内藤陽介 Yosuke NAITO
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 NHKラジオ第1で「切手でひも解く世界の歴史」スタート!
2017-04-13 Thu 08:20
 本日(13日)から、原則として隔週木曜日の16時台前半、NHKラジオ第1放送で、内藤がレギュラー出演する「切手でひも解く世界の歴史」スタートがします(番組の詳細はこちらをご覧ください)。初回のきょうは、タイ及び近隣の旧正月にあたる水かけ祭“ソンクラーン”の日ということで、こんな話をする予定です。(画像はクリックで拡大されます)

      ラーマ5世・ルアンパバーン消

 これは、現在はラオス領となっているルアンパバーンの消印が押されたタイ最初の切手です。

 1868年にラーマ5世が即位した頃のタイは、現在の国名でいうラオスのほぼ全域やベトナムの北部、カンボジア西部、さらには、マレーシアの北部までをも勢力下に収めた域内の大国でした。もっとも、チャクリー王朝(現王朝)の直接支配はその全域に及んでいたわけではなく、地方の小領主がバンコクの王室に服属し、結果として緩やかな連合国家を形成されていたというのが実態でした。

 英仏列強はこうしたタイ国家の構造を利用して、周辺の属国をチャクリー王朝の支配下から切り離すことで領土を拡大していったわけですが、そのプロセスを、年表風に記すと以下のようになります。

 1888年 シップソーンチュタイ(ベトナム北部)をフランスに割譲
 1892年 シャン族5王国と東カレン族の国をイギリスに割譲
 1893年 シャム危機:砲艦外交に屈して、メコン川東岸のラオス全域をフランスに割譲
 1904年 シャム危機での賠償金支払い完了までの保障占領としてチャンタブリーとトラートに駐留していたフランス軍の撤退を求めて、メコン川右岸のマノープライ、チャンパーサック、ルアンパバーン州をフランスに割譲
 1907年 フランスのアジア系保護民の治外法権撤廃軍の代償として、カンボジアのバタンバン、シムエレアプ、シーソーポンをフランスに割譲
 1909年 英保護民の治外法権撤廃の代償として南部のクダ、ペルリス、クランタン、トレンガヌ4州の宗主権を英国に割譲

 この年表からもお分かりいただけるように、1904年まではルアンパバーンはタイ領であり、当然、タイの切手が使われていたため、今回ご紹介のようなマテリアルが生まれたわけです。
 
 さて、これら6回にわたる領土の割譲で、タイが失った総面積は30万平方キロにも達しました。タイは、こうした多大なる代償と引き換えに、東南アジアにおける英仏の緩衝国という立場を確保し、独立を保ったといえます。

 もちろん、タイの損失が一部領土の割譲にとどまり、独立国として存続しえた背景には、ラーマ5世による一連のチャクリー改革が一定の成果をあげ、曲がりなりにも“近代国家”の一員として国際社会から認知されていたという事情も見逃してはならないでしょう。1883年に創業したばかりのタイ郵政が、早くも1885年7月1日付で国際的な郵便交換の組織である万国郵便連合に加盟し、それに伴い、前日の6月30日をもってバンコクの英国局が撤退していたということは、その象徴的な出来事と見ることができます。

 今日の放送では、ラーマ5世時代のタイの例から、切手に押されている“消印”の地名から、その国の支配の領域がわかるというお話をするつもりです。聴取可能な方は、ぜひ、このブログと併せてお聞きいただけると幸いです。

 なお、次回の放送は、4月27日(木)の16時台前半、フランス大統領選挙にちなんだ話題をお話しする予定です。詳細につきましては、あらためて、このブログでもご案内いたしますので、今後ともよろしくお付き合いいただけると幸いです。


 ★★★ NHKラジオ第1放送 “切手でひも解く世界の歴史” スタート! ★★★ 

 4月13日(木)から、NHKラジオ第1放送で、隔週木曜日の16時台前半、内藤がレギュラー出演する「切手でひも解く世界の歴史」スタートがします。初回は、13日がタイの水かけ祭“ソンクラーン”の日なので、16:05から、タイの切手のお話をする予定です。みなさま、よろしくお願いします。番組の詳細はこちらをご覧ください。


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