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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 体育の日
2018-10-08 Mon 01:46
 きょう(8日)は体育の日です。というわけで、スポーツ関連の切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      メキシコ・汎米競技大会(1955)

 これは、1955年の汎米競技大会に際してメキシコが発行した記念切手のうち、メキシコシティのスタジアムと先住民の扮装をした聖火ランナーを描いた20センタボ切手です。

 汎米競技大会は南北アメリカ大陸の国々が参加して4年に1度開催される総合競技大会で、1920年代に中米で行われた中央アメリカ・カリブ海競技大会に影響され、1942年にブエノスアイレスで第1回大会を開催する準備が進められていました。しかし、第二次大戦の影響で延期となり、実際にブエノスアイレスで第1回大会が開催されたのは大戦後の1951年のことでした。今回ご紹介の切手の題材となった1955年のメキシコシティ大会は、その第2回にあたります。

 1954年6月、グアテマラでは、CIAの支援を受けたカルロス・カスティージョ・アルマスにより、当時、ラテンアメリカで最もリベラルといわれたグアテマラのアルベンス政権が崩壊。当時、グアテマラに滞在していた青年医師のエルネスト・ゲバラ(後のチェ・ゲバラ)は、グアテマラ市民に対して、武器を取ってアルマス軍と戦うことを呼びかけましたが、このため、アルマス政権によって“共産主義者”と認定され、当時の恋人で、純然たる共産主義者のイルダ・ガデアともども粛清の対象となります。

 このため、1954年9月、ゲバラはメキシコへの亡命を決意。ひとまず、メキシコシティ中心部、ナポリ街40番地の安アパートに小さな部屋を借りて友人のエル・パトーホとともに共同生活を始め、カメラを借りて、通りすがりの旅行者などを撮影して金銭を得る街頭カメラマンの仕事で糊口をしのいでいました。

 その後、1954年11月、グアテマラを追放されたイルダがメキシコシティに到着。彼女はレフォルマ通りの別の下宿でベネズエラ出身の女流詩人、ルシーラ・ヴェラスケスとルームシェアし、ゲバラとは週に1-2度会うという関係が続きます。

 そうしているうちに、エルネストはアルゼンチンの政府系通信社“ラティーナ通信”のコーディネーター、アルフォンソ・ペレス・ピスカイーノの紹介で報道カメラマンの仕事を得るとともに、大学の聴講生となり、病院でアレルギーの研究を行うことになりました。

 ラティーナ通信のスタッフとしてのゲバラは、1955年の汎米競技大会を取材し、競技中の選手の写真も何枚か撮影しています。この仕事で彼は総額6000ペソを稼ぎ、経済的にも一息つくことができるがはずでした。ところが、突如、アルゼンチン本国からの指令でラティーナ通信は閉鎖されてしまい、エルネストらスタッフに対する給与も約束の半額しか支払われませんでした。

 ちなみに、大会から約半年後の1955年9月16日、アルゼンチンでは権勢を誇ったフアン・ペロンがクーデターで政権を追われており、通信社が突如閉鎖されたのも、そうした政権の末期症状を示す兆候の一つだったのかもしれません。

 なお、汎米競技大会の仕事をしながらも、ゲバラは病院での研究活動を続け、「半吸収食物抗原の皮膚に関する研究」と題する論文を仕上げています。この論文が1955年5月の『イベロアメリカ・アレルギー学雑誌』に掲載されたことで、彼は、ヘネラル病院で、無給ながら衣食つきの住込みの仕事を得ています。なお、生活費は書籍販売のセールスマンをして稼いでいました。

 また、1955年5月にはイルダもエルネストのプロポーズを受け入れ、2人は正式に結婚しましたが、それとほぼ時を同じくして、キューバでモンカダ兵営襲撃事件に加わったラウル・カストロがメキシコに到着。ラウルは同地で襲撃事件の同志、ニコ・ロペスらと再会し、ロペスから“アルゼンチンのチェ”を紹介されます。ここから、ゲバラはラウルの兄、フィデルと知り合い、キューバ革命に深く関わっていくことになるのです。

 さて、現在制作中の拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』では、ゲバラやカストロ兄弟など、キューバ革命の志士たちのメキシコ時代についてもまとめています。諸般の事情で制作作業が予定よりも大幅に遅れており、心苦しい限りなのですが、正式な刊行日等、詳細が決まりましたら、このブログでも随時ご案内いたしますので、よろしくお願いします。

 * 先ほど、アクセスカウンターが197万PVを超えました。いつも閲覧していただいている皆様には、あらためてお礼申し上げます。 

 
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 詳細につきましては、今後、このブログでも随時ご案内して参りますので、よろしくお願いします。

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