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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 国連加盟50年
2006-12-18 Mon 01:12
 今日(12月18日)は、1956年にわが国が国連加盟を果たしてからちょうど50年の日だそうです。というわけで、こんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

国連加盟

 これは、わが国の国連加盟を記念して1957年3月に発行された切手です。

 国連加盟という国家の一大慶事に際して記念切手を発行することは、すでに1955年12月の段階で外務省から郵政省に対して要請がなされていました。このとき、外務省側は、加盟発行日から約1ヵ月後の記念祝典にあわせて記念切手を発行して欲しいとの希望を出していましたが、加盟そのものが達せられなかったため、発行計画は沙汰止みとなっています。

 こうして、いったんは頓挫した国連加盟記念切手の発行計画でしたが、1956年10月、日ソ間の国交が正常化され、国連加盟にも実現のめどが立ったことで準備が再開されます。

 当初、現場の政策サイドでは、記念切手はグラビア多色刷で5円と10円の2種を発行することが計画されていましたが、記念切手は凹版単色刷の10円切手1種を発行するということに計画が変更されます。

 この方針の下、原画の下図が作成され、12月3日、国連マークと手を描く木村勝作品、日章旗と国連気を描く吉田豊作品、国連マークと五重塔を描く久野実作品、国連マークとバラの花を描く長谷部日出男作品などが候補として提出されました。

 しかし、当時の郵務局長・松井一郎はこれらの候補作品のいずれにもOKを出さず、「光は東方より」というイメージのもの、もしくは、国連マークをユネスコなど日本が加入している専門機関の略称などで囲んだものがよいのではないかとの提案がなされました。

 このため、12月10日、国連のマークを専門機関の略称で囲んだ木村勝の作品と「光は東方より」をイメージした地球上の群像を描いた渡辺三郎の作品とが候補として再度提出され、木村の作品が採用されました。

 木村の原図は12月22日に本描が完成。版式は、国連機関の略称を入れた青色のバックをグラビアで印刷した上に、国連マークと日本語の記念文字、額面などを赤色の凹版で印刷するという方針が決定されます。なお、バックに入っている国連機関の略称は、ILO(国際労働機関)、FAO(国連食糧農業機関)、UNESCO(国連教育科学文化機関)、ICAO(国際民間航空機関)、IBRD(国際復興開発銀行)、IMF(国際通貨基金)、WHO(国際保健機構)、UPU(万国郵便連合)、ITU(国際電気通信連合)、WMO(世界気象機関)です。

 こうして、年末年始にかけて印刷局での調製作業が行われ、1957年3月8日、日比谷公会堂で国際連合加盟記念国民大会が開かれるのにあわせて記念切手が発行され、席上、郵政大臣・平井太郎から、日本国際連合協会会長・佐藤尚武 に対して、大臣署名入りの記念切手が贈呈されました。

 なお、この切手を含めて、昭和30年代前半の記念切手については、拙著『ビードロ・写楽の時代』でまとめてみましたので、機会がありましたら、ご覧いただけると幸いです。

 *同書は現在、版元品切れ中です。<解説・戦後記念切手>シリーズは、来春には第5巻も刊行の予定ですので、なんとか、版元の日本郵趣出版さんには頑張って増刷をかけてもらいたいと切に願っているのですが…。
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