内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ノーベル医学生理学賞に大村智氏
2015-10-05 Mon 19:31
 スウェーデンのカロリンスカ研究所は、きょう(5日)、今年のノーベル医学生理学賞を大村智・北里大特別栄誉教授ら3人に授与すると発表しました。大村氏の授賞理由は「寄生虫によって起こる感染症の治療法の発見」で、日本からの受賞は、昨年、赤崎勇、天野浩、中村修二(米国籍)の3氏が物理学賞を受賞したのに続き2年連続です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。

      インド・フィラリア葉書

 これは、2007年にインドで発行された広告つき葉書のうち、蚊によって媒介される寄生虫のフィラリア類が引き起こす象皮症の予防と治療を訴えた1枚です。

 寄生虫のフィラリア類のうち、バンクロフト糸状虫などはヒトのリンパ管やリンパ節に成虫が寄生しますが、その雌は寄生主のリンパ管内でミクロフィラリアと呼ばれる幼生を多量に産生します。これが原因となってリンパ管やリンパ節は炎症を起こしますが、この症状が慢性化すると、リンパ管が機能しなくなり、身体にむくみ(浮腫)が生じます。そして、この浮腫の刺激によって皮膚や皮下組織の結合組織が増殖して硬化し、ゾウの皮膚のようになったのが、今回ご紹介の葉書に取り上げられている象皮症です。なお、ミクロフィラリアはリンパ管から血管に入り込みますので、蚊を媒介として他の寄生主に運ばれていくことになります。

 今回、ノーベル賞を受賞した大村氏は、土壌中の微生物が作り出す化学物質から有用なものを見つける研究を続け、これまで発見した480種類以上の化学物質から26種の医薬品や農薬がつくられています。

 特に、1979年に発見されたエバーメクチンは寄生虫に効果があり、これをもとに、米製薬大手のメルク社との共同研究で、構造を一部変えた抗寄生虫薬イベルメクチンを開発。この薬は、熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)およびリンパ系フィラリア症に極めて優れた効果を示し、中南米・アフリカにおいて毎年約2億人余に投与され、効果をあげてきました。今回ご紹介の広告葉書が発行されたのも、その延長線上にあるといっても良いかもしれません。

 ちなみに、北里大学北里研究所の前には、イベルメクチン発見を讃えてブルキナファソの彫刻家が制作した大村氏の彫刻が建てられているそうです。日本国内でメイド・イン・ブルキナファソのモノを拝める機会なんてめったにありませんからねぇ。こりゃ、機会を見つけて拝みに行かないといけませんな。


 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 

 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。

 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細はこちらをご覧いただくか、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。  

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 インドのモディ首相、訪日
2014-08-30 Sat 16:36
 インドのナレンドラ・モディ首相が、今日(30日)から、公賓として来日します。同首相は、ことし5月の就任後初の主要国訪問として日本を選び、経済と安全保障の分野を中心に日本との関係を強化したいという考えを強調しています。というわけで、日印友好の切手ということでこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      インド・両陛下ご来訪

 これは、昨年(2013年)12月5日にインドで発行された“日本の天皇・皇后両陛下ご来訪記念”の小型シートで、両国の象徴として、デリーのクトゥブ・ミナールと東京タワーが並んで取り上げられています。

 天皇皇后両陛下は2013年11月30日から12月6日まで、インドを公式訪問されました。両陛下のインド公式訪問は、天皇陛下が皇太子時代の1960年以来、53年ぶりで、歴代天皇のインド訪問は、これが最初のことでした。

 両陛下は、11月30日、専用機で羽田をご出発になり、ニューデリーのパラム空軍基地にご到着。シン首相ご夫妻の出迎えを受けられました。

 翌12月1日から3日まで、両陛下はニューデリーに滞在され、歓迎式典とムカジー大統領との歓談、大統領主催の晩餐会に出席されたほか、公園での市民との交流、ニューデリーの日本大使公邸(庭には1960年に陛下ご自身が記念植樹された菩提樹があります)で在留日本人とのご懇談、ガンジー廟のご訪問と供花、ネルー大学での日本語を学ぶインド人学生との歓談、インド国際センターご訪問(1960年のご訪問時に定礎式に出席され、礎石には「THE CROWN PRINCE AKIHITO OF JAPAN」の文字がある)、ニューデリー日本人学校ご訪問、日本大使公邸での大使夫妻主催のレセプション(東日本大震災直後、宮城県女川町で救助活動を行った国家災害対応部隊のアローク・アワスティ隊長に謝意を伝えられたそうです)などの日程をこなされました。

 4-5日は政府専用機で南部タミルナドゥ州の州都、チェンナイ(旧マドラス)に移動され、インド屈指の古典舞踊家を養成するカラクシェトラ芸術学院、ギンディー国立公園内の児童公園、タミルナドゥ障害者協会をご訪問になり、6日午前、羽田空港にご帰朝なさいました。

 日本側では両陛下ご訪印の記念切手は発行されませんでしたが、10年以上にわたり両陛下の御訪問を切望していたインド側は、両陛下ご帰国の日の12月5日、両国友好の象徴として今回のシートを発行し、ご訪印に対する感謝の意を表していますが、フィラテリストとしては、こちらこそ記念切手を発行してくれたインド郵政にお礼を申し上げたいくらいです。

 いずれにせよ、こういう友好国は、もっと大事にしないといけませんね。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・9月6日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館

 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『朝鮮戦争』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。


 ★★★ 講演会のご案内 ★★★ 

 ~韓国文化院 講演会シリーズ2014 『韓日交流史』~
 第9回は内藤陽介「韓国の切手でひも解く韓国近現代史」 です!

 ◇日時:2014年9月5日(金) 開場 18:30 開演 19:00
 ◇会場:韓国文化院 ハンマダンホール
 ◇募集人員:300名様(お申し込みはお一人様2名まで)
 ◇入場無料(事前のお申込みが必要です)
 ◇主催・お問い合わせ先:駐日韓国大使館韓国文化院 03-3357-5970

 ■ 韓国文化院のホームページ・トップの 「イベント応募コーナー」欄(こちらをクリックしてください)からお申し込みいただけます。たくさんの皆様のお申し込みを心よりお待ち申しております。

 * 表向き、応募の〆切は過ぎていますが、直接内藤宛にご連絡いただければ、お席は確保できます。どうぞ遠慮なく、ご連絡ください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』読書欄、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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 144年に1度の大祭スタート
2013-01-15 Tue 20:53
 12年に1度のヒンドゥーの宗教行事“クンメラ”が、きのう(14日)から始まり、多くの善男善女がインド北部のウッタル・プラデーシュ州アラハバードにあるガンジス川とヤムナ川の合流点などで沐浴をしました。今年は特に、12回に1度(=144年に1度)の“マハ・クンメラ”の大祭の年でもあることから、ピークの2月10日だけで3000万人、3月10日までの期間中、約1億人が、ヒンドゥーの神の救いを求めて、ガンジスの流れで罪を洗い流す最大の宗教行事となりそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        アラハバード地図

 これは、2011年にインドで発行された“エアメール100年”の切手のうち、アラハバードの地図を取り上げた1枚です。

 1903年のライト兄弟の初飛行以来、プライベートに飛行機で郵便物を運ぶことは行われましたが、郵政当局の承認を得て、公式のエアメールとして逓送されたのは、1911年2月18日のインドの事例が世界初とされています。

 この日、フランス人パイロットのアンリ・ペケは、約6000通の郵便物を彼の複葉機に載せて、アラハバートのポロ競技場からヤムナ川を超えて約10キロ先のナイニまで運びました。この飛行は、アラハバードのトリニティ教会の牧師の提案により、アラハバードで行われたイベントのデモンストレーションとして行われたもので、航空郵便用に徴収されたお金は、教会付属の宿泊施設建設資金の一部に充てられました。なお、このとき運ばれた郵便物に押されている記念印は、飛行機と山を描くもので、ペケとともにイベントのデモンストレーション飛行に参加していた英国人パイロット、ウォルター・ウィンダムがデザインしました。

 今回ご紹介の切手は、こうしたことを踏まえて飛行ルートの地図を描いたもので、アラハバードがガンジス川とヤムナ川の合流点に位置していることがよくわかります。ちなみに、切手に描かれている建物は、地図中には要塞(FORT)として書き込まれています。

 さて、近年の急激な経済成長の副作用として、インドでは河川汚染が深刻化しており、今回のクンメラに際しても、沐浴する人々への健康被害も懸念されいるのだとか。神の救いを求めて身を清めようとクンメラの沐浴を行った結果、最悪、神の御許に召されてしまったというのでは本末転倒ですからねぇ。ちなみに、わが国は、JICAを通じて300億円超を援助し、切手の地図にも登場するヤムナ川流域での下水処理場の整備を支援しているそうですから、それが1日も早く実を結んでくれたらなぁ…と思います。
 

 ★★★ テレビ出演のご案内 ★★★

 テレビ朝日 2013年1月19日(土) 18:30~ 「雑学家族」

 今回は「郵便」の特集で、内藤がゲスト出演して“切手の面白さ”をウンチクとともにお話します。ご視聴可能な地域の皆様は、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。なお、放送番組の常として、大事故・大事件など突発的な事情により、番組の内容・放送時間等が変更になる可能性もありますが、予めご了承ください。(番組HPはこちらです)


 ★★★★ 第1回ヨーロッパ切手展のご案内 ★★★★

         ヨーロッパ切手展

 今月19・20日(土・日)の両日、東京・目白駅の切手の博物館にて「第一回ヨーロッパ切手展」が開催されます。今回のお題は“黒海”で、内藤も、北カフカース(コーカサス)を題材としたミニ・コレクションを展示します。競争展ではないので、テーマティクないしは郵便史の作品としてルールに沿ってきっちりまとめたものというよりも、北カフカースに関するマテリアルをいろいろとご紹介するという気楽な内容です。僕以外のコレクションはかなり見ごたえのある内容になっておりますので、よろしかったら、ぜひ遊びに来ていただけると幸いです。


 【世界切手展BRASILIANA 2013のご案内】

 僕が日本コミッショナーを仰せつかっている世界切手展 <BRASILIANA 2013> の作品募集要項が発表になりました。国内での応募受付は2月1―14日(必着)です。詳細はこちらをご覧ください。


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 なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。

 
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 世界漫郵記:カリカット②
2012-02-28 Tue 12:29
 『キュリオマガジン』2012年3月号が出来上がりました。僕の連載「郵便学者の世界漫郵記」は、インド西海岸篇の3回目。今回は前回に続きカリカットの後篇で、その記事の中から、こんなモノをもってきてみました。(以下、画像はクリックで拡大されます)

        カリカット現行消印     

 左は、昨年2月、カリカット局から僕が実際に差し出した郵便物の一部です。右側には、その局舎に掲げられていた看板の写真を貼っておきます。

 英語でカリカットと呼ばれている都市の名前を、現地の発音に近いカタカナでで表記するのは、ちょっと頭の痛い問題です。

 インド連邦政府の公的共通語は英語とヒンディー語ですが、インド憲法ではこのほかに州の公用語などとして使用しうる22の言語を指定しています。このうち、カリカットを含むケーララ州で使われているマラヤーラム語もその一つで、丸みを帯びた文字は、ヒンディー語で使われるデーヴァナーガリー文字とは全く違います。

 そのマラヤーラム文字では、カリカットはകോഴിക്കോട്と書くのですが、これを対照表を見ながら、これをラテン文字のアルファベットに転記するとkōḻikōṭ となるようです。細かい発音はわからないのですが、おそらく、“コーリコート”と発音するのでしょう。これだと、僕たちが馴染んでいるカリカットとも似たような発音です。

 ところが、英語などでカリカットの現地語アルファベット表記を見てみると、ことごとくKozhikodeとなっています。これをそのまま読むと、“コジコデ”とか“コージコード”になりそうなものなのですが、これでコーリコードと読ませるのだそうです。おそらく、メザシのようなデーヴァナーガリー文字でマラヤーラム語を転記したときの、スペルのズレが理由なのでしょうが、“zhi”の部分を“リ”と読めといわれても、面食らう人が多いのではないでしょうか。

 そういうわけで、カリカット局の消印はどんな表示になっているのか、実際に葉書でも出して確かめてみようと前々から考えてたわけです。

 ちなみに、郵便局の前には、自治体当局の立てた広告掲示板があって、その地名表記は英語のみで“KOZHIKODE”となっていました(下の画像左)が、郵便局の局舎に掲げられている看板は、英語表記が“CALICUT”でマラヤーラム語が併記されたバイリンガルとなっています。(下の画像右)

      カリカット局前     カリカット局看板

 きょうの記事の冒頭でご紹介のオンピースの消印の表示は、そのいずれとも異なり、英語が“CALICUT”で、デーヴァナーガリー文字の入ったバイリンガル表示でした。円形のはずの消印の周囲がゆがんでいるのが、なんとなく味わいがあって良い雰囲気です。

 ちなみに、デリーの中央政府は、インドの全公用語をヒンディー語に統一する方針を打ち出していますが、これには、ケーララ州を含む南部のドラヴィダ語族エリアが猛反発しており、実現のめどは立っていません。そこで、とりあえず、中央から支給する消印の印顆はヒンディー語・英語のバイリンガルとしつつも、地元の局舎の看板はマラヤーラム語・英語のバイリンガル表示を追認せざるを得ないということなのかもしれませんね。

 ところで、今回ご紹介したオンピースの切手に描かれているのは、1930年にノーベル物理学賞を受賞したチャンドラセカール・ヴェンカタ・ラマンです。ラマンの受賞理由は、1928年2月28日にラマン効果(物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象)を発見したことによるものですが、これを記念して、インドでは、きょう(2月28日)が“科学の日”に指定されているのだそうです。

 なお、今回の記事では、このほか、カリカット市内の南インド教会や駅周辺の様子などについてもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。
 
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    日本人は「年賀状」に何を託してきたのか?
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 ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(2011年11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、12月15日付『徳島新聞』鳴潮、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語、12月18日付『宮崎日日新聞』読書欄、同『信濃毎日新聞』読書欄、12月19日付『山陽新聞』滴一滴、同『日本農業新聞』あぜ道書店、[書評]のメルマガ12月20日号、『サンデー毎日』12月25日号、12月29日付エキレピ!、『郵趣』2012年1月号、『全日本郵趣』1月号、CBCラジオ「朝PON」(1月26日放送)、『スタンプマガジン』2月号、『歴史読本』2月号、『本の雑誌』2月号で紹介されました。

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 COP10開幕
2010-10-18 Mon 17:03
 国連の生物多様性条約10回締約国会議(COP10)が、きょうから名古屋市でスタートしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

         国際生物多様性年

 これは、今年(2010年)6月にインドが発行した“国際生物多様性年”の小型シートです。

 2010年は、生物多様性の豊かさと脆弱さに対する国際社会の関心を高め、累積する脅威(都市化の進行、森林破壊、農業行為、公害)を抑制することを目的に、国連が“国際生物多様性年”に指定したため、各国でその記念切手が発行されています。ただし、“生物の多様性”というのは概念としては理解できても、現実に切手として表現するのはなかなか難しく、多くの国では、単にさまざまな種類の動物を描く切手を発行するというケースが多いようです。今回ご紹介の切手も、多様性というよりも、インド特有の混沌とした印象が強いように僕には思えます。まぁ、サイケデリックな感じがして、これはこれで良いのかもしれませんが…。

 さて、きょうから始まったCOP10は、“国際生物多様性年”の最大のイベントの一つで、生物多様性の損失を止めるための2020年までの世界目標と、目標を実現するための20の指標(名古屋ターゲット)などが議論されることになっています。“名古屋ターゲット”の具体的な内容としては、魚の乱獲をやめる、外来種の侵入を抑える、遺伝資源による利益の公平な分配を目指す、等が挙げられています。

 しかし、環境関係の会議の常として、各国の利害というのは複雑に錯綜し、対立していますから、総論賛成・各論反対という状況で、実効性のある合意が成立しうるかどうかはかなり疑わしいというのが実情でしょう。じっさい、欧州連合が「効果的で緊急に行動し、生物多様性の損失を止める」として損失を止めること自体を目標に掲げているのに対して、途上国側は「損失を止めるために効果的に緊急に行動する」と、やれることから取り組むという緩やかな案を支持しており、彼らの間からは「先進国の主張通りにするなら、現在の100倍の支援金が必要だ」との声も上がっています。

 いずれにせよ、生物の多様性を維持するという目標を達しようとすれば、我々の生活にも何らかの犠牲や支障が生じることは間違いありません。“環境保護”というのは、“世界平和”同様、その美名とは裏腹に怪しげな連中が跋扈し、各種の利権をめぐって各国が弱肉強食の暗闘を繰り広げているのが現実である以上、わが国だけが貧乏くじを引くということのないようにしてもらいたいものですな。
 

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 カッコよすぎる独裁者や存在しないはずの領土。いずれも実在する切手だが、なぜそんな“奇妙な”切手が生まれたのだろう?諸外国の切手からはその国の抱える「厄介な事情」が見えてくる。切手を通して世界が読み解ける驚きの1冊!

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 表紙の切手:釈迦2550年
2009-04-28 Tue 17:22
 きょう(4月28日)は拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』の奥付上の刊行日です。というわけで、表紙カバーに取り上げたこの切手について、少しご説明しておきましょう。(画像はクリックで拡大されます)

 釈迦2550年(インド)

 これは、2007年にインドが発行した“釈迦2550年”の小型シートで6点の切手が組み合わされています。

 それぞれの切手のデザインを簡単にご説明しておくと、一番左側の白い像は、出家以前の若き日の釈迦の姿を表現したガンダーラ仏です。その右上は釈迦の前世を描いた絵画の一部、右下はサールナート(最初の説法を行った土地)での瞑想を表現した像です。中央下の苦行像(釈迦が悟りを開く前、禁欲修行をしていた時期の像)はミャンマーのもので、右上の仏画は苦行を止めた後に村娘スジャータから牛乳の粥を受けた場面、その下は法輪と蓮華座です。

 拙著の表紙カバーでは、シートの全体をスペース内に収めようとすると小さくなりすぎるため、右側部分をカットして用いました。僕の個人的な好みでいえば、画像はギリギリいっぱいまで拡大して断ち落としのスタイル(たとえば、『近代美術・特殊鳥類の時代』のような雰囲気です)にしたかったのですが、まぁ、シリーズものということになると他との統一もありますからね。また、シート下部の記念文字も途切れてしまうので、この部分もカットしています。

 なお、フロントではシートの完全な姿を見せられなかったので、袖の部分でシートの全体像を掲載しております。機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。

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 古代インドのお墓
2009-03-20 Fri 21:06
  今日は彼岸の中日。僕は今年も行きそびれてしまいましたが、日本ではお墓参りの日です。というわけで、現在制作中の『切手が伝える仏像:意匠と歴史』に掲載予定のマテリアルの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 サーンチー航空書簡  サーンチー(印面拡大)

 これは、インド中央部・サーンチーのストゥーパを描く印面の入ったインドの航空書簡です。拡大しないと画像が見づらいので、右側に印面部分を拡大して貼り付けておきました。

 釈迦(ゴータマ・シッダールタ)の時代のインドでは、そもそも尊像を作って祀る習慣がなかったといわれています。また、釈迦本人は、個人が自らを依り所とし、法を依り所とすべきと考えており、自身が信仰の対象になるとは考えていませんでした。このため、最初期の仏教には仏像は存在しません。

 その後、仏教を一般に伝えるため、さまざまな図像が必要になりましたが、当初は、悟りを開き“仏陀”となった釈迦の姿を人間が再現することは不可能と思われており、釈迦の象徴としてさまざまなものが礼拝の対象とされました。

 その一つが、日本語の卒塔婆の語源にもなっているストゥーパです。ストゥーパは、もともとは饅頭のような形に盛り上げられたインドの墓のことで、仏教徒、または初期ジャイナ教徒の聖骨をおさめるために築かれました。

 今回ご紹介のサーンチーのストゥーパは、2007年5月に発行された日印交流年の切手にも取り上げられていますので、そちらでご存知の方も多いかもしれません。ストゥーパは、紀元前3世紀の創建と考えられており、半球形で高さ16メートルもある巨大なものです。仏陀の遺骨が納められており、世界各地にある仏塔の原型となっています。1989年には周囲の門や僧院跡などともに“サーンチーの仏教建造物”としてユネスコの世界遺産に登録されました。

 さて、4月中旬に刊行予定の拙著『切手が伝える仏像:意匠と歴史』では、こうした仏像以前の仏塔などについてもフォアランナーとしていくばくかのページを割いております。作業的には、すでに本文の原稿は完成しており、編集作業が追い込みの段階です。正式な発行日などが決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。


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 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。
 
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 ヒゲとターバン
2006-08-28 Mon 01:45
 インドで、シーク教徒のデモが過激化し、警官隊との衝突で負傷者も出る騒ぎになったそうです。そもそものきっかけは、インド西部のジャイプールで、ガールフレンドとの関係をめぐるいざこざから、スィーク教徒の少年が拉致され、髪を無理やり切られる事件だったとか…。

 というわけで、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

スィク教徒

 これは、今年(2006年)インド郵政が発行した“スィーク連隊”の切手で、ターバンにヒゲという、おなじみの姿のスィーク教徒の兵士が大きく取り上げられています。

 スィーク教は、西暦15世紀にナーナクがヒンドゥー教の改革運動として、イスラムをはじめ当時の西北インドに広まっていたさまざまな宗教思想を取り込んで起こした宗教です。

 髪の毛と鬚を切らず、頭にターバンを着用するスタイルは、第10代のグル(指導者)、ゴービンド・シングが現在の教団組織を確立したときに、守るべき掟の一つとして定めたもので、彼らの外見的な特徴となっています。なお、カレー店のイラストなどでは“ターバンを巻いたインド人”というキャラクターを時々見かけますが、これは、スィーク教徒の中に、官吏や軍人として登用されたり、海外で活躍したりするものが多く見られたことで、彼らの姿が外国人にとってのインド人のイメージにつながったものと考えられています。(ちなみに、インドで多数派を占めるヒンドゥー教徒でターバンをしている人はほとんどいません)

 スィーク教徒は、インド社会ではマイノリティですが、富裕で教育水準の高いものが多いため、その社会的な影響力は無視できないものがあります。このことが、1980年代以降の原理主義的なヒンドゥー・ナショナリズムの高揚の中で、ヒンドゥー教徒との間に摩擦を起こすことになり、1984年のインド政府軍によるゴールデン・テンプル(スィーク教の聖地)の襲撃事件と、その報復としての翌1985年のスィーク教過激派によるインディラ・ガンディー首相暗殺事件という悲劇をもたらしています。

 こうした状況の中で、スィーク教徒の中には、ヒンドゥー教徒の標的になることを恐れて、ターバンをつけず、髪やヒゲも短くする人も少なくないようです。とはいえ、そうした人たちは、あくまでも自発的な意思で髪を切っているわけで、拉致されて無理やり髪を切られるようなことがあれば、スィーク教徒たちが怒るのも無理はありません。

 インド政府は、現在、排他的なヒンドゥー・ナショナリズムの行き過ぎには神経を尖らせており、国民に対して、多民族・多宗教の共存を呼びかけています。今日ご紹介しているスィーク連隊の切手も、そうした文脈に沿って発行されたわけですが、今回のような事件が起こるところを見ると、問題の根はなかなか深いといえそうです。

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