内藤陽介 Yosuke NAITO
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 朝鮮人民軍創建の日について
2017-04-25 Tue 08:01
 北朝鮮では、きょう(25日)、“朝鮮人民軍創建85周年”ということで、各種の記念行事が予定されているそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・朝鮮人民軍創建6周年記念絵葉書  北朝鮮・朝鮮人民軍創建6周年記念絵葉書裏面

 これは、1954年に北朝鮮で発行された“朝鮮人民軍創建6周年記念”の絵葉書です。チェコスロヴァキア宛の書留実逓便なので、裏面の画像も隣に貼っておきました。

 北朝鮮における軍事組織は、解放直後の1945年10月、ソ連占領軍による旧日本軍の武装解除を受け、2000名からなる“保安隊(隊長は金日成)”が創設されたのが最初です。その後、同年11月、占領下の地域行政機関として北朝鮮五道行政局が設置されると、その一部局として「保安局」が設置されましたが、これに先立ち、10月には早くも新義州で航空隊が創設されています。

 さらに、1946年1月には、五道行政局の傘下に鉄道施設の保護を目的とした鉄道保安隊(同年7月、鉄道警備隊に改編)が組織されたほか、同年7月には水上保安隊が、翌8月には海岸警備隊が、それぞれ組織されました。これらが、後の朝鮮人民軍の母体となります。

 一方、1946年2月には幹部養成のための平壌学院(1945年11月創立説もあり。1949年に第2軍官学校と改称)が、6月には保安訓練所が、7月には軍事指揮官を養成するための中央保安幹部学校(1949年に第1軍官学校と改称)が、それぞれ創設され、政府・軍隊の正式発足前に軍幹部の養成も開始されました。

 さらに、解放1周年にあたる1946年8月には、実質的な軍司令部として保安幹部訓練大隊部が創設されるとともに、北朝鮮労働党の創立にあわせて「民族軍隊組織と義務的軍事徴兵制を実施すること」が確認されました。

 1947年に入ると、ソ連からの軍事援助が本格的に到着するようになり、5月には全将兵に階級章が付与軍されるとともに、保安幹部訓練大隊部も人民集団軍に改編されます。そして、1948年2月4日、北朝鮮人民委員会の下に民族保衛局が設置されると、これを受けて同月8日、人民集団軍は“朝鮮人民軍”に改称され、同年9月の朝鮮民主主義人民共和国の正式な成立以前に“国軍”が誕生しました。

 こうした経緯から、朝鮮人民軍の創立記念日は、ながらく、(1948年)2月8日とされ、節目の年には記念切手・絵葉書などが発行されてきました。今回ご紹介の官製絵葉書もその一例で、1948年を起点にしていますから、発行年の1954年は朝鮮人民軍の6周年という勘定になります。

 ところが、その後、金日成から金正日への権力世襲の過程で、満洲での金日成の抗日武装闘争の経歴が誇張して宣伝されるようになると、1978年以降、朝鮮人民軍のルーツは“朝鮮人民革命軍”(金日成の抗日遊撃隊)に求められるようになり、建軍記念日も、本来の1948年2月8日から、朝鮮人民革命軍が結成された(と北朝鮮当局が主張している)1932年4月25日に変更されました。北朝鮮側が、“朝鮮人民軍創建85周年”と主張しているのはこのためです。ただし、1932年に朝鮮人民革命軍が創建されたというのは、北朝鮮当局がそう主張しているだけであって、これを歴史的事実として裏付けるための、信頼に値する資料は報告されていません。

 まぁ、北朝鮮当局が史実を捏造したプロパガンダにより、自らの体制維持を図ろうとするのは勝手ですが、日本のメディアなどがそれを鵜呑みにして「朝鮮人民軍創建85周年の25日、北朝鮮では…云々」と報じてしまうのは、結果的に、彼らのそうした宣伝工作に加担していることになるわけで、やはり問題ではないでしょうかね、少なくとも、「北朝鮮当局の主張によれば、朝鮮人民軍創建85周年とされる25日…」というような、留保をつけた表現にした方が良いのではないかと思います。

 なお、このあたりの事情につきましては、拙著『朝鮮戦争』でもいろいろとご説明しておりますので、機会がありましたら、ご覧いただけると幸いです。 


 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” 次回 は27日! ★★★ 

 4月27日(木)16:05~  NHKラジオ第1放送で、内藤が出演する「切手でひも解く世界の歴史」の第2回目が放送予定です。今回は、23日のフランス大統領選挙の第1回投票と5月7日の決選投票の間の放送ということで、フランスの初代大統領と切手についてのお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。番組の詳細はこちらをご覧ください。


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 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 吉州郡宛のカバー
2016-09-10 Sat 11:32
 北朝鮮がきのう(9日)、同国北部の咸鏡北道吉州郡豊渓里で核実験を強行しました。北朝鮮の核実験は、2006年以降通算5回目、ことし(2015年)に入ってからは、1月に続いて2回目で、1年に2回の核実験は初めてのことです。というわけで、核実験場のある吉州郡にちなんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・共和国政府樹立(吉州宛カバー) 北朝鮮・吉州宛カバー(1949裏面)

 これは、1949年10月18日、咸鏡北道の鶴城郡鶴南面から吉州郡吉州面宛に差し出されたカバーとその裏面で、1948年9月19日に発行された朝鮮民主主義人民共和国政府創建の記念切手が2枚貼られています。裏面に押されている着印は、

 宛先の吉州郡は咸鏡北道南部の山岳地帯に位置しており、古代には高句麗と渤海の地であり、その後は長く女真族が居住していました。朝鮮の支配が確定したのは高麗末期のことで、吉州と命名されたのは高麗滅亡(1392年)直前の1390年のことでした。

 行政上の吉州郡が設けられたのは朝鮮王朝時代末期の1895年のことで、郡庁は吉城面に置かれました。その後、日本統治時代の1939年、郡内の吉城面と営北面が合併し、吉州邑が発足。1943年には、郡名が吉州郡から吉城郡に変更されたのに合わせて、吉州邑も吉城邑と改称されました。

 “解放”後の1946年、吉城郡が旧称の吉州郡に復し、吉城邑は吉州面となります。

 ちなみに、朝鮮の伝統的な地方行政区分では、面は邑は地方行政官の役所が置かれた土地で、郡はいくつかの集落や村落(里、統)を束ねた単位で、日本の行政単位の“村”にほぼ相当しています。日本統治時代は、面よりも人口の多い区域を邑として、日本の行政単位でいう“町”に相当する扱いでした。

 ソ連軍政時代を経て成立した朝鮮民主主義人民共和国も、基本的には、日本統治時代の行政区画に基づいて人民委員会を組織していましたが、朝鮮戦争下の1952年、区画再編を行って邑・面級の行政機関を廃止し、郡事務所が所在する面・里を“邑”と呼ぶようになります。これに伴い、旧吉州郡吉州面・長白面・徳山面・雄坪面および暘社面・東海面の各一部地域で構成される現吉州郡が成立し、郡事務所所在地の吉州面が吉州邑となりました。

 今回ご紹介のカバーは、1949年に吉州面の工業専門学校宛に差し出されたものですが、裏面の封の部分にはキリル文字が書かれていますので、差出人は、ソ連から帰国した朝鮮系の技術者だったのかもしれません。また、裏面に押されている着印は、局名表示こそ、“함북・길주(咸北・吉州)”と朝鮮語表記になっていますが、その下の部分は日本統治時代の消印の印顆がそのまま流用されています。(下に、着印部分をトリミングして載せておきます)

      北朝鮮・吉州着印(1949)

 北朝鮮の核・ミサイル開発については、以前から、朝鮮総連の傘下にある在日本朝鮮人科学技術協会(科協)に所属する大学・企業の研究者らが、朝鮮労働党の指示の下、「科学に国境はないが、科学者には祖国がある」として持ち出した先端技術が大きく“貢献”していることが指摘されています。もちろん、彼らは、表向き、そうした技術は軍事目的のものではないと主張しているわけですが、実際には、その転用・流用が現在の状況を招いたことは言うまでもありません。

 日本時代の印顆を流用した北朝鮮の消印は郵趣的には興味深いものですが、日本の技術を使った核開発というのは、実にけしからん話です。日本政府としても、抜本的な防止策をとっていただかないと困りますな。

 なお、今回ご紹介のカバーに貼られている切手や当時の状況については、拙著『朝鮮戦争』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


★★★ トークイヴェントのご案内 ★★★

 拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』の刊行を記念して、東京・青山の駐日ブラジル大使館で下記の通り、トークイヴェントを開催いたします。ぜひ、ご参加ください。

 ・日時 2016年9月23日(金)18:00~20:00(17:30受付開始)
 ・会場 駐日ブラジル大使館 セミナー・ルーム
  〒107-8633 東京都港区北青山2丁目11-12 (地図はこちらをご覧ください)
 ・参加費 無料
 ・定員 30名(申込多数の場合は先着順)

  * 9月16日(金)までに、お名前・ご連絡先・ご所属を明記の上、電子メール、ファックス等で下記宛にお申し込みください。(お送りいただいた個人情報は、大使館へ提出する以外の目的には使用しません)
  申込先 えにし書房(担当・塚田)
  〒102-0074 千代田区九段南2-2-7-北の丸ビル3F
  Tel. 03-6261-4369 Fax. 03-6261-4379
  電子メール info★enishishobo.co.jp (スパム防止のため、★の部分を半角@に変えてご送信ください)

 なお、トークヴェベント終了後、20:30より近隣のブラジルレストラン「イグアス」にて懇親会を予定しております。(イグアスの地図はhttp://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13048055/ をご覧ください) 
 会費は、『リオデジャネイロ歴史紀行』1冊の代金込みで6500円(書籍不要の場合は5000円)の予定です。参加ご希望の方は、トークイベントお申し込みの際に、その旨、お書き添えください。なお、懇親会のみの御参加も歓迎いたします。


★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』  ★★★ 

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 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

       リオデジャネイロ歴史紀行(東京新聞)


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 万景峰号、観光船に
2016-07-19 Tue 19:14
 中国吉林省琿春市は、きのう(18日)、琿春とウラジオストク、北朝鮮・羅先市を結ぶ観光事業に3カ国が共同で取り組み、羅津港とウラジオストク間を往復する観光船として、日本への入港が禁止されている貨客船“万景峰号”を使うことを明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・万景峰号(初代)

 これは、1978年に北朝鮮が発行した船切手の1枚で、(初代)万景峰号が描かれています。

 万景峰号は、主に日本の新潟と北朝鮮の元山を往来するための貨客船で、切手に描かれている初代の船は1971年5月に就役しました。形式上は、北朝鮮江原道元山市にある海運会社「朝鮮大進船舶」が所有するという形式をとっています。

 船名の由来は、平壌近郊、金日成の生家のある地域の名で、風光明媚な場所であるため、かつては資産家や官吏などが一帯の山を買い取り、先祖の墓所として使っていたことでも知られています。金日成の曽祖父も、平壌の地主・李平沢の墓所を管理するために万景台に移り住み、以後、金日成にいたるまで代々、一族はこの地に住んでいたといわれています。このため、現在、金日成の生家(とされる場所の)周辺は“聖地”とされ、祖父母と両親、金日成の三代が生活したとされる家が復元されています。これらの“史跡”は、北朝鮮を訪れる外国人旅行者や一時帰国の在日朝鮮人などが必ず連れて行かれる場所でもあります。

 今回、観光船に転用されることになった万景峰号は、金日成80歳の誕生日を記念して1992年に咸鏡北道清津市で進水した2代目で、進水した年にちなんで“万景峰92”というのが正式な船名です。

 万景峰号による元山=新潟間の就航は不定期で所要時間は片道27時間。在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)が窓口となり、在日朝鮮人の祖国訪問(親族訪問等)や親戚への物資の輸送、朝鮮学校の修学旅行等に主に使われていましたが、衆議院議員で前科一犯の辻元清美らの“ピースボート”がチャーターして運航したこともあります。

 また、北朝鮮の元工作員の証言から、万景峰号は、輸出規制品の密輸(覚醒剤や偽札など、所持するだけで犯罪となる禁制品を含む)、外為法違反に抵触する大量の現金の持ち出し、日本で活動する北朝鮮工作員の連絡活動、北朝鮮工作船の支援などに用いられていることが明らかになっており、万景峰号によって持ち出されたコンピュータ部品やステンレス材などが弾道ミサイルの部品として使用されたと見られています。

 このため、2006年、北朝鮮がミサイル発射実験と地下核実験を相次いで行ったことを受け、日本政府は同年10月14日付で万景峰号を含む北朝鮮の全船舶を入港禁止としてきました。

 もっとも、核実験の件がなくても、万景峰号の喫水線下の船底塗料には、毒性の高いトリブチルスズ(TBT=有機スズ)が使用されているため、環境面から大きな問題があります。現在、国際海事機関のTBT規制条約が発効したことで、万景峰号を含むTBT船底塗料を用いた船舶は日本への入港が禁じられています。

 この点で、ウラジオストック市民の健康は大丈夫なのかと僕などは少し不安にもなるのですが、あの国はマラカイト・グリーンたっぷりの鰻を平気で販売して“鰻の墓場”とまで呼ばれているほどですからねぇ。そのあたりは全く気にならないんでしょうな。


 ★★★ 全日本切手展(+内藤陽介のトーク)のご案内 ★★★

 7月22-24日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにオリンピックとブラジル切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページにて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展2016チラシ

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。クリックで拡大してご覧ください。

 会期中の7月23日15:00から、すみだ産業会館9階会議室にて「リオデジャネイロ歴史紀行」と題するトークイベントを行います。ぜひ、ご参加ください。


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 北朝鮮で36年ぶり党大会
2016-05-06 Fri 10:04
 北朝鮮で、きょう(6日)から、1980年以来36年ぶりに第7次朝鮮労働党大会が開催されます。というわけで、北朝鮮の党大会といえば、やはり、この切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・第5回党大会

 これは、1970年の第5次党大会に対して北朝鮮が発行した記念の小型シートです。

 北朝鮮の政権党である朝鮮労働党の党規約によれば、党大会は最高政策決定機関であり、党中央委員会により、5年に1回招集されることになっています。ただし、ともかくも規約どおりに開催されたといえるのは、第3次大会(1956年)から5年5ヵ月後に開催された第4次大会(1961年)のみで、過去、厳密に規約どおりに開催されたことはありません。

 今回ご紹介の切手の題材となっている第5次大会は、1970年11月2日から13日にかけて開催されました。

 本大会は、いわゆるパルチザングループと金日成の親族が秘書・政治委員に多数選出され、金日成独裁体制確立の総仕上げとなりました。また、この結果、金正日が後継者として確定するための基盤が整備された大会でもあります。

 イデオロギーの面では、金日成独裁体制の確立を背景に、主体思想が「党の唯一思想体系」とされ、そこから逸脱するいかなる主義・主張も排除されました。また、「社会のすべての構成員を労働者階級化し、階級のない社会を作ること」とする「社会主義の完全勝利」が究極の目標とされ、その実現のために、技術・文化・思想の三大革命路線が戦略として訴えられています。

 また、本大会では1961年以来の7ヵ年(実質10ヵ年)計画が総括され、この「計画の偉大な勝利」によって、北朝鮮が「工業・農業国」から「社会主義工業国」に変わったとされ、持続的な重工業の育成を主目標とする人民経済発展6ヵ年計画が採択されました。

 今回ご紹介の切手は、本大会の初日にあわせて発行されたものですが。その筆頭(左上)には、金日成を奉じる人々が描かれており、本大会の最優先課題が金日成独裁体制の完成を内外に示すことにあったことがうかがえます。また、左側上から2枚目の切手の下に「主体思想の完全勝利」の切手が配置されていることも、本大会の性質をよく表しています。

 なお、最下段右側には世界各国の人民が団結して「アメリカ帝国主義」を打倒することを表現した切手が配されていますが、北朝鮮当局はこの切手の存在を公式には認めておらず、北朝鮮で発行されている切手カタログではこの切手を除外した9種の切手からなる小型シートの写真が掲載されています。その理由は定かではありませんが、一説によると、打倒されている米兵のU.S.の文字がS.U.と逆になっており、“ソヴィエト・ユニオン(ソ連)”と誤解される懸念があったためともいわれています。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


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 朝鮮労働党創建の日について
2015-10-10 Sat 23:35
 北朝鮮では、きょう(10日)、“朝鮮労働党創建70周年”記念の軍事パレードが行われました。北朝鮮の軍事パレードは、朝鮮戦争休戦60周年の際に行われた2013年7月以来のことです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      朝鮮労働党創建20周年

 これは、いまから50年前の1965年10月10日に北朝鮮で発行された“朝鮮労働党創建20周年の記念切手です。

 1945年8月、北朝鮮を“解放”したソ連軍は、占領行政の円滑な実施のため、自らの意に添う共産党組織の設立を当初から目論んでいました。しかしながら、ソ連軍が平壌に進駐した直後の1945年9月11日には、すでにソウルに中央委員会を置く朝鮮共産党(最高指導者・朴憲永)が再建されていたため、ソ連軍はコミンテルンの一国一党原則に矛盾しないかたちで北朝鮮に共産党組織をつくるという難問に直面します。

 そこで、この問題を解決するため、1945年10月10日から13日にかけて、平壌で「西北五道党責任者および熱誠者大会」が開催され、金鎔範を責任秘書とする朝鮮共産党北部朝鮮分局が設置されました。同分局は、形式的にはソウルの党中央に従属する地方機関とされていましたが、その実態は明らかに北朝鮮独自の共産党でした。なお、「金日成将軍歓迎平壌市民大会」において、金日成が北朝鮮市民の前にはじめて公式に姿を現すのは、この直後の1945年10月14日のことです。

 1946年2月、事実上の北朝鮮政府となる北朝鮮臨時人民委員会が発足すると、北朝鮮地域における共産党組織も再編されます。このため、1946年8月、前衛党(共産党)とその友党との合同による「大衆的政党」の建設というスターリンの方針に沿って、朝鮮新民党(中国・延安にあった朝鮮独立同盟のメンバーが組織していました)と朝鮮共産党北部朝鮮分局とが合同し、北朝鮮労働党が組織されました。なお、北朝鮮労働党の初代委員長は、旧新民党の金枓奉で、金日成は1949年6月までは副委員長でした。

 北朝鮮労働党は、1946年8月30日に開催された創立大会において、南朝鮮における朝鮮共産党・新民党・人民党の三党合同の促進を呼びかける決定を採択。これを受けて米軍政下の南朝鮮では、「大衆的政党」の組織が急速に進み、同年11月、朝鮮共産党・新民党・人民党は合同して許憲を委員長とする南朝鮮労働党が結成されます。その過程において、朴憲永らは九月ゼネストや十月人民抗争などを展開しましたが、こうした戦術の是非をめぐり、南朝鮮の左翼陣営は分裂。また、米軍政当局の弾圧もあり、南朝鮮の左翼運動は大きな打撃を受けました。そして、1948年4月から行われた済州島蜂起の失敗により、南朝鮮(韓国)内における反政府闘争は壊滅することになり、以後、韓国領内では北朝鮮から派遣されたゲリラ闘争のみが細々と行われるだけになります。

 こうした状況の下、朴憲永らは次第に北朝鮮に移るようになり、朝鮮民主主義人民共和国成立後の1949年6月には、南北の党が合体(形式的には対等な合同ですが、実質的には北の党による南の党の吸収合併)して、金日成を委員長とする朝鮮労働党が結成されました。

 したがって、本来、朝鮮労働党創建70年は2019年のはずなのですが、朝鮮戦争後の北朝鮮は朴憲永を“米帝のスパイ”として南朝鮮労働党の存在をなかったことにしており、1945年の朝鮮共産党北部朝鮮分局の設置をもっていきなり朝鮮労働党が発足したかのように主張していますので、今回ご紹介の切手のように、そこから起算して20周年は1965年、ことしが“70周年”ということになるわけです。

 まぁ、北朝鮮側がプロパガンダとしてどのように主張しようと勝手ですが、日本のメディアなどがそれを鵜呑みにして「北朝鮮は10日、朝鮮労働党創建70周年を迎え…云々」と報じてしまうのはどうなのかなぁ、と僕などは思ってしまいます。

 なお、このあたりの事情につきましては、拙著『朝鮮戦争』でもいろいろとご説明しておりますので、機会がありましたら、ご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 光州の学生たち
2015-07-03 Fri 23:21
 学生スポーツの祭典、ユニバーシアード夏季大会が、きょう(3日)、韓国南西部の光州で開幕しました。というわけで、光州の学生に関連する切手ということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      光州学生事件

 これは、1964年10月15日、北朝鮮で発行された“光州学生事件”の切手です。

  1929年10月30日、光州=羅州間の鉄道車両内で日本人中学生(旧制)の福田修三らがよろめいて朝鮮人女子生徒にぶつかったところ、乗り合わせた朴準埰は、福田が従妹の朴己玉(実は福田がぶつかったのとは別人で、現場にいなかったとされる)をからかったと誤解し、いきなり福田を殴りつけました。これをきっかけに、日本人学生と朝鮮人学生の間で乱闘騒ぎが発生。その際、日本の警察当局が朝鮮人学生のみを検挙すると、これに憤激した朝鮮人学生たちは、同年11月3日を期して「植民地差別教育撤廃! 朝鮮独立万歳!」を叫んで暴動を起こしました。

 この運動は植民地当局の報道管制にもかかわらず朝鮮全土に波及し、翌1930年3月末まで、累計5万4000名の学生が同盟休校と示威活動に参加したとされています。

 事件当時、学生の間には社会主義の影響が強かったとも指摘されていることから、北朝鮮はその歴史的意義が高く評価し、今回ご紹介のような切手を発行したというわけです。また、三・一独立運動後最大の反日運動であったことから、韓国国内でもその歴史的意義が重要視されており、1953年、韓国は事件を記念して11月3日を“学生の日”としました。

 ところで、光州学生事件は、電車の中で女性がからかわれた(と朝鮮人学生が勘違いした)のが発端となったわけですが、そういうメンタリティの人たちであれば、自分の身近な女性が奴隷狩りよろしくトラックに詰め込まれ、拉致されて行った先で売春を強要されるということが実際に横行していたら、それこそ、光州学生事件などをはるかにしのぐ、すさまじい抵抗運動が朝鮮全土で起こっても、決して不思議ではないんですが…。


 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 

 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展チラシ  全日展チラシ(裏)

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。

 
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        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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 ソウル攻防戦の美女
2015-06-25 Thu 12:04
 今年もまた、朝鮮戦争の始まった“ユギオ(韓国語で625の意)”の日がやってきました。というわけで、何を持ってこようか迷ったのですが、現時点での僕の最新作『日の本切手 美女かるた』にちなんで、朝鮮戦争関連の切手で“美女”が描かれているモノということで、この切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・ソウル攻防戦

 これは、1966年に北朝鮮が発行した“ソウル攻防戦”を描く切手です。

 1950年6月25日、38度線を越えて南侵を開始した朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、先制奇襲攻撃の利を活かして、6月28日にはソウルを陥落させ、その後も破竹の勢いで韓国・国連軍を撃破し、朝鮮半島を南下していきました。しかし、9月15日、米海兵師団が仁川に上陸したことで、戦況は逆転します。

 すなわち、米軍は仁川上陸後ただちにソウルへの進撃を開始し、第5海兵連隊は金浦飛行場を、第1海兵連隊は永登浦(ソウルと南方を結ぶ要衝)を目指します。このうち、金浦飛行場の占領は9月18日には完了し、第5海兵連隊は翌19日から漢江渡河作戦を開始。20日には渡河に成功しました。一方、永登浦では北朝鮮側の抵抗が激しく、第1海兵連隊は苦戦を強いられましたが、9月22日には同地を完全に占領することに成功しています。

 漢江渡河に成功した第5海兵連隊は21日からソウル市内を目指して兵を進めましたが、首都(1972年まで、北朝鮮の憲法では、平壌は暫定的な首都で、正規の首都はソウルとしていました)の防衛にあたっていた朝鮮人民軍第25旅団には、かつて中国共産党の軍隊である八路軍に参加して日本軍などとも戦った経験をもつ歴戦の勇士が多く、北朝鮮側の抵抗の前に第5海兵連隊は多大な犠牲を強いられました。

 激しい攻防戦の後、25日になって、米軍はようやくソウル西側の高地帯と南山を占領しましたが、その後も、北朝鮮側の抵抗は続き、ソウル市内では激しい市街戦が展開されています。

 今回ご紹介の切手は、この時の様子を、後日再現した絵画を取りあげたもので、バリケードを築いて抵抗する朝鮮人民軍の兵士のほか、負傷兵の救助にあたる女性や物資を運ぶ少年の姿などが迫力ある筆致で表現されています。北朝鮮としては、ソウルの全人民が米軍に対して抵抗したと表現したいのだろうと思います。また、画面の左側後方、硝煙の向こうには中央庁のドーム屋根が見えており、この戦争画がソウルを舞台にしたものであることが一目でわかる仕掛けになっています。

 こうした北朝鮮側の抵抗は、ソウルそのものの防衛が困難になった後、主力を撤退させる時間を稼ぐためのものでしたが、結局、9月28日、米軍はソウルの奪還に成功。中央政庁には、ふたたび、太極旗が掲げられることになります。

 ちなみに、このあたりの事情については、拙著『朝鮮戦争』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

 なお、今年は1965年の日韓国交正常化から50周年ということで、7月17-19日に東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催される<全日本切手展2015>でも、外務省認定の日韓国交正常化50周年記念事業として、駐日韓国大使館・韓国文化院のご後援の下、(公財)日韓文化交流基金のご支援を受けて、“韓国切手展”を併催いたします。同展では、今回ご紹介の切手を含む朝鮮戦争関連のコレクションも展示されますので、是非、遊びに来てください。
 

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 地上の楽園・無税国家
2015-03-16 Mon 12:03
 所得税の確定申告は今日(16日)までですが、皆さんは無事に済まされましたか?手回し良く2月中に済ませたという方も多いのでしょうが、僕は今年もまた〆切ギリギリ、先ほどようやく書類を提出したところです。というわけで、というわけで、毎年恒例“TAX”ネタの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

        北朝鮮・無税国家

 これは、1974年4月1日に北朝鮮が発行した“世界初の無税国家”の切手です。昨年は何かと韓国・朝鮮がらみの仕事も多かったことですし、今年は、7月の全日展で日韓国交正常化50周年にちなみ、韓国切手展を併催すべく準備を進めていることもありますので、ことしのお題としては、朝鮮半島のネタの中から持ってきたという次第です。

 さて、北朝鮮では、ソ連占領下の1946年、北朝鮮臨時人民委員会の下で「農業現物税に関する決定書」が、翌1947年、北朝鮮人民委員会の下で「北朝鮮税金改革に関する決定書」が発せられ、ソ連に類似した税体系が導入されます。その後、1950-60年代に税制の整理が行われ、1966年の農業現物税の廃止により、所得税と地方自治税のみが残され、1970年代初頭における北朝鮮の国家予算の歳入は、制度上は、その大半が「社会主義経営からの収入」であり、「公民からの税金収入」は全体の1.9%になっていました。

 こうした状況を踏まえ、1972年12月に制定された社会主義憲法では、税金制度の廃止が掲げられ、1974年2月の朝鮮労働党中央委員会第5期第8次全員会議において税金の完全廃止が正式に決定されました。この決定は、同年3月の最高人民会議において「税金制度を完全に廃止することについて」との法令として採択され、同年4月から実施されています。

 北朝鮮が税金制度を廃止した1974年当時は、1975年の朝鮮労働党創立30周年までに6ヵ年計画を繰り上げ達成することが決定された時期で、北朝鮮当局としては、すでに無きに等しい状況にあった「住民からの税収入」を廃止することで、国民の労働意欲を鼓吹することを意図していたとみられています。

 今回ご紹介の切手は、税金廃止の初日にあたる1974年4月1日に発行されたもので、左側に「税金制度を完全に廃止することについて」との法令の表紙を配し、世界地図の中に“税金制度完全撤廃”の赤旗を掲げた朝鮮半島に千里馬の像と税金廃止に歓呼する人々が描かれています。また、右上には、「人類史上、税金のない初めての国」との文言も入っています。

 まぁ、税金というのは、働いて得た所得や資産から得られた利益などの一部を国なり地方自治体に収めるというのが本来の姿ですから、北朝鮮のように党と国家が一般国民を事実上の“奴隷”の状態においているような国であれば、そもそも税金など取りようがないというのが実態でしょう。

 北朝鮮国家としては、自分たちの体制が“地上の楽園”であると主張する根拠として、しばしば“人類初の無税国家”であることを強調してきたわけですが、やはり、僕などは、些少とはいえ、しかるべき税金はお支払いしますので、どうか“地上の楽園”の住人となるのは勘弁してほしいと願うばかりです。

 
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 毎月1回(原則第1火曜日:3月31日、4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は3月31日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

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 国際婦女節
2015-03-08 Sun 14:56
 きょう(8日)は“国際女性デー”です。というわけで、ストレートに、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       北朝鮮・国際婦女節(1953)

 これは、朝鮮戦争末期の1953年3月8日に北朝鮮が発行した“国際婦女節(国際女性デー)”の記念切手で(ただし、画像は1957年の“再版”です。初版とは目打が違います)、地球をかたどった円内に世界各国の女性を描いた旗を掲げるチマチョゴリの女性が描かれています。

 切手で女性の掲げている旗が、遠目に見ると日章旗のようにも見えてしまうのですが、当時の北朝鮮としては、直接の戦闘相手である韓国の太極旗よりも、まだ日章旗の方がましだという認識だったのでしょうかね。

 国際婦女節は、1908年3月8日ニューヨークで行なわれた女性達によるパンと参政権を要求したデモに感嘆したドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが、1910年にコペンハーゲンで行なわれた国際社会主義者会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日とするよう提唱して始まった記念日で、日本では1923年以降、さまざまなイベントが行われています。

 当初、“International Women's Day”の日本語訳は“国際婦人デー”でしたが、現在は“国際女性デー”という名称が一般的になっています。婦人→女性という用語の言い換えは、2000年の男女雇用機会均等法全面改正に伴い、一挙に進められましたので(たとえば、それまでの婦人警察官=婦警という呼称は、公式には、女性警察官と変更されています)、国際女性デーと呼ばれるようになったのもそうした時流に沿ったものなのかもしれません。

 歴史的に見ると、1917年の国際女性デーに、当時のロシアの首都・サンクトペテルブルクで女性労働者を中心に起こったデモは、いわゆる二月革命の発端になりましたので、旧ソ連およびその衛星国では重要な記念日となっていました。

 ちなみに、北朝鮮の金日成政権も、もともとは、極東におけるソ連の藩屏として、ソ連によってつくられた国として、今回ご紹介の切手の1953年から1955年まで3年間、毎年、国際婦女節の切手を発行していました。しかし、1955年後半より、戦後復興の方針をめぐり、重工業建設ならびに農業共同化を重視する金日成と軽工業優先を主張するソ連派・延安派(中国派)との対立が表面化したため、1956年以降、ソ連色の強い国際婦人デーの切手は原則として発行されなくなりました。

 なお、この時期の北朝鮮とソ連の関係については、拙著『朝鮮戦争』でも、いろいろまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

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 来年、朝露共同で祝賀行事
2014-11-25 Tue 23:28
 北朝鮮の朝鮮中央通信は、きょう(25日)、金正恩第1書記の特使として崔竜海労働党書記が今月17-24日にロシアを訪問したことについて報じ、ラブロフ外相との間で、来年(2015年)の“解放70周年”に、両国共同で祝賀行事を行うことで合意したと明らかにしました。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・解放5周年カバー

 これは、1950年8月30日に平壌の市内便で、6月20日に北朝鮮で発行された“815解放5周年”の記念切手のうち、朝ソ両国の国旗と解放塔を描く1ウォン切手が貼られています。

 ナチス・ドイツとの血みどろの戦争を体験したソ連は、第二次大戦後、周辺を藩屏となる衛星国や友好国で固めることで自国の防衛を図るという世界戦略を立てていましたが、極東戦略に関しては、朝鮮半島(の少なくとも北半部)を勢力圏内に組み込むことによって、自国の安全保障度を高めるとともに、ヤルタ協定で承認された満州の権益を安泰なものとすることを基本としていました。このため、ソ連は、1945年8月6日、米国が広島に投下した原爆第一号の威力によって戦局の帰趨を見極めるや、早くも8日には日本に対して宣戦を布告し、満州への進撃を開始します。

 そして、8月10日、朝鮮北端の都市・雄基に突入したのを皮切りに、同月15日の日本側の無条件降伏発表後も南侵を続け、同21日には元山を占領。さらに26日にはチスチャコフ大将指揮下の第25軍が平壌に入城し、ソ連軍民政部を設置して事実上の軍政を実施しました。

 同年9月2日、日本が降伏文書に調印すると、連合国軍最高司令官のマッカーサーは、一般命令第一号を発して、朝鮮半島に関しては、北緯38度線以北はソ連極東軍司令官が、同以南は合衆国太平洋陸軍部隊最高司令官が、それぞれ、駐留日本軍の降伏を受理するものとされます。これをうけ、ソ連占領軍は、大戦中、ソ連極東方面軍で訓練を積んでいた金日成らを帰国させ、北朝鮮における衛星国の建設に着手しました。

 さて、今回ご紹介のカバーに貼られている切手に朝ソ両国の国旗と解放塔が描かれているのは、まさに、こうした事情を反映したものです。

 解放塔は、ソ連赤軍による“北朝鮮解放”を記念して平壌・牡丹峰の麓に建設された塔で、頂点の星が造形上の特徴となっています。ソ連の衛星国として出発した北朝鮮としては、朝鮮の解放と北朝鮮国家の建国は、ソ連のおかげであるというのが当時の公式見解であり、「(ソ連によってではなく)原爆が落ちて日本は戦争に負けた」との趣旨の発言をした人物が処罰されることさえありました。解放塔は、そうしたソ連の“恩恵”を可視化するものとして、この切手を皮切りに、しばしば、北朝鮮の切手に取り上げられています。

 さて、今回の朝鮮中央通信が報じているように、来年、朝露両国による“解放70周年”の共同祝賀行事が行われるとして、現在の北朝鮮国家では、朝鮮の解放は“ソ連のおかげ”ではなく、金日成の抗日闘争の成果であるというのが絶対譲れないイデオロギーになっていますからねぇ。当然、ロシア側としては、共同祝賀行事をやるのであれば、“朝鮮解放”は自分たちの実績であると強調したいわけで、そのあたり、どのように折り合いをつけるつもりなのか、『朝鮮戦争』の著者としては、ちょっと気になるところです。


 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 毎週水曜日、インターネット放送・チャンネルくららにて、内藤がレギュラー出演する番組「切手で辿る韓国現代史」が配信されています。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は1月6日(12月は都合によりお休みです)で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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