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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 きょうからウクライナ切手展
2023-11-03 Fri 00:03
 かねてご案内の通り、きょう(3日)から5日まで、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館でウクライナ切手展(全国切手展<JAPEX 2023>と共催)が開催されます。今回は、僕も『ウクライナ国民共和国 1918-1920』と『ヘオルヒー・ナルブート作品抄』の2作品を出品していますので、今日はその中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ウクライナ国民共和国・正刷全貼りカバー
 
 これは、1918年11月30日に差し出されたオデーサ市内発着の書留便で、ウクライナ国民共和国が同年7月に発行した最初の正刷切手5種とロシア切手に三叉鉾を加刷した切手4種を貼って、85コペイカ相当の料金が納付されています。ウクライナ国民共和国が発行した正刷切手の全額面が貼られているので、今回の出品作品『ウクライナ国民共和国 1918-1920』では作品のトップに展示しています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。
 

★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 11月3~5日 ウクライナ切手展 於・都立産業貿易センター台東館
 11月3~5日(金・祝~日)、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館で開催の全国切手展<JAPEX 2023>と併催のイベントです。内藤も、1918年に発行されたウクライナ最初の切手の小コレクションと、最初の切手の原画作者、ヘオルヒー・ナルブートの画業を紹介する小コレクションを展示するほか、会期中、以下のトークを行います。

 11月3日(金・祝) 15:00~15:30 ウクライナ切手展・展示解説
 11月4日(土) 13:00~14:00 記念講演「ウクライナと切手・郵便」

 
 イベントそのものは事前予約不要・参加費無料ですが、会場の切手展へは入場料が必要です。詳細は全国切手展の主催者サイトをご覧ください。

 11月6日(月) 10:00~ ニッポンジャーナル
 インターネット番組「ニッポンジャーナル」に内藤がゲスト出演の予定です。皆様、よろしくお願いします。

 11月10日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 謀略の世界史 11/11、12/9、1/6、2/3、3/2 13:00~14:30
 MI6、CIA、モサドなど各国の情報機関のあらましや、現代史の中で彼らが実際に関与した事件などを幅広くご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 大河企画の「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」、引き続き開講中です。詳細はこちらをご覧ください。 

 「龍の文化史」、絶賛配信中です。龍/ドラゴンにまつわる神話や伝説は世界各地でみられますが、想像上の動物であるがゆえに、それぞれの物語には地域や時代の特性が色濃く反映されています。世界の龍について興味深いエピソードなどを切手の画像とともにご紹介していきます。詳細はこちらをご覧ください。


★ 『今日も世界は迷走中』 好評発売中!★

      今日も世界は迷走中

 ウクライナ侵攻の裏で起きた、日本の運命を変える世界の出来事とは!内藤節炸裂。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 切手から見る世界と歴史:ウクライナ最初の切手
2023-02-16 Thu 10:55
 潮流社の雑誌『カレント』の2023年2月号が発行されました。僕の連載「切手から見る世界と歴史」は、今回はロシアによるウクライナ侵攻から間もなく1年になることにちなんで、こんな切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

      ウクライナ最初の切手1918・40シャーフ

 これは、1917年11月22日から1920年11月10日にかけて存在したウクライナ国民共和国(人民共和国とも)が1918年7月に発行した最初の正刷切手のうち、ウクライナの象徴として、ウクライナの伝統的な花飾り”ヴィノク”に囲まれた三叉戟を描いた40シャーフ切手です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2023年2月24日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00
 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 よみうりカルチャー 北千住
 エリザベス女王の現代史 原則毎月第4土曜日 13:00~14:30
 エリザベス女王の描かれた切手を手掛かりに、現代史を読み解く講座です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座 
 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 


★ 『なぜレジ袋は「有料化」されたのか』 好評発売中! ★

      なぜレジ袋は「有料化」されたのか・帯付き

 関係省庁、政治家、業界団体等が国民が知らないところで粛々と作り続けているさまざまな規制。「レジ袋の有料化」という規制ができるまでの政治的・行政的プロセスを詳細に分析し、規制の新設防止、そして規制廃止を訴える。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 きょうからスタンプショウ
2022-04-22 Fri 02:54
 きょう(22日)から24日まで、東京・浅草の東京都立産業貿易センター台東館6・7階で世界切手まつり<スタンプショウ 2022>が開催されます。今回は、現在のウクライナ紛争を受けて、急遽、緊急特別企画「ウクライナ切手展」のコーナーが設けられ、僕も、ささやかながら、絵葉書を中心に近代以降のウクライナ絵画を紹介する展示をしています。というわけで、その展示の中から、この切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ウクライナ・1918-30

 これは、現在のウクライナ国家の前身として、1917年11月22日から1920年11月10日にかけて存在したウクライナ国民共和国(人民共和国とも)が1918年7月に発行した最初の正刷切手のうち、ウクライナの象徴として、ウクライナの伝統的な花飾り”ヴィノク”をつけた女性を描いた30シャーフ切手です。この切手は、キーウ美術アカデミー教授で画家のヘオルヒー・ナルブートが原画を作成したため、“近代絵画”の番外編として、今回の展示でもご紹介しています。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。

 なお、今回のスタンプショウでは、僕は、会期初日のきょう(22日)14時から“アフガニスタン現代史”のトークイベント(過去のトークとは別の内容です)を、明日(23日)11時から5月に日本郵趣出版から刊行予定の「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」の事前プロモーションを兼ねたトークイベントを行います。両イベントとも、事前予約不要・参加費無料ですので、ぜひ遊びに来てください。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 4月22日(金) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。

 4月22-24日(金-日) スタンプショウ2022 
 於・都立産業貿易センター台東館

 毎年恒例、世界切手祭り・スタンプショウですが、今回は会期中、以下の2回のトークイベントに登場します

 4月22日(金) 14:00~ 「アフガニスタン現代史」
 *3月に刊行された拙著『アフガニスタン現代史』の出版記念イベントです。

 4月23日(土) 11:00~
 「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」
 *5月に日本郵趣出版から刊行予定の「切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.3 平成・令和編」の事前プロモーションを兼ねたイベントです。

 両イベントとも、事前予約不要・参加費無料です。親イベントとなる切手展、スタンプショウの詳細は主催者サイトをご覧ください。

 4月29日(金・祝) 14:00~ ニコニコ超会議 2022
 ニコニコ超会議の立花孝志×スペシャルゲスト★トークショー2022内のプログラム「ロシア・ウクライナ戦争から学ぶ日本の国防」に内藤が登場します。詳細はこちらをご覧ください。

 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 
 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。

 5月7日(土) 14:00~ 第4回 救国シンクタンクフォーラム
 東京・永田町の星稜会館で開催の第4回救国シンクタンクフォーラムのパネリストとして内藤が登場します。今回のお題は“ウクライナとレジ袋”です。詳細はこちらをご覧ください。

 武蔵野大学のWeb講座
 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年)
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末
 詳細はこちらをご覧ください。 

★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 好評発売中!★

      アフガニスタン現代史・表紙帯付き
 
 出版社からのコメント
 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史!
 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 ロシア軍、ウクライナに侵攻
2022-02-25 Fri 11:25
 きのう(24日)、ロシア・ベラルーシの連合軍がウクライナの北部や南部など3方向から侵攻。短距離弾道ミサイルなど100発以上を使用し、首都キエフ(キーウ)など複数の地域を攻撃し、ウクライナ当局の発表によると、この記事をアップした時点で137人が死亡、316人が負傷しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ウクライナ人民共和国・ロシア切手に加刷

 これは、1917年11月22日から1920年11月10日にかけてウクライナの地に存在していたウクライナ人民共和国(ボリシェヴィキ側の政権と区別してウクライナ国民共和国とも)が1918年に発行した切手で、ロシア帝国の切手にウクライナを象徴する三叉戟の国章が加刷されています。ちなみに、現在のウクライナ共和国は、このウクライナ人民共和国の後継国家というのが建前です。

 詳細については、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。


★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★

 2月28日(月) 05:00~  おはよう寺ちゃん
 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から9時までの長時間放送ですが、僕の出番は07:48からになります。皆様、よろしくお願いします。

 3月13日(日) 13:00~ 「アフガニスタン現代史」
 3月12・13日(土・日)に東京・目白の切手の博物館で開催される「第13回テーマティク研究会切手展」にあわせて、下記の通り、拙著『アフガニスタン現代史』の刊行記念トークイベントを開催します。切手展の参観と合わせて、ぜひ、ご参加ください。(切手展の詳細はこちら

 【日時】 3月13日(日) 13:00~14:30
 【会場】切手の博物館3階会議室
 【参加費】無料 ※先着順・最大20名
 【問合先】(公財)日本郵趣協会 TEL:03-5951-3311

 武蔵野大学のWeb講座
 4月6日-7月12日 鏑木清方と江戸の残り香
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 4月13日-7月19日 日本の郵便150年の歴史2 占領時代(1945年の終戦から1952年)
 詳細はこちらをご覧ください。
 
 5月18日-8月23日 日本の歴史を学びなおす― 近現代編その2― 幕末
 詳細はこちらをご覧ください。

 5月4日(水・祝) 13:00~ よみうりカルチャー北千住 公開講座 
 よみうりカルチャー北千住にて、公開講座「アフガニスタン現代史」を行います。拙著『アフガニスタン現代史』の内容を90分にギュッと凝縮した内容をお届けいたします。お申込など詳細は、こちらをご覧ください。
 

★ 最新作 『アフガニスタン現代史』 3月5日発売!★

      アフガニスタン現代史・表紙帯付き
 
 出版社からのコメント
 混迷のアフガニスタン情勢の理解に必須の通史!
 911同時多発テロ事件とその後のアフガニスタン空爆から20年。西側が支援した新共和国が崩壊し、再びタリバンが実効支配下に置いたアフガニスタン。英国、ソ連、米国…介入してきた大国の墓場と呼ばれてきたこの国の複雑極まりない現代史を、切手や郵便資料も駆使しながら鮮やかに読み解く。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

★ 期間限定の無料サービス、ぜひご活用ください! ★

      世界はいつでも不安定・表紙カバー

 2月1日から3月31日まで、拙著『世界はいつでも不安定 国際ニュースの正しい読み方』(ワニブックス)が電子書籍版アマゾン・アンリミテッドの対象になっております。期間中、アマゾンKindle Unlimited会員限定ですが、無料で読み放題となりますので、この機会に、ぜひ、こちらをクリックしてご活用ください。

★ 『切手でたどる郵便創業150年の歴史 vol.2 戦後編』 好評発売中! ★

      切手でたどる郵便創業150年の歴史②表紙 2530円(本体2300円+税)

 明治4年3月1日(1871年4月20日)にわが国の近代郵便が創業され、日本最初の切手が発行されて以来、150年間の歴史を豊富な図版とともにたどる3巻シリーズの第2巻。まずは、1945年の第二次大戦終戦までの時代を扱った第1巻に続き、第二次大戦後の1946年から昭和末の1989年までを扱っています。なお、2022年3月刊行予定の第3巻では平成以降の時代を取り扱う予定です。

 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 

 ★★ 書籍無料ダウンロードを装った違法サイトにご注意ください!★★

 最近、拙著『切手でたどる郵便創業150年の歴史』をPDF化して、無料でダウンロードできるかのように装い、クレジットカード情報を盗み取ろうとする違法サイトの存在が確認されました。

 この種のサイトは多種多様な出版物を無許可で取り扱っているものと思われます。

 内藤および拙著の出版元・販売元ではこのような行為は一切認めておらず、フィッシング詐欺等に巻き込まれる可能性もありますので十分ご注意ください。

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 切手でひも解く世界の歴史(7)
2017-08-24 Thu 09:29
 本日(24日)16:05から、NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第7回が放送される予定です。(番組の詳細はこちらをご覧ください)。今回は、きょうが独立記念日のウクライナにスポットを当てて、この切手もご紹介しながら、お話をする予定です(画像はクリックで拡大されます)

      シェフチェンコ(1920年)

 これは、ロシア内戦期の1920年、ウクライナ国民共和国(人民共和国とも)が発行を計画したものの、不発行に終わった切手で、現代ウクライナ語の基礎を作ったとされる詩人・画家のタラス・シェフチェンコの肖像が描かれています。

 タラス・フルィホローヴィチ・シェフチェンコは、1814年、ウクライナ・キエフ近郊の農奴の家に生まれました。11歳の時に孤児になりましたが、幼少期から絵画の才能があったため、彼をお抱えの過程画家にしようと考えた地主の支援で、1831年以降、サンクト・ペテルブルクで美術を学びました。

 サンクト・ペテルブルクでは、多くの知識人が彼の作品を絶賛。その才能に惚れ込んだ人々がお金を持ち寄って、2500ルーブルで地主から彼の農奴の身分を買取ります。かくして、1838年、シェフチェンコは晴れて自由の身となり、ロシア帝国アカデミーに入学しました。

 同年、ウクライナ語の叙事詩「エネイーダ」(1798年)の作者として知られていたイヴァン・コトリャレーウシキーが亡くなります。すでに、ウクライナ人としての民族的自覚に目覚めていたシェフチェンコは、彼を悼むレクイエムを制作。さらに、アカデミー在学中の1840年、故郷ウクライナとその民衆に対する深い想いを込めたウクライナ語の詩集『コブザーリ(吟遊詩人)』を発表。これにより、彼は後に“ウクライナ近代文学の父”と称されるようになりました。ただし、当時のロシア(の上流)社会では、ウクライナ語は田舎の卑語という扱いでしたので、サンクト・ペテルブルクではシェフチェンコの詩の評判は芳しいものではありませんでした。

 その後、シェフチェンコは、ウクライナ語の詩人として活動する傍ら、1843年にはキエフに戻り、農奴制に反対する秘密結社“キリル・メトディウス団”に関与。ウクライナの農奴解放に尽力しましたが、1847年、キリル・メトディウス団に手入れが入った際、皇帝ニコライ1世と皇后アレクサンドラを批判する彼の詩が発見され、10年間、一兵卒として中央アジアへ流刑され、その間、ペンと筆を持つことを禁止されました。1857年、新帝アレクサンドル2世即位の恩赦で釈放され、1861年に没。

 さて、1914年に第一次大戦が勃発した時点では、現在のウクライナ国家に相当する地域ロシア帝国ハプスブルク帝国に分割支配されていましたが、1917年の2月革命で帝政が打倒されると、ウクライナでは自治を求める“中央ラーダ”が成立。さらに、10月革命でロシアに社会主義のボリシェヴィキ政権が成立すると、中央ラーダはこれを認めずウクライナ人民共和国(のちウクライナ国に改称)の成立を宣言します。

 以後、ウクライナの併合を図るソビエト政府と自治を守ろうとする中央ラーダとの間に内戦が勃発。1920年に中央ラーダのウクライナ国は滅亡し、その領域はウクライナ・ソヴィエト共和国の支配下に置かれ、1922年末にソ連が成立すると、その構成国“ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国”となりました。

 この間、中央ラーダのウクライナ国は、今回ご紹介の切手を含む切手を発行し、ウクライナの独立を広くアピールしようとしましたが、実際には、それらの切手は発行されないままに終わってしまいました。

 なお、偉大な芸術家としてのシェフチェンコの肖像は、ソ連時代にも何度か発行されていますが、1933年にスターリンが“ウクライナ化政策”を廃止し、ウクライナの知識人を弾圧して“ロシア化”政策を推進したこともあって、1991年のウクライナ再独立まで、ソ連当局によるシェフチェンコの評価には、“ウクライナ近代文学の父”に加えて、ロシア美術アカデミーの卒業生で、ロマノフ帝政に対して農奴解放を求めて戦った英雄という面も強調されていくことになります。


★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史”  次回は24日★★ 

 8月24日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第7回が放送予定です。今回は、放送日が独立記念日のウクライナにスポットを当ててお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


 ★★★ トークイベントのご案内  ★★★ 

      タウンミーティング in 福山

  2017年9月17日(日) 14:00~、広島県立ふくやま産業交流館で開催の「日本のこころタウンミ-ティング in 福山」に憲政史家の倉山満さんとトークイベントをやります。お近くの方は、ぜひ、ご参加ください。なお、イベントそのものの詳細は、こちらをご覧ください。
      
 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 クリミア地方政府の切手
2014-02-28 Fri 21:44
 今月23日にヤヌコーヴィチ政権が崩壊したウクライナ南部のクリミア自治共和国で、昨日(27日)、親ロシア派の武装集団が首都シンフェローポリのクリミア政府・議会を占拠しました。議会は占拠されたままの状態で、同日、自治権拡大の是非を問う住民投票を5月25日に実施することを決定。さらに、武装集団は、きょう(28日)未明、南部の要衝セヴァストーポリ近郊のベルベク空港ならびに首都の空港を掌握した模様だそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      クリミア地方政府切手

 これは、1919年に“クリミア地方政府”が発行した50コペイカ切手で、ロシア皇室の紋章である双頭の鷲が大きく描かれています。

 18世紀までのクリミア半島は、クリミア・タタール人が支配するクリミア・ハン国の反とでしたが、1768-1774年の露土戦争の結果、1783年にクリミアはロシア帝国に併合され、クリミア・タタール人の有力者層はオスマン帝国領内に亡命。その一方で、ロシア人、ウクライナ人をはじめとする移民がクリミアに押し寄せたため、19世紀の初めには、クリミア・タタール人はクリミア半島での少数派となっていました。

 1917年、ロシアで十月革命が起こると、クリミア・タタール人はクリミア国民共和国(人民共和国とも)の独立を宣言しましたが、1918年初めにはボリシェヴィキがクリミア半島を占領。タヴリダ・ソヴィエト社会主義共和国を創設します。これに対して、同年4月末、ドイツに援助されたウクライナ国民共和国(人民共和国とも)軍がボリシェヴィキを駆逐し、同年6月25日、クリミア地方政府を樹立しました。

 クリミア地方政府は、ドイツとオスマン帝国の保護下でクリミア・ハン国の再建をめざし、独自の通貨や紙幣(今回ご紹介のモノはその1枚です)も発行しました。その後、ドイツとオスマン帝国の敗戦を受けて、1918年11月には反ボルシェヴィキの連合国が上陸したものの、1919年初までに撤退。クリミア半島はロシアの内戦に巻き込まれ、赤軍と白軍の攻防の後、最終的には赤軍に占領され、1921年10月18日、ソヴィエト・ロシアの一部としてクリミア自治社会主義ソビエト共和国が創設。1922年末のソヴィエト社会主義共和国連邦成立を経て、1936年12月5日、クリミア自治ソビエト社会主義共和国となりました。

 スターリン時代の1944年、クリミア・タタール人は財産と市民権と奪われたうえ中央アジアへ強制移住させられ、翌1945年6月30日には自治共和国は解消させられてクリミア州となります。スターリン没後の1954年、ウクライナのロシアへの統合300年を記念して、クリミア州はソ連構成国のロシアからウクライナに移管。1967年にはクリミア・タタール人の名誉回復がなされましたが、彼らのクリミア半島への帰還はソ連崩壊まで許可されませんでした。

 ソ連崩壊後、クリミア州はウクライナが継承しましたが、上述のような経緯から、クリミア州内のロシア人はロシアへの再統合を要求。1992年5月5日、クリミア州議会はウクライナからの独立を決議し、クリミア共和国を宣言します。

 これに対して、ロシアは独立の動きを支持し、クリミアのウクライナ移管を定めた1954年の決定は違法とする議会決議を採択しました。ところが、1994年に第1次チェチェン紛争が勃発すると、チェチェンの独立を禁圧しながらウクライナからのクリミアの独立を支持するのはダブルスタンダードであるとの国際的批判が高まり、ロシアはクリミア独立運動への支援を中断せざるを得なくなります。

 この結果、後ろ盾を失ったクリミアの独立運動は沈静化し、クリミア議会はウクライナ共和国内の自治共和国であることを認め、1998年にクリミア自治共和国憲法が制定されましたが、その後も、ロシア人とウクライナ人の潜在的な対立が続いているほか、クリミア・タタール人の故郷帰還と権利回復の問題もあり、それらが、今回のウクライナ政変を契機に一挙に噴き出した格好です。

 いずれにせよ、クリミアを含むウクライナ情勢からは、当分、目が離せない状況が続きそうですので、このブログでも、随時、関連する切手や郵便物などをご紹介していけたら…と思っています。
 

 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★   

 4月から、毎月1回(第1火曜日:4月1日、6月3日、7月1日、8月5日、9月2日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

 ・朝鮮半島のことを学ぼう 時間は13:00-14:30です。

 ・イスラムを学ぶ 時間は15:50-17:00です。

 初回開催は4月1日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 文京生涯カレッジ(第13期)のご案内 ★★★

 文京学院大学が一般向け(=どなたでも受講できます)にさまざまな講師を招いて行う通年の教養講座「文京生涯カレッジ」の第13期が4月15日から始まります。僕も、7月15・22日に「バスコ・ダ・ガマのインドを歩く」、9月9日に「ドバイ歴史紀行」のお題で登場します。詳細はこちらですので、よろしかったら、ぜひご覧ください。


 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★

 『蘭印戦跡紀行』広告

 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

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