内藤陽介 Yosuke NAITO
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 安倍首相、バハレーン訪問
2013-08-25 Sun 14:42
 中東など4か国を訪問中の安倍首相は、きのう(24日))、最初の訪問国であるバーレーンでハリーファ首相と会談し、外務・防衛当局間の安全保障対話の実施などを盛り込んだ共同声明を発表しました。わが国の歴代首相がバハレーンを訪問したのは、今回が最初のことだそうです。というわけで、きょうはこの切手です。

       バハレーン・2ルピー(1933年)

 これは、1933年にバハレーンで英領インド切手に加刷して発行された2ルピー切手です。

 バハレーンという語は、“海”を意味するバハル(bahr)の双数形で、島国バハレーンを取り巻く海と、豊富に湧き出す地下水の二つの海を持つという意味で、この地域の呼称となりました。

 ペルシャ湾の中央に位置するバハレーンの地は、紀元前2500年ごろのメソポタミアの記録にもディルムンとして登場し、聖書に登場する“エデンの園”のモデルとも言われています。ただし、現在の首都であるマナーマが歴史上にはじめて登場するのは1345年のことです。

 ペルシャ湾における交通の要衝ゆえに、バハレーンはさまざまな勢力が侵入し、16世紀から17世紀にかけて、ポルトガルやペルシャなど、外来勢力による支配を受けました。現在のバハレーン王家(2002年に立憲君主国になり、国家元首の称号がそれまでの首長(シャイフ)から国王(マリク)に変更になりました)のハリーファ家も、もともとはアラビア半島の遊牧民で、1783年、この地を征服。いったんは、オマーンによってバハレーンから追われたものの、1820年にこの地の支配権を回復するという歴史を歩んでいます。

 19世紀に入ると、インドへのルートを確保するため、イギリスは湾岸地域の首長国を次々に保護国化していきます。バハレーンも例外ではなく、イギリスがペルシャ(イラン)の軍事的な脅威からバハレーンを防衛する代わりに、バーレーンは外交権をイギリスにゆだねることになりました。

 バハレーンを保護国化したイギリスは、この地域とインドや本国との間の通信を確保するため、1884年8月1日、首都マナーマに郵便局を開設。これが、バハレーンにおける近代郵便の原点で、当初は、英領インドの切手が持ち込まれ、無加刷のまま使われていました

 バハレーンとして独自の切手が発行されたのは1933年のことで、今回ご紹介の切手のように、英領インド切手に“BAHARAIN”との加刷が施されたものでした。なお、今回ご紹介の切手が発行された時点では、バハレーン域内にはマナーマの郵便局が一局あるだけで、2番目の郵便局がムハッラク(現在の国際空港の所在地)に開局したのは、1946年6月1日のことでした。

 現在、我々がイメージする産油国としての歴史は、1925年、アラブ世界で最初に石油が発見されてからのことで、経済成長を背景に、1958年、マナーマは自由港に指定され、1971年の独立時には新生バハレーン国家の首都となりました。

 独立後のバハレーン政府は、中東のビジネスの拠点、金融センターを目指したインフラ整を進め、石油精製やアルミ精製、貿易、観光などの新規事業も積極的に展開したため、外国資本が多数進出。マナーマは、ドバイとともに、湾岸地域の重要な経済都市に成長しました。また、豪華スポーツ施設を建設し、世界大会を招致することも行われ、2004年から、首都マナーマ近郊、サキールのバハレーン・インターナショナル・サーキットでF1世界選手権のレースも開催されています。

 ただし、F1世界選手権に関しては、「F1開催は皇太子の個人的趣味」「(バーレーン王家の)ハリーファ家の権力を誇示する手段に過ぎない」として、国民の多数を占めるシーア派系住民の間に開催反対の世論が根強く、2011年には、反政府デモによる混乱のため中止に追い込まれています。(2012・13年は予定通り開催)

 なお、余談ですが、1960年代後半から1970年代初めにかけて、マナーマの名前でいわゆるアラブ土侯国切手が発行されていたことがありましたが、こちらは、現在のアラブ首長国連邦を構成している首長国のひとつ、アジュマーンに属する飛び地で、今回ご紹介したバハレーンの首都とは全く別の土地なので、注意が必要です。


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 バハレーン・グランプリ開幕
2012-04-20 Fri 19:54
 国内の政情不安から開催が危ぶまれていたF1のバハレーングランプリ(バハレーンGP)が、きょう(20日)、予定通り開幕しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        バハレーンGP

 これは、2004年の第1回バハレーンGPの記念切手の見本です。

 1971念の独立後、バハレーンは早くから原油輸出依存からの脱却をめざし、中東のビジネスの拠点、金融センターを目指したインフラ整備を進め、石油精製やアルミ精製、貿易、観光などの新規事業を積極的に展開してきました。その一環として、豪華スポーツ施設を建設し、世界大会を招致することも行われ、2004年から、首都マナーマ近郊、サキールのバハレーン・インターナショナル・サーキットでF1世界選手権のレースを開催されています。

 当初、2004年のバハレーンGPは、シーズン終盤に開催される予定でしたが、断食月のラマダーンと重なるため、シーズン序盤の開催となり、その影響で、ブラジルGPがシーズン終盤に移動となりました。もっとも、イスラム暦は純粋な太陰暦でラマダーンも毎年ほぼ11日ずつ太陽暦の日付をさかのぼることになりますので、将来的には、バハレーンGPがシーズン終盤の開催に変更される可能性もあるかもしれません。

 さて、バハレーンでは、昨年(2011年)2月、エジプトの反政府デモに呼応し、マナーマでも民主化を要求する反政府デモが発生し、政府はこれを武力鎮圧しました。ところが、3月に予定されていたF1開催中止問題が浮上すると、突如、サルマン皇太子が民衆への対話を呼びかけるようになりました。もともと、国内では「F1は皇太子の個人的な趣味にすぎない」「政権の権威づけに利用されているだけだ」などの批判があったこともあり、皇太子とバハレーン政府の対応は、国民の目には、民主化よりもF1を優先しているように映り、批判が噴出。当初、バハレーン政府はF1開催を10月30日に延期するとしていましたが、開催そのものへの批判は大きく、6月9日に開催を断念する旨の声明を発せざるを得なくなりました。

 ことしのバハレーンGPに関しても、2年ぶりの開催で世界中に「正常化」をアピールしたい政府に対して、国民の間からは「(政府の弾圧による犠牲者の)血の上でのレースをやめろ」、「F1開催は、住民弾圧を続ける政府の立場を支持することに等しい」などとの抗議の声も上がっており、会期中は活動家による大規模な反政府デモも計画されているとか。まぁ、なにはともあれ、開幕してしまった以上、無事に終了することを祈るばかりですな。
 

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 きょうからJTPC展です
2012-01-13 Fri 09:48
 きょう(13日)から、東京・目白の切手の博物館で第3回テーマティク出品者の会(JTPC:Japan Thematic Philatelists Club)の切手展がスタートします。今回は、潜水(ダイヴィング)を題材とした作品を御出品の小林有さんの御尽力で、会期中の13-14日は下のデザインのような小型印が使用されます。(画像はクリックで拡大されます)

       第3回JTPC展小型印原図

 というわけで、きょうは、小林さんの御尽力に敬意を表するとともに、開催のご挨拶を兼ねて、潜水関連のこんな切手を持ってきました。

       バハレーン・真珠取り(児童画)

 これは、ペルシャ湾岸に面したバハレーンが1992年に発行した児童画の切手で、この地域の伝統的な素潜りの真珠取り風景が描かれています。

 ペルシャ湾岸というと、現在は、世界有数の油田地帯というイメージが定着していますが、この地域最初の油田がバハレーンで発見されたのは1925年のことで、油田開発が本格化したのは第二次大戦後のことです。

 20世紀前半まで、ペルシャ湾岸では、ナツメヤシの栽培や漁業、真珠採取、帆船の製造といった伝統的な産業が経済の中心でしたが、このうちの真珠採取については1930年代に養殖真珠が世界的に普及すると、壊滅的な打撃を受けました。ただし、産業としては成り立たなくなった真珠採取ですが、現在でも“文化”として保存・継承されています。

 さて、JTPCは、テーマティクならびにオープン・クラスでの競争展への出品を目指す収集家の集まりで、毎年、全国規模の切手展が開催される際には作品の合評会を行うほか、年に1度、切手展出品のリハーサルないしは活動成果の報告を兼ねて会としての切手展を開催しています。今回の展覧会は、昨年に続き3回目の開催で、会場では、小型印と同図案のフレーム切手等も販売します。会期は15日までで、あす(14日)の午後3時頃からは、展示作品の解説も行います。入場は無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。


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 ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(2011年11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』読書欄、同『山梨日日新聞』みるじゃん、12月14日付『日本経済新聞』夕刊読書欄、同サイゾー、12月15日付『徳島新聞』鳴潮、エフエム京都・α-Morning Kyoto(12月15日放送)、12月16日付『岐阜新聞』分水嶺、同『京都新聞』凡語、12月18日付『宮崎日日新聞』読書欄、同『信濃毎日新聞』読書欄、12月19日付『山陽新聞』滴一滴、同『日本農業新聞』あぜ道書店、[書評]のメルマガ12月20日号、『サンデー毎日』12月25日号、12月29日付エキレピ!、『郵趣』2012年1月号、『歴史読本』2月号で紹介されました。

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 アラブの都市の物語:バハレーン
2005-06-03 Fri 00:37
 昨日は、本の宣伝ということもあって、ちょっと固めの中身でしたが、今日はちょっと軽めの話題にしましょう。今日(3日)はサッカーの試合がバハレーン(マスコミなんかじゃバーレーンと書くことのほうが多いかな)の首都、マナーマで行われるんだそうで、それにまつわる薀蓄ネタを一つ。

 バハレーンというのは、もともとは海を示すアラビア語のバハルの双数形(アラビア語には単数と3つ以上の複数のほかに、2つを意味する双数というのがある)で、この島国を取り巻く海と、地下水の二つの海を持つというところに由来しています。

 さて、この地域は、19世紀に英領となり、当初はインドの切手が持ち込まれて使われていました。下のカバー(封筒)は、その実例で、1905年11月、マナーマからインドのボンベイ宛の郵便物の一部です。当時は、バハレーンには郵便局が一つしかなかったんで、消印の地名も豪快にバハレーンとなっています。なお、バハレーンで2番目の郵便局がムハッラク(現在、空港のある地域)に開設されるのは、1946年6月1日のことでした。

バハレーンカバー

 ちなみに、その昔、アラブ土侯国(現在のアラブ首長国連邦:UAEを構成している群小首長国)のひとつで、マナーマというのがありましたが、こっちは、アジュマーンの飛び地で、バハレーンの首都のマナーマとは(名前は一緒ですが)全く別の土地です。切手をかじったことのある人の中には、時々、両者を混同している人がいるみたいですが、お間違いのなきよう。

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