内藤陽介 Yosuke NAITO
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 タンザニア、ケニアに医師500人派遣
2017-03-19 Sun 19:09
 昨年12月からの100日間に及んだ医療関係者のストライキで、医療サービスがマヒ状態になっているケニアに対して、隣国タンザニアのジョン・マグフリ大統領は、きのう(18日)、500人の医師を派遣すると発表しました。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ケニア・ウガンダ・タンザニア:ケニヤッタ病院

 これは、1973年12月12日、ケニア・ウガンダ・タンザニア名義で発行されたケニア独立10周年の記念切手で、ケニアの首都、ナイロビのケニヤッタ国立病院が取り上げられています。

 近代以前の東アフリカのインド洋沿岸部はザンジバルの支配下に置かれていましたが、1840年代以降、ザンジバルのスルターンの保護の下にヨーロッパ人宣教師がモンバサの海岸周辺から内陸に向かって入植するようになりました。

 1886年、ドイツがザンジバルに艦隊を派遣すると、ザンジバルからの支援要請を受けた英国も派兵。このため、フランスを交えた3国の協議の結果、東アフリカ南部(現在のタンザニアの大陸部分に相当する地域)をドイツ領東アフリカとし、北部(現在のケニアに相当する地域)を英領東アフリカとすることで決着が図られました。この時きめられた英領東アフリカの範囲は、タナ川の河口からモンバサを経てドイツ領東アフリカとの境界線までの150マイル(240キロメートル)の海岸線とその内陸部です。

 第一次大戦でドイツが敗れると、旧ドイツ領東アフリカは解体され、英委任統治領タンガニーカとベルギー委任統治領のルワンダ=ウルンディに分割されます。

 その後、1927年、英国は東アフリカのウガンダ、ケニア、タンガニーカ、ザンジバルの4地域を包括する関税同盟を結成し、同盟の域内では共通通貨として東アフリカ・シリングの使用が開始されます。これに伴い、ザンジバルを除く大陸の3地域では郵便組織も共通となり、“ケニア・ウガンダ・タンガニーカ”表示の切手がこれら3地域で使用されました。

 その後、1961年にタンガニーカが、1962年にウガンダが、1963年にケニアが、それぞれ独立した後も、各国の切手と並行して“ケニア・ウガンダ・タンガニーカ”表示の切手の発行は継続され、1964年にタンガニーカとザンジバルの統合によって現在のタンザニア国家が誕生すると、今回ご紹介の切手のように、“ケニア・ウガンダ・タンザニア”に国名表示を変更した切手が1976年初まで発行されていました。

 さて、今回ご紹介の切手に取り上げられたケニヤッタ病院は、1901年、先住民を対象としたネイティヴ市民病院として、40床で開業しました。ちなみに、当時のケニアでは、現地在住の白人に対する医療行為は、同病院の近くにあるヨーロッパ病院(現ナイロビ病院)で行われていました。その後、1952年に宗主国の君主である英国王ジョージ6世が崩御すると、ネイティヴ市民病院はジョージ6世病院と改称されましたが、独立後は“建国の父”ジョモ・ケニヤッタにちなんで、ケニヤッタ国立病院と改称されました。現在のスタッフ数は6000人、ベッド数は1800床です。
 
 さて、ケニアでは、昨年12月、各地の公立病院で医療関係者約5000人が賃上げと労働環境の改善を求めてストライキを開始。今月14日、ケニア政府と労働側の合意が成立し、ようやくストライキが終結したものの、医師の中にはいまだに職場復帰していない者もおり、職場復帰した医療関係者は診療を待つ大勢の患者たちへの対応に追われています。

 今回のタンザニア政府による医師派遣は、タンザニア最大都市のダルエスサラームでマグフリ大統領とケニアのクレオパ・マイル保健相率いる代表団が会談した後、発表されたもので、ケニア側は派遣される医師たちに対して「所定の給与を支払い、住居を用意し、良好な環境で働けるようにする」ことになっています。
 
 まぁ、タンザニアからすれば、地続きの隣国のであるケニア国内の衛生環境が悪化すれば、自国にも深刻な影響が生じることが懸念されるわけで、事態を放置できなかったというのが正直なところでしょうが、かつての英領時代の紐帯が、こんなところで生きてくるというのもなかなか興味深い話ではあります。


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