fc2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 世界の国々:ナミビア
2019-03-30 Sat 01:44
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2019年2月27日号が発行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はナミビアの特集(3回目)です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ナミビア・カプリヴィ回廊

 これは、ナミビアの国土東北端に取手のように細長く突き出たカプリヴィ回廊の地図を描いた切手です。

 19世紀後半、列強諸国によるアフリカ分割の過程で、1884年、ドイツ帝国は“ドイツ領南西アフリカ”として現在のナミビアの地の大半の領有を宣言します。

 翌1885年3月、ドイツ政府はアフリカ大陸のインド洋沿岸部に“ドイツ保護領東アフリカ”を設立する意向を明らかにし、アフリカ大陸東岸への進出を開始。当時、この地域はザンジバルのスルターンの実質的な支配下に置かれていたため、ザンジバル側は英国に支援を求めてドイツに対抗しようとしましたが、1886年、英仏独は連携して東アフリカの分割を進め、英国は後のケニアを、ドイツはタンガニーカ(現在のタンザニア国家の大陸部分)を領有。ザンジバルの支配地域はザンジバル島など東アフリカ沖の島嶼部および大陸沿岸から10マイル(16km)内陸までに限定されました。

 こうして、アフリカ大陸の東西に植民地を確保したドイツは、次なる目標として、南西アフリカからザンベジ川を通じて東アフリカへ至り、インド洋へ抜けるルートの開発を構想しましたが、1886年の時点では、南西アフリカとザンベジ川の間の地域は英国の植民地でした。

 一方、英国としては、ヴィクトリア湖とインド洋を結ぶ鉄道を建設するため、ドイツの影響下にあったウィトゥランドの領有を望んでいました。

 このため、1890年、英独両国は“ヘルゴランド=ザンジバル条約”を調印。ドイツは、英国によるウィトゥランドの保護領化を認め、英国のザンジバル進出を黙認するかわりに、北海のヘルゴランド島をドイツ領とし、ザンジバルの支配地域だった沿岸部を買収してドイツ領東アフリカの権限範囲を確定するとともに、ドイツ領南西アフリカから「いかなる地点においても幅20マイルを下らない回廊によって、ザンベジ川への自由な接近の権利を有する」ことが認められます。この結果、従来のドイツ領南西アフリカからザンベジ川に向けて“取手”のように細長い“カプリヴィ回廊”がドイツ領として確保されることになりました。なお、現在のナミビア国家は、こうして成立したドイツ領南西アフリカの領土的な枠組を継承しています。

 さて、『世界の切手コレクション』2月27日号の「世界の国々」では、カプリヴィ回廊の近現代史についてまとめた長文コラムのほか、アイアイ温泉、版画家ムアファンゲヨ、マルーラ・オイルの切手などもご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧ください。

 なお、「世界の国々」の僕の担当ですが、今回のナミビア以降は、3月6日発売の同13日号でのアンゴラ(と一部トーゴ)、同13日発売の同20日号でコロンビア(と一部パラグアイ)の特集となっています。これらについては、順次、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ メディア史研究会で発表します! ★★★

 4月20日(土)14:00から、東京・水道橋の日本大学法学部三崎町キャンパスにて開催のメディア史研究会月例会にて、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』の内容を中心に、「メディアとしての“英雄的ゲリラ”」と題してお話しします。

 なお、メディア史研究会はまったく自由な研究会で、会員以外の方でも気楽にご参加いただけますので(もちろん、無料)、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。

      
★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★

      チェ・ゲバラとキューバ革命 表紙カバー 本体3900円+税
 
 【出版元より】
 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

スポンサーサイト



別窓 | ナミビア | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/