内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 小さな世界のお菓子たち:キャンディの切手
2017-04-01 Sat 15:31
 大手製菓メーカー(株)ロッテの季刊広報誌『Shall we Lotte(シャル ウィ ロッテ)』の第35号(2017年春号)ができあがりました。僕の連載「小さな世界のお菓子たち」では、今回は、こんな切手を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・ロリポップキャンディ

 これは、香港が2015年に発行した“心思心意”の切手のうち、ロリポップ・キャンディを取り上げた1枚です。

 香港では、2003年以降、不定期に“心思心意(Heartwarming)”と題するグリーティング切手を発行しています。このうち、2015年2月12日に発行された6種セットの切手は、ヴァレンタイン・デー直前という時節柄、さまざまなハート型のグッズをデザインしていますが、その中の1枚には、鮮やかな渦巻き模様のロリポップ・キャンディ(棒棒糖)が取り上げられました。キャンディの色つきの部分は盛り上げ印刷になっており、立体感のある1枚です。

 切手は2015年1月29日から香港の各郵便局で1枚2.7香港ドルで発売されましたが、実際に郵便に使えるようになったのは2月12日のことでした。また、切手には額面数字の代わりに“本地郵資/LOCAL MAIL POSTAGE”の表示があり、今後、料金が値上げされても、ずっと香港域内宛の封書料金用(30グラム)に使用できます。

 もともと、香港では春節(旧正月)のギフトとしてキャンディを箱に詰めて送るという習慣がありました。これは、甘いキャンディが新年の幸運を象徴するものとされていたためです。

 ただし、春節に贈られるキャンディは、今回ご紹介の切手に取り上げられているような派手な色彩のモノではなく、眼鏡型の容器に入った眼鏡糖、ダイアモンドの指輪をかたどった容器に入った戒指糖、生姜と砂糖、麦芽糖などで作られた昔ながらの叮叮糖(啄啄糖とも)、ココナッツ・キャンディの椰子糖などが主でした。このうち、眼鏡糖や戒指糖は、1980年代くらいまで、幼稚園から小学校低学年くらいの男の子から、お気に入りの女の子に定番のプレゼントとして使われていました。

 現在では、健康志向の高まりもあって、春節のギフトとしてキャンディを贈る人は徐々に減少傾向にあるものの、香港で生まれ育った人々の生活の中で、現在なお、キャンディには縁起物としてのイメージがあることに変わりはありません。

 ところで、年によってバラつきはあるものの、春節は2月の上旬から中頃くらいまでのことが多く、今回ご紹介の切手が発行された2015年の春節は2月19日で、ヴァレンタイン・デーともほぼ重なっています。

 旧宗主国の英国同様、香港でも、ヴァレンタイン・デーには、男女を問わず、花やケーキ、カードなどのギフト(もちろん、チョコレートを贈る人もいます)を、恋人や親しい人に贈ることがある日になっていますが、“心思心意”の切手にロリポップ・キャンディが取り上げられていることから考えて、なかには、春節のギフトを兼ねて、キャンディを贈る人も少なくないのかもしれません。


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 香港の新行政長官に林鄭月娥氏
2017-03-26 Sun 17:29
 香港の行政長官選挙は、きょう(26日)、各界代表で構成する選挙委員会(1194人)の投票が行われ、中国指導部の推す親中派で前政務司司長(政務官)の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が、同じく親中派で前財政官の曽俊華氏ら2人を破って当選しました。というわけで、新長官の過去の実績に関するものとして、この切手を持ってきました。(以下、画像はクリックで拡大されます)

      香港・再開発(2010)

 これは、2010年11月16日に香港で発行された“舊区新貌”(redevelopment of old areas:旧地区の再開発)の切手のうち、“重建(redevelopment:再開発)”をデザイン化した5ドル切手です。

 林鄭月娥は、1957年5月13日、 香港で生まれました。1980年に香港大学社会科学部を卒業後、英領時代の香港政庁に入り、財經事務及庫務局でスタッフとして予算編成などを担当しました。1997年の“返還”後も官僚として行政府にとどまり、2000年には社會福利署署長に就任。失業率の高止まりと経済の失速の中で、社会保障の対象を香港在住7年以上の者に限定する“綜合社會保障援助”を推進するなどして、成果を上げたほか、2003年のSARS問題の時には対策の陣頭指揮を執りました。

 その後、房屋及規劃地政局常任秘書長(2003年11月)、ロンドン駐在の經濟貿易辦事處長(2004年)、民政事務局常任秘書長(2006年)等を経て、2007年には新設の發展局(日本語では“開発局長”と表記されることもあります)の局長となり、都市開発・住宅政策を担当しました。

 今回ご紹介の“重建”の切手は、彼女が發展局局長の在任中だった2010年に、香港の再開発を題材に、復修(Rehabilitation)・活化(Revitalisation)・保育(Preservation。ここでいう保育は日本語とは異なり維持・管理の意)の切手とともに4種セットの1種として発行されました。

 “重建”の切手は、老朽化したり、管理が不十分で荒廃した建造物やインフラ、違法建築などを、環境にも配慮しつつ、現在の基準に合わせて立て替えて行こうというイメージを表現したものですが、發展局局長としての彼女は、僭建(住宅の違法建築)の取り締まりに辣腕をふるい、名を挙げました。

 さらに、2012年、梁振英長官の下で政務司司長に任命されると、低所得層問題を担当する扶貧委員会主席に就任。同年12月、中国の輸入業者が香港で日用品を買い占めたことで起きた物価高騰・路上占拠に対する抗議デモが発生したことを受け、輸入業者の取り締まり強化し、158人の輸入業者を逮捕しています。その一方で、2013年には、違法建築の極狭アパートに居住する低所得層への給付金支給を決定。發展局局長時代の違法建築摘発と矛盾するような施策への批判に対しては、「違法なのはアパートであり、住民ではない」と反論しています。

 2013年10月17日、彼女は2016年の立法会選挙および2017年の行政長官選挙に向けた選挙制度の意見集約を行う専門チームの責任者に任命され、1人1票の普通選挙を求める民主化運動に対しては一貫して否定的な立場を表明。また、この時点では、行司役として、2017年の行政長官選挙への立候補の意思を否定していました。
 
 しかし、その後、親中派の実務官僚として彼女を高く評価していた中国・習近平政権の強烈な後押しを受け、今回の選挙に出馬。今日の投票では、当選に必要な選挙委員(定員1200)の過半数(601)を大きく上回る777票を獲得し、決選投票を待たずに、1回目の投票で当選を決めました。ただし、世論調査によると、あまりに親中国が強すぎるうえ、一般市民の投票のないまま“当選”した彼女に対する香港市民の支持率は低迷しており、今回の当選を機に、ふたたび、和平占中の時のような大規模な抗議行動が生じる可能性も指摘されています。


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 孫文生誕150年
2016-11-12 Sat 11:01
 1866年11月12日に孫文が生まれてから、今日でちょうど150年です。というわけで、今日はこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・孫文生誕140年小型シート

 これは、いまから10年前の2006年に香港で発行された孫文生誕140周年の小型シートで、シート・マージンには、香港内の孫文ゆかりの地の地図が印刷されているのがミソです。

 孫文は、1866年11月12日、マカオ北方の広東省香山県(現中山市)翠亨邨で生まれました。幼名は孫帝象。後に、孫文、孫中山、孫逸仙などの名で、中国の国父として崇められることになりますが、革命家の常として、彼も生涯にさまざまな名前を名乗っています。一般に、日本では孫文、華人世界では孫中山、欧米ではSun Yat-sen(漢字表記だと孫逸仙)と呼ばれていますが、話の混乱を避けるため、ここでは、“孫文”の名で統一したいと思います。

 辛亥革命の指導者とされている孫文ですが、1911年に実際の革命が起こったとき、彼は中国大陸のどこにもおらず(というよりも、いられず)米国にいました。じっさい、彼が計画した武装蜂起の類はことごとく失敗し、広州から香港へ、さらには東京や横浜へと逃げ回るというのが、彼の基本的なライフ・スタイルでした。

 また、“三民主義”(その内容は決してリベラルなものではなく、一般の国民を“愚民”として、中国国民党による一党独裁を主張するものであることは意外と知られていないようです)を掲げるイデオローグではありますが、現実の革命家としては決して合格点を与えられる存在ではありません。

 しかし、それでもなお、人をひきつける強烈なカリスマ性があったのでしょう。現在なお、華人世界では、“孫中山先生”は中国の国父として絶大な尊敬を集めており、彼らの学校では、その生涯は繰り返し教えられているのは周知のところです。

 さて、孫文にとっても、香港は革命活動の重要な拠点で、「どこで革命を習ったか、私は香港で、と答える」という言葉を残していますが、実際、香港には孫文にまつわる“史蹟”が少なからず残されており、その一部は観光スポット化されている。今回ご紹介の小型シートは、それらを網羅した“孫文観光”の案内図のような形になっています。以下、地図に振られている番号順に各スポットと孫文の関連をみてみましょう。

 ① 香港大學
 孫文は革命家として功成り名を遂げた後の1923年2月、香港に立ち寄り、香港大學で講演を行い、人々は孫文を凱旋将軍のように迎えて歓迎しました。

 ② 拔萃書室の跡地
 孫文より15歳年長の兄、孫眉は、孫文が5歳のときにハワイに渡り、菜園での年季の労働者を振り出しに、マウイ島での開墾事業で成功。“マウイ王”と呼ばれるほどの資産家となり、1878年、当時12歳の弟をハワイへ呼び寄せました。

 ハワイでの孫文少年は、英国系のミッションスクールと米国系のオアフ学校に学び、西洋の文化と思想に傾倒。しかし、弟の“西洋かぶれ”が度を越しており、伝統的な祖霊崇拝を捨てて、キリスト教に改宗する気配さえみせるようになると、心配した兄は孫文を故郷に送り返しましたが、ハワイを後にした孫文は、一歳下の同郷の友人、陸皓東とともに香港で宣教師のハーガーから洗礼を受けて、両親に無断でキリスト教に改宗してしまいます。

 さて、故郷の翠亨村の生活は、ハワイでの青春を謳歌していた孫文にとって、あまりにも退屈きわまりないもので、ありあまる若さのエネルギーをもてあました彼はいたるところで衝突。そして、陸皓東と2人で、村人の信仰の対象であった北帝廟(悪魔の王を倒して神の称号を与えられたとされる北帝を祀った廟)の神様を単なる“土人形”と罵り、公衆の面前でその腕をもぎ取りってしまうという事件を起こします。

 ただでさえ、キリスト教徒というだけで保守的な村では西洋かぶれの鼻つまみ者の2人でしたが、この一件で完全に村にはいられなくなり、孫文は香港へ、陸皓東は上海へ、それぞれ、学校へ行くという名目で逃れました。このとき、香港へ渡った孫文が、英語を学ぶためという名目で入学したのが、②の抜萃書室です。

 ③ 同盟會招待所の跡地
 同盟會、すなわち中国同盟會は、義和団事件の混乱の中で孫文らが起こした1900年の恵州蜂起が失敗した後、革命派が陣容建て直しのため、1905年に大同団結して東京で結成した組織です。同盟會の結成に伴い、それまで香港にあった孫文の革命組織、興中會は同盟會分会として改組されて、ひきつづき、革命派の拠点となります。

 ④ 美國公理會(アメリカン・コングリゲーショナル・ミッション)福音堂の跡地
 1883年に孫文と陸皓東がキリスト教の洗礼を受けたという教会の跡地です。

 ⑤ 中央書院の跡地
 中央書院は1862年創立の官立学校で、1883年に孫文が②の拔萃書室から転入した当時はこの場所にありました。逃げるように香港での学生生活を始めた孫文の身を案じた兄は、弟を休学させてハワイに呼び寄せ、“まっとうな人間”になるよう必死に説得したものの、クリスチャンからの転向はかなわず、1885年、彼は中央書院に復学します。

 ⑥ “四大寇”聚所
 中央書院を卒業した孫文は、翌1886年、米国長老会派のジョン・ケルが経営する広州の広済医学校に進学しましたが、翌年、香港に新設されたばかりの西医書院(後述)に入学します。

 西医書院時代の孫文は、学業成績は優秀でしたが、おとなしく勉学のみをしているはずもなく、広州で知り合った三合会(反清復明を唱える秘密結社)の首領で侠客の鄭士良らと付き合い、清朝政府を公然と批判して“四大寇”(四人の悪党)の一人に数えられるほどの有名人となりました。当時の彼の仇名は孫大砲。すなわち、大法螺吹きの孫という意味です。この四人が出会った場所が、現在は印刷所となっている⑥の場所となります。

 ⑦ 楊衢雲暗殺の地
 ⑧ 輔仁文社の跡地
 楊衢雲は福建省出身の革命家で、1892年に香港で謝纉泰らと⑧の場所に輔仁文社を設立。1895年に香港興中会が結成されると、孫文よりも年長であった彼は初代会長に就任し、1900年の武装蜂起にも参加しましたが、翌1901年、⑦の場所で暗殺されました。

 ⑨ 皇仁書院(クイーンズ・カレッジ)の跡地
 皇仁書院は歌賦街にあった⑤の中央書院が改組されたもので、1889年から1894年までは維多利亞書院(ヴィクトリア・カレッジ)と称していましたが、1894年に皇仁書院となりました。この土地には1950年まで校舎がありましたが、現在では銅鑼灣(コーズウェイベイ)に移転しています。

 ⑩ 西医書院の跡地
 西医書院は香港の大富豪・何啓が、1884年に病没した妻アリスを記念して1887年に建てたアリス記念病院の付設施設として設立されたもので、香港初の本格的な西洋医学の教育機関です。

 アリス記念病院と西医書院の創立者となった何啓は、185年、香港のロンドン伝道教会の華人牧師の子として生まれ、英国で医学と法律を学び、1881年に妻のアリスと結婚して香港に戻りました。当初は医師として活動するつもりだったものの、華人が西洋人の医師の診察・治療を受けようとしなかったため、1882年からは弁護士として活動し、議政局議員も務めています。

 西医書院は、英文名称が“Hong Kong College of Medicine for Chinese”となっていることからもわかるように華人に対して西洋医学を教授するための機関で、1887年10月1日に開校。第一期入学者は孫文を含め11名いましたが、授業は厳しく、卒業試験を受けることができたのは孫文を含めて4名しかいませんでした。

 ⑪ 道濟會堂の跡地
 道濟會堂は1888年にロンドン伝道協会が建立した教会で、西医書院時代の孫文は、学校の近くのこの教会に足繁く通っていたといわれています。

 ⑫ 香港興中會本部の跡地
 興中會は、孫文が結成した清朝打倒の秘密結社です。

 1892年に西医書院を卒業した孫文は医師としての資格を取得し、その後しばらくは香港を離れ、マカオ、廣州で医師として開業するかたわら、同志とともに時事を論じる日々を過していました。

 1894年1月、孫文は、天津を訪れ、清朝の実力者で西医書院の名誉賛助人でもあった李鴻章に対して、国家改革の私案をまとめた進言書を一方的に送りつけます。当時は日清戦争が迫り情勢が緊迫していた時期で、李鴻章からすれば、無名の青年が書いた八千字もの長文を読む時間的余裕などあるはずはないのですが、孫文はそうした事情をまったく考慮せず、自分の建策を受け入れないのは清朝が悪いとして、その打倒を決意。同年11月、革命の秘密結社としてハワイで興中會を結成しました。

 さらに、翌1895年、孫文は香港に帰り、鄭士良や陸皓東らの年来の同志とともに、香港興中會本部を立ち上げました。その拠点が士丹頓街13号、すなわち、⑫の場所に置かれていたというわけです。

 もっとも、反政府活動の秘密結社ですから、“興中會”の看板を堂々と掲げるわけには行かず、表向きは商店を装って“乾亨行”の看板が掲げられていました。その由来は、『易経』の一節「乾元、天命を奉行すれば、その道乃ち亨る」です。また、興中會への入会の宣誓には「韃慮(満洲族)を駆除し、中華を回復し、合衆政府を創立する」との文言があったといわれています。

 ⑬ 杏讌樓西菜館の跡地
 香港興中會本部は、“会党”と呼ばれる秘密結社や“緑林”と呼ばれる無法者集団を動員するとともに、何啓やイギリスの新聞記者の支持をも取り付け、武器弾薬を準備して、着々と武装蜂起の準備を進めていましたが、彼らが謀議の場としてしばしば利用していたのが、⑬の西洋料理店、杏讌樓西菜館です。

 杏讌樓で食事をしながら、孫文たちは、廣州では旧暦9月9日の重陽節に墓参りの習慣があることに目を付け、メンバーに墓参りを儀装させて香港から広州に送り込み、武装蜂起を起こし、独立政府を樹立しようと計画します。

 しかし、この計画は事前に清朝側に察知されて失敗。陸皓東以下、40名以上が逮捕され、孫文も命からがら香港を経て日本に亡命しました。以後、孫文は清朝政府から体制転覆を狙うテロリスト集団の頭目として懸賞首となり、1912年に中華民国の成立が宣言されるまでの間、海外で亡命生活を送ることになります。

 亡命生活を始めて間もない1896年10月、孫文はロンドンで同郷の廣東人と称して近づいてきた清朝の公使館員に騙されて館内に拉致・幽閉されてしまい、後は本国に送還されて処刑を待つのみという窮地に陥りました。しかし、熱心なクリスチャンであったことが幸いし、英国人使用人の説得に成功。彼を介して西医書院時代の恩師で、ロンドンに帰国していたジェイムズ・カントリーと連絡し、そこから事件はロンドンの新聞社によって取り上げられ、国際的な批判を受けた清朝は孫文を解放せざるを得なくなりました。

 解放された孫文はこのときの経験を Kidnapped in London (中国語題名は『倫敦被難記』)として出版。それがちょっとしたベストセラーとなったことで、それまで単なる国外逃亡の指名手配犯だった孫文は、ようやく、革命家としての肩書を手に入れるのです。

 ⑭ 『中国日報』事務所の跡地
 1900年の恵州蜂起に先立ち、陳少白が革命宣伝のために発行した『中国日報』の事務所です。

 ⑮ 和記棧鮮果店三樓
 孫文たちが1903年の武装蜂起(失敗)の謀議をめぐらした場所です。

 なお、孫文と香港の関係については、拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろと説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 

★★★ 講座のご案内 ★★★

 11月17日(木) 10:30-12:00 
 毎日文化センターにて、1日講座、ユダヤとアメリカをやりますので、よろしくお願いします。(詳細は講座名をクリックしてご覧ください) 
  

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 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました!

       リオデジャネイロ歴史紀行(東京新聞)


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 ハッピーヴァレーで不発弾処理
2016-03-06 Sun 13:38
 香港の競馬で有名なハッピーヴァレー地区で旧日本軍の不発弾(手投げ弾6個と迫撃砲弾2個)がみつかり、昨日(5日)、香港警察の爆発物処理班が処理しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・ハッピーヴァレー(1999)

 これは、1999年に香港で発行されたハッピーヴァレー競馬場(跑馬地賽馬場)の2ドル切手(普通切手)です。

 南京条約の調印を受けて、英国の香港駐屯軍は、1842年、銅鑼灣西側、湾仔の間の谷地に駐屯地を設けました。しかし、この地はもともと沼地で、マラリアの流行で多くの死者が出たため、1845年までに駐屯軍は現在の金鐘駅の近く、香港公園の場所に移転しました。これに伴い、旧駐屯地は縁起直しの意味を込めて“ハッピーヴァレー”と改称され、その一部が墓地となったほか、競馬場も設けられました。1866年3月5日付の『ロンドン絵入り新聞』には、墓地と競馬場が併存するハッピーヴァレーの風景として、下のようなイラストが掲載されています。

      ハッピー・ヴァレー(1866)

 当初、ハッピーヴァレーでのレースは春節の時期に限って開催されていましたが、1884年に香港ジョッキークラブが設立され、以後、夏季を除く常時開催となりました。

 ただし、第二次大戦以前の競馬は、支配者である英国人の贅沢な遊びであって、一般の華人の娯楽という雰囲気ではありませんでした。これに対して、1941年末に香港を占領した日本軍は、競馬を一般市民の娯楽として大衆化することで、それまで香港在住の英国人が占めていた優越的な地位を目に見えるかたちで否定しようとします。

 こうした政策的な意図もあって、1941年12月の日英開戦とともに中断されていた香港の競馬は、早くも翌1942年4月25日には再開。開催スケジュールは毎週土曜日ないしは日曜日で午後から11レース前後が行われました。

 ちなみに、占領以前は、高温多湿の香港の気候を考慮して、夏季のレースはありませんでしたが、占領下では通年開催となり、その結果として、レース途中で倒れる競走馬も激増したそうです。この点について、華人医師の李樹芬が占領当局の衛生局長に「夏場も休ませないのはいささか残忍ではないか」と意見を具申したところ、衛生局長は「わが皇軍は炎暑の夏であろうと、日曜日であろうと変わることなく戦場で日夜奮戦している。ましてや畜生などはいうまでもないではないか」と応じたのだとか。

 結局、競走馬への負担を無視してレースは行われましたが、入場券・馬券ともに占領以前に比べて大幅に値下げされたため、競馬は庶民の娯楽として定着・普及。1942年秋の大レースでは馬券の売上げは12万枚にも達しました。

 このあたりの事情については、拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」
 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。
 

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

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 世界最初の切手
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 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

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 無事帰国しました。
2015-11-25 Wed 01:52
      香港展パルマレス

 昨日(24日)夕方、無事、香港から帰国いたしました。アジア国際切手展<HONG KONG 2015>では、審査員の佐藤浩一さん、大原敏正さん、正コミッショナーの井上和幸さんご夫妻、作品の撤去作業をお手伝いいただいた池田健三郎さん、大場光博さん、斉藤環さんをはじめ、多くの方々にいろいろとお世話になりました。現地滞在中、お世話になった全ての方々に、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。冒頭の写真は、今回の切手展でグランプリ・インターナショナル(一般競争出品のうち、中国関連のナショナル部門を除く、全部門での最優秀作品に与えられる賞)を受賞した小岩明彦さんの代理として、FIAP(アジア郵趣連盟)のスラジット・ゴンバターナ会長から賞品の額を拝領している場面です。

 また、僕自身の出品作品 A History of Hong Kong は、昨年の世界切手展<PHILAKOREA 2014>に続き、下の画像の通り、金賞を維持することができました。

      HONG KONG 2015 賞状

      HONG KONG 2015 メダル  HONG KONG 2015 メダル裏

 メダルと賞状は、今回の切手展のテーマである“購物與美食(Shopping and Dining)”をイメージしたデザインとなっており、なかなかポップな感じが良いですね。

 また、今回の切手展では、会期初日の20日と最終日の23日に、やはり、“購物與美食(Shopping and Dining)”をイメージした記念のシートが発行されました。(下の画像のうち、左が20日発行分、右が23日発行分です)

      HONG KONG 2015 2次  HONG KONG 2015 3次

 さらに、最終日には昨年発行されたシートと会期中発行のシート2種を1冊に収めた切手帳も発行されました。その表紙は、こんな感じです。

      HONG KONG 2015 切手帳

 なお、来年は5月にニューヨークで世界切手展、8月にタイ・ノンタブリー(バンコク近郊)でアジア国際切手展、10月に台北で世界切手展、12月に中国・南寧でアジア国際切手展が予定されています。すでに、ニューヨーク展には、今回の香港展に出品したA History of Hong Kong をバージョンアップして出品することが決まっているほか、12月の中国・南寧展については、日本コミッショナーをお引き受けする予定です。今後とも、皆様にはいろいろとお世話になることがあるかと思われますが、よろしくお願いいたします。 

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 <HONG KONG 2015>受賞結果速報
2015-11-23 Mon 07:14
      香港・乾杯

 20日から香港・灣仔の香港會議展覧中心(コンベンションセンター)で開催されていたアジア国際切手展<HONG KONG 2015>は、昨日、パルマレス(受賞パーティー)が行われ、日本からの出品作品については、下記の通り、受賞結果(カッコ内は点数)が発表されました。

 ・福井和雄 China 1878 - 1897 V(82)
 ・井上和幸 Japan Definitives: Koban 1883 - 1892 LG(96)+SP
 ・鎌倉達敏 Japan Earthquake Emergency Issue 1923 - 1924 G(92)
 ・丹羽昭夫 Japan: Tazawa series "Taisho" watermarked granite paper, old die LV(88)
 ・山田廉一 Japan Definitives: 1883 - 1892, UPU and new Koban LV(88)
 ・斎藤環 Lombardy-Venetia the 1850 Issue G(92)+SP
 ・吉田敬 The stamps issued on the globe before the first introduction of perforation V(83)
 ・大場光博 The Opening of China 1745 - 1897 LV(88)
 ・池田健三郎 Prompt Delivery in Japan as Nationwide Services LV(88)
 ・井上和幸 Tonga Tin Can Mail History 1882 - 1947 LV(87)+SP
 ・小岩明彦 Indian Campaigns LG(96)
 ・和田文明 U.S. Return Receipt Requested $ Avis de Receipt 1866 - 1945 LV(85)
 ・村山良二 Czslaw Slania - The story of his great work of engraving stamps LS(77)
 ・内藤陽介 A History of Hong Kong G(90)
 (以下、文献)
 ・正田幸弘 『文献散歩道』 S(70)
 ・玉木淳一 『日本軍事郵便史 1894-1921』 V(83)
 ・stampedia 『Stampedia Philatelic Journal』 LV(86)
 ・stampedia 『Stamp Club』 S(71)

 なお、上記リストのうち、大金賞(LG)を受賞した井上和幸さんの“Japan Definitives: Koban 1883 - 1892”と小岩明彦さんの“Indian Campaigns”がグランプリ・インターナショナル(一般競争出品のうち、中国関連のナショナル部門を除く、全部門での最優秀作品に与えられる賞)の候補となり、審査員による投票の結果、小岩さんの作品がグランプリ・インターナショナルに選ばれました。小岩さんをはじめ、受賞者の皆様、おめでとうございました。
 
 冒頭に掲げた画像は、2003年に香港で発行されたグリーティング切手で、タブには乾杯のグラスが描かれています。今回の受賞者の皆様への祝杯の気持ちを込めて、持ってきてみました。なお、この切手は20グラムまでの航空郵便用の無額面・永久保証切手(切手には額面の数字を表示せず、将来的に郵便料金が値上げされても、ずっとその用途の料金として有効な切手)で、発行時の販売価格は1枚3香港ドルでした。

 さて、切手展はきょうが最終日で、夕方からは作品の撤去という大仕事があります。賞が決まったからと言って気を抜かず、最後まで気合を入れて乗り切っていかねば。

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 <HONG KONG 2015>開幕
2015-11-20 Fri 08:49
 きょう(20日)から、香港・灣仔の香港會議展覧中心(コンベンションセンター)でアジア国際切手展<HONG KONG 2015>がスタートします。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      香港2015(2014年)

 これは、昨年(2014年)9月18日、香港で発行された今回の切手展の事前プロモーションのシートです。

 香港での国際規模の展覧会は、1994年2月にアジアの地域展が開催されたのが最初で、FIAP(アジア郵趣連盟)公認のアジア国際切手展が最初に開催されたのは1997年2月のことです。その後、2004年1月、2009年5月にFIAP展が開催され、今回は4回目のFIAP展開催となります。会期は23日までです。

 展覧会のテーマは、観光地としての香港の魅力を前面に押し出した“購物與美食(Shopping and Dining)”で、シートのデザインもそれに沿った内容となっています。また、シート右上のロゴマークは、切手をイメージした目打のある四角形にショッピング・バッグの持ち手をつけ、“HONG KONG”の文字にはフォークとスプーンが組み合わされています。

 なお、日本からの出品は以下の通りです。(主催者発表のリスト順・敬称略)

 ・福井和雄 China 1878 - 1897
 ・井上和幸 Japan Definitives: Koban 1883 - 1892
 ・丹羽昭夫 Japan: Tazawa series "Taisho" watermarked granite paper, old die
 ・山田廉一 Japan Definitives: 1883 - 1892, UPU and new Koban
 ・鎌倉達敏 Japan Earthquake Emergency Issue 1923 - 1924
 ・吉田敬 The stamps issued on the globe before the first introduction of perforation
 ・斎藤環 Lombardy-Venetia the 1850 Issue
 ・池田健三郎 Prompt Delivery in Japan as Nationwide Services
 ・小岩明彦 Indian Campaigns
 ・大場光博 The Opening of China 1745 - 1897
 ・井上和幸 Tonga Tin Can Mail History 1882 - 1947
 ・和田文明 U.S. Return Receipt Requested $ Avis de Receipt 1866 - 1945
 ・村山良二 Czslaw Slania - The story of his great work of engraving stamps
 ・内藤陽介 A History of Hong Kong
 (以下、文献)
 ・正田幸弘 『文献散歩道』
 ・stampedia 『Stampedia Philatelic Journal』
 ・stampedia 『Stamp Club』
 ・玉木淳一 『日本軍事郵便史 1894-1921』

 きのう(19日)、上記作品については、コミッショナーの井上和幸さんご夫妻と3人で問題がないことを確認して展示作業を行うとともに、文献類についても、無事、現地に到着していることを確認いたしました。きょうは、午前10時からオープニング・セレモニーということなので、僕もこの記事をアップしたら会場に向かいます。賞の結果などは、あす(21日)中に確定し、22日午前に発表の予定となっておりますので、後日、このブログでもご報告する予定です。


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 世界一住みやすい都市
2014-08-20 Wed 12:04
 英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)がまとめた「世界で最も住みやすい都市」のランキングで、オーストラリアのメルボルンが4年連続で1位となったそうです。というわけで、メルボルンに絡んでこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・オーストラリア展(1999)切手帳

 これは、1999年3月19日、オーストラリアのメルボルンで開催された世界切手展<Australia 99>に際して、香港郵政が発行した切手帳(の表紙)です。切手帳は、前年(1998年)4月に発行された“スター・フェリー100年”の記念切手4種を2枚ずつ収めたペーン2枚で構成されたもので、表紙の右下には切手展のロゴも入っています。発行枚数が少ないため市場価格は数千円していますが、入手が困難という類のモノではありません。

 さて、スター・フェリー(天星小輪)は維多利亜港(ヴィクトリア・ハーバー)の両岸、尖沙咀(チムサチョイ)=中環(セントラル)、尖沙咀=湾仔(ワンチャイ)、湾仔=紅磡(ホンハム)、中環=紅磡間ならびに観光客用の周遊ルートを運航しているフェリーで、そのルーツは山頂纜車(ピーク・トラム)が開通した1888年にまで遡ります。

 すなわち、1860年代にコックとして香港に渡ってきたボンベイ出身のパルシー教徒、ドラブジー・ノウロジーはアヘンの売買で成功し、1873年には、当時の香港の高級ホテル、香港ホテル内にパン屋を出店。10年後には、香港島・中環の砵典乍街(ポッティンジャー・ストリート)に1軒、九龍市街地に2軒を経営するほどまでにビジネスを拡大しました。これらのホテルにパンを配送するため、ノウロジーは、1888年に九龍フェリー会社を設立。中環と尖沙咀を結ぶ蒸気船フェリーを就航します。その後、1898年になって、ノウロジーは、フェリーの名前にすべて“スター(星)”がついていることから、フェリーの名称を天星小輪(スター・フェリー)に変更して、現在の天星小輪ができあがりました。“スター・フェリー100年”の記念切手もここから起算して発行されたものです。

 なお、天星小輪については、拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろなエピソードをご紹介しておりますので、機会があり増したら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 講演会のご案内 ★★★ 

 ~韓国文化院 講演会シリーズ2014 『韓日交流史』~
 第9回は内藤陽介「韓国の切手でひも解く韓国近現代史」 です!

 ◇日時:2014年9月5日(金) 開場 18:30 開演 19:00
 ◇会場:韓国文化院 ハンマダンホール
 ◇募集人員:300名様(お申し込みはお一人様2名まで)
 ◇入場無料(事前のお申込みが必要です)
 ◇主催・お問い合わせ先:駐日韓国大使館韓国文化院 03-3357-5970

 ■ 韓国文化院のホームページ・トップの 「イベント応募コーナー」欄(こちらをクリックしてください)からお申し込みいただけます。たくさんの皆様のお申し込みを心よりお待ち申しております。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

 お待たせしました。約1年ぶりの新作です!

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

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 尖閣に中国人が不法上陸
2012-08-16 Thu 16:43
 きのう(15日)、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島西側の岩礁に、香港の民間反日団体“保釣行動委員会”のメンバーが越境の後、不法に上陸。上陸したメンバー7人を含む14人が沖縄県警に現行犯逮捕されました。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       香港・返還10年

 これは、2007年に中国・香港で発行された“祖国回帰(返還)10周年”の記念切手のうち、香港返還のシンボルとされる金紫荊籬塑を中心に、中国の五星紅旗と香港特別行政区の旗が並べて描かれています。

 さて、1997年の香港返還に先立ち調印された英中共同宣言では、1997年の返還から50年間(2047年6月30日まで)、香港特別行政区では、中国の主権の下、英領時代の社会・経済制度が維持されることとされていますが、現実には、急速に中国化が進んでおり、一国二制度が徐々に空洞化しつつあることは周知のとおりです。

 今回、わが領土への不法侵入を行った保釣行動委員会について、わが国のメディアでは“香港の民間反日団体”と報じられていますが、実態としては、“香港に拠点を置く(中国の強い影響下にある)反日団体”と称すべきものでしょう。

 保釣行動委員会は、香港返還前年の1996年に樹立されました。当初は、1989年の天安門事件の評価見直しや民主化運動弾圧を非難するなど、中共に対して批判的な香港内の民主派が主流を占める団体とみられていましたが、返還後は民主派としての活動は尻つぼみになりました。現在は、香港の親中実業家の大物で、中国の人民政治協商会議(国政助言機関。政協)委員の劉夢熊がスポンサーとなっており、実質的に、中国のコントロール下に置かれているとみられています。

 今回の事件に関しても、香港出航に先立つ13日、行動委員会は香港の中国人民解放軍駐屯地を訪れて抗議船の護衛を要請しました。解放軍側は行動委員会の要請に応じなかったことになっていますが、そもそも、共産党支配下の中国で政府の意思に反する政治行動を行えばどうなるか明らかなわけで、彼らが解放軍に要請に行くという時点で、なにおかいわんや、というわけです。じっさい、行動委員会の抗議船が出航後、香港の水上警察は、香港海域で形式的な制止を行ったのみで、事実上、出航を容認しています。

 さらに、香港特別行政区政府の梁振英行政長官は、さらに香港駐在日本総領事を呼び、行動委員会のメンバーと記者を釈放するよう要求し、「釣魚島は昔から中国の領土である。日本政府が香港市民に対しいかなる挑発的行為をとらないよう希望する」と述べていますが、独自の外交権を持たない香港特別行政区(香港には各国の大使館が置かれておらず、領事館レベルにとどまっているのはこのためです)が、中国政府の承認なしにこうしたことを行うのは不可能であり、 ここからも、中国が“香港”を隠れ蓑にして攻勢に出てきたことが明らかになっています。

 いずれにせよ、今後も中国は香港なり台湾(台湾内にも、たとえば高金素梅のように、中共の息がかかった反日勢力が存在していることは忘れてはなりません)を隠れ蓑に尖閣に攻勢をかけてくることは十分に予想されるわけで、竹島問題ともども、気が抜けない状況が続きそうです。

 それにしても、先月のメドベージェフ首相の北方領土再訪と先日の韓国大統領の竹島上陸、行動委員会の尖閣への不法上陸と立て続けに、わが国の領土と主権が脅かされる事件が続くと、民主党政権の外交無策により、つくづく日本は舐めきられてしまったのだなぁと悲しくなります。本来であれば、ここで、“近いうちに(っていつだよ、おい)”行われる総選挙では憲法改正と核武装を含めた国防問題が最大の争点にならねばならないのですが、そういう雰囲気は全く感じられないしなぁ。ここまで来ると、デフレ下での消費税増税という世紀の愚策への批判をかわすため、あえて、周辺諸国による侵略行動を容認し、国民の目を逸らそうとしているのではないかとさえ勘ぐってしまいますな。


 ★★★ 内藤陽介・韓国進出! ★★★

   『韓国現代史』の韓国語訳、出ました
    
       韓国現代史・韓国語版
     우표로 그려낸 한국현대사
    (切手で描き出した韓国現代史)

     ハヌル出版より好評発売中!


    米国と20世紀を問い直す意欲作

       切手、歴史を送る(正面)
       우표,역사를 부치다
       (切手、歴史を送る)

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 *どちらも書名をクリックすると出版元の特設ページに飛びます。


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 香港行政長官のオフィス
2012-03-26 Mon 16:06
 きのう(25日)、投開票が行われた香港の行政長官選挙は、中国の支持を受けた前行政会議招集人・梁振英が、やはり親中派で前政務官の唐英年を大差で破り、当選しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        添馬艦

 これは、昨年(201年)、香港で発行された“添馬艦発展工程”の小型シートです。

 香港島・金鐘の添馬艦の名前の由来は、香港に駐留していた英海軍の主力艦テーマー号で、現在の添馬艦発展工程の場所は1897年から1941年までテーマー号の母港となっていました。第二次大戦後、この場所は埋立てられてイギリスの海軍基地がおかれていましたが、返還を前に海軍基地は昂船洲に移転。その跡地に、返還後の香港政府庁舎と立法会ビルを合わせて建設する計画が立案されました。

 しかし、莫大な建設費用の問題などで英中両国は合意に達せず、添馬艦の土地は、1997年6月30日から7月1日にかけて返還記念式典が行われた後、移動遊園地、ハーバーフェスト(SARS後の復興イベントとしてローリングストーンズなどのコンサートが行われた)、香港国際映画祭の会場などに使われてきました。その後、2006年になってようやく“添馬艦発展工程”として、立法総合ビル(立法会綜合大楼)、香港政府庁舎ビル(政府總部大樓)、行政長官オフィスビル(行政長官辦公大樓)と市民公園を建設する法案が可決。2008年から約3年の工事を経て、政府庁舎は2011年8月から、議会(立法会)は同年10月から使用が開始されました。

 政府庁舎ビルは、二つの建物を上部でつないだアーチ形の構造で、公募作品のうち、金門-協興(Gammon-Hip Hing)共同体の設計が採用されました。デザインは、常に開かれたドア、緑あふれる土地、青い空が広がる未来、市民とのつながりという4つのコンセプトを表現しており、自然の風を利用した換気系統などエコロジーで時代にマッチした建築物に仕上がっているとのことです。なお、今回当選した梁振英が7月1日の着任後、オフィスとして用いるのは、切手では政府庁舎の右側手前の建物で、左手前が立法院です。

 ところで、“時代にマッチした建築物”とされている一連のビル群ですが、風水という観点からすると、行政長官オフィスの正面方位が“坐午向子”となっており、行政長官本人のみならずビルで働く全スタッフにかなりの精神的な負担を強いることが予想されているほか、香港のパワーを減じ、大陸への依存度を強めるような配置が随所になされているのだとか。はたして、この年末年始には、政府庁舎、行政長官オフィス、立法会の食堂などのいたるところで退伍軍人病の菌が発見され、衛生局が消毒に大わらわという事態も起きています。

 まぁ、風水など迷信の類だといってしまえばそれまでですが、香港では返還前の中国銀行ビル建設を発端とする“風水戦争”の過去もありますからねぇ。香港の人たちにとっては大いに気になるところだろうと思います。

 なお、今回の選挙では、当初、本命視されていた唐英年に過去の不倫や自宅の違法建築などスキャンダルが相次いで発覚して支持率が低下し、あわてた中国政府が露骨に梁振英への投票を誘導して、“民主派”統一候補の何俊仁を蹴散らすという結果になりました。香港の自治を尊重する一国二制度が骨抜きになっていることがあらためて浮き彫りになったわけですが、中国にしてみれば、風水の効果が出てメデタシメデタシということなんでしょうな。

 なお、香港の政治と風水については、拙著『香港歴史漫郵記』でも少し取り上げておりますので、機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 国立市〈歴史講座〉“もの”が語る戦争の歴史

 3月27日(火) 19:00-21:00 於・国立市公民館3階講座室
 *お問い合わせ・お申し込みは、国立市公民館(電話 042-572-5141)までお願いいたします。

 ★★★ 内藤陽介、カルチャーセンターに登場 ★★★
   
 3月下旬から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、各講座名(青色)をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

・よみうりカルチャー荻窪
 4月10日、5月8日、6月12日、7月10日、8月7日、9月11日
 (毎月第2火曜日)13:30~15:30

 切手でたどる昭和史

・よみうりカルチャー柏
 4月24日、5月22日、6月26日、7月24日、8月28日、9月25日
 (毎月第4火曜日)13:30~15:30

 切手でたどる昭和史

* よみうりカルチャー錦糸町校での講座のお申し込み受け付けは、公開講座・定期講座ともに終了いたしました。

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