郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 今日から<JAPEX>
 いよいよ、今日(11月2日)、毎年恒例・日本最大の切手展<JAPEX>が開幕します。今年の目玉は、なんといっても、UPU加盟130年記念と銘打って行われる“外国郵便”の企画展示でしょう。というわけで、こんなモノを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

幕末の横浜発のカバー

 これは、1864年7月26日、横浜にあったイギリスの郵便局で引き受けられ、香港、スエズ(ただし、まだ運河は開通していません)を経てマルセイユまで届けられた郵便物です。

 1858年に安政の5ヵ国条約が結ばれ、日本が本格的に開国すると、横浜を中心とした開港地には外国人商人が訪れるようになります。このため、1860年7月、イギリスは開港直後の横浜に郵便局を設置し、本国との通信を取り扱い始めました。なお、これに先立つ同年5月、英仏郵便交換条約が改定され、日本発着の郵便物にも同条約が適用されることになり、日本からフランス宛の郵便物も香港経由で取り扱われるルートが作られています。

 さて、今回ご紹介している封筒の表面にはGBの文字の入った菱形の印が押されています。これは、英仏郵便交換条約に基づいて料金を精算するためのもので、印の下に1F62 4/10Cの数字が入っています。これは、「イギリスは30グラム(=1オンス)ごとに1フラン62.4サンチーム(=1シリング4ペンス)をフランスから受け取る」という意味です。そして、この計算式に基づいて算出されるこの郵便物の料金、9デシームが封筒の中央に大きく表示されており、受取人はこの金額を配達時に支払いました。なお、経由地の香港を通過したのは、封筒に押されている消印によれば、1864年8月20日となっています。

 今回の企画展示“外国郵便”では、この郵便物同様、幕末・維新期の在日外国局のコレクションから第2次大戦後まで、日本発着の国際郵便のコレクションを幅広く展示しています。有名な“八戸カバー”をはじめ、眼福間違いなしの名品・稀品が多数展示されるばかりでなく、“外国郵便”でこれだけの網羅的な展示の機会はめったにないことと思います。つきましては、是非、この機会に会場にお越しいただき、実物の迫力を堪能していただけると幸いです。

 なお、本日(2日)15:00より、僕も会場内の特設スペースにて『香港歴史漫郵記』を題材にしたトークを行います。トークの会場内には、同書の元になったオープンクラス作品“A HISTORY OF HONG KONG”も展示する予定ですが、その中には、今日ご紹介のカバーも含まれています。 よろしかったら、こちらにも、ぜひ、遊びに来てください。

【トーク・イベントのご案内】  
<JAPEX>期間中、池袋会場内の特設スペースで以下のトーク・イベントを行います。
 
 2日(金・初日) 15:00〜
 『香港歴史漫郵記』を題材にしたトークを行います。会場内には、オープンクラス作品“A HISTORY OF HONG KONG”も展示する予定です。

 3日(土・祝日) 13:30〜
 『タイ三都周郵記』を題材としたトークを行います。なお、同書の奥付上の刊行日は11月15日ですが、会場では先行発売を行います。

 よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。


アクセス数 (2005年6月1日〜)

プロフィール

内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author:内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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