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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 フジャイラ沖でサウジ船に“妨害攻撃”
2019-05-14 Tue 02:20
 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、きのう(13日)、アラブ首長国連邦(UAE)・フジャイラ沖のオマーン湾で12日にサウジ船籍の石油タンカー2隻が「妨害攻撃」を受けたと発表しました。というわけで、きょうは気の切手です、(画像はクリックで拡大されます)

      フジャイラ・エッセ(1963)

 これは、UAE結成以前のフジャイラで、独自の切手発行に先立ち、1963年に作られた試作品で、当時の首長、ムハンマド・ビン・ハミド・シャキーと鷹が描かれています。

 フジャイラはUAEを構成する7首長国のうち、ペルシァ湾に面していない唯一の国で、その海岸線はすべてオマーン湾側にあります。面積は1166平方キロ、2009年の人口は15万2000人の小国です。

 現在のフジャイラに相当する地域は1850年まではマスカトのスルターンの支配下に置かれていましたが、1850年、マスカトのスルターンとシャルジャのカーシミー家との協定により、シャルジャに譲渡されました。その後、1901年に現在のフジャイラ首長家であるシャルキー家が独立を宣言。しかし、当時はシャルジャがいわゆる休戦協定により英国の保護下に置かれていたため、シャルキー家の独立宣言は対外的にはほぼ無視されていました。英国がフジャイラをシャルジャとは別の首長国として正式に認証したのは1952年のことです。

 郵便に関しては、1963年11月22日に首府のフジャイラ市に郵便局が開局し、これにあわせて切手の発行がけいかくされたものの、実際に最初の切手が発行されたのは、1964年9月のことでした。今回ご紹介のマテリアルは、その過程で準備されたものです。

 フジャイラの地では石油の産出はありませんが、域内のハジャル山脈にはクロム、銅、鉄、ウランなどの豊かな鉱脈があるものと推定されています。また、油田地帯のアブダビとパイプラインで結ばれているため、フジャイラ市北部のフジャイラ港はホルムズ海峡を迂回する原油の輸出基地となっているほか、港外ではホルムズ海峡を通りアラビア湾に入るための多くの石油タンカーが錨泊し、補給を行っています。ちなみに、2001年、インド洋に派遣された日本の自衛隊も、フジャイラを補給基地として利用しました。

 さて、今回の“妨害攻撃”ですが、サウジ側の発表によると、攻撃を受けた船のうちの1隻は、ペルシャ湾に面するサウジ東部ラスタヌラで原油を積載し、米国内の顧客向けに引き渡す予定だったとのことで、死傷者や原油流出はなかったが、船舶が激しく損壊したそうです。また、UAEメディアは、攻撃された対象は計4隻だったと報じていますが、いずれも、いかなる組織が攻撃を行ったかは明らかにされていません。

 時あたかも、13日には、米国のB52爆撃機がカタールの基地に到着したほか、原子力空母エーブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群がスエズ運河を経由して中東に到着。イラン外務省も、米国やサウジ、UAEを念頭に“地域を不安定化させる試み”への警戒感を表明するなど、ペルシャ湾周辺で米とイランの軍事的緊張が高まっています。


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