郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 10日遅れの朝顔市
 毎年、7月6〜8日に開催される東京・入谷の朝顔市ですが、今年は、サミット開催のため今日(18日)から3日間の開催だそうです。というわけで、今日はこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 あさがお

 これは、1961年8月1日に“花切手”の第8集として発行された“あさがお”の切手です。

 四季折々の花を切手に登場させようという花切手の企画が最初に持ち上がったのは、1955年のことで、郵政省の事務方と郵政審議会・切手図案審査専門委員の一人で植物学者(東京大学名誉教授)の小倉謙は、昭和31年度に花切手を発行すべく、審議会に提案しています。しかし、このときは、時期尚早との理由からこの企画は採択されませんでした。

 いったんお蔵入りしていた花切手の企画ですが、1961年が郵便創業九十年にあたっており、その記念行事の一環として発行されることが決まり、1960年10月以降、シリーズ発行に向けての具体的なプランが決定されます。その結果、1961年1月の“すいせん”を皮切りに、毎月1種ずつ、季節の花を題材として発行する花切手のシリーズがスタートしました。

 8月の花に選ばれた“あさがお”の原画は、印刷局の中島桂が以前に描いていたものをシリーズの企画に合わせて描きなおしたもの(1961年2月6日に完成)と、郵政省の大塚均が制作したもの(2月16日に完成)を比較・検討したうえで、中島の作品を修正のうえ採用することとされました。これは、大塚の作品が、半開きの花と全開きの花が並んでいるという、現実には起こりえない状態であったためです。

 ちなみに、朝顔といえば、東京・入谷の朝顔市が有名であることから、下谷入谷局が初日押印を担当することとなり、同局では、8月1日の切手発行に先立ち、朝顔市初日の7月6日から、鬼子母神と朝顔を描いた風景印が使用されています。

 なお、この切手を含む“花切手”については、拙著『切手バブルの時代』でも詳しく解説しておりますので、機会がありましたら、ご一読いただけると幸いです。(アマゾンでは古書として高値が付いていますが、発売元にはまだ在庫がありますので、定価でお求めになれます)

 もう一度切手を集めてみたくなったら 
 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 


アクセス数 (2005年6月1日〜)

プロフィール

内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author:内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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