内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 1万人でサマン・ダンス
2017-08-14 Mon 14:44
 きのう(13日)、インドネシア・スマトラ島北部のアチェ州で、グヌン・レウセル国立公園の保護を訴えるため、1万人以上が一堂に会して伝統舞踊の“サマン”を披露するパフォーマンスが行われました。これまでのサマンの最多人数記録は、昨年行われた同種のイベントでの6600人だったそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・インドネシアとの友好(2008)

 これは、2008年にトルコが発行した“インドネシアとの友好”の切手のうち、インドネシアを代表する伝統芸能として“サマン”を取り上げた1枚です。

 サマンは、13世紀にアチェ州ガヨ・ルエス地方のウラマー、シャイフ・サマンがイスラムの教義を人々に伝えるため考案した舞踊で、以来、ガヨ人を中心に継承されてきました。刺繍が付いた伝統衣装を着た若い男性や少年が、膝をついて座ったまま列に並び、歌やリズムに合わせて手、指、腕、頭、上半身を上下左右に一斉に素早く力強く動かし、肩や手をたたくことから“千の手のダンス”とも呼ばれています。2011年には、ユネスコの「緊急に保護する必要がある無形文化遺産」に登録されました。

 ちなみに、今回のパフォーマンスで保護が訴えられたグヌン・レウセル国立公園は、スマトラ島メダンの北西約100km に位置する7927平方キロの国立公園で、その名は、レウセル山(3381m)に由来しています。オランウータン、スマトラトラ、スマトラサイをはじめ希少な野生動物の生息地として知られており、2004年には、クリンチ・スブラット国立公園、ブキット・バリサン・スランタン国立公園とともに、“スマトラの熱帯雨林遺産”の名称でユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。しかし、密猟や違法な森林伐採が続いており、2011年には危機遺産に登録されています。

 なお、スマトラ・アチェの文化と歴史については、拙著『蘭印戦跡紀行』でも1章を設けてまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

* 昨晩、アクセスカウンターが182万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。


 ★★★ トークイベントのご案内  ★★★ 

      タウンミーティング in 福山

  2017年9月17日(日) 14:00~、広島県立ふくやま産業交流館で開催の「日本のこころタウンミ-ティング in 福山」に憲政史家の倉山満さんとトークイベントをやります。お近くの方は、ぜひ、ご参加ください。なお、イベントそのものの詳細は、こちらをご覧ください。
      
 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 トルコで軍の叛乱鎮圧
2016-07-16 Sat 18:16
 トルコで、現地時間の15日夜(日本時間16日未明)、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領とトルコ政府に対して国軍の一部による叛乱が発生。叛乱は鎮圧されましたが、この記事を書いている時点で、死者は民間人を中心に90人、負傷者は1154人に上っており、トルコ全土で少なくとも軍関係者1563人が逮捕されました。というわけで、トルコの過去のクーデターに関する切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・1960年革命

 これは、1960年12月1日に発行された“5月27日革命”の記念切手のうち、ケマル・アタテュルクを背景に松明を掲げる腕と、国軍を迎える市民のシルエットが描かれています。

 さて、1950年5月に行われた総選挙では、野党・民主党が圧勝して政権を獲得。その結果、アドナン・メンデレスが首相に就任しました。メンデレスは、ケマル・アタテュルク以来の厳格な政教分離政策の緩和を掲げ、選挙戦では、1932年以来禁止されていたアラビア語によるアザーン(モスクからの礼拝の呼びかけ)解禁を訴えたほか、学校でのイスラム教育を容認し、イスラム的内容な番組の放送を許可しました。

 経済面では、米国のマーシャル・プランを受けて農業の機械化を進めたほか、大企業による自由な経済活動を振興し、トルコに経済成長をもたらします。

 しかし、経済成長の副作用として貧富の差も拡大。人口の急増によって教育・福祉予算は膨大なものとなり、財政は次第に悪化してインフレが進行します。こうした中で、メンデレスはメディアに対する検閲を強め、ラジオを使って野党を攻撃する一方、宗教を票集めの手段として使ったため、イスラム復興の気運が高まりました。

 このため、アタテュルクの理想が失われることを危惧する学生や青年将校らインテリ層の不満が次第に高まり、学生の反政府デモをきっかけに、1960年5月27日、軍部によるクーデーターが発生。メンデレス以下の政府首脳が逮捕され、ジェマル・ギュルセル将軍の下で「国家統一委員会」が組織されます。

 クーデター後、民主党は非合法化され、汚職や憲法違反、ギリシア人に対する迫害などの罪状による裁判の結果、メンデレス首相、バヤル大統領、閣僚2名、政府官僚11名に死刑が宣告され、1961年9月17日、メンデレスはイムラル島で絞首刑に処せられました。

 さて、現在のエルドアン政権は、2003年以降、徹底した政教分離というトルコ共和国建国の理念に対して、イスラム色の強い政策を推進するとともに、憲法改正を行って、世俗派の牙城である軍の権限を縮小するなどの政策を推進してきました。そのことは、人口の90%以上を占めるムスリムの国民から歓迎される一方、世俗派の守護者だとする軍は、政治のイスラム化は受け入れられないとして、これまでにもたびたび政治介入を念頭にクーデターを起こすなど、衝突が続いていました。

 そういう意味では、今回の構図も、1960年の反メンデレスのクーデターと相通じるものがあったわけですが、まさに、「歴史は二度繰り返す、ただし一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」 を地で行くような結果となりましたな。


 ★★★ 全日本切手展(+内藤陽介のトーク)のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 会期中の7月23日15:00から、すみだ産業会館9階会議室にて「リオデジャネイロ歴史紀行」と題するトークイベントを行います。ぜひ、ご参加ください。


 ★★ 内藤陽介の最新刊  『リオデジャネイロ歴史紀行』  8月9日発売! ★★ 

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 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介
 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。
 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行!

 発売元の特設サイトはこちらです。


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 イスタンブルの空港で爆弾テロ
2016-06-30 Thu 10:58
 トルコ・イスタンブルのアタテュルク国際空港で、現地時間28日夜(日本時間29日未明)、爆弾テロが発生し、42人が死亡、239人が負傷する大惨事となりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・空港(1954)

 これは、1954年にトルコで発行された航空切手で、イスタンブルのイェシルキョイ国際空港(現アタテュルク国際空港)の風景が描かれています。

 イェシルキョイはイスタンブル市街中心部から西へ約24km地点のヨーロッパ側にあり、オスマン帝国時代にはサン・ステファノ(アヤ・ステファノス)と呼ばれていました。1878年には露土戦争の講和条約として、サン・ステファノ条約が結ばれた土地でもあります。

 サン・ステファノにイスタンブル地域最初の飛行場が作られたのは1912年のことで、ここを拠点に、1914年6月25日、サン・ステファノ海軍飛行学校 を設立されます。第一次大戦を経て1923年にトルコ共和国が発足すると、1924年、軍民共用の飛行場から民間専用の空港(飛行場のうち、旅客や貨物の運送を行う航空機が離着陸する施設)となりました。

 1926年、サン・ステファノは、トルコ語で“緑の村”を意味するイェシルキョイと改称されると、空港名もイェシルキョイ空港に改称されます。さらに、第二次大戦後の1949年から1953年にかけて大幅な拡張工事が行われ、1953年、イェシルキョイ国際空港として開港しました。今回ご紹介の切手は、その翌年の1954年、イェシルキョイ国際空港のお披露目を兼ねて発行されたもので、飛行機の背後に描かれている建物には、しっかりと“イェシルキョイ(YESILKOY)”の文字が掲げられているのが確認できます。

 現在の“アタテュルク国際空港”と改称されたのは1980年代のことで、現在、同空港はトルコ最大の国際空港として、3000m滑走路2本、2300m滑走路1本の計3本の滑走路を有し、年間、5000万人以上が利用しています。

 さて、今回のテロ事件の後、アタテュルク国際空港では、血痕を洗い落とす作業が続き、乗客が行き交う通路にはガラスの破片が飛び散り、構内には煙の臭気が立ち込めるなかで、約5時間足らずで営業を再開したそうです。これは、昨年(2015年)10月のアンカラ中央駅での爆弾テロ今年(2016年)1月のアンカラ中心部での爆弾テロと、テロ事件が相次ぐ中で、テロには屈しないとの姿勢を身を以て示したということなのでしょう。

 亡くなられた方のご冥福をお祈りし、負傷された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、そうしたトルコ国民の姿勢には敬意を表したいと思います。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 下記の通り、各地のよみうりカルチャーで公開講座を行います。ぜひ、ご参加ください。

・イスラムを知る―ISはなぜテロに走るのか
 よみうりカルチャー横浜 7/2(土) 13:00~14:30

・切手でたどる東京五輪とその時代
 よみうりカルチャー荻窪 7/9(土) 13:00~14:30

 詳細につきましては、それぞれの会場・時間をクリックしてご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

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 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

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 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


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 アンカラ城塞
2016-02-18 Thu 23:40
 トルコの首都アンカラの中心部で、きのう(17日)、トルコ軍のバスの車列を狙った爆発テロがあり、28人が死亡61人が負傷しました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはアンカラにちなんで、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・アンカラ城塞

 これは、1926年にトルコが発行したアンカラ城塞の切手です。

 アンカラ城塞は、古代ローマ帝国時代にガラテヤ人が岩山に築いた城塞がその起源とされています。城壁は二重の構造になっており、7世紀の東ローマ皇帝ヘラクレイオス1世の時代に築かれた内側の城壁を、9世紀の東ローマ皇帝ミカエル2世の時代に増築された外側の城壁が覆っている構造になっています。1073年、セルジューク朝はこの城塞を占領しましたが、1101年に十字軍がこれを奪還。その後、1227年にルーム・セルジューク朝が奪還し、以後、ムスリムによる支配が定着しました。なお、現在の城塞は、1832年、オスマン帝国のイブラヒーム・パシャの命により、修復されたものです。

 ちなみに、今回のテロ事件が発生したアンカラ中心部は、1923年に現在のトルコ共和国が成立した後、アンカラが正式に新国家の首都となったことを受けて、1932年以降、ドイツ人建築家のヘルマン・ヤンセンの案に基づいて建設された新市街(イェニシェヒル)で、切手に描かれた城塞がある旧市街(ウルス)はその北方になります。

 さて、今回のテロ事件について、トルコ政府は、シリアのクルド人民兵組織、人民防衛部隊(YPG)の戦闘員がトルコの反政府武装組織クルディスタン労働者党(PKK)の支援を得て実行したと発表し、すでに、事件に関与したとして14人を拘束しました。これに対して、YPG政治部門のクルド民主連合党(PYD)の指導者サリフ・ムスリム氏は、トルコ政府の主張を完全に否定し、「YPGはトルコを敵と思っていない」と反論していますが、トルコのダウトオール首相は「YPGはシリア・アサド政権の手先だ。アサド政権が今回の攻撃の直接的な責任を負う」と述べており、両者の主張は平行線をたどっています。

 いずれにせよ、アンカラといえば、昨年10月に中央駅で発生した大規模なテロ事件が記憶に新しいだけに、2度あることは…とならないことを願うばかりです。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 3月8日(火)から、毎月第2火曜の19時より、東京・竹橋の毎日文化センターで新講座「宗教で読む国際ニュース」がスタートします。都心で平日夜のコースですので、ぜひ、お勤め帰りに遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。


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 『海難1890』きょうから公開
2015-12-05 Sat 01:38
 日本・トルコ友好125周年企画として、1890年に起きたエルトゥールル号遭難事件と、1985年のイラン・イラク戦争時のトルコ政府による日本人救援を取り上げた日本トルコ合作映画『海難1890』が、きょう(5日)から公開されます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・エルトゥールル号(2015)

 これは、トルコが今年(2015年)発行した“エルトゥールル号事件125周年”の記念切手で、そのものずばり、航行中のエルトゥールル号が描かれています。

 1889年、オスマン帝国政府は、1887年の小松宮彰仁親王のイスタンブル訪問の答礼として、オスマン・パシャをスルターン(アブデュルハミト2世)の正使とする親善訪日使節団の派遣を決定。あわせて、軍艦エルトゥールル号の航海演習を行うこととしました。

 しかし、当時のオスマン帝国の海軍政策は海防が中心で、遠洋航海の準備はなく、また、派遣されるエルトゥールル号も1863年建造の木造老朽艦で、海軍としての予算も貧弱でしたから、日本への軍艦の派遣は、オスマン帝国海軍の実力からすると明らかに無謀な試みと見られていました。

 それにもかかわらず、アブデュルハミト2世がエルトゥールル号の派遣に踏み切ったのは、これを汎イスラム主義のプロパガンダにしようという意図があったためです。すなわち、列強諸国の植民地下にあるイスラム地域の主要港を、イスラム世界の盟主であるオスマン帝国の軍艦が寄港すれば、各地のムスリムはこれを歓呼して迎え、その結果として、スルターンの威信は高まると考えたのでした。

 かくして、1889年7月14日、イスタンブルを出港したエルトゥールル号は、苦難の航海を11ヵ月つづけた後、1890年6月7日、横浜に入港。同月13日、オスマン・パシャはスルターンの親書と勲章を明治天皇に奉呈し、特使としての任務を果たします。

 その一方で、長旅でエルトゥールル号は疲弊しきっており、船内の劣悪な衛生環境の中で、乗員にはコレラが流行。親書の奉呈が終わった後も、すぐに帰国できるような状況ではありませんでした。

 このため、一行はしばらく日本に滞在しましたが、9月15日、ようやく横浜を出します。時あたかも台風の季節であり、日本側は天候を理由に帰国の延期を勧告しましたが、オスマン帝国側は帰国を強行してしまいました。日本滞在が長期化すれば、国際社会から「オスマン帝国海軍には帰国の能力がない」と見なされ、スルターンの権威を傷つけることを恐れたためです。

 はたして、9月16日、エルトゥールル号は熊野灘を航行中、暴風雨に遭い、紀伊大島の樫野崎に連なる岩礁に激突して座礁。機関部に浸水して水蒸気爆発を起こして沈没しました。これにより、司令官オスマン・パシャをはじめとする六百名以上が海へ投げ出され、生存者はわずか69名でした。

 事件の報に接した日本側は、官民あげて遭難者の救助と慰霊に全力を尽くし、大島村(現串本町)樫野の住民は、自分たちも台風の最中で食料の蓄えが乏しかったにもかかわらず、浴衣などの衣類、卵やサツマイモ、それに非常用のニワトリを供出。明治天皇は、政府に対し、可能な限りの援助を行うよう指示し、全国から多くの義捐金・弔慰金も寄せられました。

 生存者は、10月5日、東京を出航した日本海軍のコルベット艦「比叡」(“満洲国皇帝陛下御来訪”の記念切手に取り上げられた軍艦は同名の別の船)と「金剛」(シーメンス事件で問題となった軍艦は同名の別の船)に収容され、翌1891年1月、無事、イスタンブルに生還しました。

 これら一連の事件は、その後の、トルコ国民の親日感情の端緒となったといわれており、そのことが、今回の映画化にもつながったというわけです。


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 アンカラ中央駅で連続爆発事件
2015-10-11 Sun 22:11
 トルコの首都アンカラの中央駅で、きのう(10日)、連続爆発事件が発生し、この記事を書いている時点で死者97人、負傷者400人以上という、トルコで起きたテロでは過去最悪の惨事となりました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      トルコ・東方鉄道開通

 これは、1939年にトルコで発行されたアンカラ=エルズルム間の東方鉄道開通の記念切手で、アンカラ中央駅からエルズルムに向けて疾走する蒸気機関車が描かれています。

 アンカラ中央駅は、オスマン帝国時代の1892年、アナトリア鉄道(CFOA: Chemins de Fer Ottomans d'Anatolie)によって建設されたのが最初です。オスマン帝国時代のアンカラは小規模な地方都市だったこともあり、当初の駅舎はごく小さなもので、一日一便、アンカラ=イスタンブルの路線が運行されているだけでした。また、大戦中の1914-1918年には、アナトリア鉄道では軍事輸送が優先されたこともあり、アンカラ=イスタンブル間の旅客サービスも停止されています。

 第一次大戦後、オスマン帝国の分割が進められていく中で、1920年、これに対抗すべく、ムスタファ・ケマルを指導者とする大国民議会がアンカラで発足。1922年にはアンカラ政府はスルタン制を廃止してオスマン帝国を滅亡させ、1923年にトルコ共和国が発足します。

 これに伴い、アンカラ=イスタンブル間の旅客輸送も再開され、1927年6月1日、アナトリア鉄道はトルコ国鉄(TCDD)に改組されました。現在のアンカラ中央駅は1937年、トルコ国鉄によって新首都のターミナル駅として建設されたもので、ここを拠点に、今回ご紹介した切手の題材となった東方鉄道や9月9日鉄道(アンカラ=イズミル間)、南方鉄道などの路線がトルコ国内に延伸されていくことになりました。

 さて、今回のテロ事件に関して、トルコのダウトオール首相は、イスラム国こと過激派組織のダーイシュやクルド人非合法武装組織のクルディスタン労働者党(PKK)、極左過激派組織が犯行を行った可能性があるとしていますが、現時点では犯行声明は出されておらず、今後の捜査を待つしかなさそうです。いずれにせよ、一刻も早く犯人が逮捕され、アンカラ発着の鉄道の安全な運行が確保されるようになることを祈らずにはいられません。


 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 日土友好のシンボル
2013-10-29 Tue 10:57
 きょう(29)日は、1923年10月29日にトルコ共和国の建国が宣言されてから90周年の記念日ですが、これにあわせて、日本企業が建設に参加したボスポラス海峡横断地下鉄が開通しました。という訳で、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       トルコ・第2ボスポラス橋

 これは、1988年7月3日、トルコが発行した“ファーティフ・スルタン・メフメト橋(通称:第2ボスポラス大橋)開通”の記念切手で、橋の全景が取り上げられています。

 第2ボスポラス大橋は、1973年のトルコ共和国50年にあわせて開通した第1大橋に続き、イスタンブールのボスポラス海峡両端に架けられた吊橋で、全長1510メートル、幅39メートル。車両専用(8車線)で、特別な許可がない限り、歩いて渡ることはできません。

 日本のODAを受け、IHI、三菱重工業、日本鋼管、伊藤忠商事と現地の企業の協力により1988年に建設されましたが、日土両国の作業員の連携が非常にスムースであったこともあり、予定よりも半年も早く完成したそうです。こうしたこともあって、地元では日土糧穀の友好のシンボルとして知られています。

 ちなみに、1988年というのは、わが国では瀬戸大橋が開通した年でもあることから、第弐ボスポラス大橋と瀬戸大橋は姉妹橋の関係にあり、今回ご紹介の切手と同時に瀬戸大橋(香川県内の北備讃瀬戸大橋と南備讃瀬戸大橋)を取り上げた下のような切手も発行されています。

       トスコ・瀬戸大橋

 さて、今回の地下鉄の開通式典には、現地時間の28日に行われ、日本からは安倍首相が参列し、「ボスポラスを結ぶ横断地下鉄が日本とトルコの友情のシンボルとなり、両国が友好関係を発展させることを期待したい」と祝意を示したそうです。この言葉通りになると良いですな。


 ★★★ 内藤陽介の最新作 『蘭印戦跡紀行』 好評発売中! ★★★

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 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

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 また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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 東京五輪でレスリング存続
2013-09-09 Mon 10:29
 2020年東京五輪実施競技の残り1枠は、野球・ソフトボール、スカッシュ、レスリングの3候補のうち、レスリングに決まりました。というわけで、きょうは“東京五輪”のレスリング切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

       トルコ・レスリング(1964)

 これは、1964年の東京五輪に際してトルコが発行したレスリングの切手です。

 トルコがオリンピックに参加したのは、1923年に現行のトルコ共和国が発足した翌年(1924年)のパリ五輪のが最初ですが、オスマン帝国時代に遡ると、1908年のロンドン五輪が最初となります。

 これまで、トルコは五輪で82個のメダルを獲得していますが、金メダルに関しては、1936年のベルリン五輪でレスリング60キロ級のヤサル・エルカンが獲得したのが最初です。また、82個のメダルのうち、レスリングの獲得メダル数は57個(内訳は、金28、銀16、銅13)と他を圧倒しており、 “レスリングはお家芸”というのは、日本以上にトルコに当てはまる言葉といってよいでしょう。

 さて、2020年の五輪開催を巡っては、最終候補地として、トルコの首都イスタンブールが東京と争ったわけですが、東京開催が決まった直後のツイッターのトレンド・ワードには“Tebrikler Tokyo”がランクインしたそうです。これは、トルコ語で「おめでとう東京」を意味する表現で、多くのトルコ人が東京での五輪開催を祝福してくれたことを意味しています。

 人間の素朴な感情として、自分たちが落選した後に他国での開催を祝うということはなかなかできないのが当然で、こうしたツイートが自然と出てくるトルコという国の懐の深さには、本当に敬意を表したいですな。真の意味での友好国ともいうべきトルコの人々の友情に対して、日本人として心からお礼を申し上げるとともに、次にトルコが五輪開催に名乗りを上げた際には、日本が先頭に立ってトルコを応援しなくては…という気分になりました。


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 シリアからハタイへ着弾
2012-10-06 Sat 14:51
 きのう(5日)、内戦が続くシリアからトルコ南部ハタイ県アルトゥノズに迫撃砲弾が着弾し、トルコ軍がシリア側に直ちに反撃しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ハタイ国旗

 これは、1939年に発行されたハタイ独立共和国の切手で、同国の国旗が描かれています。

 第一次大戦後、フランスは現在のシリア国家の領域を委任統治下に置き、典型的な分割統治を行いました。その一環として、1922年、シリアはダマスカス国、アレッポ国、エッドゥルーズ(ドゥルーズ派国)、アラウィー派国)の緩やかな連邦に再編されます。このうち、アラウィー派国はラタキアを中心とする海岸部に設定され、アラウィー派住民による自治が認められました。

 その後、シリアでフランスからの独立運動を求める民族主義運動が発生すると、1936年、フランスは妥協策としてフランス・シリア友好条約を締結。結果的に第二次大戦により延期されたものの、3年後の完全独立が決められ、アラウィー派国とドゥルーズ派国はシリア本土に合流することになりました。

 ところで、旧ラタキア国ではアラブ系が多数派を占めていましたが、例外的に、アレクサンドレッタ県ではトルコ系住民が多かったため、アラブが圧倒的多数を占めるシリアへの合流に反対が強く、分離運動が展開されていました。このため、1937年、国際連盟は、アレクサンドレッタ県をハタイ自治州とし、トルコ語を公用語として自治を行う一方、財政・外交をシリアが管理する仲裁案を提示します。

 ところが、国際連盟の仲裁案を受けて、1938年にフランスの監視下でこの地域で議会選挙が行われると、トルコ系議員が過半数を獲得。同議会はハタイ独立共和国の独立を宣言しました。今回ご紹介の切手は、こうした状況の下、ハタイ独立共和国の名義で発行された切手です。切手がトルコ語表示となっていることに加え、国旗のデザインもトルコ国旗と酷似しており、トルコとの一体性をアピールしようという意図がはっきりと見て取れます。

 その後、ハタイはトルコとフランスの軍事的管理下を経て、1939年7月、国民投票に基づいてトルコの県となりました。その結果、この地域のアラブやアルメニア人はハタイから離れ、シリアの他の地域に移住していくことになりましたが、今回の内戦で、シリア領内からトルコ・ハタイ県へと逃れるアラブ系難民も少なくありません。

 さて、トルコとシリアの国境地帯では、今月3日にも、トルコ南東部シャンルウルファ県アクチャカレでシリア側からの砲撃で住民5人が死亡する事件があったばかりです。現時点では、両国ともに衝突拡大は回避する姿勢ですが、シリアのアサド政権に対して批判的なトルコ政府はシリア反体制派への武器供与などの支援を強化しており、アサド政権も反体制派への攻撃を緩める気配はありませんので、当面、両国の国境付近では緊張状態が続くことになりそうです。


 ★★★ 内藤陽介、カルチャーセンターに登場 ★★★
   
 10月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で8月の韓国取材で仕入れたネタを交えながら、一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、青色太字をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

 T-moneyで歩くソウル歴史散歩
・よみうりカルチャー北千住
 10月17日、12月19日、1月16日、2月20日、3月20日 13:00-15:00 
 
・よみうりカルチャー荻窪
 10月30日、12月4日、1月29日、2月5日、3月5日 13:00-14:30



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 歴史の舞台裏で飛び交った切手たち
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 次の出番は6月6日
2012-05-21 Mon 16:10
 きょう(21日)の話題は、なんといっても87年ぶり(沖縄の場合。東京では173年ぶり、大阪では173年ぶり、名古屋にいたっては932年ぶり、だそうです)の金環日食でしょう。というわけで、世界の日食切手の中から、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        トルコ・日食     金環日食(2012)

 左は、2006年にトルコで発行された皆既日食の記念切手で、日食メガネをかけて太陽の満ち欠けを見ている子供が描かれています。ついでですので、右側には、おそらく今回の日食の公式写真となるであろう、国立天文台撮影の画像を貼っておきました。

 今回の金環日食は、日本国内の観測可能な地域の人口が約8300万人にも及んだこともあって、日食を見る際には、太陽を直接見ると目を傷める可能性が高いので、かならず日食メガネなどを用いるよう、くりかえし注意が呼びかけられていました。そのためもあって、日食メガネは全国でバカ売れ。けさの日食の時間には多くの人たちが日食メガネを手に空を見上げているようすがそこかしこで観測観察されました。

 おそらく、世界各地で日食が起きるたびに似たような光景が見られるのでしょうが、それをストレートに表現した切手というのは、今回ご紹介のトルコのものくらいしか思い浮かびませんな。

 ちなみに、今回大活躍した日食メガネですが、来月6日には“金星の太陽面通過”(地球と太陽の間に金星が入り、ちょうど一直線に並んだ時に起きる現象)という、これまたレアな天体現象があるので、再び出番が回ってくるということになりそうです。もっとも、さすがに“金星の太陽面通過”は発行されていないでしょうから、このブログでは紹介のしようもないでしょうけれど…。

 <追記>
 記事を書いた後、読者の方から、“金星の太陽面通過”があると教えていただきました。ありがとうございます。やはり、思い込みで書いてしまってはいけませんね。というわけで、早々にその切手を手配して、来月6日の記事に取り上げたいと思います。

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