郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 ふみの日
 毎月23日は語呂合わせで“ふみの日”に指定され、この日を契機に手紙を書くことを普及・啓発する運動が展開されています。その一環として、1979年以来、毎年、文月(ふみづき)の7月23日に発行されている“ふみの日”切手が、今年で20回目の発行を迎えるので、今日はこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ふみの日(1979年・20円)

 これは、1979年に発行された最初の“ふみの日”切手のひとつで、手紙を抱えた少女がイラスト風に描かれています。

 郵政省は、昭和50年(1975)度から毎月23日を“ふみの日”とし(このネーミングは北海道の森実弘による)、各地方別に手紙を書く運動を展開していましたが、昭和54年(1979)度からは、「国民に手紙を書いてもらうことを勧め、それを積み重ねることによって、生活の中に、ものを書く習慣を取り戻し、人と人との心の交流を盛んに」するとの趣旨で、全国的な規模でキャンペーンを展開することになりました。

 その一環として、“ふみの日”のシンボルマークが制定されたほか、4月以降、毎月23日には全国の郵便局で小型印が使用されました。このほか、昭和54年度中のキャンペーンとしては、10月23日にNHK総合テレビの番組「テレビファソラシド」で“ふみの日”にちなむ「手紙特集」が放送されたほか、3月23日と7月23日の2回、「手紙のある世界」と題する新聞広告が各紙に掲載されています。

 しかし、当初発表された昭和54年度の記念特殊切手の発行計画では、“ふみの日”に記念切手を発行する予定はありませんでした。

 ところが、3月2日の衆議院予算委員会の分科会で社会党議員の後藤茂が、郵政省が毎月23日を“ふみの日”として手紙を出そうと呼びかけているものの、その周知宣伝がほとんど行われていないことを指摘。その周知宣伝の手段として「この日だけは、普通切手に代わって、ふみの日の特殊切手を作り売ることを考えて欲しい」と提案します。これに対して、郵政大臣の白浜仁吉が「ふみの日についてはもっと周知を徹底させる。特殊切手については、とても良いご提案なので、ぜひ前向きに検討したい」と答弁したことから、事務方は切手発行の準備を開始。4月に入り、新年度になってから、陰暦七月の“文月”にあわせてキャンペーン切手を発行することを発表しました。

 こうして7月23日に発行された切手は、額面20円と50円の2種類の切手が、各5000万枚発行されています。これが、現在まで続く“ふみの日”切手の第一号となりました。

 その後、“ふみの日”切手には、デザイン公募のものがあったり、人気デザイナーの永田萌の作品が取り上げられるなど、いろいろな話題があるのですが、1984年までのモノについては、拙著『近代美術・特殊鳥類の時代』でもいろいろと解説していますので、機会がありましたら、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。

 * 本日未明、カウンターが36万PVを越えました。いつも遊びに来ていただいている皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。

 トーク・イベントのご案内
 8月2・3日(土・日)に東京・大手町のていぱーくで開催のサマーペックス会場内にて、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』の刊行を記念したトーク・イベントを行います。2日は14:00から、いわゆる“竹島切手“についての話題を中心に、3日は14:30から、韓国切手に見る日本時代の“遺産”についての話題を中心に、お話しする予定です。サマーペックスのHPにアクセスしていただくと、無料の招待チケットをプリントアウトしていただくことができます。当日は、会場ならではの特典もご用意しておりますので、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。

 もう一度切手を集めてみたくなったら
 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。



アクセス数 (2005年6月1日〜)

プロフィール

内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author:内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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