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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 20年ぶりの哀厄首脳会談
2018-07-09 Mon 04:40
 エチオピア(漢字表記は哀提伯)のアビィ・アハメド首相が、きのう(8日)、隣国エリトリア(漢字表記は厄立特里亜)の首都アスマラを訪れ、イサイアス・アフェウェルキ大統領と会談しました。1998年に両国間で国境紛争が発生して以来、首脳同士の会談は約20年ぶりだそうです。というわけで、エリトリアのニュースが話題になることも滅多にないので、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イタリア・エリトリア加刷(1893)

 これは、1893年、イタリア領時代のエリトリアで発行された最初の切手です。

 19世紀後半、エチオピアへの進出を目論んだイタリアは、1885年、エチオピア北東の紅海沿岸の地を占領。1889年のウチャリ条約で同地の保護領化を認めさせました。翌1890年、イタリアはここをラテン語で“紅海”を意味する“Mare Erythraeum”にちなんで、エリトリアと命名し、1893年には本国切手に地名を加刷した最初の切手を発行します。

 第二次大戦中の1941年、英国はエリトリアのイタリア軍を駆逐し、ここを軍政下に置きました。1952年、英軍が撤退すると、エリトリアは内政自治権を保持したまま、エチオピアと“エチオピア・エリトリア連邦”を形成します。しかし、同連邦ではエチオピアがエリトリアの自治権を尊重しなかったため、1962年、エリトリア議会は連邦離脱を決議。これに対して、エチオピアは軍で議会を包囲し、エリトリアの迎合を宣言し、エリトリアをエリトリア州としてしまいました。

 以後、これを不満とするエリトリア住民は独立闘争を展開。1991年、独立勢力のうちの最大勢力、エリトリア人民解放戦線 (EPLF) が、ティグレ人民解放戦線 (TPLF) 等とともに首都アディスアベバに突入し、5月29日、独立を宣言し、1993年5月にはエチオピアもこれを承認しました。

 その後、しばらくは両国関係は良好でしたが、1997年、エリトリアが、独立戦争時の激戦地に由来する名前の独自通貨“ナクファ”を導入し、エチオピア・ブルから離脱。さらに、エリトリアの独立によって内陸国となったエチオピアは、エリトリアに使用料を払って、従来からの港湾施設を使用していましたが、その使用料をめぐって両国は対立します。さらに、内陸部のバドメ周辺の国境未画定地域で金鉱が発見されたことなども重なり、1998年5月6日、バドメでエチオピア民兵がエリトリア兵8名を殺害する事件が発生すると、両国間で国境紛争に発展しました。

 以後、2000年6月18日、アフリカ統一機構の調停により、①即時停戦、②停戦監視のための平和維持部隊の展開、③エチオピア軍は1998年5月6月以前の統治地域まで撤退、④エチオピア軍の撤退ラインからエリトリア側に25kmの暫定安全保障地帯(エリトリア軍は立ち入り禁止)設置、などを骨子とする停戦合意がまとめられるまで、10万人の死傷者と多数の難民が発生しました。

 停戦合意を受け、PKO国際連合エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)が設置され、2002年4月13日には、オランダ・ハーグに設置された国際委員会により、 新国境案が提案されました。しかし、同案ではバドメがエリトリア領とされていたため、エチオピアはこれに強く反発。また、エチオピアへの対抗上、2005年にはエリトリアも国連機を領域内飛行禁止にしたほか、2007年10月16日にはエリトリア軍のタンカーが暫定安全保障地帯に侵入するなあど、UNMEEに対するエリトリアの妨害が激化していったため、2008年7月、国連安保理は7月31日の任期切れをもって、UNMEEを撤退させることを決議し、UNMEEの活動は終了しました。

 さらに、内陸国化したエチオピアが、エリトリアの港湾の使用を事実上断念し、ジブチの港湾を使用するようになったことから、エリトリアとジブチの関係も悪化。UNMEEの撤退直前の2008年6月には、エリトリア軍がジブチに侵入し、ジブチ軍人2名が死亡する事件が発生するなど、両国間の緊張状態が続いていました。

 こうした中で、ことし(2018年)4月2日、新たに発足したエチオピアのアビィ政権は、エリトリアとの関係改善に向けた対話路線を取り、6月18日の人民代表議会では、アビィ首相がみずから2002年の国境案の受け入れを表明。エリトリア側もこれを歓迎し、エチオピアに外交団を派遣するなど、関係改善が進む中で、今回、20年ぶりの首脳会談が実現したというわけです。

 
★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

 7月20-22日(金-日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにチェコ切手展が開催されます。主催団体の一つである全日本郵趣連合のサイトのほか、全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2018ポスター

 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。

 なお、会期中の21日、内藤は、以下の3回、トーク・イベントをやります。
 13:00・9階会議室 「国際切手展審査員としての経験から テーマティク部門」
 14:30・8階イベントスペース 「アウシュヴィッツとチェコを往来した郵便」
 16:00・8階イベントスペース 『世界一高価な切手の物語』(東京創元社)


★★★ 近刊予告! ★★★

 えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です!
 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。

      ゲバラ本・仮書影

(画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) 
 

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