2018-10-03 Wed 00:50
★★★ 緊急告知!★★★
あす(4日・木)15:10~15:25 TBSラジオ「たまむすび」に、内藤が出演します。よろしかったら、ぜひお聴きください。 なお、番組の詳細はこちらをご覧ください。 南米の内陸国ボリビアが悲願とする太平洋への“出口”をめぐり隣国チリに交渉に応じるよう命令を求めていた裁判で、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は、1日(現地時間)、ボリビアの訴えを棄却しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます) ![]() これは、1964年にボリビアからアルゼンチン宛の書留航空便で、左下に、ボリビア国旗に「ボリビアは海に出る権利を要求する」とのスローガンが入ったラベルが貼られています。 1826年に独立したボリビアは、1879-84年、南米大陸・太平洋岸の硝石地帯をめぐって、ペルーと同盟を結んでチリと戦いました。いわゆる“(南米の)太平洋戦争”です。この戦争に敗れたボリビアは、講和条約として結ばれたバルパライソ条約により、太平洋岸に面したアントファガスタ州をすべて失い、内陸国となりました。 以後、ボリビアの海運での輸出入貨物は、いったんチリ領となったアントファガスタ港で陸揚げされ、同港でボリビアが管理する保税上屋からチリの通関を行わないままボリビア国境へ運ばれ、ここでボリビアの税関が通関を行うという手続きが取られています。 ボリビア国民の中には、現在なお、バルパライソ条約を不当と考え、海を奪ったチリに敵意を持つものが少なくありません。また、ボリビア政府も毎年3月23日を“海の日”に指定し、メディアを動員して「海を取り戻そう」キャンペーンを展開しています。こうしたこともあって、サッカーの試合などでも、ボリビア・サポーターの一部が「海を返せ」といった政治的な横断幕を掲げることもしばしばです。今回ご紹介のカバーのラベルも、こうした社会的背景の下で、ボリビアの主張を国際的にアピールするため、郵便物に貼られたものです。 今回の裁判は、2013年にボリビアが提訴していたもので、1904年のバルパライソ条約を根拠に掲げ、チリに対し「完全な主権を伴う太平洋への出口をボリビアに付与するため交渉に応じる義務がある」というのがボリビア側の主張です。これに対しチリは、バルパライソ条約に基づき、既に「ボリビアは港湾を自由に商業利用できている」と反論していました。 このため、ICJは両国間の戦後の外交文書などを検討したうえで、チリには「交渉に応じる義務があるとは結論付けられない」と判断。今回の判決となり、ボリビアの悲願は棄却されることになりました。 なお、ボリビアといえば、1966年以降、チェ・ゲバラが潜入して山中でゲリラ戦を展開し、1967年に逮捕・処刑された国としても有名です。現在制作中の拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』でも、そうしたボリビアについて、いろいろな角度からまとめてみました。諸般の事情で制作作業が予定よりも大幅に遅れており、心苦しい限りなのですが、正式な刊行日等、詳細が決まりましたら、このブログでも随時ご案内いたしますので、よろしくお願いします。 ★★★ 近刊予告! ★★★ えにし書房より、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』が近日刊行予定です! 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。 ![]() (画像は書影のイメージです。刊行時には若干の変更の可能性があります) ★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★ ![]() 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 スポンサーサイト
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|