FC2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 香港上海銀行
2008-03-05 Wed 11:05
 かねてご案内のとおり、今日(5日)は夕方18:30から開催の日本香港協会の春節パーティーで、切手や絵葉書、郵便物などから古きよき香港をたどるトークを行います。というわけで、会場となる香港上海銀行(HSBC)に敬意を評して、今日はこんなモノを持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

 香港上海銀行・穿孔(裏側)

 これは、ヴィクトリア女王時代の香港切手で、香港上海銀行を意味する“H&S BC”の穿孔が施されています。上の画像は穿孔を見やすくするため、裏側から穿孔されたものをお見せしていますが、これとは別に表面から穿孔を施された切手のイメージはこんな感じになります。

 香港上海銀行・穿孔

 切手を大量に使用する企業などが、社用の切手の盗難や従業員による私的流用を防ぐため、切手に会社の頭文字や屋号などの文字を入れる例は、戦前では、洋の東西を問わず良く見られた現象である。香港では、1878年に社用の切手にそうした表示を行うことが公認され(それ以前にも、実際には一部で行われていたが)、1890年ごろから広く行われるようになりました。当初、社名などの表示はスタンプを押す方式が採られていましたが、消印類との混同を避けるため、後に印を押すことは禁じられ、今回ご紹介の切手のように穿孔を施すことがルールとなりました。

 現在、アジア有数の国際金融都市となっている香港で最初の銀行ができたのは、香港島が英領となって間もない1840年代のことですが、当時の銀行はロンドンやインドに拠点を置く“アングロ・インディアン銀行”でした。このため、彼らの取引はイギリス本国やインドとの決済が優先されており、中国や香港での取引には制約も多く、香港在住のイギリス商人たちは不満を持っていました。

 さらに、1864年初め、インドにおける金融の中心地であったボンベイの金融業者たちがイギリス本国の勅許を得て、彼ら独自のバンク・オブ・チャイナを創立する計画が浮上します。この計画が実現されてしまうと、香港の経済・金融はますます、イギリス本国やインドに従属することになってしまうため、このことに危機感を抱いたP&O汽船の香港支配人、トーマス・サザーランドは、他地域の利害に左右されない効率的な銀行を香港でも創設することを提案。彼が書き上げたスコットランドの銀行業に関する文献を参考に設立趣意書草案は、香港のイギリス商人たちの圧倒的な支持を得て、数日のうちに香港上海銀行設立準備委員会が結成されました。

 設立準備委員会は、1864年7月、設立趣意書を発表。資本金は500万香港ドルで、1株が250香港ドルの株が2万株、募集されました。こうして、1865年3月3日、地元金融機関の連合体ともいうべきHSBCが香港で営業を開始する。さらに、翌4月3日には上海支店でも営業が始まりました。初代頭取はパリ割引銀行香港支店長だったビクター・クレッサーが任命です。

 同行の創業間もない1866年、アメリカの南北戦争で綿花栽培が打撃を受けたことに加え、ヨーロッパでの普墺戦争などによって、イギリスの大手信用機関、オーバーレンド・ガーニー・カンパニーが破産すると、ロンドンの金融不安から世界的な恐慌が発生。その結果、多くの金融機関が破綻し、香港でもジャーディン・マセソン商会とならぶ繁栄を誇ったデント商会が倒産に追い込まれました。しかし、HSBCは取締役会メンバー企業の支援もあって危機を乗り切ったばかりか、破綻した金融機関を吸収して成長を続け、この年、日本にも支店を開設しています。

 1870年代に入るとHSBCの経営は次第に安定し、1876年、トーマス・ジャクソン(1871~74年のHSBC横浜支店長)が総支配人に就任すると、彼の在任中にHSBCは急成長を遂げ、極東随一の大銀行としてゆるぎない地位を確立しました。

 HSBC本店の所在地は、創業以来、現在にいたるまで皇后大道中の一番地ですが、社屋は何度か建て直されており、現在の本社ビルは、1985年に完成した4代目のものです。

 なお、拙著『香港歴史漫郵記』では、19世紀以来、アジアの金融都市・香港の顔であり続けた香港上海銀行とその社屋の歴史についてもいろいろとご説明していますので、機会がありましたら、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。
スポンサーサイト

別窓 | 香港:~1941 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 台湾に行ってきます | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  ペルリ150年>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/