FC2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 60年前の韓国総選挙
2008-04-09 Wed 12:49
 韓国では今日(9日)、国会議員総選挙の投開票が行われています。というわけで、今日はこの切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)

 南朝鮮・第1回総選挙

 これは、大韓民国成立直前の1948年5月10日、アメリカ軍政下の南朝鮮で行われた第1回総選挙の記念切手が貼られたアメリカ宛の初日カバーです。

 日本の敗戦後、連合国軍最高司令官一般命令第1号により、朝鮮は米ソにより北緯38度線で南北に分割占領されます。これは、当初はあくまでも暫定的な措置とされていましたが、その後、東西冷戦の進行により、5年間を限度とする信託統治の後、南北統一の政府を樹立するというモスクワ協定(1945年12月)のプランは実現が困難になっていきます。

 米ソ間の調整が難航する中、アメリカは自力での問題解決をあきらめ、1947年9月17日、朝鮮問題を第2回国連総会に上程。国連臨時朝鮮委員会を設置し、1948年3月末までに、同委員会の監視下に総選挙を実施するとの決議を採択させます。

 しかし、すでに北朝鮮のソビエト化をほぼ完成させていたソ連は、朝鮮半島からの米ソ両軍の同時撤兵を主張。選挙監視のために国連委員会が北緯38度線以北に立ち入ることを拒絶しました。このため、1948年2月、国連総会中間委員会は、“選挙の可能な地域”、すなわち南朝鮮での単独選挙を決議。こうして、同年5月10日、米軍政下の南朝鮮で第1回総選挙が実施されました。

 総選挙が行われた当時、南朝鮮の人口は2000万人で、選挙前日の5月9日までに選挙登録を行ったのは、全有権者の8割弱にあたる783万7504名でした。選挙は1区1人の単純小選挙区制で総定数200です。

 日本の植民地支配下では、ながらく、朝鮮を含む“外地”に関しては選挙区が設定されておらず、その結果、住民の選挙権もありませんでした。終戦直前の1945年4月になってようやく、朝鮮・樺太・台湾で男子住民に対する選挙権が与えられたものの、選挙が行われる前に終戦となってしまいます。

 このため、1948年の総選挙は朝鮮史上初の本格的選挙というべきもので、それを記念し、あわせて周知するための切手として、投票日当日の1948年5月10日に発行されたのが、今回ご紹介の切手です。なお、切手のデザインは2種類ありますが、このうちの20ウォンおよび50ウォンの切手には投票する男女の姿が描かれており、日本時代には認められていなかった婦人参政権も認められるようになったことがアピールされています。

 ただし、このときの選挙に関しては、南北統一政府の樹立を主張する金九や金奎植が、単独選挙は南北分断を固定化するとの理由から投票をボイコットするなど、総選挙をめぐる国内情勢は非常に不安定でした。また、済州島では大規模な武装蜂起が起こったため選挙は実施されていません。

 ちなみに、選挙の投票率は90・8%で、投票の結果、済州島の2選挙区を除き、198名が当選。このうち、53議席を獲得して第1党となったのは、大韓独立促成国民会(1946年2月に米軍政庁の支援を受けて組織された李承晩系の組織)で、29議席を獲得した韓国民主党(韓民党)がこれに続くという結果になりました。

 今回ご紹介の第1回総選挙を含め、アメリカ軍政時代末期から大韓民国成立までの重要な出来事は、南朝鮮の切手にことごとく取り上げられているので、それらを並べてみると、この時期の政治の流れを把握することができます。ただし、この時代の切手は未使用は多いのですが、気の利いたカバーなどが少ないので、リーフとしてまとめようとすると、ここに挙げたような初日カバーも使わざるを得なくなってくるのが、辛いところですが・・・。

 雑誌『郵趣』を読んでみませんか
 無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください
スポンサーサイト




別窓 | 南朝鮮:米軍政時代 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
<< 近代美術・特殊鳥類の時代 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  歓迎は強要できない>>
この記事のコメント
#1145
 郵便学で朝鮮近現代史をテーマとしている小生としては、内藤師匠がこのようなマテリアルを所持されていることを本当にうらやましく思います。小生もこの切手を5種を所持しているのですが、手元にあるのは単辺使用済みというのが現状です。以前某切手商でこの切手のFDCが売られていたのですが、手に入れることが出来ず、少々悔やんでいます。以前も書き込みをしたようにいよいよ過去の出品物のリニューアル版の制作に取り掛かるわけですが、やはりこの混乱期のマテリアルが一番入手しづらいですね。結構胡散臭いものまでありますから、入手するにも注意が必要になるわけです。朝鮮半島モノは19世紀末から、日本統治時代のものは入手が難しくなく、マテリアルも余り気味になっているのが小生自身の現状です。

話は変わりますが、今日、今月開催されるKOREA部会の切手展に出品する作品が完成し、郵趣協会事務所に持ち込みました。内容は以前書き込んだ、「今年のJAPEXに出品する作品」の範囲となる、2001~2008の出来事を取り上げる内容となっています。作品を見ていただけたら、「ああ、今年のJAPEXの出品内容はこうなるんだな」と思っていただけたら幸いです。KOREA部会の出品のフレーム数は3フレームですが、JAPEXでは4フレームを計画しています。何しろ今年までの出来事を取り上げるわけですから、JAPEX応募締め切りまでに切手を発行するほどの出来事が起きればいいんですけどねえ。リーフ数がきっちり収まればどうにかなると思うのですが。
2008-04-09 Wed 22:14 | URL | 大津太孝 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 大津太孝様

 僕は結局、台湾の作品の中から、朝鮮半島に関する16リーフを抜粋したものを出品します。よろしかったら、会場で見てやってください。
2008-04-15 Tue 14:26 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/