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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 <WSC Israel 2018>終了
2018-06-01 Fri 02:45
 早いもので、5月27日からエルサレムの国際コンヴェンション・センターで開催されていた世界切手展<WSC israel 2018>は、現地時間の31日18:00、無事にすべての日程を終了し、先ほど、日本からの出品作品の撤去作業も完了しました。

      イスラエル展・撤去終了

 この写真は撤去作業完了後、作品を収めたスーツケースと特別賞を抱えて会場を後にするところを、撤去作業をお手伝いいただいた池田健三郎さんに撮影してもらったものです。

 イスラエル出国は、現地時間1日午後(日本時間で同夜)の予定で、往路とは逆に、テルアヴィヴから香港経由で羽田に向かいます。というわけで、無事の帰国を願って、テルアヴィヴから東京・羽田に到着したカバーの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・テルアヴィヴ=羽田FFC

 これは、1951年4月26日、テルアヴィヴのロッド空港(現ベングリオン空港)から東京・羽田空港宛のスカンジナビア航空の初飛行カバーです。スカンジナビア航空は、第二次世界大戦後まもない時期に日本への乗り入れを開始した航空会社の一つで、1951年4月、南回りのバンコク線を延長する形で日本への乗り入れを開始しました。今回ご紹介のカバーは、そのうちのテルアヴィヴ=東京間を運ばれたものということになります。

 1948年5月14日に建国されたイスラエルと日本との外交関係は、講和独立後の1952年5月15日、日本がイスラエルと東京に開設されたイスラエルの公使館を承認して始まりました。したがって、今回ご紹介のカバーが日本に届いた時点では、両国間にはまだ正式の国交はなかったわけですが、国交がない国同士でも、その気になれば人やモノの往来が可能なことは、現在の日台関係を考えればイメージしやすいのではないかと思います。

 さて、今回の切手展では、審査員の佐藤浩一さんご夫妻、ご出品者の池田健三郎さん、吉田敬さんをはじめ、多くの方々にいろいろとお世話になりました。個人的にも、自分の出品作品 Postal History of Auschwitz 1939-1945 がLVを受賞して、今後、8フレームでの出品資格を得たほか、この作品を通じて地元メディアの取材を受けただけでなく、予想をはるかに超えて新たな人間関係が広がるなど、おかげさまで、いろいろと実りの多い滞在となりました。その成果につきましては、追々、皆様にもご報告して参りますが、まずは、現地滞在中、お世話になった全ての方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。

 なお、羽田到着は日本時間の明日(2日)午後の予定です。内藤の不在によりご不便・ご迷惑をおかけしている皆様におかれましては、今しばらくお待ちくださいますよう、伏してお願い申し上げます。

 * 昨日、アクセスカウンターが192万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。  


★★★ 近刊予告! ★★★

 えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が7月刊行予定です!
 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。

      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 

 なお、当初、『チェ・ゲバラとキューバ革命』は、2018年5月末の刊行を予定しておりましたが、諸般の事情により、刊行予定が7月に変更になりました。あしからずご了承ください。


★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★

      パレスチナ現代史・表紙 本体2500円+税

 【出版元より】
 中東100 年の混迷を読み解く! 
 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史!

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 TAXE
2018-03-15 Thu 10:53
 ★★★ 緊急告知!★★★

 本日(15日・木)15:10頃~ NHKラジオ第1放送の「NHKごごラジ!パイロット」の「マニア的電話座談会」のコーナーに、内藤が電話出演します。テーマ(予定)は「好きなことを続けるためのマイルール」です。よろしかったら、ぜひお聴きください。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。

 所得税の確定申告は今日(15日)までですが、皆さんは無事に済まされましたか?手回し良く2月中に済ませたという方も多いのでしょうが、僕は今年もまた〆切ギリギリ、先ほどようやく書類を提出したところです。というわけで、毎年恒例“TAX”ネタとして、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・T加刷(1948)

 これは、イスラエル建国当初の1948年5月に発行されたイスラエル最初の切手に、万国郵便連合の公用語、フランス語で郵便料金(=郵税)を意味する“TAXE”の頭文字の“T”の文字を加刷し、暫定的に不足料切手として使用したものです。

 1947年11月29日、国連でパレスチナ分割決議が採択されると、パレスチナは事実上の内戦に突入し、1948年3月、シオニストたちはテルアヴィヴにパレスチナのユダヤ人居住区を統治する臨時政府“ユダヤ国民評議会”を樹立。新国家樹立に向けての具体的なスタートを切り、英国撤退の軍事的空白を利用して、イスラエル建国に向けて、準備を進めていきました。

 こうしたなかで、1948年5月14日、ユダヤ人国家“イスラエル”の建国が宣言され、これにあわせて古代通貨を描くイスラエル最初の切手が発行されましたが、その切手には、“ヘブライ郵便”との表記はあるものの、“イスラエル”との表記はありません。これは、切手の制作時にはまだ新国家の正式な国号が決定されていなかったことによるもので、このことからも、イスラエル国家の建設準備がいかに慌ただしく進められたか、イメージがわいてきます。 

 こうした事情でしたから、1948年5月28日にヘブライ文字を加刷した正規の不足料切手が発行されたものの、それらの配給が間に合わなかったハイファなどでは、今回ご紹介の切手のように、“T”の文字を暫定的に加刷したり、通常切手を“T”の印で抹消したりして対応することも行われました。

 なお、イスラエル建国とその前後の郵便事情については、昨年刊行の拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 


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 米大使館、5月にエルサレム移転
2018-02-24 Sat 11:32
 米当局は、昨日(23日)、現在テルアヴィヴに置かれている在イスラエル米国大使館をイスラエル建国70周年に当たる今年(2018年)5月14日にエルサレム・アルノナ地区にある領事館建物のに移転すると明らかにしました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・西エルサレムカバー(1948)

 これは、第一次中東戦争中の1948年10月、イスラエル支配下の西エルサレムから米セントルイス宛のカバーです。左下のゴム印の日付は12月3日(?)となっており、戦時下ゆえ、米国到着まで2ヶ月を要しているのがわかります。

 第一次大戦後、パレスチナの地は英国の委任統治下に置かれ、エルサレムがその首府となりました。
 
 1947年11月29日、国連でパレスチナ分割決議が採択されると、パレスチナは事実上の内戦に突入し、1948年3月、シオニストたちはテルアヴィヴにパレスチナのユダヤ人居住区を統治する臨時政府“ユダヤ国民評議会”を樹立。新国家樹立に向けての具体的なスタートを切り、英国撤退の軍事的空白を利用して、1948年5月のイスラエル建国に向けて、準備を進めていきました。

 イスラエルの建国宣言を受けて勃発した第1次中東戦争の結果、1949年、エルサレムはイスラエルとヨルダンによって分割され、ユダヤ教・キリスト教・イスラムの三宗教の聖地がある旧市街=東エルサレムはヨルダンの支配下に、新市街の西エルサレムはイスラエルの支配下に入ります。今回ご紹介のカバーは、こうした状況の下、西エルサレムから差し出されたもので、イスラエル切手が貼られ、イスラエルの消印が押されていることから、西エルサレムがイスラエルの支配下に置かれていたことがわかります。

 第一次中東戦争の休戦を受けて、1950年、イスラエル議会はエルサレムを首都と宣言して、テルアヴィヴの首都機能を西エルサレムに移転。米国を含む13カ国が西エルサレムに大使館を設置するなど、国際社会も西エルサレムをイスラエルの首都として事実上認定していました。

 1967年の第三次中東戦争でイスラエルは東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区を占領して東西エルサレムを再統合し、“統一エルサレム”を“(イスラエルの)不可分の永遠の首都”とします。ただし、岩のドームのある“神殿の丘(ハラム・シャリーフ)”は歴史的にワクフ(イスラムに独特の財産寄進制度)の対象とされていることから、ヨルダン宗教省が引き続きその管理を行い、その域内ではユダヤ教徒とキリスト教徒による宗教儀式は原則禁止という変則的な状況となります。

 さて、第三次中東戦争は、理由はどうあれ、イスラエル側の先制攻撃ではじまったことから、イスラエルによる占領地拡大の正統性については、アラブ諸国はもとより、社会主義諸国や中立諸国なども否定的で、同年11月22日の国連安保理はイスラエルの占領を無効とする安保理決議242を全会一致(中華民国、フランス、英国、米国、ソビエト連邦、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、カナダ、デンマーク、エチオピア、インド、日本、マリ、ナイジェリア)で可決しました。

 ただし、同決議では撤退期限は定められず、経済制裁などの具体的なイスラエルへの対抗措置も行われなかったため、イスラエルは決議を無視し続け、1980年には、あらためて「統一エルサレムはイスラエルの永遠の首都である」との決議がイスラエル議会で採択されました。これに対して、1967年までエルサレムに大使館を置いていた各国も、イスラエルの東エルサレム併合に抗議してテルアヴィヴに大使館を移転しています。

 これに対して、パレスチナ側では、1988年11月15日、アルジェで開催されたパレスチナ国民評議会(PNC)で、PLOがテロを放棄し、イスラエルの存在を認めたうえで、東エルサレムを首都とする“パレスチナ国”の独立宣言が採択されています。そして、1994年に発足したパレスチナ自治政府も、“パレスチナ国家”の首都は東エルサレムであるとの主張を掲げています。

 一方、米国の二大政党である民主党と共和党が綱領でエルサレムをイスラエルの首都と認めており、1995年には連邦議会で大使館のエルサレム移転を認める法律も可決されています。ただし、歴代の政権は大使館のエルサレム移転は中東和平実現の障害になるとの観点から、同法の実施を半年ごとに延期するということで問題を先延ばしにしてきました。

 これに対して、昨年(2016年)の大統領選挙で、大使館のエルサレム移転を公約したドナルド・トランプが当選。トランプ大統領は、2017年6月には歴代政権の先例を踏襲して大使館の移転を半年延期しましたが、昨年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認める声明を発表し、大使館の移転手続きを開始。その具体的なプランとして、今回、エルサレム・アルノナ地区にある領事館建物内を当面の移転先として、大使館を移すことを発表したというわけです。

 なお、エルサレムとその歴史については、拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、お手にとってご覧いただけると幸いです。

  
★★★ 世界切手展< THAILAND 2018>作品募集中! ★★★

 本年(2018年)11月28日から12月3日まで、タイ・バンコクのサイアム・パラゴンで世界切手展<THAILAND 2018>が開催される予定です。同展の日本コミッショナーは、不肖・内藤がお引き受けすることになりました。

 現在、出品作品を3月12日(必着)で募集しておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひ、こちらをご覧ください。ふるってのご応募を、お待ちしております。


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 山の日
2017-08-11 Fri 11:04
 きょう(11日)は“山の日”です。というわけで、山に関する切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・エルサレムへの道(1949)

 これは、1949年にイスラエルが発行した普通切手のうち、“エルサレムへの道”をデザイン化した1枚で、城壁とダヴィデの塔を見上げる山道が描かれています。切手の下部にはイザヤ書52章9節の「主は(その民を慰め)エルサレムを贖われた」の文言が入っています。今回は、切手下のタブに同49章11節の「わたしはすべての山に道をひらき」の文言と山の絵が入っていますので、“山の日”ネタの1枚として持ってきました。

 ダヴィデ王の時代以前のエルサレムの集落は現在の城壁の南東部の斜面にありました。ちなみに、切手に描かれた“ダヴィデの塔”は、エルサレム旧市街の西側、ヤッファ門の近くに位置しており、ダヴィデ王が建立したとの伝承により、東ローマ帝国時代に“ダヴィデの塔”の名称が定着しました。ただし、歴史的事実としては、紀元前20年にヘロデ王がエルサレム防衛のために建設した要塞がその起源で、その後の増改築を経て、オスマン帝国のスレイマーン1世の治世下で現在の姿となりました。現在では、『旧約聖書』に登場するカナンの時代からイスラエル建国までの歴史を紹介する博物館として公開されています。

 ちなみに、歴代誌によれば、ダヴィデ王の子、ソロモン王の時代、“エルサレムのモリヤ山上”に神殿が建設されました。これは、今回ご紹介の切手にあるダヴィデの塔の付近から北側に向かって斜面を上りきった頂上を指しているとされ、現在の“神殿の丘/ハラム・シャリーフ”の起源となりました。

 さて、ことし(2017年)は、英国がパレスチナに“ユダヤ人の民族的郷土”を作ることを支持するとしたバルフォア宣言(1917年)から100年、イスラエル国家建国の根拠とされる国連のパレスチナ分割決議(1947年)から70年、中東現代史の原点ともいうべき第三次中東戦争(1967年)から50年という年回りになっています。

 これにあわせて、現在、本のメルマガで連載中の「岩のドームの郵便学」に加筆修正した書籍『パレスチナ現代史:岩のドームの郵便学』(仮題)の刊行に向けて、現在、制作作業を進めています。発売日などの詳細が決まりましたら、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。 
  

 ★★★ トークイベントのご案内  ★★★ 

      タウンミーティング in 福山

  2017年9月17日(日) 14:00~、広島県立ふくやま産業交流館で開催の「日本のこころタウンミ-ティング in 福山」に憲政史家の倉山満さんとトークイベントをやります。お近くの方は、ぜひ、ご参加ください。なお、イベントそのものの詳細は、こちらをご覧ください。
      
 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 世界の国々:イスラエル
2016-07-20 Wed 10:08
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2016年7月20日号が先週発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はイスラエルの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・貨幣(1948)

 これは、1948年5月16日、イスラエル建国後発行された最初の切手で、古代の貨幣が描かれています。

 1920年7月、英国はパレスチナの委任統治を開始しましたが、在地のアラブ系住民と新たに入植してくるシオニストの対立から、社会状況は安定しませんでした。特に、1933年にドイツでナチスが政権を掌握し、組織的なユダヤ人迫害が始まると、迫害を逃れてパレスチナに流入するユダヤ系移民が急増。このため、英当局はユダヤ系難民の流入を制限しましたが、その結果、シオニスト過激派による反英テロも激化しました。

 第二次大戦後の1947年2月、事態を収拾しきれなくなったイギリスは、問題の解決を国連に一任すると宣言。これを受けて、5月に設立された国連パレスチナ問題特別委員会は、パレスチナにアラブ、ユダヤの二独立国を創設し、エルサレムとその周辺は国連信託統治下に置くというパレスチナ分割案を多数派意見として発表。同案は、同年11月29日、国連決議第181号(パレスチナ分割決議)として採択されます。

 しかし、この内容にはアラブ側が猛反発し、パレスチナ全土で反シオニストの武装闘争が再燃。パレスチナ全土は事実上の内戦に突入します。

 こうした状況の中で、1948年5月15日、パレスチナにおけるイギリスの委任統治期間終了を受けて、ユダヤ人国家・イスラエルの建国が宣言されましたが、これを認めない周辺アラブ諸国はイスラエルに宣戦を布告。イスラエルの独立戦争ともいうべき第一次中東戦争が勃発。これを受けて、米国のトルーマン政権は、即日、主要国の中で最初にイスラエルを承認。ついで、5月17日にはソ連もイスラエルを承認しています。

 今回ご紹介しているイスラエル最初の切手は、こうした状況の下で発行されたわけですが、切手上には「ヘブライ郵便」との表記はあるものの、「イスラエル」との表記がないのは注目に値します。これは、切手の制作時にはまだ新国家の正式な国号が決定されていなかったことによるもので、このことからも、イスラエル国家の建設準備がいかに慌ただしく進められたか、イメージがわいてきます。

 さて、『世界の切手コレクション』7月20日号の「世界の国々」では、シオニズムの発生からイスラエル建国までをまとめた長文コラムのほか、『旧約聖書』の詩篇死海、嘆きの壁、ローシュ・ハッシャナー(ユダヤ暦新年)イスラエル・ワインの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、次回は、本日発売の7月27号でのベリーズの特集になります。こちらについては、発行日以降、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ 全日本切手展(+内藤陽介のトーク)のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 会期中の7月23日15:00から、すみだ産業会館9階会議室にて「リオデジャネイロ歴史紀行」と題するトークイベントを行います。ぜひ、ご参加ください。


 ★★ 内藤陽介の最新刊  『リオデジャネイロ歴史紀行』  8月9日発売! ★★ 

       リオデジャネイロ歴史紀行(書影) 2700円+税

 【出版元より】
 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介
 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行!

 発売元の特設サイトはこちらです。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

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 “空飛ぶ巻物”と税
2016-03-15 Tue 11:05
 所得税の確定申告は今日(15日)までですが、皆さんは無事に済まされましたか?手回し良く2月中に済ませたという方も多いのでしょうが、僕は今年もまた〆切ギリギリ、先ほどようやく書類を提出したところです。というわけで、というわけで、毎年恒例“TAX”ネタの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・空飛ぶ巻物(1948)

 これは、1948年9月26日、建国後間もないイスラエルで発行されたユダヤ暦5709年新年を寿ぐ切手で、古代ユダ王国の時代、王への税として納められる油ないしワインの壺に使われた“空飛ぶ巻物”の封印が描かれています。
 
 “空飛ぶ巻物”というと、『旧約聖書』「ゼカリヤ書」第5章で、ユダヤの預言者ゼカリヤが、神の啓示を示す幻として、十戒と、それに違反した場合の罰が記されたと思しき巻物が飛んでいるのを見たとの記述があります。ただし、ゼカリヤは、紀元前6世紀後半、バビロン捕囚(紀元前 597-538年)から帰還してエルサレムでの神殿の再建に取り組んだ人物ですが、“空飛ぶ巻物”のモチーフそのものは、バビロン捕囚以前の古代ユダ王国(紀元前586年に完全滅亡)の時代の詩にも取り上げられています。

 ちなみに、『出エジプト記』第30章には、神がモーセに対して「すべて数に入る者は聖所のシケルで、半シケルを払わなければならない。1シケルは20ゲラであって、おのおの半シケルを主にささげ物としなければならない。」と命じたとの記述があります。シケ(シェケル)というのは、もともとは小麦180粒の質量に相当する度量衡の単位とそれに基づく通貨単位で、時代によってばらつきはありますが、『出エジプト記』では約10グラムと推定されています。ただし、歴史的事実としては、古代のユダヤ社会において貨幣が定着するのはバビロン捕囚以降のことで、古代ユダ王国時代の税は物納だったため、今回ご紹介の切手に描かれたような封印が使われていたわけです。

 さて、インターネット放送「チャンネルくらら」で毎週水曜日に配信中の僕の番組、『ユダヤと世界史』は、昨年4月の配信開始から間もなく1年を迎えます。当初の予定では、番組を10-15回程度配信したところで、その内容をまとめた書籍を昨年秋ごろには出す予定でいたのですが、実際に作業を始めてみると、あまりにもテーマが巨大すぎて、番組の回数は膨らんでしまい、書籍に関しても、どこからどう手を付けたらよいやら、途方に暮れているというのが正直なところです。なんとか、年内には『ユダヤと世界史』の書籍を刊行し、来年の確定申告の時期には、「昨年刊行の拙著の内容に関連して…」というかたちで、ユダヤないしはイスラエル関連の“TAX”ネタの記事を書けるよう頑張りたいと思っておりますので、今しばらくのご猶予をただけると幸いです。
 

 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


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 体育の日
2015-10-12 Mon 16:44
 きょう(12日)は“体育の日”です。というわけで、スポーツ切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・第3回マカビア競技大会

 これは、1950年にイスラエルが発行した第3回マカビア競技大会の記念切手です。

 20世紀初頭ユダヤ人が“国家なき民族”とされていた時代、世界各国のユダヤ人はそれぞれの居住国の代表としてオリンピックに参加していました。こうした中で、ロシアからオスマン帝国支配下のパレスチナに移住したヨゼフ・イェクティエリは、1912年のストックホルム五輪についてのパンフレットを見て、少なからぬユダヤ系アスリートがメダルを獲得していることに感銘を受け、ユダヤ人だけで国際スポーツ大会が開催できないかと考えました。

 その後、第一次大戦を経て英委任統治領パレスチナ(以下、英領パレスチナ)が発足すると、イェクティエリはユダヤ人の国際スポーツ大会の開催に向けて本格的な活動を開始します。シオニストだったイェクティエリは、当初、パレスチナがユダヤ人の“民族的郷土”であることを広く世界に印象付けるためにも、第1回のユダヤ国際スポーツ大会は、西暦129年に起きたバル・コクバの乱(ローマ帝国支配に対しておきたユダヤ属州での反乱で、以後、135年までユダヤ側はエルサレムの支配を回復しました)から1800年にあたる1929年の開催を目指していました。

 しかし、英領パレスチナ当局は、パレスチナへのユダヤ系移民の急増が在地のアラブ系住民との摩擦を引き起こし、社会状況を不安定にしている中で、シオニズムの政治宣伝臭が強い大会の開催はアラブ系住民を不必要に刺激するとして難色を示し、イェクティエリの計画をなかなか承認しませんでした。結局、1931年、親シオニストのアーサー・フォーカプが英国のパレスチナ駐在高等弁務官に任命され、ようやく、計画は承認され、1932年3月に第1回大会が開催されました。ちなみに、競技大会の冠となっている“マカビア”は、紀元前2世紀、シリアの支配下にあったユダヤの独立を達成するマカバイ戦争を指導したユダヤの英雄として旧約聖書外典の『マカバイ記』に登場するユダ・マカバイにちなむものです。

 第1回マカビア競技大会の成功で手ごたえをつかんだイェクティエリは、翌1933年、(英領)パレスチナ・オリンピック委員会を組織。同委員会は、当初、1936年のベルリン五輪に参加する予定でしたが、同年1月にドイツで発足したヒトラー政権の下で、英領パレスチナのユダヤ系選手の五輪参加は拒否されてしまいます。このため、イェクティエリらは、急遽、ユダヤ系アスリートのための代替措置として、テルアビブで第2回マカビア競技大会を開催することを決定。1935年4月、第2回大会が開催されました。

 この先例に倣い、3年後の1938年に第3回大会を開催することが計画されましたが、英領パレスチナ当局は、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を逃れてパレスチナに流入するユダヤ人が急増し、当局としては移住制限に躍起になっている中で、第3回大会を開催すれば、相当数のユダヤ系不法移民が流入することをおそれ、大会の開催を認めませんでした。

 その後、1939-45年の第二次大戦、1948-49年の第一次中東戦争のため、第3回大会の開催は延び延びになり、1950年になってようやく開催されました。今回ご紹介の切手は、この時の第3回大会の開催に合わせて発行されたもので、1948年に建国宣言したイスラエル国家としては、最初のマカビア競技大会の記念切手となります。


 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。


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        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

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 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 レビ記の切手
2015-07-21 Tue 20:26
 イスラエルと米国の国際研究チームは、きのう(20日)、最新技術を用いて、6世紀のものとされる炭化した羊皮紙の巻物に記された古代ヘブライ語の解読に成功したと発表しました。文書には、旧約聖書・レビ記の冒頭8節が記されていたそうです。というわけで、レビ記と言えば、この切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・レビ記

 これは、1958年にイスラエルで発行された世界人権宣言10周年の記念切手で、レビ記第19章・18節の文言「自分自身を愛するように隣人を愛しなさい」が取り上げられています。

 1945年6月26日に採択された国際連合(以下、国連)憲章の前文には、世界平和を維持するために人権を尊重することが定められていますが、人権の具体的内容についての規定はありませんでした。このため、1946年6月21日、国連の経済社会理事会に設置された人権委員会により、国際的人権章典を制定するための実務作業が進められ、1948年12月10日、パリで開催された第3回国連総会で「世界人権宣言」が採択されました。

 世界人権宣言は、人間の基本的自由の内容を具体的に示したもので、全文は30ヵ条からなっています。内容面では、市民的・政治的自由に重点が置かれていますが、社会的・経済的な権利についても、加盟各国が達成すべき最低基準を示すものとなっています。

 1958年は、そうした世界人権宣言の採択10周年にあたっており、国連の人権委員会は、人権宣言を周知宣伝し、世界各国における基本的人権の保護を伸張させるため、各種の記念事業を行うことを決定。その中には、加盟各国が「(採択記念日の)1958年12月10日、国内において記念切手を発行し、特別消印を使用する」との一項も含まれていました。今回ご紹介の切手も、これを受けて発行されたものです。

 ちなみに、今回ご紹介の切手のタブには、国連の公用語であるフランス語、英語、スペイン語、ロシア語、中国語でレビ記の文言の訳文が掲載されています。国連の公用語には、1973年にアラビア語が追加されていますが、この切手が発行された時点では公用語ではありませんので、アラビア語の訳文はありません。まぁ、切手の国名表示にはアラビア語の表記もありますので、アラビア語を入れなかったのはイスラエルが“隣人”を愛さなかったというわけではなさそうですな。

 
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 イスラエル国家60年
2008-05-14 Wed 11:59
 イギリスによるパレスチナ委任統治の終了に伴い、ユダヤ国民評議会がイスラエル国家の独立を宣言したのは1948年5月14日。今からちょうど60年前のことです。というわけで、今日はこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 イスラエル最初の切手

 これは、1948年5月16日、イスラエル建国後発行された最初の切手で、古代の貨幣が描かれています。
 
 第二次大戦後の1947年2月、イギリスは委任統治領パレスチナでのアラブ・シオニスト対立の自力解決を放棄し、国際連合に問題の解決を一任すると一方的に宣言。これを受けて、同年5月、国連にパレスチナ問題特別委員会が設立され、同委員会によるパレスチナ分割案(パレスチナにアラブ、ユダヤの二独立国を創設し、エルサレムとその周辺は国連信託統治下に置くという内容)が11月29日に国連決議第181号として採択されます。

 国連決議をめぐってパレスチナがアラブ対シオニストの内戦に突入する中、1948年3月、シオニストたちは、パレスチナ分割の国連決議を受けて、テルアビブにパレスチナのユダヤ人居住区を統治する臨時政府「ユダヤ国民評議会」を樹立し、新国家樹立に向けて動き出しました。同時に、シオニストたちは、イギリスの撤退後の軍事的空白を利用して、軍事的にパレスチナを制圧するダレット計画(パレスチナのアラブ社会を破壊してアラブ住民を追放し、パレスチナ全土を制圧してユダヤ人国家創設を既成事実とすることをめざす計画)を発動します。
  
 内戦が激しさを増し、アラブ系住民のパレスチナ脱出が相次ぐ中で、シオニスト側は着々と建国準備を進め、パレスチナにおけるイギリスの委任統治が終了する1948年5月14日午後4時すぎ(現地時間)、テルアビブの博物館でユダヤ国民評議会が開催され、イスラエル初代首相となったベングリオンが、“ユダヤ民族の天与の歴史的権利に基づき、国際連合の決議による”ユダヤ人国家イスラエルの独立を宣言しました。

 これを受けて、アメリカのトルーマン政権は、即日、主要国の中で最初にイスラエルを承認。ついで、5月17日にはソ連もイスラエルを承認しています。

 今回ご紹介しているイスラエル最初の切手は、こうした状況の下で発行されたわけですが、切手上には「ヘブライ郵便」との表記はあるものの、「イスラエル」との表記がないのは注目に値します。これは、切手の制作時にはまだ新国家の正式な国号が決定されていなかったことによるもので、このことからも、イスラエル国家の建設準備がいかに慌ただしく進められたか、イメージがわいてきます。

 こうして建国を宣言したイスラエルに対して、周辺アラブ諸国はその存在を否定すべく宣戦布告。第一次中東戦争が勃発するのですが、この点については、明日の記事でご説明しようかと思います。

 もう一度切手を集めてみたくなったら 
 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。

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