内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手でひも解く世界の歴史(14)
2018-01-11 Thu 05:35
 本日(11日)16:05から、NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第14回が放送される予定です。(番組の詳細はこちらをご覧ください)。今回は、今年最初の放送ということで、こんなモノもご紹介しながら、1887年に世界で最初の犬切手を発行したニューファンドランドについてお話します。(画像はクリックで拡大されます)

      ニューファンドランド・カナダ混貼

 これは、1949年、ニューファンドランドのカナダ編入時に作られたニューファンドランド切手とカナダ切手の混貼カバーで、ニューファンドランドを象徴する犬とカナダを象徴するビーヴァーが握手するイラストがカシェとして描かれています。

 大西洋北西部のニューファンドランド島へは、1497年、イタリア人の探検家、ジョン・ガボットが上陸して以来、隣接するラブラドール半島の大西洋岸(ラブラドール地方)ともども、英仏やスペインなどから漁民が渡ってくるようになりました。これは、この地域の沖合はタラの好漁場だったためで、その後、漁業権や領有権をめぐってはたびたび英仏間で対立が生じています。

 1713年のユトレヒト条約により、ニューファンドランドは英領植民地になりますが、その後、米国の独立戦争フランス革命などを経て入植者たちは自治を求めるようになったため、1854年、ニューファンドランド自治政府が樹立。この自治政府の下、1857年、ニューファンドランドとして最初の切手が発行されました。以後、1949年3月まで、ニューファンドランドは独自の切手を発行し続けています。

 ところで、現在のカナダの領域には、当時、ニューファンドランドの他にも、上カナダ(現在のオンタリオ州)、下カナダ(現在のケベック州)、ノヴァスコシア、ニューブラウンズウィックといった英領植民地がありました。1867年に制定された英領北アメリカ法により、カナダの英領植民地の大半は統合され、カナダ自治領が発足し、現在のカナダの原型ができあがるのですが、ニューファンドランドはこれに加わらず、独自の自治領という立場を維持。1907年、自治権を拡大して、事実上の独立国となりました。なお、ラブラドール半島でのニューファンドランドとカナダ・ケベック州との境界線が最終的に確定されたのは1927年のことです。

 1914年、第一次世界大戦がはじまると、ニューファンドランドは英国とともに参戦しましたが、戦費の負担は重く、また、出征した若者の4分の1が戦死するなど、大きなダメージを受けました。さらに、1929年の世界恐慌により財政事情は一層悪化します。

 このため、1931年にウェストミンスター憲章が成立して自治領の独立が認められた際にも、カナダが独立国となったのに対して、ニューファンドランドは同憲章を受け入れる余裕がなく自治領にとどまらざるをえませんでした。このため、1934年には自治権を返上してイギリスの直轄植民地に復帰。結局、第二次大戦後の1949年3月31日、ニューファンドランドは住民投票により、ニューファンドランド州としてカナダ連邦に加わります。今回ご紹介のカバーに貼られている緑色のカナダ切手は、これを記念して発行されたものです。

 その後、1964年から、州内ではニューファンドランド・ラブラドール州という名称を使用し始めますが、ラブラドール半島の主部を占めるケベック州が難色を示したため、連邦レベルで正式に採用されることはありませんでした。2001年10月のカナダ憲法改正により、同年12月6日以降、州の名称は正式にニューファンドランド・ラブラドール州へと変更され、現在に至っています。

 *昨日(10日)の「クロノス」の放送は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。
      
 
★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は11日!★★

 1月11日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第14回が放送予定です。今回は、年明け最初ということで、世界で最初に犬の切手を発行したニューファンドランドについてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


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 プリンス・ジョージ
2013-07-25 Thu 11:43
 先日ご誕生の英国王室の王子のお名前は“ジョージ・アレクサンダー・ルイ”に決まりました。というわけで、きょうは“プリンス・ジョージ”の切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

       プリンス・ジョージ

 これは、1911年、英国王ジョージ5世の即位を記念してニューファンドランドで発行された“ロイヤル・ファミリー”の切手のうち、ジョージ王子(プリンス・ジョージ)を取り上げた8セント切手です。ジョージ王子はジョージ5世の次男で、長男のエドワードが皇太子でしたが、エドワードは国王エドワード8世として即位後まもない1936年12月、いわゆる“王冠をかけた恋”で退位したため、突如、ジョージ王子が国王ジョージ6世として即位することになりました。皇太子時代のジョージ6世を取り上げた切手は、他にもあるのですが、やはり、新たな“プリンス・ジョージ”の誕生に合わせての記事ですので、子供の頃の肖像の切手がよかろうと思い、この1枚を選んだという次第です。

 切手を発行したニューファンドランド自治州は、現在のカナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州の領域に相当しています。
 
 ニューファンドランドの地に白人の入植がはじまったのは、1497年にイギリスがこの地を植民地としてからのことで、1854年には自治政府が樹立されます。その後、1907年にはカナダとは別の事実上の独立国となりましたが、第一次大戦に参戦したことで財政が逼迫。さらに、1929年の世界恐慌により財政事情は一層悪化しました。

 このため、1931年にウェストミンスター憲章が成立して自治領の独立が認められた際にも、カナダが独立国となったのに対して、ニューファンドランドは同憲章を受け入れる余裕がなく自治領にとどまらざるをえず、1934年には自治権を返上してイギリスの直轄植民地に戻らざるを得ませんでした。結局、第二次大戦後の1949年3月、ニューファンドランドは住民投票によりカナダ連邦に加わり、現在にいたっています。

 この間、1857年1月から1949年3月末まで、ニューファンドランドでは、カナダ本土とは別に、独自の切手が発行されていました。今回ご紹介の切手もその1枚ですが、クラシックな雰囲気がなんともいい感じです。今後、生まれたばかりの“プリンス・ジョージ”の切手がいろいろと発行されることになるのでしょうが、こういう雰囲気の切手は出てこないんだろうなぁ。
 

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 エリザベス女王在位60年
2012-02-06 Mon 23:11
 1952年2月6日、ジョージ6世の崩御に伴いエリザベス2世がイギリス国王として即位してから、ちょうど60年です。というわけで、きょうはエリザベス女王の切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        6歳のQEII

 これは、1932年にニューファンドランドで発行された6セント切手で、当時6歳のエリザベス王女が描かれています。

 現在のカナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州の領域は、かつては、ニューファンドランド自治領としてカナダ本土とは別に独自の切手を発行していました。
 
 ニューファンドランドの地に白人の入植がはじまったのは、1497年にイギリスがこの地を植民地としてからのことで、1854年には自治政府が樹立されます。その後、1907年にはカナダとは別の事実上の独立国となりましたが、第一次大戦に参戦したことで財政が逼迫。さらに、1929年の世界恐慌により財政事情は一層悪化しました。

 このため、1931年にウェストミンスター憲章が成立して自治領の独立が認められた際にも、カナダが独立国となったのに対して、ニューファンドランドは同憲章を受け入れる余裕がなく自治領にとどまらざるをえず、1934年には自治権を返上してイギリスの直轄植民地に戻らざるを得ませんでした。結局、第二次大戦後の1949年3月、ニューファンドランドは住民投票によりカナダ連邦に加わり、現在にいたっています。

 この間、1857年1月から1949年3月末まで、ニューファンドランドでは、カナダ本土とは別に、独自の切手が発行されていました。今回ご紹介の切手もその1枚です。

 この切手が発行された1932年の時点では、イギリス国王はジョージ5世で、皇太子はエドワード(のちのエドワード)でした。この時点では、4年後の1936年12月、エドワード8世がいわゆる“王冠をかけた恋”で突如退位し、弟のジョージ6世が国王として即位するとは予想できなかったでしょうし、ましてや、この切手に描かれた幼女が20年後の1952年にエリザベス2世として即位することになるとは思いもよらなかったことでしょうな。

 ちなみに、今年6月には即位60周年を記念する行事が4日間にわたって行われる予定だそうですが、そういうことなら、このブログでもそれに合わせて、在位60年の間に彼女の肖像がどんなふうに変化していったか、4日連続でたどってみても面白いかもしれません。


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 ニューファンドランドの犬
2005-12-07 Wed 09:10
昨日はクリスマスの話題でしたが、そろそろ、年賀状の準備もしなければなりません。というわけで、今日は、犬切手の定番モノのひとつとして、この1枚をご紹介しましょう。年賀状作成のヒントにでもしていただけると幸いです。

ニューファンドランド犬

 この切手は、1887年、ニューファンドランド島で発行されたもので、犬の切手としては世界で最初の1枚ということになります。

 ニューファンドランド島は、カナダ東岸の大きな島で、1857年1月から1949年3月末までは、カナダ本土とは別に、独自の切手が発行されていました。

 切手に描かれている犬は、その名もズバリ、ニューファンドランド犬。もともと、この島にいた犬と、バイキングの犬、さらにはヨーロッパ人が持ち込んだ犬などが掛け合わされて出来上がった原型を、18世紀ごろ、イギリスで改良して現在のような姿になったのだそうです。

 実は、この切手は近々発売のある雑誌の表紙に使うことが決まっていて、昨日はその解説文を書いていました。で、その関係で調べていて分かったのですが、この犬の実際の毛色は黒や茶、もしくは白と黒の2色で、切手のように赤いわけではないそうで・・・。さすがに、切手のように真っ赤な犬がいるとは思いませんが、それでも、例によって僕は切手のデザインが頭にこびりついて、いわゆる赤毛の犬だとばかり思っていたので、ちょっとビックリしたというわけです。

 ちなみに、1894年には、この切手と同じデザイン・額面で赤から黒に改色された切手が発行されていますから、年賀状には赤と黒の二つのバージョンを作って、相手によって使い分けてみても良いかもしれません。なんだか、ウイスキーの赤ラベルと黒ラベルみたいですが…。

 なお、僕も年賀状には何らかのかたちで犬の切手を使うつもりですが、もうちょっとひねったものはないかと、現在、いろいろと探しているところです。

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