内藤陽介 Yosuke NAITO
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 一の酉
2017-11-06 Mon 08:31
 きょう(6日)は一の酉です。というわけで、例年同様、最新の拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』の重版を祈念して、同書で取り上げた“鳥”の切手の中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ヨルダン・第一次インティファーダ4周年

 これは、1991年にヨルダンが発行した“(第一次)インティファーダ4周年”の記念切手で、パレスチナ地図とハトを背景に、岩のドームとアクサーモスク、それに投石する人々が描かれています。

 ヨルダンとイスラエルの和平交渉は、第一次インティファーダ直前の1987年、当時のイスラエル外相シモン・ペレスとヨルダンのフサイン国王が極秘裏に会談し、ヨルダン川西岸(の一部)をヨルダンに返還する平和条約の調印に向けて水面下で準備が進められましたが、このときは、イスラエル首相イツハク・シャミルの反対で破談になっています。

 その後、第一次インティファーダを経て、1988年にPLOがイスラエルの承認とテロの蜂起を前提とする“パレスチナ国”の樹立を宣言すると、ヨルダンはヨルダン川西岸地区の領有権(の主張)をパレスチナ国に譲渡しましたが、岩のドームを含む神殿丘の管轄権は、引き続き、ヨルダン宗教省が維持することになりました。

 今回ご紹介の切手でも、こうしたことを踏まえて、岩のドームを含む神殿の丘のイメージが取り上げられています。

 一方、ヨルダンが、神殿の丘の管轄権を除き、ヨルダン川西岸の領有権(の主張)をパレスチナ国に譲渡したことになっているのに対して、ヨルダン川西岸地区を実効支配していたイスラエルは、現在にいたるまでパレスチナ国を国家承認していません。

 このため、1993年のオスロ合意を受けてヨルダン川西岸地区でパレスチナ人の自治を行うにしても、いったん、当該地域の帰属をめぐって、イスラエルとヨルダンの間で調整が必要となります。

 かくして、1994年年に入ると、イスラエルのラビン首相とペレス外相、ヨルダンのフサイン国王の三者で和平交渉が開始されました。

 交渉に先立ち、国王はエジプトのホスニー・ムバーラク、シリアのハーフェズ・アサドの両大統領に意見を求めましたが、ムバーラクが和平交渉に賛意を示したのに対して、アサドはイスラエルとは交渉のみにとどめ、いかなる合意も結ぶべきではないと主張したと伝えられています。

 これに対して、米国のクリントン大統領はヨルダンに対してイスラエルと交渉を開始し、和平協定を結べば、九億ドルにも及ぶヨルダンの対米債務を免除することを約束。この結果、1994年7月25日、米国でイスラエルのラビン首相とヨルダンのフセイン国王が“ワシントン宣言”に調印。同年10月、ヨルダンとイスラエルの平和条約が調印されました。

 同条約により、国境が一部修正され、一部の土地がヨルダン領に編入されましたが(その場合でも、イスラエルの農民が耕作していた土地に関しては、リース方式を導入することで、従来どおりの使用権が保証されました)、ヨルダンは東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の領有権を放棄したことが確認されました。そのうえで、神殿の丘の管轄権はヨルダンにあること、イスラエルは毎年、ヨルダンに対して5000万立法メートルの水を提供し、ヤルムーク川(シリア南西部を水源とし、ゴラン高原の東から南へ回り込んでヨルダンとシリアの国境を、次いでヨルダンとイスラエルの国境を形成し、ヨルダン川に流れ込む川)を水源として活用することを認めること、両国は互いに相手国に対して敵対的なプロパガンダを中止し、安全保障面で協力することなどが定められました。

 これを受けて、1995年9月、イスラエルとPLOはワシントンでパレスチナ自治拡大協定を調印し、PLOの自治権が行使される地域や分野などが具体的に定められることになります。
 

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