内藤陽介 Yosuke NAITO
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 スウェーデンで徴兵制復活
2017-03-03 Fri 13:37
 スウェーデンのフルトクビスト国防相は、きのう(2日)、2010年に廃止した徴兵制を2018年1月から復活させる方針を明らかにしました。兵士に志願する若者が減るなか、ウクライナ危機を受けてロシアの脅威が高まる中、要員不足を補う目的だそうです。というわけで、今日は、この切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ウクライナ・ポルタヴァの戦い

 これは、2008年にウクライナが発行した「ウクライナとスウェーデン 歴史の十字路で」の切手のうち、1709年のポルタヴァの戦いに参加したスウェーデン国王カール12世(左)とウクライナ・コサックの指導者、イヴァン・マゼッパのタブがついたペアです。

 1700年、ロシアとその同盟国(北方同盟)によるスウェーデン攻撃によって大北方戦争が勃発すると、スウェーデン王・カール12世は、北方同盟軍のデンマーク、首都コペンハーゲンを急襲。トラヴェンタール条約を結び、デンマークを北方同盟から離脱させるとともに、ナルヴァの戦いでロシア軍を撃破。ロシアはスウェーデンからの撤退を余儀なくされました。さらに、カール12世はドヴィナ川の戦いでポーランド(当時はポーランド・リトアニア共和国)を破り、ポーランド領内に侵攻。1706年にはフラウシュタットの戦いで勝利してザクセンにも侵攻し、ポーランドを北方同盟から離脱させました。

 一方、ウクライナでは、1704年、ロシアからの自立を目指すイヴァン・マゼッパが北方戦争に乗じてドニエプル川右岸(右岸ウクライナ)を占領。1706年にスウェーデン軍がポーランドの大半を占領したことを受けて、マゼッパは“敵の敵”であるスウェーデン軍と結び、ロシアへの遠征を企てます。

 かくして、スウェーデン軍は、1707年、ロシア本土への侵攻を開始しますが、ロシア側の焦土作戦を前に、スウェーデン=ロシア国境での戦闘を断念し、マゼッパ率いる3万のコサック兵(平時には農耕を行い、有事には軍務を行うことを条件に特権的な土地使用を認められた人々。またはその軍事的共同体)との合流を目指して、南下してウクライナから攻め込むプランに変更しました。

 しかし、マゼッパの叛乱を察知したロシア軍は、1708年、彼の本拠地・バトゥールィンを急襲して住民6000人を殺害。これにより、コサック軍は壊滅的な打撃を受け、マゼッパ自身も命からがらカール12世と合流します。当然のことながら、合流してきたマゼッパの兵力は、当初の予定より大幅に減少していましたが、カール12世は進軍を止めることなく、1709年6月、東ウクライナのヴォルスクラ川沿いの要衝、ポルタヴァを包囲しました。

 しかし、包囲戦の最中の6月17日、カール12世は狙撃兵によって足を負傷し、カール・グスタフ・レーンスケルドに指揮権を委託。すると、その直後にピョートル1世率いる4万超の兵と72門の砲を擁する大軍がスウェーデン軍陣地の北方に到着し、逆に、2万余(実際の攻撃に使用できる兵力は1万7000)スウェーデン軍を包囲。このため、圧倒的な劣勢を跳ね返すため、6月27日未明、スウェーデン軍はロシア軍に対して奇襲攻撃をかけたものの、最終的にはロシア側の圧倒的な兵力の前に多くの死傷者を出して敗走。カール12世とマゼッパは敗残兵に紛れてオスマン帝国まで逃れたものの、残りの将兵は戦場から離れたペレヴォローチナで降伏しました。この戦いでのスウェーデンの戦死者は5000人以上で、生き残った1万5000人と援軍6000人は捕虜としてシベリアに送られ、スウェーデンに帰国できた者は5000人しかいなかったそうです。また、マゼッパ本人も、翌1710年、ベッサラビアのベンデリで亡くなっています。

 さて、21世紀の現在、実際にウクライナの地でスウェーデン軍とロシア軍が再び戦う可能性は低いでしょうが、クリミア併合後のロシアはバルト海周辺で軍用機による活動を活発化させており、スウェーデン側もゴトランド島に部隊を配置するなどして警戒を強めています。そうした事態が、大北方戦争の歴史的記憶をスウェーデンに呼び覚まさせ、そのことが、今回の徴兵制復活につながったのも、まさにむべなるかな、というところでしょうか。


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