内藤陽介 Yosuke NAITO
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 モザンビークの鉄道
2017-03-16 Thu 14:36
 今月13日からきょう(16日)まで日本を訪問中のモザンビークのフィリペ・ジャシント・ニュシ大統領が、きのう(15日)、安倍首相との会談後、両陛下とも会見したそうです。というわけで、モザンビーク鉄道港湾公社出身の大統領にちなんで、今日は、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      モザンビーク会社領・ベイラ鉄道はがき

 これは、1904年、モザンビーク会社領で発行された葉書で、ザンベジ川の鉄橋を渡るベイラ鉄道が取り上げられています。

 1822年、ポルトガルにとってドル箱の植民地だったブラジルが独立すると、ポルトガル国内では政治の混乱が続き、経済も低迷。国家財政も急速に悪化し、ポルトガルは鉄道や鉱山の利権を担保に英国から借金を重ねました。

 こうした経緯を経て、19世紀後半、列強諸国によるアフリカ分割の過程で、ポルトガルはモザンビークとアンゴラを横断する“バラ色地図計画”を発表したものの、1890年には英国の圧力で現在のザンビアジンバブエマラウイに相当する地域の領有を断念し、1891年の条約で“ポルトガル領モザンビーク”の領域が確定されます。

 さらに、1891年、ポルトガルは英仏資本の勅許会社、モザンビーク会社ニアサ会社に対して、ポルトガル植民地政庁の裁判所の運営経費を負担し、宗教活動に援助することを条件に、50年間、両者の“会社領”とされた地域において司法権を除く各種の権利(警察権や徴税権、通貨発行権や郵便事業、鉄道建設、鉱山開発、農場経営などの権利)を与えます。

 このうち、モザンビーク会社領とされたのは、現在のモザンビーク中央部、マニッカ州およびソファラ州に相当する地域で、同社の植民地経営の拠点となったのが、港湾都市のベイラでした。
 
 なお、モザンビークには、中部のベイラの他、マプート、ナカラ、ケリマネ、ペンバ、パライアの計6ヵ所の港湾がありますが、そのうち、北部の拠点となるのがナカラ、中部がベイラ、南部がマプートです。これらの港湾は周辺内陸国からの商品作物や鉱産資源の積出港となっていたため、港湾と併せて鉄道が整備されることになりました。ニュシ大統領が以前勤めていた鉄道港湾公社という組織は、こうした事情から生まれたものです。なお、主要な3港湾から後背地域へのアクセス経路はナカラ回廊、ベイラ回廊、マプート回廊と呼ばれています。

 今回ご紹介の葉書に取り上げられているベイラ鉄道は、1892年、モザンビーク会社がベイラから内陸のイギリス南アフリカ会社領のムタレ(現・ジンバブエ。ベイラから290km、モザンビーク会社領との境界からは8km)までの区間で建設を開始し、1898年に開通しました。20世紀初頭には、英領ケープ植民地(現・南アフリカ共和国)のフライバーグやソールズベリー(現・ジンバブエの首都ハラレ)を結ぶ鉄道路線と接続して南東アフリカにおけるイギリスの物流を支える大動脈となり、ベイラは域外に輸出する物心の集散地として経済的に繁栄しました。

 さらに、ボーア戦争後、ポルトガル領東アフリカに対する英国の介入は一層露骨になって、ベイラ港の港湾施設や鉄道は、モザンビーク会社からイギリス南アフリカ会社へ譲渡されただけでなく、両社の間では役員の交換も行われて一体化が進みます。またモザンビーク会社は南ローデシアトランスヴァールで南アフリカ会社が経営する鉱山に、黒人労働者を送り込み、最盛期にはモザンビークから年間10万人が出稼ぎに行きました。

 モザンビークの鉄道網は、独立後の内戦で大きな打撃を受け、その後の修復が不十分な状況が続いきましたが、近年、日本を含む各国の支援により、モザンビーク・マラウィ両国にまたがるナカラ鉄道の682kmの既存鉄道路線の整備と230kmの路線新設(ナカラ港における石炭ターミナルの新設・一般貨物ターミナルの整備を含む)が進められており、今後の地域開発と産業振興が期待されています。


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