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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ビートルズの日
2019-02-04 Mon 01:18
 きょう(4日)は、ザ・ビートルズの愛称“Fab4 (fabulous four:伝説的な 4人)”と2月4日の“Feb4”をかけて、“ビートルズの日”だそうです。というわけで、ビートルズ関連の切手の中から、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      キューバ ジョン・レノン

 これは、2016年3月、ハバナで開催された切手展<Copa Cuba de Filatelia >に際して発行された、キューバ国内の著名人の銅像を題材とした記念切手のうち、ビートルズのメンバーの写真を背景に、ハバナ市内のジョン・レノン像を取り上げた1枚です。

 キューアとジョン・レノンとの関係といえば、しばしば、ジョン・レノンが“ハイスクール時代”を回想して「あのころ世界で一番カッコいいのがエルネスト・チェ・ゲバラだった」と語ったとのエピソードが紹介されていますが、これは歴史的な事実関係とは若干の齟齬があります。

 すなわち、ジョンは、1958年9月に日本の中学・高校に相当するグラマー・スクールのクオリー・バンク校を卒業し、リバプール・カレッジ・オブ・アートに入学していますが、この時点では、キューバは依然としてバティスタ政権の支配下にありました。そして、1959年1月にキューバ革命が達せられたときには、ジョンは同カレッジに在学中でした。ちなみに、ジョンが同カレッジを卒業するのは、1960年7月のことです。

 一方、ゲバラは、革命戦争の時代からキューバ国内では知られた存在でしたが、1959年1月の革命達成の時点では世界的にはほぼ無名の存在でした。たとえば、米国のグラフ誌『ライフ』にゲバラが初めて登場するのは、ソ連副首相のミコヤンがキューバを訪問し、キューバ政府の要人が出迎える場面を撮影した写真が掲載された1960年2月22日号でしたが、この時の写真には、閣僚の一人としてゲバラの姿も写っているものの、キャプションにも本文記事にも彼の名前はありません。

 欧州において、ゲバラの名前を特定したうえで、彼の肖像が流布するようになったのは、英誌『タイム』の1960年8月号の表紙が最初で、それまでの英国社会では、よほど強い関心を持ってキューバ情勢をフォローしていない限り、ゲバラの名前を知っている人はごくわずかでした。大半の英国人は件の『タイム』の表紙でゲバラのことを知ったというのが実情で、おそらく、ジョンもゲバラのことを知ったのは、カレッジの卒業前後に発行された『タイム』の表紙だったと考えるのが自然でしょう。まぁ、人間の記憶なんて曖昧なものだと言ってしまえばそれまでですが…。

 なお、ゲバラのことを“世界で一番カッコいい”と評したジョンの発言が広く巷間に流布していたこともあってか、2000年12月、ジョンの没後20周年を記念してハバナ市内にジョン・レノン公園が開設され、現代キューバを代表する彫刻家のホセ・ビージャ・ソベロンによる銅像(今回ご紹介の切手の銅像です)が設置されました。

 かつて、共産主義諸国ではビートルズは“頽廃的な西側の商業音楽の典型”として、公の場での演奏などは忌避されていましたが、ジョンの場合は、ベトナム反戦運動へのシンパシーや、代表作の一つとされる『イマジン』が左派リベラル色の強い“反戦歌”となっていることも考慮されて、キューバ政府の評価は悪くありません。ちなみに、ジョンの像が腰かけているベンチには、「人は僕を夢見る人というかもしれない。けれどそれは僕だけじゃない」という「イマジン」のフレーズが刻まれています。

 また、フィデル・カストロの側近で、革命後のキューバ外交の第一線でキャリアを積み、国連大使、外相などを歴任し、銅像が設置された2000年当時は人民権力全国会議(国会)議長の地位にあったリカルド・アラルコンは、個人的にジョンのファンだったそうです。

 今回ご紹介の切手の銅像は、こうした事情に加え、“(ゲバラは)世界で一番カッコいい”との発言が“革命のキリスト”としてのゲバラの神格化を補強する役割を果たしていることも加味して設置されたものと考えられます。

 さて、2月25日に刊行予定の拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』では、そうしたジョン・レノンとキューバの関係についてもご説明しております。すでにアマゾンなど一部のネット書店では予約販売も始まっておりますが、実物が出来上がってきましたら、あらためて、このブログでもご報告いたしますので、よろしくお願いいたします。 


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      チェ・ゲバラとキューバ革命 表紙カバー 本体3900円+税
 
 【出版元より】
 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。

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