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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 大統領の車が都内で事故
2018-10-05 Fri 01:00
 きのう(4日)、東京・千代田区の路上で、タジキスタンから来日中のエマムアリ・ラフモン大統領(以下、敬称略)の車に、後ろを走っていた随行者の車が追突する事故がありました。この事故で、随行者の車のフロント部分が壊れたものの、大統領を含め、けが人はなかったそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      タジキスタン・ラフモン(2006)

 これは、2006年にタジキスタンが発行したラフモンの肖像切手です。なお、ラフモンは、もともとはロシア語風にラフモノフと名乗っていましたが、2007年4月14日、タジク語風のラフモンに改名し、現在に至っています。今回の記事では、とりあえず、2007年以前についても“ラフモン”で行きたいと思います。

 エマモリ・ラフモンは、ソ連時代の1952年10月5日(今日がお誕生日なんですね!)、タジク・ソビエト社会主義共和国のクリャーブ州ダンガル地区ダンガル市(現ハトロン州クリャーブ市)生まれ。ソ連時代は、クリャーブ州ダンガル地区ソフホーズの議長を務めていました。

 旧ソ連時代のタジク・ソビエト社会主義共和国では、ホジェンド(北西部ソグド州の州都)地方やクリャーブ(南部ハトロン州の東部)地方の出身者が政府と軍の要職を占めており、ゴルノ・バダフシャン自治州のパミール人やガルム地方の民族集団、イスラム勢力などは不遇をかこっていましたが、共産党一党独裁の下、彼らの不満は抑え込まれていました。

 ところが、1991年9月9日、タジキスタン共和国が独立すると、それまで鬱積していたイスラム勢力の不満が一挙に噴出するかたちで、1992年春、当時のラフモン・ナビエフ政権への抗議行動が発生。5月には、政府側の警備兵と反政府勢力の間で戦闘が発生し、いわゆるタジキスタン内戦に突入します。

 ナビエフ政権は野党勢力を取り込んだ連立政権を作ることで事態の収拾を試みましたが、ナビエフくみしやすしと見た反政府勢力の攻撃は収まらず、1992年9月、ナビエフは退陣。このため、混乱の拡大を憂慮したロシアとウズベキスタンが事態収拾に乗り出し、ホジェンド派とクリャーブ派からなる人民戦線を軍事支援。人民戦線は1992年末に反政府勢力を圧倒し、連立政権をも解体して、クリャーブ出身のエマモリ・ラフモンを指導者とする新政権を樹立しました。

 ラフモン政権は反政府勢力の民族浄化を行うなど強硬姿勢で臨み、1993年3月頃までに、国土の大半を掌握。この実績を基に、同年11月19日、タジキスタン共和国最高会議において、最高会議議長に選出されました。ただし、この時点では内戦が完全に終結したわけではなく、大量の難民がアフガニスタンに流入し、タジク野党連合(UTO)を結成し、タジキスタン南部での抵抗を続けました。

 その後、1994年4月以降、国連・ロシア・イランの3者の仲介により、モスクワでラフモン政権とUTOの仲介に和平交渉がはじまり、交渉の進展を受けて、同年11月6日、憲法改正が行われ、ラフモンは正式にタジキスタン共和国大統領に就任。さらに、同年12月16日、国連タジク監視団が創設され、停戦状況の監視と状況の報告、人道支援協力、CIS平和維持軍の協力による警備などを行った。こうした経緯を経て、1997年6月27日、和平協定が成立し、タジキスタン内戦はとりあえず終結しました。

 大統領就任当初のラフモンは、中央アジアの中ではリベラルな指導者として野党に対しても穏健な態度を取っていましたが、次第に独裁傾向を強め、1999年と2003年の2度の憲法改正を通じて2020年まで大統領職に留まることを可能としたうえで、今回も現職大統領として来日。衝突事故に遭ったというわけです。

 * 昨日(4日)のTBSラジオ「たまむすび」で、内藤の出演した「おもしろい大人」のコーナーは、無事に終了いたしました。お聴きいただいた皆様には、あらためてお礼申し云揚げます。なお、放送内容は、11日(木)まで、こちらでもお聴きいただけますので、ぜひ、ご利用ください。 


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