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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 パンと魚の奇跡
2015-06-19 Fri 23:25
 イスラエル北部ガリラヤ湖畔のタブハ村にある“パンと魚の奇跡の教会”で、きのう(18日)、放火とみられる火災がありました。壁にはヘブライ語の赤い文字で“邪神の崇拝”を批判する落書きがあり、警察当局はユダヤ教過激派による犯行の疑いが強いとみて捜査しているそうです。

      ヴァチカン・パンと魚の奇跡

 これは、1963年にヴァチカンが発行した“飢餓救済運動(反飢餓キャンペーン)”のキャンペーン切手で、17世紀のスペインを代表する画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョ の作品「パンと魚の奇跡」が取り上げられています。

 飢餓救済運動は、国連食糧農業機関(FAO)が1960年から1965年にかけて展開したもので、その運動期間の中間にあたる1963年の春分の日を中心に、各国で啓蒙のためのさまざまなイベントが展開されました。その一環として、各国はキャンペーン切手を発行しましたが、今回ご紹介の切手もその1枚というわけです。

 “パンと魚の奇跡”は、イエスが奇跡を起こして、2匹の魚と5つのパンを増やし、5000人に食べさせたというエピソードで、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの各福音書に記述があります。たしかに、イエスのこうした奇跡が常に行われるのであれば、地上から飢餓はなくなるわけで、その意味では、飢餓救済運動にピッタリの題材といえましょう。

 さて、“パンと魚の奇跡の教会”は、イエスの上述の奇跡が行われたとされる場所に、350年に最初の建物が建てられました。その後、614年に最初の建物はペルシャ人によって破壊され、さらに、ムスリムの支配下で教会のことも忘れられていましたが、1892年に再発見され、仮の会堂が1936年に建てられました。今回、火災に遭った建物は1982年に建てられ、ベネディクト派の修道士によって管理されていました。なお、今回の火災では、建物内外の広い範囲が焼けたものの、ビザンツ時代の5世紀に作られたパンと魚の床モザイクは無事だったそうです。

 今回の事件に関して、ネタニヤフ首相は「私たち全員に対する攻撃だ」と批判し、徹底的な捜査を指示したそうですが、一刻も早く、犯人が逮捕されると良いですな。
 

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