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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 HAPPY NAVRO‘Z!
2018-03-21 Wed 00:43
 今日(21日)は春分の日。日本ではお墓参りの日ですが、イランを中心にその文化的影響が及んでいる国や地域では、新年のお祭り・ノウルーズの日です。というわけで、今日はこんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

      ウズベキスタン・ノウルーズのサマルカンド

 これは、2006年にウズベキスタンが発行した切手(切手の表示は2005年になっていますが、実際の発行は2006年にずれ込んでいます)で、現代ウズベキスタン画壇の巨匠、ガフール・アブドゥラフマノフの作品『サマルカンド ノウルーズ』が取り上げられています。

 ノウルーズのアラビア文字表記はنوروز ですが、これをペルシャ語とみた場合、そのラテン文字への転写は、nowruz (カタカナ表記でノウルーズ)とするのが一般的です。ただし、ウズベキスタンの公用語であるウズベク語では、今回ご紹介の切手に見られるように、navro‘z と表記するのがスタンダードですので、記事のタイトルもそちらを使ってみました。

 さて、イスラム世界では預言者ムハンマドと信徒たちがメッカからメディナに移住し、イスラムの共同体を作った“ヒジュラ”のあった年を紀元とするヒジュラ暦が使われていますが、このヒジュラ暦は完全太陰暦で、かつての日本の旧暦のように閏月を入れて調整するということは行われていませんから、毎年、11日ずつ、太陽暦の日付とズレが生じます。

 このため、イスラム世界の各地では、イスラム暦とは別に、太陽暦に連動した農事暦が用いられることも多く、イランの場合は、イスラム以前から使われていたイラン暦として春分を元日とした太陽暦も用いられています。

 この元日が、いわゆる“ノウルーズ”(直訳すると“新しい日”の意味)と呼ばれるもので、イランを中心に中央アジアの5共和国でも祝日になっています。また、クルド人がノウル-ズを祝う習慣があることから、トルコではクルド人に対する宥和政策の一環として国民の休日に指定されているほか、イラク国内のクルド人自治区(クルディスタン)でも、ノウルーズは祝日に指定されています。ただし、ノウルーズはイスラム圏全体に共通の行事ではなく、アラブ世界ではほとんど無視されているのが実情です。

 さて、今回ご紹介の切手の『サマルカンド ノウルーズ』は、ガフール・アブドゥラフモノフ(アブドゥラフマノフとも)の1992年の作品で、ノウルーズの日の古都サマルカンドの遠景を描いています。アブドゥラフモノフは1940年生まれで、1960年に『アングレン 秋』を発表したのを皮切りに、『朝』(1963年)、『家族』(1971年)等の作品で画壇に地位を確立しました。幻想的な画風の風景画で知られ、1990年代には、サマルカンドに題材を取った『サマルカンド サマルカンド』、『サマルカンド かつての隊商の道』、『地震』、『サマルカンド旧市街』などの連作を発表しています。

   
★★★ 展示イベントのご案内 ★★★

 第9回テーマティク研究会切手展 3月30日(金)~4月1日(日) 10:30~17:00
 於・切手の博物館(東京・目白)

      第9回JTPC展ポスター

 テーマティク研究会(旧テーマティク出品者の会)は、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。僕も、昨年のメルボルン展に出品した昭和の戦争と日本のコレクションを展示します。

 入場は無料で、会期最終日の1日15:00からは、内藤が展示解説を行いますので、ぜひ、遊びに来てください。(詳細はこちらをご覧ください)


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 ウズベキスタン切手の今上陛下
2017-12-23 Sat 17:04
 きょう(23日)は、天皇誕生日です。というわけで、今上陛下に関係する切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ウズベキスタン・独立10周年

 これは、2001年にウズベキスタンが発行した独立10周年の記念切手(第1次)のうち、今上陛下に謁見する同国のイスラム・カリモフ大統領画取り上げられています。ウズベキスタンの独立10周年の記念切手(第1次)は、建国から10年以内のカリモフと各国の元首との会見場面の切手12種を含む47種が発行されました。

 カリモフは、これまで1994年5月、2002年7月、2011年2月の3回、大統領として日本を公式訪問しています。このうち、1994年5月の訪日は日ソ間で結んだ条約の承継を確認することが最大の目的でした。

 さて、現在のウズベキスタン国家の領域は、かつて、ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国としてソ連の構成共和国の1つでした。

 ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国は、1959年から1982年まで、ウズベキスタン共産党第一書記を務めたシャラフ・ラシドフによる独裁体制が続いていました。

 ラシドフ死後の1989年、フェルガナ盆地で土着のメスヘティア・トルコ人とウズベク人の民族対立が発生。これに刺激を受け、隣接するキルギスタンの首都オシではウズベク人とキルギス人の衝突が起こると、モスクワの中央政府は、民族対立に伴う粛清に関与していなかった“中間派”のテクノクラートであったカリモフをウズベキスタン共産党第一書記に任命し、事態の鎮静化を図りました。

 カリモフは、1990年6月20日、ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国が国家主権宣言を採択すると、大統領に選出されましたが、この時点では、ウズベクの自治の拡大を目指してはいたものの、必ずしも完全独立を施行していたわけではなかったといわれています。

 ところが、1991年8月、ソ連保守派のクーデターが失敗に終わると、8月31日、ウズベキスタンはソ連からの独立を宣言。同年12月の国民投票の(全人口の98.2%が独立に賛成)を経てウズベキスタン議会が開設され、カリモフがそのまま、新国家の大統領に就任しました。以後、現在まで、カリモフは政権を維持し続けています。

 ウズベキスタンの現行憲法では、大統領の連続3選は禁止されていますが、カリモフ政権はこれまで大統領の任期に関し数回憲法を改正し、そのたびに以前の当選回数は無効になったと独自の解釈を適用することで、2016年9月2日に亡くなるまで大統領の地位を維持しつづけました。

 カリモフ政権は、2007-12年に毎年8%以上のGDP成長率を達成するなど、経済運営においてはそれなりの成果を上げる一方、2005年5月13日には、ウズベキスタン東部のアンディジャンで反政府デモを武力で鎮圧し、多数の死者(国家保安庁の公式発表では170名程度、非公式情報では500名程度)が出ており、その強権的な政治手法ゆえに“世界最悪の独裁者(の一人)”として欧米から批判されることも少なからずありました。

 ちなみに、カリモフは、幼少期、母親に連れられて毎週末、日本人抑留者の収容所を訪ね、「ご覧、あの日本人の兵隊さんを。ロシアの兵隊が見ていなくても働く。他人が見なくても働く。お前も大きくなったら、必ず他人が見なくても働くような人間になれ」と教えられたそうで、後年、そうした母の言いつけを守ったおかげで大統領にまで出世したと回想しています。また、1996年にはナヴォイ劇場を建設した日本人抑留者の功績をたたえて、同劇場にウズベク語、日本語、英語の3ヵ国語表記の銘板が掲げられた際には、担当者に対して「決して“捕虜”と書いてはいけない」と厳命。この結果、銘板は「極東から強制移住させられた数百人の日本人」という表現になったとのエピソードもあり、親日家として知られていました。 


★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回は28日!★★

 12月28日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第13回が放送予定です。今回は、現在公開中の映画『ヒトラーに屈しなかった国王』にちなんで、第二次大戦中のノルウェーについてお話する予定です。なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。


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 世界の国々:ウズベキスタン
2017-06-22 Thu 08:22
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2017年6月14日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はウズベキスタンの特集(雑誌としては2回目ですが、前回は別の方が担当しました)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ウズベキスタン・船の墓場

 これは、2016年にウズベキスタンで発行された“船の墓場”の切手です。なお、切手上の表記は2015年になっていますが、実際の発行は2016年までずれ込んでいます。

 ウズベキスタンとカザフスタンにまたがる塩湖のアラル海は、かつては世界第4位、6万6-8000平方キロの湖沼面積があり、中央アジアのオアシス的な存在でした。しかし、1940年代、中央アジアでの綿花栽培の灌漑のため、ソ連が開始した“自然改造計画”により、1950年代以降、アムダリヤ川の流れが人為的に変更されたことで面積が急激に縮小。塩分濃度も上昇して淡水魚は生息できなくなりました。

 また、1960年代には年平均20センチ、1970年代には年平均60センチと急激に水面が低下。一晩で数十メートルも湖岸線が遠のき、切手に描かれているように、退避できないままその場に打ち捨てられた船が散見されるようになり、それらは“船の墓場”として、旧ソ連による環境破壊の象徴として広く知られるようになりました。

 さて、『世界の切手コレクション』6月14日号の「世界の国々」では、ブハラ・ユダヤ人についての長文コラムのほか、アブドゥラフマノフの絵画、金塊、ナヴォイ劇場、タシュケント地下鉄、野生のチューリップの切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、「世界の国々」の僕の担当回ですが、今回のウズベキスタンの次は、6月21日発売の6月28日号でのキューバの特集になります。こちらについては、発行日の28日以降、このブログでもご紹介する予定です。 
 

 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” ★★★ 

 6月15日(木)に放送の「切手でひも解く世界の歴史」の第4回目は無事に終了しました。お聞きいただいた皆様、ありがとうございました。次回の放送は6月29日(木)16:05~の予定ですので、引き続き、よろしくお願いいたします。 

 なお、15日放送分につきましては、放送から1週間、こちらの“聴き逃し”サービスでお聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

 ★★★ 内藤陽介 『朝鮮戦争』(えにし書房) 重版出来! ★★★ 

      朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 ウズベキスタンでカリモフ4選
2015-03-29 Sun 23:14
 中央アジア最大の約3000万人の人口を擁するウズベキスタンで、きょう(29日)、大統領選が行われ、旧ソ連末期から四半世紀も政権の座にあるイスラム・カリモフ大統領が圧勝することがほぼ確実となっています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ウズベキスタン・独立1周年

 これは、1992年9月25日に発行されたウズベキスタン独立1周年の記念切手です。

 現在のウズベキスタン国家の領域は、かつて、ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国としてソ連の構成共和国の1つとして、1959年から1982年まで、ウズベキスタン共産党第一書記を務めたシャラフ・ラシドフによる独裁体制が続いていました。

 ラシドフ死後の1989年、フェルガナ盆地で土着のメスヘティア・トルコ人とウズベク人の民族対立が発生。これに刺激を受け、隣接するキルギスタンの首都オシではウズベク人とキルギス人の衝突が起こると、モスクワの中央政府は、民族対立に伴う粛清に関与していなかった“中間派”のテクノクラートであったイスラム・カリモフをウズベキスタン共産党第一書記に任命し、事態の鎮静化を図りました。

 カリモフは、1990年6月20日、ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国が国家主権宣言を採択すると、大統領に選出されましたが、この時点では、ウズベクの自治の拡大を目指してはいたものの、必ずしも完全独立を施行していたわけではなかったといわれています。

 ところが、1991年8月、ソ連保守派のクーデターが失敗に終わると、8月31日、ウズベキスタンはソ連からの独立を宣言。同年12月の国民投票の(全人口の98.2%が独立に賛成)を経てウズベキスタン議会が開設され、カリモフがそのまま、新国家の大統領に就任しました。以後、現在まで、カリモフは政権を維持し続けています。

 ウズベキスタンの現行憲法では、大統領の連続3選は禁止されていますが、カリモフ政権はこれまで大統領の任期に関し数回憲法を改正し、そのたびに以前の当選回数は無効になったと独自の解釈を適用してきました。今回、カリモフが4選を決めたのも、こうしたロジックによるもので、今後5年の任期を全うすれば、カリモフ政権は30年を超える超長期政権となる勘定です。

 なお、カリモフ政権は、2007-12年に毎年8%以上のGDP成長率を達成するなど、経済運営においてはそれなりの成果を上げていますが、2005年5月13日には、ウズベキスタン東部のアンディジャンで反政府デモを武力で鎮圧し、多数の死者(国家保安庁の公式発表では170名程度、非公式情報では500名程度)が出ており、その強権的な政治手法に対しては国際世論の批判も根強いものがあります。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・4月4日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『日の本切手 美女かるた』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ・4月25日(土) 11:00-12:00 スタンプショウ
 於 東京都立産業貿易センター台東館(浅草) 特設会場
 出版記念のトークを行います。入場は完全に無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。スタンプショウについての詳細はこちらをご覧ください。

 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:3月31日、4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は3月31日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 3月25日発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 古都ブハラ
2006-08-31 Thu 01:12
 カザフスタンとウズベキスタンを歴訪中の小泉首相は今日(31日)帰国だそうです。昨日(30日)のタシュケント(ウズベキスタン)での日本人抑留者記念塔への首相の献花にちなんで、この地に抑留されていた日本人のカバーでも持ってこれたらよかったのですが、あいにく、そういうものは手元にないので、代わりに、ウズベキスタンがらみということでこんな葉書を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

ブハラの葉書

 この葉書は、1913年12月、帝政ロシアの支配下にあったブハラから差し出された葉書です。消印の表示はちょっと不鮮明ですが、局名はキリル文字で“CARDZUI BUKHARA”となっています。

 帝政ロシアが郵便料金前納の証紙として切手の発行を開始し、曲がりなりにも近代郵便制度をスタートさせたのは1858年1月1日のことでしたが、広大な領土の末端にまで郵便網が浸透するまでには、相当の時日が必要でした。

 たとえば、帝政ロシアの保護国としてトルキスタン総督府(1867年創設)の下に置かれていたブハラ・アミール国とヒヴァ・ハン国(これらの国の領域は、現在のウズベキスタンともかぶっています)では、1870年代、アムダリア川を利用した汽船郵便が制度として開始されたものの、郵便物の残存量から推測するに、この制度が住民の間に定着したのは、ブハラ・アミール国で1880年代以降、ヒヴァ・ハン国で1890年代以降のことと考えられています。

 なお、この両国では、1917年の革命まで、基本的にロシア本国の切手がそのまま用いられ、キリル文字の消印が利用されていました。今回ご紹介している葉書もその一例です。
 
 現在、ウズベキスタンの領土になっているブハラ、サマルカンド、フェルガナ、コーカンドなどは、かつてのシルクロードの古都として、教科書でもおなじみの名前です。当然のことながら、古代からの交通の要衝として、駅站制度のカバーのようなものが沢山残っていても良さそうなものなのですが、現実には、19世紀のカバーでさえも、なかなか実物を拝む機会は少ないというのが実情です。(20世紀以降になると、そこそこ、モノはありますが…)

 まぁ、今回ご紹介している葉書も、あんまり消印の状態が良くないので気に入らないといえば気に入らないのですが、話のタネに1~2点持っていればいいということであれば、これでも我慢しないといけないというところでしょうか。

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