内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “魔女狩り”の切手
2017-05-19 Fri 15:33
 昨年(2016年)の米大統領選挙をめぐるトランプ陣営とロシアの関係を解明するため特別検察官が任命されたことについて、きのう(18日)、トランプ大統領は「米史上、最大の魔女狩りだ」などとコメントしたそうです。というわけで、“魔女狩り”の切手はないかと探してみたら、こんなモノがありました。(画像はクリックで拡大されます)

      オーランド・魔女狩り(2016)

 これは、昨年(2016年)、オーランド諸島が発行した“オーランド諸島の魔女狩り350周年”の切手です。

 バルト海、ボスニア湾の入り口に位置するオーランド諸島では、スウェーデン支配下の1666年4月5日、“賢い娼婦”ことカリン・ペルスドッターが“魔女”として裁判にかけられ、死刑判決を受けました。彼女は拷問を受けた後、斧で首を切断され(切手にはその直前のようすが描かれています)、杭を打たれて埋葬されました。処刑に先立ち、カリンは監獄で13人の女性を魔女として告白したため、カリンの他にも6名の女性が拷問の末に処刑されています。ちなみに、オーランドでの魔女狩りは1691年まで行われましたが、これに刺激を受けて、スウェーデンでは1668年に、フィンランドでは1669年にも魔女狩りが行われました。今回ご紹介の切手は、カリンの魔女裁判と処刑から350年になるのを記念?して発行されたものです。

 さて、ながらくスウェーデンの支配下にあったオーランド諸島は、1809年、スウェーデン・ロシア戦争の結果、フィンランドがロシア帝国に割譲されたため、フィンランド大公国の一部としてロシア領となりました。

 第一次大戦を経てフィンランド本土でロシアからの独立の気運が高まると、オーランド諸島では、フィンランドからの分離とスウェーデンへの再帰属を求める運動が起こり、島の代表がスウェーデンへの統合を求める嘆願をスウェーデン王に提出。これに対して、1917年に独立したフィンランドは、1920年、オーランド分離を阻止すべくオーランド自治法を成立させ、オーランドに対して広範な自治権を与えました。それでも、フィンランドへの帰属を嫌ったオーランド住民は、スウェーデンに対して、島の帰属を決定する住民投票を実施するよう要請します。

 このため、スウェーデンは国際連盟にオーランド問題の裁定を託し、フィンランドもこれに同意。1921年、国際連盟は、事務次長の新渡戸稲造を中心に、オーランドにさらなる自治権を与えることを条件に、オーランドはフィンランドに帰属するとした“新渡戸裁定”を提示。両国はこれを認め、1922年、オーランド自治政府が成立しました。その後、オーランド諸島ではフィンランド切手が使われていましたが、1984年以降、オーランド諸島として独自の切手が発行されています。


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 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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