郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 『郵趣』4月号
 今日から新年度がスタートしました。すでに、JPS(財団法人・日本郵趣協会)会員の皆様のお手元には、雑誌『郵趣』の4月号が届いていることと思います。この4月号については、僕も企画段階からいろいろと絡んでいるので、ちょっとご説明したいと思います。(画像は雑誌の表紙です)

 『郵趣』2008年4月号表紙

 現在、40代以上の男性であれば、程度の差こそあれ、一度は切手を集めた経験をお持ちの方は多いと思います。その後、受験や就職など、いろいろと身辺が忙しくなって収集を中断された方も多いかとは思いますが、社会人としてある程度、時間とお金に余裕が出てきたときに、もう一度切手を集めてみようかと思う方もあるでしょう。そうした“カムバック組”をいかに取り込んでいくかが、今後、日本のフィラテリーが社会的に生き残っていくうえで重要な課題であることは言うまでもありません。

 ところが、これまでは、せっかく切手をもう一度集めてみようかという人がでてきても、そうした人たちに対するフォローはきわめて不十分な状況が続いていました。たとえば、切手に関する入門書の多くは、切手収集を全くしたことのない人や子供たちを対象に書かれており、かつて切手をかじったことのある人たちには退屈な印象を持たれてしまうのが現実です。もちろん、たいていの入門書は、じっくりと読めば、決して子供だましの内容で終わってはいないことがわかるのですが、最初のところで「切手を扱う際にはピンセットを使いましょう」などと書かれていると、その後を続けて読む気にならないというのが正直なところだろうと思います。

 そこで、僕たちは、かつて切手を集めたことのある人が切手収集を再開するきっかけになるようなブックレットを作ることを考えました。それが、今回の『郵趣』4月号というわけです。

 もちろん、僕たちは、最近の若い女性たちが“かわいい切手”や“きれいな切手”を自分の好みで好きなように楽しむというやり方を否定するつもりはありません。ただ、彼女たちと元切手少年たちとでは、価値観や趣味嗜好が全く異なるのは当然のことで、両方を一度に相手にしようとすると、どうしても、中途半端な内容になってしまいます。そこで、今回はターゲットを元切手少年にしぼって、切手収集が大人の男の趣味であるということを前面に打ち出し、その魅力を紹介するとともに、切手少年だった大人たちが収集を再開したくなるような内容とすることを目指しました。

 こうしたコンセプトにしたがって、最初のカラー特集では、元切手少年なら誰もが知っている内外の“良い切手”をじっくりとお見せしています。批判を覚悟であえて言うなら、女子供にへつらった“かわいい切手”の類は基本的に相手にしていません。同じくカラー特集の「切手で選ぶ世界の美女(10)」も、最近の流行りやガキの好みは一切斟酌せず、大人が共感できる人選にしました。(もちろん、“美女”の判定基準は人それぞれでしょうから、異論があれば、それは甘んじて受け入れますが・・・)

 ついで、モノクロページでは、元切手少年たちがすんなりと収集を再開できるような情報を盛り込むことに努めました。切手ブームの時代から現代までの郵趣史年表をつけたのも、“カムバック組”の方々が切手の世界を離れてから現在まで何があったのか、おおよそのことを理解していただきたかったからです。また、コレクションの作り方にはどんなスタイルがあるのか、ピンセットやストックブックにはどんなものがあるのか、といった具体的なノウハウも掲載しました。

 そのうえで、元切手少年の人たちが実際にどのように収集を再開し、現在楽しんでおられるのか、その実例として、大沼幸雄さんと安西修悦さんにご登場いただいています。

 このように、今回の『郵趣』4月号は、1冊丸ごと、大人のための切手収集入門といった体裁で作っております。

 つきましては、このブログをご覧の皆様のなかで、子供の頃にやっていた切手収集を再開してみるのも悪くないとお考えの方がおられましたら、ぜひとも、JPS事務局(〒171−0031 豊島区目白1−4−23、電話:03−5951−3311、FAX:03−5951−3315、e-mail:info@yushu.or.jp)までご一報ください。JPS事務局より、『郵趣』4月号を見本誌としてお送りいたします。また、皆様の身近に、以前切手収集をやっていたが、現在では止めてしまったという方がおられましたら、差し支えない範囲で、その方連絡先を教えていただければ、やはり事務局より『郵趣』4月号をお送りするよう手配いたします。

 使い古された表現ですが、切手収集は“趣味の王者”です。印刷物としての切手はそれ自体が美しいだけでなく、切手に描かれた文化や歴史、自然や風物を通じて世界のかけらに直接触れることができます。そうした“切手”の楽しさ・奥の深さを1人でも多くの方々に知っていただくためにも、まずは一人でも多くの方に『郵趣』4月号を手に取っていただきたく、心より皆様のご協力をお願いする次第です。
この記事に対するコメント
足元を固めるのはよさそう。
“切手収集が男の趣味”というのは変えようのない事実ですよね。
だからこそ、女性への対策がやりづらそうな印象があるし。
違う分野に手を出して中途半端になるよりは、
かえって原点に戻るほうがやりやすそうだし、正解だと思います。
【2008/04/07 06:32】 URL | プー #cxq3sgh. [ 編集]

 コメントありがとうございます
 プー様

 ご理解いただき、ありがとございます。けっして、女性や子供は切手をやるな、ということではないのですが、まずは数としては一番多い“大人の男”の共感を得られるキャンペーンをしっかり行うことが、結局は手堅いように思います。

 いずれ、郵趣の女性特集号も作れればいいと思いますが、その時は、やっぱり女性スタッフに頑張ってもらうのが良いんでしょうね。
 
 これからもよろしくお願いいたします。
【2008/04/15 14:16】 URL | 内藤陽介 #- [ 編集]


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プロフィール

 内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author: 内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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