
 ガルフ・ルピーの流通圏として、休戦協定諸国(現在のUAEの領域にほぼ相当)の郵便事業を管轄していた英国東アラビア郵便庁は、ドバイ以外への郵便網の拡大を計画し、1960年、ウンムルカイワイン、アジュマーン、フジャイラの3地域について、当時の英本国切手に現地通貨の額面と地名を加刷した切手を準備しました。

 しかし、最終的に、東アラビア郵便庁は1961年1月に域内共通の切手を発行し、これを休戦協定諸国全域で流通させることになったため、これらの加刷切手は発行されずに終わっています。ただし、連絡の不徹底から、これらの加刷切手は、ドバイの郵便局で誤って1日だけ販売された後、即日、発売停止とされました。

 なお、ウンムルカイワインのラテン文字表記については、現地でもさまざまな揺れがあるのですが、この加刷切手では、“UMM AL QAIWAIN”となっています。

 さて、東アラビア郵便庁が発行した休戦協定諸国共通切手については、アブダビが「切手に描かれたナツメヤシの大きさに大小があるのは、休戦協定諸国間の平等という原則に反している」として切手のデザインにクレームをつけたことから、結局、ドバイでしか使われずに終わり、1963年から1964年にかけて、各首長国が独自の切手を発行していくことになります。

 今回の記事では、こうしてアラブ土侯国切手の時代が始まり、1966年に通貨改革が行われるまでの話をまとめてみました。機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。
 
 
★★★ トークイヴェントのご案内 ★★★

 拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』の刊行を記念して、東京・青山の駐日ブラジル大使館で下記の通り、トークイヴェントを開催いたします。ぜひ、ご参加ください。

 ・日時 2016年9月23日(金)18:00~20:00(17:30受付開始)
 ・会場 駐日ブラジル大使館 セミナー・ルーム
  〒107-8633 東京都港区北青山2丁目11-12 (地図はこちらをご覧ください)
 ・参加費 無料
 ・定員 30名(申込多数の場合は先着順)

  * 9月16日(金)までに、お名前・ご連絡先・ご所属を明記の上、電子メール、ファックス等で下記宛にお申し込みください。(お送りいただいた個人情報は、大使館へ提出する以外の目的には使用しません)
  申込先 えにし書房(担当・塚田)
  〒102-0074 千代田区九段南2-2-7-北の丸ビル3F
  Tel. 03-6261-4369 Fax. 03-6261-4379
  電子メール info★enishishobo.co.jp (スパム防止のため、★の部分を半角@に変えてご送信ください)

 なお、トークヴェベント終了後、20:30より近隣のブラジルレストラン「イグアス」にて懇親会を予定しております。(イグアスの地図はhttp://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13048055/ をご覧ください) 
 会費は、『リオデジャネイロ歴史紀行』1冊の代金込みで6500円(書籍不要の場合は5000円)の予定です。参加ご希望の方は、トークイベントお申し込みの際に、その旨、お書き添えください。なお、懇親会のみの御参加も歓迎いたします。


★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』  ★★★ 

       リオデジャネイロ歴史紀行(書影) 2700円+税

 【出版元より】
 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介
 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行!
 発売元の特設サイトはこちらです。

 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

       リオデジャネイロ歴史紀行(東京新聞)


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 世界の国々:ウンムルカイワイン
2015-11-04 Wed 11:33
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年11月4日号が先週刊行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はウンムルカイワイン(雑誌の記事ではウンム・ル・カイワインと表示)の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ウンムルカイワイン・カバー   ウンムルカイワイン・カバー裏

 これは、1993年、ウンムルカイワインからシャルジャー宛の書留便ですが、メータースタンプや書留ラベル、裏面の郵便印などの表記がばらばらというのがミソです。

 “ ام القيوين”というアラビア語の首長国名を日本語で表記するのは、実は結構な難題です。アラビア文字では母音を表示しないため、“القيوين”をどう読むべきなのかが問題となるからであす。

 アラビア語の名詞には単数形と複数形の他、その物が2つの時にのみ使う双数形があります。問題の“القيوين”は、もともと、アラビア語で“力”を意味する“قوة”(クーワ)の双数形“قوتين ”に定冠詞の“アル(ال)”をつけたものが転訛したものとされています。文法通りの“قوتين”であれば、カタカナ表記は“クーワタイン”となるわけですが、首長国の名としては“ة”(tの音になる)が脱落しているため、これをそのまま読めば“クーワイン”となります。

 したがって、欧米の表示などでは“Umm al-Quwain”となっていることも多く、このローマ字表記を(長音を使わず)そのままカナ書きすると、“ウンム・アル=クワイン”となります。

 ところが、実際の発音では、この地域の方言で、ウンム・ル・カイワインと聞こえるせいか、日本語の事典類などではそのように表記しているケースが多いようです。また、発音に忠実にカナ書きするなら、定冠詞のアルの語頭は直前の単語で“母”を意味する“ウンム”の語尾に吸収されるので“ウンムルカイワイン”と書く方が良いかもしれません。(僕のブログでは、そうしています)なお、ドバイの日本総領事館のサイトでは“ウンム・ル・カイワイン”となっています。

 さらに、話を複雑にしているのが、1972年のアラブ首長国連邦発足以前、この首長国が独自に切手を発行していた時代、彼ら自身が切手上に記していたローマ字表記は“UMM AL QIWAIN”となっており、これをカタカナ表記すると“ウンム・アル=キワイン”となります。したがって、日本の切手商では、この首長国の名前は“ウンムルキワイン”とされることが一般的です。

 さらに、現地で用いられている郵便印などの表記も、QUWAIN、QUIWAIN(クィワインと読むのでしょうか)、QIWAINなどの揺れがあります。ちなみに、今回ご紹介のカバーでは、料金を納付するためのメータースタンプの局名表示は“UMM AL QUWAIN”ですが、書留ラベルの表示は“UMM AL QUIWAIN”となっています。さらに、裏面に押されている郵便局の証示印は“UMM AL QUIWAIN”と“UMM AL QIWAIN”の2種類のものが押されており、現地でも、ラテン文字での表記にかなりの揺れがあることがわかります。さらに、実際に発行されなかった加刷切手の中には“UMM AL QAIWAIN”表示のモノもあって、正直言って、もうぐちゃぐちゃな状態です。

 今回の記事では、とりあえず、ドバイの総領事館にならい、“ウンム・ル・カイワイン”の表記を使いましたが、外国語の固有名詞の日本語表記には、苦労させられることも多いですな。

 さて、 『世界の切手コレクション』11月4日号の「世界の国々」では、ウンムルカイワインのかつての主要産業である真珠や、この地域の城塞、ペルシャ湾の風景などを取り上げた切手もご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、今週発売の11月11日号では「世界の国々」はコモロの特集で、僕が原稿を書いていますが、こちらについては、来週以降、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★ 

 ・11月7日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『アウシュヴィッツの手紙』ならびに『ペニー・ブラック物語』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 11月11日刊行予定ですが、現在、版元ドットコムamazonhontoネットストア新刊.netの各ネット書店で予約受付中ですので、よろしくお願いします。

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